ハリー・ポッターと神殺しの魔王   作:モルト

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第2話 オリバンダー

そこには一人の老人が机に向かっており、机上には杖や布などが散らばっていた。どうやら杖のメンテナンスをしていたらしい。

 

「杖狂いは相変わらずだな、オリバンダー。」

 

「数十年間放浪している貴方には負けますよ。今回はどのように?」

 

「ああ、ホグワーツに再入学することになった。」

 

そう答えると老人は目を見開いたかと思えば優しい目をしだし、

 

「なんと…………まさか卒業していなかったとは。」

 

「いや、違うからな!?これと言うのも全て他の魔王と神がだな…。」

 

「ああ…。(察し)」

 

「その憐れむような目をやめろ!?」

 

「まあ、立ち話もなんです。お茶でも飲みましょう。」

 

そういって机の上にあった杖を片付け、杖を一振りするとティーセットと茶菓子が現れた。

 

 

***

 

「そういえば、昨日はハリー・ポッターさんが来られたよ。」

 

紅茶を飲み、一息つくとオリバンダーはこう切り出して来た。

 

「ああ、アルバスに聞いた。今年入学らしいな。」

 

「ええ。この10年間、彼は良く話題に上がっていました。」

 

ほらと手渡して来た雑誌はこう書かれている。

 

「『生き残った男の子』ねぇ。」

 

気の毒だなとも思う。覚えてもいない赤ん坊の頃のことで英雄視され、自分はその世界とは切り離される。

流し読みをしていると、雑誌に書いてある記事を読んでふと思った。

 

「………なあ、アバダってそんな強かったっけ?」

 

「カンピオーネの基準で物を言わないで下さい。」

 

あ、しまった。

 

 

「貴方やっぱり感覚が狂ってますよ。入学する前に常識を学んどいた方が良いです。」

 

一体何を言っているんだ、この老人は。

 

「失敬だな。これでも俺は常識的だ。」

 

俺は無闇に人に喧嘩を売ったり、神に喧嘩を売ったり、国に喧嘩を売ったりなんかしないぞ!

 

「魔王の基準ですよね、それ。大体貴方と言う人は人を振り回しすぎる。」

 

「お前も杖の希少材料を目の当たりにした時は奇声あげたり狂ってただろうが。」

 

極東のご神木を材料にしようとしてジャパニーズプリーストに追いかけ回されたのを忘れたとは言わせないぞ。

 

「そうでもしないとやってられなかったのですよ!というか何十年も前の事を掘り返さないで貰いたい!」

 

「杖職人がそれを言うか!?それに先に言ったのそっちだからな!?」

 

いや貴方が!いやお前が!と互いを罵り合いをしていたが声が掠れてきたのかゼェゼェという音が店の中で響く。

 

「……それで、俺の杖は?」

 

「ちゃんと手入れもしてありますよ。20年分代金は頂きますからね。」

 

そう言うとオリバンダーは高いですよとでも言いたげな目を向けて来た。おいおい、金の心配なら全く問題ないぞ。なんせ、

 

「安心しろ。アルバスに請求してくれれば問題ない。」

 

俺は別に払わないのだから。

 

「あとで大目玉くらってもしりませんよ。」

 

「俺の加護だぜ?これくらい誤差だ、誤差。」

 

「やっぱり魔王ですよ、貴方。」

 

やれやれと言いながら彼は店の奥に消えていった………と、思えば大きめの布に覆われたものを腕に抱えて直ぐに戻ってきた。どうやら頻繁に手入れをしていたのは本当らしい。机にそれを置くとフーと息を吐き、こう言った。

 

「お望みの品です。サンストーンとヒイロノカネのアゾット剣。他には誰にも扱えない。こんな杖をよくもまあ作らせたものです。」

 

そう言って彼は覆われていた布を取っ払った。緋色だ。久しぶりに見たその刀身は一片の曇り無く、その輝きを放っていた。一眼見ただけで分かる。彼が自分の出来る最高の仕事をしてくれていた事が。

 

「なんだよ、お前もノリノリでやってんじゃないか。

 

「私もその杖には愛着があるのでね。」

 

さよかと言い手に持ってみる。懐かしい重さだ。と感傷に浸っていると杖は再会を喜んぶように輝きを放ったでは無いか。その暖かく、輝々とした光はまるで太陽の如く。待っていたと、遅いぞと言わんばかりにその輝きはますます増していき、

 

「………なあ、これ眩しすぎないか?」

 

「完全に怒ってますね。ほら、何十年も放っておくから。」

 

「え!?俺自分の杖に説教されるの!?」

 

「本来杖が人を選ぶのを貴方が自分に合わせて一から作らせるからでしょうが。」

 

「いや……オーダーメイドってカッコイイじゃん?」

 

「兎に角営業の邪魔なのでそろそろ出て行って貰えますか?」

 

と自分の仕事は終わったと言わんばかりに片付けをし始めた。いやいや、ちょっと待て!

 

「えっ!?こいつ光らせたままで!?」

 

「知りません。嫌ならば自分で宥めて下さい。」

 

「え、ちょっと、オリバンダー!?ちょっ、えー!?」

 

「またのご来店をお待ちしております。」

 

オリバンダーが杖を一振りすると俺は荷物も纏めて体が店の前で放り出された。無言呪文か。どうやら腕は衰えていないらしい。ってそうじゃなく!

 

「おのれ、オリバンダー!このお礼はいつかするからな!あ、あとこれ土産な!」

 

そう言い放って俺は店を後にした。

 

 

***

 

「全くあの方と喋っていると口調が若い頃に戻ってしまう。」

 

それでもこの再会を喜んでしまっているのはあの方の魅力というべきか…。

 

「それに喜んでいたのは私だけでは無かったようですしね。」

 

あの輝き、確かに怒っていたがどちらかというと腐れ縁に対するものに近いだろう。なんだかんだであの杖も喜んでいたのだ。

 

「作り手に似たのでしょうか?」

 

まあ、それは良い。少なくとも7年はまた顔を合わせる時もあるだろう。

 

「そういえば、お土産と言っていましたね。一体何を持って来たのやら。」

 

そう思い、呼び寄せ呪文でこっちに呼んでみる。杖が一本入りそうなくらいの大きさの箱だった。やはり魔法界では見かけないマグル製のものでしょうか?彼はかなりの頻度でマグル界にも関わっておりますから。

 

「………………………は?」

 

箱を開けると入っていたのは枝だ。普通の人が見たら蹴り飛ばすようなそんな枝だった。だが、しかし。わかってしまった。嘘であってくれと願っても杖職人としての知識と経験がそれを許さない。

 

「世界樹の枝持ってくるとか北欧で何したんですか、グレンーーー!?」

 

どうやら彼は胃痛のタネも持って来たらしい。

 

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