その日の放課後、生徒会長室にて。
「おいおい、他の皆が忙しくしているときに、生徒会長様は呑気にネットサーフィンか?」
他の委員に割り当てられたものより大きなテーブルに陣取り、楽しそうな表情でパソコンの画面を眺めていた真由美に呆れたように声を掛けたのは、ショートボブの黒髪にスレンダーな体型をした、まさに“男装の麗人”といった表現がよく似合う女子生徒・渡辺摩利だった。
彼女が長を務める“風紀委員”の本部はこの部屋の真下にあり、入口とは別のドアから続く階段で直接繋がっているという珍しい構造をしている。そんなこともあり、放課後や昼休みなど時間があればこうして生徒会室にお邪魔しているというわけである。
「あら、リンちゃん達ならまだしも、あくまで部外者の摩利にとやかく言われる筋合いは無いわ」
「ご心配には及びません! この書類はまだ会長に精査していただく段階ではありませんので、それまではご自由にお過ごしください!」
真由美に助け船を出す形でそう叫んだのは、昨日真由美が深雪と顔を合わせたときに付き従っていた男子生徒だった。パソコンのキーボードを叩きながら四苦八苦している彼の様子に、摩利は他人事ながら同情するような表情となった。
「それで真由美は、何をそんなに熱心に見てたんだ?」
そう言ってパソコンへ身を乗り出す摩利に、真由美は体をずらしてその画面を見せた。
それはとあるネットニュースのサイトで、去年の夏に行われた剣道の中学生大会についての記事が書かれていた。それに掲載されている写真には、大会の優勝者と準優勝者である2人の少年がトロフィーを手に肩を並べる様子が写されている。
こういった場合、負けた方は悔しがったり泣いたりするのが普通だが、ここに写る少年は一切それが無く、むしろ晴れやかな笑みを浮かべているのが印象的だ。
「あぁ、これか。アタシもこの試合はネット中継で観ていたよ。シニアの世界大会でも見られないようなハイレベルの応酬の末、当時まったくの無名だった選手が優勝候補筆頭の“代々木コージロー”を打ち倒した瞬間は、思わず大声をあげてしまったほどだ」
「やっぱりこの2人は、摩利の目から見ても相当な実力者なのね?」
「それはそうだ。そもそもアタシは道場の中でも“目録”、免許も与えられていなければ勝手に人を指導することもできない立場だ。単純な剣技で言えば、この2人とは比べるまでもない」
摩利は若干自嘲気味にそう言いながら、優勝者である少年へと視線を移した。
こういった場合、勝った方は喜んだり感動で泣いたりするのが普通だが、ここに写る少年は一切それが無く飄々としているのがある意味印象的だ。
「優勝者は、野原しんのすけという名前だったな。確か今年の新入生で、実技の成績が2位だったはずだ。アタシとしてはぜひとも風紀委員に欲しい人材なんだが、ちょうど生徒会枠が2つ空いていることだし、真由美の方から彼にアプローチしてくれないか?」
「摩利なら、そう言うと思ったわ。――それに私自身としても、彼とは交流を深めておきたいし」
真由美の台詞の後半は、すぐ隣にいる摩利にも聞き取れないほどに小さな声だった。
「んっ? 真由美、何か言ったか?」
「いいえ、何も。――さてと、まだしんちゃんは校内にいるかしら?」
真由美はそう言いながら、パソコンのキーボードを叩いた。少しして表示されたパスワードの入力画面も難なく突破して彼女がアクセスしたのは、校内の風景を映し出す映像が何十にも分割されて表示された画面である。
「防犯カメラの映像を盗み見るとか、相変わらずだなおまえは……」
「使える権力は使わなきゃ損よ。さてと、しんちゃんは――って!」
嬉々とした表情で映像に目を凝らしていた真由美だが、ある映像を視界に入れた途端に血相を変えて立ち上がった。
「どうした、真由美?」
「校門前で、新入生達が言い争いをしているわ。しかも全員が新入生。もしかしたら、魔法を使った喧嘩に発展するかも」
「――先に行くぞ、真由美!」
それを聞くや否や、摩利が勇ましい表情で生徒会室を飛び出した。
その右手には、“風紀委員”と書かれた腕章が力強く握りしめられていた。
* * *
