大体七番煎じ。
ちなみに多分2~3回に分けて書くべき内容を全部乗せです。
あら豪華(情報過多)
・ヴィジランテ(ビジランテ)とは自警団のことである。または自警団員のこと。※ヒロアカ外伝に因んで「ヴィジランテ」に統一。
平和を守らんとするヒーローであるが同時に法に縛られぬ犯罪者。
警察など公的組織とは他に自警行為を行う者たちのことを、また犯罪を取り締まるがその資格を持たない者を表す場合も多い。
アメコミでは犯罪者を捕らえて法に裁きを任せる者を「スーパーヒーロー」として、私刑を行う者を「ヴィジランテ」とする場合も。
【追伸】習作です。思ったまま書いてからは本筋に修正を入れません。まともな文章を書こうとして執筆が遅すぎたので。
「じゃあ、自己紹介をしましょう」
ちっぽけな机に同じくちっぽけな椅子を大体三十個。
赤茶色の小さな中学校、日が差し込むカラフルな教室で、一人ひとり与えられたほんの少しのスペースにすっかり収まった子供たちと、対象的に教室の前面は大きな黒板が右から左まで占領している。
視線をあげるとチョークで書いた始業式の字が目に飛び込んで、かくばった書式に固い印象を感じた。
子供たちはいまさっきまで体育館で演説を聞いていて、ようやく教室に戻ってきたところだ。
彼らは黒板の前に立ったメガネの先生から自己紹介を求められて一人ずつ立ち上がると、一言二言妙に大きな声でしゃべってからは、先ほどの演説が堪えたのか静かに席に着いていた。
自己紹介が終わっていない人はそわそわしているか、緊張で顔をがちがちにしているか、もしくは元気よく声を張り上げているか。
僕は前者の人間で、後者はちょうど「私はベルです!お願いします!」ほら、こんな具合。
今の子が「べ」だから今さっき僕の番はもう過ぎてしまったし、あまり大きな学校でもないから知らない顔もない。
退屈な時間に思わず欠伸がでる…
僕は「
現在14歳。性別男。中学で丸二年と少しを過ごしてなお、この短い人生の歴史に特筆すべき出来事もない日本の一般ピープル。
自分で言うのもなんだけど、生まれてから父と母の愛に包まれてまっとうな生活をした善良な子だ。
運動は嫌いじゃない、勉強もそこそこ。五体満足で産んでくれた親には感謝の気持ちがいっぱいに。
親はそれはもう良い人でね…善性の化身みたいな人柄だ。朝は母が目玉焼きを焼いてくれて、母が寝坊した時と冬の寒気にあてられて冬眠を始めたときは焼け焦げたベーコンがメインディッシュに――話が逸れたかな。
ともかく実に一般的な子供だ。多分周りや両親も、きっと僕のことをそう思っているはず。
そう願いたい。
なんといっても僕にはちょっとした秘密がある。ちょっとだけ「一般的」とはかけ離れている秘密があるからだ。
――ばれていたら身の振り方を考えなければならない秘密。
一つ。例によって前世とも言うべき記憶があるということ。
サブカルチャーが蔓延る前世の出身だ。
紆余曲折あって死んでしまったわけだけど、まあ病気で余命宣告されていたとだけ。
なんというか、転生者とか呼ばれる種類だね。
精神が大人のものなのだ。業界ではありふれているからある意味一般的かもなんて。
二つ…なんとなくわかるだろうけど。
あー、生まれ変わるときに戴く権能?能力?
…転生者とか言ってる時点で今更かな。安直に言うと僕は転生特典持ちだ。
スパイダーマンを前の親は知らなかったけど、きっと知らない人の方が少ないだろう。
マンガが原作で、いくつか実写映画化もされた。赤い全身タイツのヒーローだ。コスチュームにクモの巣が広がるようなデザインがされている。
ビルの間をターザンよろしくスウィングして高速移動するのが特徴的だった。
間違っても銃を乱射する不死身の男じゃない...ああ、でも不死身の男ってある意味じゃ間違いないのか。
僕の体にもその能力が流れていて、たまに第六感の予感が訪れるし、その気になればロードローラーとまではいかなくても瓦礫くらいなら軽く持ち上げ、ビル間を飛び回れる。
三つ。最後に、時々スパイディを模したスーツを着て活動をしている。つまりヴィジランテだということ…あくまで時々、時々だけど。
ほとんどが目に余る悪意を取り払うだけなので、ヴィジランテとしては微妙な線。
自分の子が前世持ちなんて嫌だろうし、胸の内に秘めて隠匿しながら過ごしている。秘密を隠すにも割と苦労しているけどその価値はあると思う。
今こうして一般人として生きられているのだし。
まあ、前世や趣味はともかく能力に関して言えば、実はあまり特別じゃなかったりする…場合によっては秘密にする必要もなかったものであるから何とも言えない。
例えば、右隣の席に座っている子は僕の背丈の二倍はあり、岩のような肌の…なんだかサノスみたいなやつだし。反対に左の席を見ると全身が岩の大男だ。
どちらも同級生。
斜め前の子が立ち上がって口を開くと、
「名前はのびのびろう!俺の"こせー"は『伸縮』!」
「はい、のびろうくんありがとう。個性は使わないように」
足先を伸ばした生徒と先生との会話が耳に入った。
ここは『僕のヒーローアカデミア』の世界だ。
全人口の実に八割が"個性"と呼ばれる能力を持つ超能力者のこの世界。力が強くて蜘蛛の糸を出せるというのも、珍しいことではない。
見た目に出る個性でもないし、横のサノスよりはよっぽど普通ではないだろうか。
