「……ん…」
「あ、起きた」
ぼやける視界の中みさきの顔が見える。
あれ…俺何してたんだっけ。
自分が今どう言う状態なのかグワングワンと響くように痛い頭で整理を始める
確か…倉科さんが佐藤さんと勝負して大技決めて、俺も勝負する事になったんだよな、佐藤を抜いてブイを狙ったとこまで覚えてる…その後は分からん、慣れない運動で酸欠でも起こしたか…
「ハチ〜大丈夫?」
考えてる中そんな間延びされた声により思考は中断される。
「あ、ああ」
そう言えばなんでずっとみさきが俺を見下ろしてると言うアングルなのだろうか、それに地面に寝てるにしては顔が近いし枕がある、枕!?
「!」
俺はバッと起き上がり自分が寝てた場所を見る。
「何?」
「いや…なんでも」
俺…膝枕されてたの…。
そうか!だからみさきの顔の顎らへんが見えなかったのか!何で見えなかったかなんて言わないけどな。
意外にでかいのな…
「な〜んかやらしい」
「な!何言ってんだ!…痛ぅ」
「や!バカ!まだ起きるな!もう昌也ー!」
鋭く俺の考えを読み取ったみさきに男の本能で言い訳をしようとすると、急に起き上がったダメージもあるのか頭、背中、ふくらはぎに痛みが走る。
みさきが読んですぐに昌也が来て俺はそのままおんぶされる。
「何?どうした?」
「お前今脳震盪と結構な打撲してるから、歩けもしないんだよ。歩けると思って起きるの待ってたけど。やっぱ歩けなかったか。」
俺…本当に何があったんだろう
「なぁ、俺何があったの?ブイを狙った辺りから記憶が抜けてるんだけど?」
その質問にはあ…とこの場にいるほぼ全員が溜め息をつく、1人はふぇ?と何が何だか?と言う顔をしている。まぁ倉科さんだ
「八幡。説明するとだな」
要はこう言う事だった。
本来最低限の機能しか付いていない学校用のグラシュで無理やりメンブレンのショートカット、つまりソニックブーストを2回もやったせいで俺のグラシュがオーバーヒートし停止したとのこと。
それでもいくら学校用のグラシュとは言えこんな風に壊れる事は少ない。つまり俺の運が悪かったのと見様見真似のソニックブーストが下手で負担をかけたのかのどちらかなのだろう。多分どちらもだろうけど。
「で高さ15m近くから背面着水ってか」
「そうだ」
どうりで背中とふくらはぎが痛いわけだ。それでもその程度の怪我で済んだのはラッキーか、あの高さだとコンクリートに打ち付けた位の衝撃なわけだし、脊椎とかやんないでしっかり五体満足なだけ儲けもんか…
はぁ、それにしてもかっこ悪いな。
「それにしても八幡、お前ソニックブーストなんて使えたんだな」
「あれ、マジでまぐれだから。何となくとウィキペディアに書いてあったコツでやっただけ。」
「逆にその知識でのまぐれの方が怖いよ」
あれ?
ま、あの時だけ神様が味方してくれたんだけどな、数秒後に裏切られたけど…上げて落とす辺りやっぱ神様は性格が悪い。
その後はそのまま昌也におぶられた状態で家に送ってもらった。
「ハチ?ご飯食べれる?」
「悪い…気持ち悪い」
「そか。小町ちゃん行こ」
「はい!じゃあ小町は言ってくるね」
「おう…」
まったく治りません。体は痛いし頭はグワングワンするし。なんか吐き気もしてきたし。
このままじゃ風呂も入れないし、何より登校用のグラシュ壊したんだよな。
どうしよう…
その時八幡の沈む気持ちを全部無視した様な明るい音が家に響く。と言ってもチャイムだ
「ああ?」
時間は8時。こんな時間にしかも離れの方にとは、誰だろうとゾンビもビビる様な這いずりで玄関に向かう。
って誰かゾンビを超えるゾンビだよ…
もういろいろ頭がおかしくなってるみたいだ。
「はい…」
「うお!何だ八幡か…」
「何だと思ったんだよ」
「……………」
ゾンビだなゾンビだと思ったんだろ。どうしようまた転校しようかな。
「で何の用だ?こんな時間に?」
「ほらこれ」
そう言い突き出されたのは学校用のグラシュ。
「何?」
「いやお前のグラシュ壊れただろ?だから修理するまで貸しといてやるよ。無いと困るだろ?」
「さ、さんきゅーな」
困る困らないと言われたら別にどちらでも無いんだよな。千葉だと飛ぶ事無かったし。
そこは地域ごとの価値観なのだろう。まぁグラシュがあれば楽なのに変わりないからな。助かる。
これも小さい頃の俺のコミュ力に感謝。昌也はいいやつ。以上!
「体とか拭いてやろうか?」
いや小町でいいです。足ゃタオル踏んで俺の背中ゴリゴリするだけだけど。本当最近お兄ちゃんの扱いが雑すぎて泣けちゃう。
流石にこのまま寝たくも無いので背に腹は代えられない思いで昌也に手伝われながら着替えると。
「まぁ八幡。女の子の下着って見ちゃったらどうすれば良い?」
「相手が気づいてないなら黙って脳内保存。バレてたら土下座して脳内保存。てかなんでそんな質問を?」
「ちょっとな…」
何をやらかしたのだろうか。何となく予想はつくが。まぁ下着を見てしまいなんか気まずい雰囲気が流れたのだろう。
「隣に引っ越して来た女の子が着替え中だったんだけどその俺の部屋と彼女の部屋カーテン開いててさ…」
ほう、要はラッキースケベって奴だな。死ねばいいのに…
「土下座で謝れ。世の中性的な意味だと男の勝算はほぼ0だ。あっちから接触してきたとしてもあちらがやってないと豪語すれば男の話なんて取りあってもらえない。ソースは俺」
廊下を歩いていて騒いでいた女子の間を通り抜けようと躱すと相手の女の子がちょっと体を揺らし俺に当たってしまった。それが原因で尾ひれが4枚も5枚もついた話が出回った。"わざとヒキガエルが女子に当たって痴漢をしようとした"となって話は広がり未遂では無く失敗と言う形になった俺は放課後謝罪させられた。
その時に取ったスキルが土下座だ。今やカンストしている。
俺の人生って何だろう…目から汗が…
「八幡!?更に目が腐ってるぞ」
「DHA豊富そうでいいじゃねえか」
「戻って来い!」
その後昌也は帰った。何とかして下着を見てしまった子に謝罪するらしい。
「腹減った…けど食欲無い…」
なんと矛盾したことだろう。そして俺はそのまま空腹のまま夢の世界へ逃亡した。現時刻9時30分、健康そのものだな睡眠大事!
「はぁ…明日治ってなかったら病院行こ…」
独り言がこの部屋の暗闇に吸い込まれていった。
なんで俺は飛んだのだろう…
次回辺りから青柳まどかちゃんとかしっかり出そうかと思ってます