「いい加減にしてください! 深雪さんはお兄さんと帰るって言ってるでしょう! 別にあなた達を邪魔者扱いしてるんじゃないんですから、一緒に帰りたかったらついてくれば良いんですよ!」
先程から続く口論に業を煮やして啖呵を切ったのは、この中では一番大人しい性格と誰もが思っていた美月だった。
ここに至るまでの経緯は、実に想像の付きやすい単純なものだ。深雪としんのすけ、そしてほのかと雫が校門にやって来るのを待っていた達也たち二科生に対し、4人の後ろをゾロゾロとついてきた一科生の面々が難癖をつけてきた、というものだ。ちなみにその一科生の矢面に立っているのは先程も食堂で真っ先に口を出してきた森崎だというのも、これまた想像しやすいことであろう。
最初は思わぬ人物からの反撃にたじろぐ森崎だったが、落ち着きを取り戻したのか、あるいはますますヒートアップしたのか、これ見よがしに大きく溜息を吐いてから反論を始めた。
「良いかい、君達? ここ第一高校は、完全なる実力主義だ。そして君達二科生は試験によって、僕ら一科生よりも実力が劣ると判断された。それはつまり、君達の存在自体が僕らより劣るということに他ならない。少しは身の程を弁えたらどうだい?」
「俺達は司波さんと、二科生には理解できないレベルの話がしたいんだ!」
「そうよ! 少し時間を貸していただくだけなんだから、二科生は大人しくすっこんでなさい!」
内容の是非はともかくとして、どうやら他の一科生達も森崎の話す内容に異論は無いようだ。自分達の優位性をまったく疑っていないらしく、このままの勢いで押し切ろうという作戦らしい。
しかし残念ながら、ここにいるのはそんなゴリ押しで通用するような者達ではない。
「ハッ! そういうのは、
「『時間を貸していただく』ですって? そういうのは、あらかじめ本人の同意を得てからやるもんでしょうが! 一科生の皆さんは、一般的な社会のルールも知らないのかしら?」
それを示すようにレオが彼らの主張を威勢良く笑い飛ばし、エリカも皮肉をたっぷり込めた言葉で返した。食堂では言い争いをしていたというのに、こういうときには息がピッタリだ。
しかしそれでも尚、森崎は自分達の非を認めようとはしなかった。
「まったく、どうして君達“ウィード”はそう楯突くんだ? 所詮は単なる“スペア”で実力も何もかも劣っているというのに、僕達“ブルーム”に刃向かってどうするんだい?」
そんな森崎の言葉に真っ先にキレたのは、またしても美月だった。
「――何ですか、さっきから“実力”って! 私達は同じ新入生です! 今の時点で、あなた達のどこが優れてるって言うんですか!」
「……おっと、今のはマズイな」
彼女の言葉に、今まで彼らの口論を無言で眺めていた達也が僅かに表情を歪めた。
確かに一科生のほとんどは、素質はあるものの実戦経験などまるで無いズブの素人だ。しかし中には既に魔法に慣れ親しみ、独自に技術を磨いてきた者も存在する。
例えばすっかり一科生の代表のような立ち位置に収まった森崎は、ボディーガード派遣の警備会社を経営している一族の出身であり、そこでは魔法そのものの技術よりもCADの操作技術を研鑽し、魔法の発動スピードを上げることを信条としてきた。そして達也の見立てでは彼自身も実家の家業を幾らか手伝っており、実戦経験の豊富さという面ではこの中でも上位に入ると睨んでいる。
「そんなに見たいんなら、見せてやるよ……! これが一科生と二科生の実力の差、すなわち“才能”の差だ!」
森崎がそう叫びながら取り出したのは、術式補助演算機(通称CAD)と呼ばれるもので、魔法師にとって所謂“杖”の役割を果たす機械である。拳銃のような形をしたそれをホルスターから抜く彼の動作は、さながら早撃ち勝負をするガンマンのようだ。
そして森崎はあっという間に、二科生のグループの1人にその銃口を向けた。
レオだった。
「うおっ! しま――」
「食らえ――」
「あっ、真由美ちゃんだ」
「えっ――」
横から突然聞こえたしんのすけの声に、森崎の顔から一瞬にして血の気が引き、彼の指差す方向を咄嗟に見遣った。
そこには、生徒会長らしき女子生徒の姿はどこにも無かった。
がきんっ!
