最近風邪をひきまして、とても暇なので小説の続きを書いていたら2話が完成いたしました。まぁ、風邪といっても微熱がなかなか下がらないだけなのですが。
というわけで、暇をもて余した暇人による暇人のための作品ですが、気に入っていただけたら幸いです。
「───」
私は色褪せた風景の中を、一人とぼとぼと歩いていた。
とても心地の良いとは言えない、暗い感情が胸の中を渦巻いているのがわかる。
何があったのかは分からない。いや、思い出したくないのだろう。
いなくなってしまいたい。消えてしまいたい。
そんなことを思っていると、一匹の猫が私を見上げていることに気づいた。野良とは思えないほどの綺麗な白い毛並み。そして、元気にゆらゆら揺れている長い尻尾。その姿を眺めていると、「ついてこい」と言わんばかりに私の前を、ゆっくり歩き始めた。
「───」
どれだけ時間がたっただろう。少し空が薄暗くなってきた頃、私は住宅地を歩いていた。子供の遊んでいる声はもう聞こえない。きっと、みんな帰って母親の料理を待っているのだろう。そんなことを考えていると、前を歩いている白猫が十字路を渡ろうとしていた。
「──!?」
私は横からトラックのエンジン音が近づいてくることに気がついた。ただ、なぜだか前を歩く白猫は気に止めず、同じペースでゆっくり歩いていた。
このままでは白猫がひかれてしまう。私はとっさに走り出し、白猫に手を伸ばした。
しかし、もう遅かった。
トラックはすぐ近くにいて、少なくとも私が逃げられることはないことが簡単にわかった。せめてこの子だけはと、手の届く距離にいた白猫を押しやった。
次の瞬間には、私はトラックに弾き飛ばされていた。派手に地面を転がり、赤く染まった視界の先には、無傷の白猫が座っていた。
「──良かった、無事でいてくれて」
声になっていたか分からないほど掠れた声で呟くと、視界が暗くなっていくのがわかった。
「……うーん」
目を覚ますと、小さな公園のベンチに座っていた。空は真っ暗で、古くなっている外灯がちかちかと点滅していた。大丈夫なのだろうか。
そして、
「……すー…むにゃ……」
私の膝の上には長い銀髪を惜しげもなくさらし、とても緩んだ表情で気持ち良さそうに寝ている少女がいた。一応この子、死神らしい。
口に含んでしまっている髪の毛を出して上げながら、さっき見た夢を思い出す。夢の中で、私は死んだ。きっとあれは私の記憶なのだろう。そう考えると、少しほっとしたところがあった。私が庇った白猫のことだ。庇ったとはいえ、無傷である保証は無かった。それでも、夢の中では、あの子は無事だったように見えた。それだけでも安心できる。
ほっとため息をついたところでこれからの事を考える。私は一部の記憶を無くしているが、その記憶を全て取り戻したらどうなるのだろうか。もしかすると、考えたくもないような悲惨なことが起きていたのかもしれない。正直、怖くてあまり考えたくはないが、いずれは思い出さなければならないだろう。そんなことを考えながら膝の上にのせられた頭を軽く撫でてあげる。嬉しそうに口を緩ませるマイを眺めて、再び襲ってきた眠気に体を委ねた。
「……ふぇ?」
顔の上を筆のようなものでなぞられるような、くすぐったい感覚で、ボクは目を覚ました。見ると、ボクの顔に夜空のように艶のある黒く長い髪が垂れ下がっていた。ボクがお迎えに来た幽霊さん、黒乃芽依ちゃんのものだ。どうやら今はまだ寝ているみたい。どうせなら、ということで少し芽依ちゃんを観察してみようと思い、ボクはそっと顔にかかる髪を手に取ってみた。
「よーく見ると、すごくキレイな髪だなぁ。それに──」
ボクが少し見上げると、そこには芽依ちゃんの顔があった。
「──顔もちっちゃくて、かわいい!お人形みたいっ」
なぜか少しテンションが上がりながら、それでも起こさないように、なるべく小さく口に出す。そこで、ふと疑問が湧いた。芽依ちゃんはなぜ幽霊になったのだろう。生きているうちに未練が残っていなければ、幽霊にはならない。そして、芽依ちゃんは記憶を少しなくしてしまっている。
「うーん、芽依ちゃんの未練ってなんなんだろう?」
と考えてても分かるわけがない。だってボクは芽依ちゃんじゃないから。当たり前じゃないか。
それでも、どうしても、ボクは芽依ちゃんに聞かなければいけないことがある。それは──
「──ねぇ、どうしてあの時、ボクを庇ったの?」
memo:
・私が庇った白猫は無事だった
・夢を見ると、死ぬ前の記憶が思い出せる、かもしれない
・幽霊になっても眠れるようだ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
相変わらず文字数的には少なめなのですが、このくらいの量を適度なペースで書いていければいいなと思っています。ちなみに予定は未定です本当にありがとうござい(ry
というわけで、この二人がこの先どんなふうになっていくのか作者にもわかりませんが、次のお話を待っていただければと思います。
それでは、またお会いできる日まで。