ONE PIECE作品を見てたら思いついた作品です。
後悔は無い!
それでは、どうぞ………
~海軍本部マリンフォード~
一人の老人が人気の無い部屋で鼾をかいて爆睡していた。
彼の名前はモンキー・D・ガープ。
“海軍の英雄”と呼ばれる男で、殆どの海軍兵士から憧れと尊敬されている。
しかし、そんなにも関わらず本人は職務をサボりまくって、今もこうしている。
仕事をしないと言うことは、その分誰かが困ると言うことで、当然彼を探しに来る者が現れる。
そして、彼の部屋を勢い良く開けた者こそが彼を探しに来た者だ。
「あ、こんな所にいた」
「む!蜘蛛娘か!」
「センゴクさんからの呼び出しです。周りに罠張ってるので逃げようとしても無駄ですよ」
「謀ったな!」
「自業自得です。さあ、観念して下さい」
彼女の名前は、クモ。
黒い長髪でその美貌はどこか幼さが残っている。
紅い瞳で身長は160程だ。
彼女は(見た目は)年若く、彼と同じく海軍中将であり、大将候補の一人である。
そして、対ガープ最終兵器でもある。
今日も仕事をサボっていたガープを捕らえるよう海軍元帥であるセンゴクから頼まれ、ガープを捕まえようとしていた。
彼女の拘束力は並じゃ無く、ガープですら抜け出すのは容易ではない。
なので、ガープは彼女が来た事で焦っているのである。
「今度飯奢ったるから、見逃してくれんかの……?」
「だったら仕事をして下さい。あなたがいないと仕事が回らないんですよ。では、“
「うぉ!しまった!」
“海軍の英雄”のお誘いを爽やかな笑顔で断るのは恐らく彼女ぐらいだろう。
殆どの少将以下なら喜んで彼の誘いに乗ってるため、彼女程ガープを捕らえるのに適任はいないのである。
その後、ガープは
◇◆◇◆◇
「いつもすまんな、あの馬鹿の面倒を見て貰って」
「いえ、センゴクさん達にはお世話になってるのでこれぐらいは当然です」
え?
俺は女じゃないのかって?
そこは、お約束の異世界TS転生と言う奴だ。
俺の前世はしがないサラリーマンだったが、外回り中に運悪く車同士の衝突事故に巻き込まれて死んだらしい。
らしいって言うのは、俺にその時の記憶が無いからだ。
俺は気が付いたら白い空間にいて、そこいた自称神の爺から凄い勢いで土下座を繰り返していた。
それはもう………ロック系のバンドのボーカルが頭を振るとき以上の勢いで。
それで何とか爺を宥めてから事情を聞くと、いつも秩序を見守ってる爺が暇潰しにとマリカをしていたら感情が高ぶってしまい、その影響が現世に出て車の衝突事故が起きてしまったらしい。
そのせいで俺が死んでしまい、この世界での蘇生以外なら何でもすると必死に懇願してきた。
何故その世界での蘇生がダメなのか。
こういう小説を読みまくっている諸君ならば分かるだろう。
え?
メタいって?
知らん知らん。
そこで俺は、異世界転生するならとONE PIECEの世界に転生させてくれと頼んだ。
すると、爺は後ろから後光が漏れて可視化するぐらい喜んで、特典は何にするかと聞かれた。
俺は悩んだ挙げ句、最後に読んでいた『蜘蛛ですが、なにか?』に出て来た魔王アリエルに憧れて“クモクモの実”もしくは“ムシムシの実(モデル:蜘蛛)”にしてくれと頼んだ。
爺はこれを快く受け入れてくれた。
俺は感謝し、ついでに武装色と見聞色を覚えやすくしてくれと頼んだ。
爺は当然だと言わんばかりにこれも受け入れてくれて、あちらの世界の簡単な説明と能力の詳細、覇気の効率の良い鍛え方・扱い方を説明してくれた。
これでも記憶力には定評のあるので必死に覚えようとしたが、魂に覚えさせておくので無意識的に分かるだろうとのこと。
そして、俺が前世の記憶を取り戻すのは五歳になってからとのことで、そこから少しだけ爺と他愛のない会話をして俺は転生した。
そこから、色々あってーーーあの爺許さねえ事件も起きたがーーーセンゴクさん達に拾って貰い、俺は海軍にいる。
最初は海賊もいいかなと思ったが、なるべく原作ブレイクはしたくないのと海軍から追われるのは嫌だと言うことでこの位置に着く事にした。
センゴクさんに拾って貰ったのは7歳の時で、今の俺の年齢は37。
……見た目は十代後半なのに、年齢だけが過ぎていくのは何故だろうか…?