そして次の瞬間、彼のCADは何かがぶつかる音と共にその手を離れ、綺麗な放物線を描いて遠く離れた地面に落下していた。
彼の目の前にはいつの間にかエリカの姿があり、不敵な笑みを浮かべて左手に持つ警棒のようなものを彼に見せつけている。
「――野原! どういうつもりだっ!」
その警棒で自分のCADを弾き飛ばされたことを悟った森崎は、顔を真っ赤にしてしんのすけを怒鳴りつけた。
「知らないの、森末くん? CADを人に向けちゃいけないんだゾ」
「僕の名前は森崎だ! いい加減に憶えろ! ――もういい、我慢の限界だ!」
森崎はそう言うと目の前にいるエリカから完全に視線を逸らし、しんのすけへと向き直った。
「今日1日中、おまえの行動はあまりにも目に余る! 授業の見学のときも散々フラフラして司波さんや僕らを振り回したり、今もこうしてウィードの肩を持ったり! おまえには第一高校の一科生として入学したという自覚があるのかっ!」
「一科生とか二科生とか、そんなのどうでもいいじゃない。変な森久保くん」
「僕は森崎だ! おまえ、もうわざとだろ! ――それに“どうでもいい”とはどういうことだ! 第一高校の一科生というのは、優秀な魔法師になる素質を秘めていると認められた存在だ! いわば僕達は、国家の期待を背負っていると言っても過言ではない! そこにいる落ちこぼれとは次元が違うんだよ!」
「森田くん、さっきエリカちゃんにやられてたじゃん」
「それはおまえが邪魔したからだろう! それに僕は森崎だ!」
苛立ちを紛らわせるように頭をガシガシと掻いた森崎は、先程エリカに飛ばされて地面に落ちたCADを、怒りを表すように大股で歩いて取りに行った。
そしてそれを拾い上げると、その銃口を今度はしんのすけへと向けた。
そのときの表情は、一周回って冷静なものに見えた。
「二科生への教育は後回しだ。今はおまえの、そのふざけた言動を改めることから始めよう」
「――――!」
森崎の言葉に、司波兄妹を始めしんのすけに味方する者達に緊張感が走った。先程彼のCADを弾き飛ばしたエリカも再び警棒を構え、他の者達もいつでも動けるように身構える。
しかし銃口を向けられている当の本人であるしんのすけだけは、気の抜けた表情のまま慌てる様子が無い。
「どうした、野原? 今更怖じ気づいて声も出ないか? 今この場で謝るんだったら、今までの言動は許してやっても良いぞ」
「ねぇ森崎くん、後ろに真由美ちゃんがいるゾ」
「はっ! さっき上手くいったからって、同じ手が二度も通用するはずが――」
「1年A組、森崎駿くんね」
自分のすぐ背後から聞こえてきた、思わず体を強張らせずにはいられない威圧的な声に、森崎はまるで油の差してないブリキのおもちゃのような不自然にゆっくりとした動きで振り返った。
そこにいたのは、ウェーブの掛かった長い黒髪を少々大きなリボンで纏めた小柄な少女だった。彼女は対外的にも有名人であり顔が売れているので、彼女が現生徒会長の七草真由美であることはすぐに分かった。
そしてそんな彼女に付き従うように立つ女子生徒についても、森崎はよく見知っていた。ショートボブの黒髪にスレンダーな体型をした、まさに“男装の麗人”といった表現がよく似合う女子生徒・渡辺摩利の右腕には、太陽の光に照らされた“風紀委員”の腕章が燦然と輝いている。
遠巻きに騒動を眺めていた野次馬の1人が、「やべぇなあの1年、風紀委員長に目つけられたぞ」と呟いた。
「風紀委員長の渡辺摩利だ。森崎駿、自衛目的以外での魔法による攻撃は、校則以前に犯罪行為だということは分かっているのか?」
