現在風邪をひいてから一週間がたとうとしています。そろそろ病院へ行こうか迷っているところです。正直めんどくさい。
はい、ということで暇をもて余しまくった結果、小説を書くためにまとまった時間ができましたので、割と速いペースで更新できています。
さてさて、今回は幕間的なイメージで作ったものになります。お楽しみ頂ければ幸いです。
「……ぃ、おーい!朝だよーっ!起きてよー!」
「……もう少し、もう少しだけ……」
「さっきからずっとそればっか言ってるんだけどー?」
「………むぅ」
ずいぶんと騒がしい声に起こされる。もちろん、声の正体は、
「おっはよー芽依ちゃん、よく眠れた?」
にっという擬音が聞こえてきそうな笑顔を私に向けてくる死神、マイだ。
「…ん、おはよ、マイ」
そういう私は、きっと寝ぼけ眼の間抜けな顔をしているだろう。眠い。
残った眠気を吹き飛ばそうと、ベンチから腰をあげ、その勢いで背伸びをする。その際、ふと気づいたことがあった。
「あれ、体がどこも痛くなってない?」
昨晩は小さな公園にあるベンチに腰かけて、そのまま寝てしまった。そんな姿勢で寝てしまったら、少なくとも体のどこかしらが痛くなるものだが。
「そりゃそうだろうね。だって幽霊って体無いもん」
思わぬところから答えが飛んできて少し驚いたが、少し考えれば納得できる。そもそも痛める体を私は持っていなかった。もしかすると、幽霊というのは意外と便利なのかもしれない。体を伸ばして深呼吸(呼吸をしていないから深呼吸のような何か)を何度か行い、頭がすっきりとすると、周りの風景に何か違和感を覚えた。
「……ねぇマイ、今って何時くらい?」
「だいたい8時を回った頃だよ」
そう言いながら指を指した先には時計があった。確かに針は8時過ぎを指している。
「でもさ、どうして人や車が全くいないの?」
8時過ぎといったら、通勤や通学のピークの時間帯だろう。それなのに車どころか人一人すら見当たらない。さすがに異常だとはすぐにわかった。
「えっとね、実はここって“死後の世界”ってやつなんだ」
「え?」
「だから、ここには生きている人間は一人もいないの。幽霊として残ってる人もほとんどいないんだから」
「…ほんとに?」
「ほんとに」
「……マジで?」
「マジで」
「………Really?」
「英語で何か言われたら『アイ キャント スピーク イングリッシュ』って言えば良いって習った!」
「…………おうふ」
誰だこの子にこんなこと教えた人は、とため息をつきつつ、周りをもう一度見回してみる。確かに現実よりも少し色褪せて見えるというか?
「まぁ、そういうことで。ここにはほんの少しの幽霊さんと、幽霊さんを探す死神しかいません!わかった?」
「…わかった」
人がいないだけでこんなに寂しい世界になってしまうのかと改めて実感した。
「ところで今日は何をするの?」
「……へ?」
私の記憶は一部がなくなっていて、そのなくなった記憶の中に私が幽霊になった原因の“未練”があるらしい。つまり、なんとかして記憶を取り戻さなければいけないのだが、
「…………」
顔を覗くと、目が泳いでいた。どうやら何も考えていなかったらしい。それなら、ということで私から一つ提案をしてみる。
「とりあえず、散歩しよっか」
「ほ?」
間の抜けたおかしな声が返ってきた。そんなマイを見て少し笑ってしまう。
「だから、散歩。マイのことも知りたいから、お話しながら歩いてみない?もしかしたら何か思い出すかもしれないし」
「なるほど、いいねっ!」
子供みたいな笑顔をするマイを見て、内心ほっとしていると
「じゃあさっそく、しゅっぱ~つ!」
「…ちょ、置いてかないで!」
やっぱり子供みたいに、一人で先に走り出す背中を私は追いかけるのだった。
「……えっ、うわわわっ!」
盛大にマイがつまずいて転んだ。なんだかこの先不安だなぁ……。
memo:
・幽霊には体がない、そのため痛みや空腹、喉の渇きは一切ない
・今芽依たちがいる場所は“死後の世界”である
・マイ キャント スピーク イングリッシュ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は、この世界観をより深く理解してもらうために作ったのですが、いかがだったでしょうか。
『おいおい、体がないならどうやって見たり聞いたりしてるんだ』という疑問を抱く方もいらっしゃると思いますが、一言で言うとすれば、仕様です。いやぁ便利な言葉だすみませんごめんなさい使ってみたかっただけなんです。
そんなよく考えられていない世界観のお話ですが、気に入っていただけたら嬉しいです。
それでは次回、またお会いしましょう。