それからあっという間に年が経ち、どういう訳か強くなりすぎて中将という化け物クラスの実力を持つ奴らしか就けないような地位に俺はいた。
自分でもこんな小娘をそんな所に置いといて良いのかとセンゴクさんに聞いてみたことがあったが
「問題無いだろう。私が認めたんだ。なら、他の奴らは文句は言えないはずだ」
とのこと。
元帥に認められたと思って良いのかな?
けど、素直に喜んで良いかは分からなかった。
そう言えば、俺の名前について何も言ってなかったな。
俺の名前はクモ。
そう、エニエスロビー編のバスターコールで出て来たあの人の女性版です。
厳つい顔でかなり長い髪を分裂させて手のように操り、それで本来の手を合わせて武器を8本も持ってるあの人の成り代わりです。
まさか………クモクモの実疑惑がある人に転生するとは思ってなかったよ。
しかも、女て……。
俺が何故分かるかって?
それはね、バスターコールにて出て来るオニグモ以外の中将四人は確認できたのにオニグモだけがいないんだよ。
全兵士一覧を一週間掛けて読み漁ったがその名前がいなかったのだ。
どういう事だ爺?
オニグモって確かモモンガとたいして見た目の年齢差無かったよな?
転生の特典で不老でも付いたのだろうか…?
やっべぇ~。
既に原作ブレイクしてる気がしてきた。
あ、もうしてる?
まじかー。
そういや、私の部下は原作に出て来る奴もいればいなかった奴もいたな………。
いや、この話はまた今度にしよう。
どうせこの後少なからず会うんだし。
俺はセンゴクさんから礼を言われた後、少し雑談してからセンゴクさんの執務室から出た。
そこから向かうのは自分の執務室だ。
確か軍費の予算案について増加申請があったな。
まったく勘弁して欲しいよ。
こちとら“王下七武海”の奴らが暴れるせいでそもそもの予算が削れてんだよ。
本当、巫山戯てるわ~………。
◇◆◇◆◇
彼女ーーークモの生まれは特殊だった。
彼女は一人っ子だが7歳まで優しい両親と近所の人々と一緒に平和に暮らしていた。
しかし、その平和は人の欲望に感嘆に壊されてしまった。
何でも欲深い商人が彼女を奴隷にしようと傭兵を雇い入れ、彼女が住んでた村を襲わせたらしい。
その理由は彼女が悪魔の実の能力者だったからだ。
彼女の主な能力は、糸と蜘蛛の眷属化、アラクネ形態への変身。
この中で最も厄介なのが、蜘蛛の眷属化。
これは野生の蜘蛛の意志問わずに己の眷属にしてその蜘蛛が得た情報を共有できるらしい。
そのせいで助かったこともあるが、逆に知りすぎてしまったこともある。
まだ、
その時はその時で何としてでも海軍に縛り付けなくてはならない。
まあ、彼女が海軍に不利益なことはしないとは思うが………。
閑話休題。
彼女は幼いときにそれを偶然食べたらしく、その能力を有効に使って村に多大な貢献をしていた。
しかし、それが村を襲わせる原因になってしまい、結果は村は壊滅。
残ったのは彼女一人。
そこを担当していた海兵の話ではその場には少女の上半身と黒い蜘蛛の下半身を持つ化け物が、足元に血の池を作りその場に佇んでいたらしい。
その場の海兵はそいつを捕縛・無理なら殺害しようとし、行動に移った。
しかし、並の海兵では瞬殺され、そこの指揮官であった大佐もものの数秒でやられたという。
偶然その場にいた中将二人がかりで取り押さえようとしたが、それでも力及ばず撤退という結果になった。
その時に私は初めてその少女の存在を知り、恐怖を覚えた。
何故ならその内の一人の中将は
私は危機感を感じ、当時同じ大将であったゼファーと一緒にその島へ向かうことにした。
ガープは天竜人の護衛任務があって、連れてくることが出来なかった。
そして、私たちはその島へ着き、部下を置いてゼファーと二人だけで言われた場所に向かった。
そこで私たちが見たのは正真正銘の化け物だった。
上半身は少女、目は虚ろで焦点が何処か合ってなかったが、下半身は巨大な黒い蜘蛛で赤い八つの複眼に鎌のような前足、口の横に鋭い牙を携えていた。
そいつは私達を見つけると真っ先に襲い掛かってきた。