「え、えっと……」
「森崎駿、本部に来い。詳しく話を聞かせてもらおうか。場合によっては懲罰委員会への出頭も覚悟しておけ」
「そ、そんな……」
森崎はそれを聞いて絶望を顕わにして、その場に膝から崩れ落ちた。ある意味被害者である達也たち二科生や彼らの味方である深雪達はそれに対して、むしろ当然の措置だろうな、と同情的な意見を持つものは1人もいなかった。
しかしそんな中、それを見ていた1人の生徒が彼女の前に躍り出た。
「まぁまぁ、そんな怖い顔しないで。若者の失敗は温かい目で見守るということで、森崎くんを許してあげてほしいゾ」
その生徒――しんのすけの言葉に、達也たちは驚きの表情で彼を見遣った。森崎を連行しようとしていた摩利も、怪訝とも不審とも取れる表情を彼へと向ける。
「どういうことだ? 君はこいつにCADを向けられたんだろう? 1歩間違えれば大怪我を負っていたかもしれない。そんな目に遭わされたというのに、君はこいつに恐怖も怒りも感じていないというのか?」
「別にオラ達が怪我したわけじゃないし、若いときについカッとなって失敗しちゃうなんてよくあることだゾ。ここはオラの顔に免じて、森崎くんを許してあげてよ」
摩利はチラリと森崎へ視線を向けた。彼は地面に崩れ落ちた姿勢のまま、信じられないといった表情でしんのすけを見つめている。
「……たとえ君がこいつを許したとしても、こちらとしては『はいそうですか』と無罪放免というわけにはいかない。学校も組織の1つだ、重大な規則違反に対して何らかのペナルティを与えなければ、組織の規律を守ることはできない」
「んもう、摩利ちゃんは真面目さんですなぁ」
「ま、摩利ちゃん?」
年下からの思わぬ“ちゃん付け”に摩利が戸惑いの声をあげ、真由美は思わずプッと吹き出してしまった。
「大丈夫だって。森崎くんだって反省しているんだし、もう人に向かって魔法を使ったりしないって。――そうでしょ、森崎くん?」
「――あ、ああ、もちろんだ。さっきは僕も頭に血が上っていた。さすがにやり過ぎたと、今は反省しているよ」
しんのすけからの助け船に、森崎は何度も小刻みに首を縦に振って応えた。それを横で見ていた摩利の目には未だに疑惑の色が残っているが、真由美へと視線を移したときに彼女がニッコリと笑って頷いたのを見て、小さく溜息を吐いて森崎へと視線を戻した。
「分かった、今回は不問に処すことにしよう。――しかし、二度目は無いことを憶えておけ」
「は、はい! ありがとうございます!」
摩利の言葉に、森崎は急いで立ち上がって深々と頭を下げた。そしてしんのすけへと視線を向けて何やらモゴモゴと口を動かすも、何も言うことなくすごすごとその場を立ち去っていった。すっかり居心地が悪くなってしまった一科生の面々(深雪・ほのか・雫は除く)も、彼の後へと続いていく。
そうしてしんのすけと達也たちを除いて残ったのは、真由美と摩利の2人だけとなった。
「また会ったわね、しんちゃん。入学早々こんな騒動に巻き込まれるなんて、しんちゃんもツイてないわね」
「よっ、真由美ちゃん。ホントもう、やんなっちゃうわよね~」
体をくねらせて女口調で話すしんのすけに、真由美は口元に手を当てて優雅な笑みを浮かべた。
そんな彼に、達也たちは大なり小なり驚きの表情を浮かべていた。上級生、しかも十師族“七草家”の令嬢に対してあんなに馴れ馴れしく接するなんて、魔法師で構成されたコミュニティに属する彼らにはできないことである。もっとも第一高校に入学した以上、しんのすけもそのコミュニティに属するはずなのだが。