ナンバーワンヒーローにしても街一つ滅ぼせる驚異のパワーを持っているわけだし、僕は比較的一般人に分類されるはず。
「あれ?じゃあ特典を隠す意味がないのでは?」とそんな疑問が沸いたのではないだろうか、僕もそう思ったよ。
しかしそれは問屋が卸さない。特典と別に個性が発現しちゃったんだ。
僕はてっきり特典が「スパイダーマンの個性」だと思いこんでいたのだけど。それがどうも違うらしいと分かったのはある日のこと。
朝起きて寝ぼけた頭で目覚まし時計を叩きつけると、鉄製の時計はまるで幻かのように姿を消した。医者の下に行くとそれが個性によるものだと告げられる。
どうやら特典と個性は別カウントだったらしい。
金属を霧の粒のように分解し、自在に体内へ格納及び排出。分解した金属は体のすぐ近くでなら自由に操作が可能だという個性だった。
形状変化は自由自在!でも射程ごくわずか!纏う以外にどう使えばいいのか。
それ以上でもそれ以下でもないけど、"個性"が出てしまったというのが致命的だった。
この世界で複数能力持ちは唯一オールフォーワンであり、(ハイブリッドは)二つ別の力を持っていたら関係があるとされても文句が言えない。聞いてもくれないだろう。
もし僕が警察で、某巨悪に関わっている可能性がある人物がいたら徹底的に経歴を洗うね。それはちょっとばかり困る。
サー・ナイトアイあたりに調べられたら、それはもうたまったものじゃない。
というわけで、特典の方は誰の前でも使っていなかったから、人前での特典の使用を制限される羽目になった。
役所への個性届もそっちで出され、世間から見ると僕の個性は細かい鉄の粒子を操る『ナノマシン』なるものと認識されている…ややこしいことになった。
(そのせいで逆に助かっていた節があったのもまた事実だけど)
特にヴィジランテの方で、正体がバレている気配がゼロだ。やったね。
両親と個性が違うとは思わなかったのだろうか。
今もこうして凡庸に生きて…と、これはさっきも言ったような気がするけど。
さて、僕はこういう人間である。
クラスでの自己紹介もいつの間にか終わり、そういえばといつも巻いている腕時計を見ると12時を回っていた。
先生も気が付けば教壇からどこかに──きっと職員室に──行ってしまったようで、ざわざわと無数の声が教室中に交じりあって喧騒を満たしている。
確かスケジュールでは昼にも解散のハズ、自己紹介が終わって時間もない。先生が帰ってきたらプリントを配ったら今日の日程は終わりだろう。
この後の予定はたしか空白のハズだし、家に帰っても父も母もいない。
友達を家でゲームに誘ってみようか…とか、そんなことを考えて見回すと、ちょうど別の人と話しているようで灰田から顔を背けており、大声で笑いこけているので話しかけるのも躊躇った。
しかし「この後遊びにいこう!」とかそういう話をしているらしく、このままでは本当に暇になってしまう。
(さて、どうしようかな…)
思考を巡らせようとしてふと視線を彷徨わせると、ふと教室の透明なガラスいっぱいに映る綺麗な青空があった。
そこに壁が一枚あることも忘れてしまいそうなほど、澄み切った青。見慣れた光景だというのに、視線を吸い寄せられる。
平和を絵にかいたような光景だと思った。
雲一つない空から無色の光が緩やかに降り注ぎ、ほんの少し開いている窓から春の匂いが漂う。頂点に上がるにつれて明るい水色が少しずつ混じり、ドーム状の天空はどこまでも壮大に僕らを包んで、吹きあげる晴天が目の奥に広がった。
まったく美しい空に感動を覚えていると…それは来た。
──この世界には蜘蛛がいる。
正体不明のヴィジランテ。赤いスーツの蜘蛛は人助けを活動の主として、ここ数年間の間に幾つかの犯罪組織を倒壊させた実績を誇るが、プロヒーローに非ず。
ヴィジランテであるにも関わらずプロヒーローと遜色のない知名度を背に、町の影を打ち払う彼はもっとも高名なヴィジランテの一人である。
彼自身、自分がやらなければというような崇高な使命感を持たないが、外へ出ればスパイダーセンスがヴィランに襲われた人の悲鳴を捉え、何か――主にヒーローが間に合わない犯罪だった――がいるのだろうと伝えてはその蜘蛛が出向くのだ。
長きにわたって超人社会で言う「個性の不法使用」を繰り返すそのヴィジランテはプロヒーローや警察からしてみれば目の上のたんこぶで。だからといって取り除こうと本格的に捜査に乗り出そうものなら助けられた人々が障害になるうえ、一度本格的に逮捕へ踏み切ったときにも手掛かり一つ手に入れることなく逃げられ…『赤いヴィジランテ』はもう半ば黙認されている。
かくして世に知られるようになった蜘蛛はしかし、自らの名前を名乗らなかった。
必要と思わなかったのか、それともそんな余裕がなかったのか。
当時、実績と知名度から「何故ヒーローの彼はプロとして活動しないのか」というタイトルで個性の免許制を叩く題材を度々メディアがたびたび取り上げており、その都度『怪人赤タイツ』だの『鉄十字キラー』だのと各々自由に呼ばれていたのだが、名前が統一されるようになったのはつい最近のこと。
その名に落ち着いたのは運命の導きか。
『親愛なる隣人』ことスパイダーマン、灰田満は芸術のような空を見上げ、暖かな風の中で鳥肌を立てるような感覚に目を細めた。
ちなみに全部やりたい展開のための設定だったりします
たどり着けるだろうか(儚い希望)