「ところでしんちゃん、明日のお昼って空いてるかしら?」
「明日のお昼? なんで?」
「せっかくこうして二度も顔を合わせたんだし、新入生との親睦を深めるのも良いかと思って。生徒会室にも
「うーん、オラにも色々と予定がありますからなぁ……」
「そう、残念ね。せっかくチョコビを用意しようかと思ったのだけれど」
「チョコビっ! 時間空いてるから大丈夫だゾ、真由美ちゃん!」
何とも現金なしんのすけの態度だが、真由美は気分を害するどころか実に嬉しそうに笑って「それなら良かったわ」と言った。
そして真由美は、そのまま達也たちの方へと向き直り、
「他の皆さんも、一緒にどうかしら? 特に深雪さんとは、生徒会について一度ゆっくりと説明したかったことだし。生徒会室だったら、一緒に食事をしても何も言われないわよ」
「えっと――」
「せっかくですが、アタシ達は遠慮させていただきます」
あくまで真由美の誘いは社交辞令的なものだったが、エリカがキッパリとそれを断った。遠慮というよりは拒絶とも受け取れるその態度に、レオ達は意外そうな表情を浮かべ、摩利はどこか気まずそうに視線を逸らし、真由美は特に顔色を変えずに「そうですか」と言った。
「それでは、達也くんはどうかしら?」
「……自分、ですか?」
先程のエリカが言った“アタシ達”の中にはてっきり自分も含まれていると思っていた達也は、完全に不意を突かれた形となった。
とはいえ、すぐさま気を取り直した達也は、少しだけ考える素振りを見せてすぐに答えた。
「分かりました。お言葉に甘えて、お邪魔させていただきます」
「ありがとう。それじゃみんな、また明日ね」
真由美はにこやかな笑顔でそう言い残して、軽やかな足取りでその場を立ち去っていった。摩利も一瞬だけしんのすけへと視線を向け、彼女の後をついていくようにその場を離れていく。
そして2人の姿がかなり遠くなった頃、気まずそうな表情を浮かべるエリカが達也へと近づいてきた。
「……あーっと、ごめんね達也くん。アタシが変な断り方したせいで、断れなかったんでしょ?」
「大丈夫だ、どの道誘いに乗るつもりではあったからな」
達也のその言葉に、自分を気遣ってそう言ったのだと受け取ったエリカは「ん、ありがと」とホッとしたような笑顔を浮かべた。
しかし達也は別に彼女を気遣ったのではなく、本当に彼女の誘いに乗るつもりだった。
だがそれは『美人の先輩に食事に誘われたから』などという理由ではない。
――会長がしんのすけを誘うときに餌にした“チョコビ”っていうのは、おそらく菓子か何かだろう。問題はその菓子がしんのすけの好物だということを、どうして会長が知っていたのかということだが……。
あの人当たりの良い笑顔の裏で何を考えているのか、達也にはそれを確かめる必要があった。
場合によっては彼女と対立することも視野に入れなければいけない、と達也は考え、人知れず大きな溜息を吐いた。
「みんな、これがチョコビだゾ」
「ほう、随分と色んな種類があるんだな」
「何々? 普通のチョコビにロイヤルチョコビ、デラックスチョコビにエコノミーチョコビ、それにジャンボチョコビ……って、このロイヤルプレジデントチョコビってヤツ凄くたけぇな!」
「しんちゃん、レオがそのロイヤルプレジデントチョコビ奢ってくれるって」
「おぉっ! レオくん、太ももー!」
「それを言うなら太っ腹……って、エリカ! 勝手なこと言うな!」