そこから丸一日にも及ぶ激闘の始まりだった。
結果で言えばこちらの辛勝だった。
本来なら部下も連れてくるべきだったのだろうが、私は危険と判断して私とゼファーとの二人だけでここに来て良かったと初めて思った。
恐らく例え連れてきたとしても残っていたのは私とゼファーだけなのは目に見えていたからだ。
何故なら、その時の私とゼファーは体中至る所を骨折しており、血だらけになっていたからだ。
止めはゼファーの黒腕による全身全霊の一撃“インパクトバスター”によって刺され、化け物はそこで意識を失ったのか横に倒れた。
すると、化け物の下半身が蒸発するように萎んでいき、元の幼女の下半身の姿へと元通りになった。
その時に見えた少女の顔はどこか泣いていた。
私たちにその姿は親を見失った迷子の子供のように見えた。
そこで、私とゼファーが真っ先に思い浮かんだのは彼女を放置でも処分でもなく、保護することだった。
本部に戻った際には、一刻も早く殺すべきだと意見が上がったが、大将二人の意見であっても納得できるものが少なかった。
しかし、ここで予想外の誰もが予想してなかった事態が起こった。
なんと、“五老星”が生かすべしと味方に付いたのである。
理由は、まだ子供でありながら強大な力を持っているなら今の内に調教して海軍に引き入れるべき、とのこと。
そんな理由で納得した者が多かったが、私にはなにか別の理由があるように見えた。
なんせ、普段の“五老星”なら処分すべしと判断してもおかしくなかったからだ。
しかし、その時はじたばたしており、今すぐには聞きに行けなかったが、最終的には彼女を保護する事に成功した。
最初は村を助けられなかった海軍を嫌っていたが、私達の説得によって一部の者だけの指示だけ聞くことで了承してくれた。
あの時の説得は本当に大変だった。
なんせ私たちが海軍だと分かるとすぐに能力を使用としたからな。
その時は優しく取り押さえて説得、その後に心を開かせるために海軍本部の中を見学させたり、多少の交流を深めさせるために人柄の良い人や人格者との会話を最優先とさせてきた。
その結果、今となって彼女が心を開いてくれたのはーーー私が知っている限りーーー私ことセンゴク、コングさん、ガープ、ゼファー、おつるさん、クザン、モモンガの7人だけで、彼女の部下でも片手で数えるほどにしか心は開いていなかったな。
しかし………クザンはまあ分かるとして、モモンガに懐くのは予想外だった。
あの男は非能力者だがバスターコールに呼ばれる程の実力者で、自分にも厳しく他者にも厳しいことで有名だ。
それなのに、彼女が彼と笑っている姿が目撃されることが多々ある。
過去に一度、モモンガにそういう趣味なのか聞いてしまったことがあるが、その瞬間だけは本気で斬られるのでは思ったほど否定された。
迂闊に聞いた私が悪いのだ。
これ以上彼の不評に繋がるようなことは避けよう。
閑話休題。
彼女が一番心を許してる者と言えば、基本行動を共にしてるおつるさんだ。
別部隊とは言え、彼女はどんなことよりもおつるさん優先にするからな。
そこだけは本当に困った。
けれど、ゼファーとおつるさんが本気で鍛えて、導いてくれたおかげで彼女は海軍にいてくれてるのだと私は思う。
彼女が海軍に多大な貢献をしてくれてるのは助かってはいる。
とは言っても、彼女は偶に問題を起こすが、
本当、あの子が海軍にいてくれて良かった…………!(切実)
あの子が海賊になったらと思うと…………ん?
そんな未来があったら………?
………ダメだ。
もしそんな事になってしまったら私がストレスで死んでしまう。
いや、私だけじゃ無いな…。
おつるさんは確定として、下手すればゼファーもやられてしまう。
ふぅ………。
まさか、ここで新しい問題が出て来るとは思わなかった。
何としてでも彼女を海軍にいてくれるようにしないと…。
しかし、やり過ぎるとバレてしまうからな。
さて、どうしたものか………。(切実)※本日三回目
そういえば………彼女はあるときから見た目が老けてないような気がするが……気のせいだろうか………?
◇◆◇◆◇
許さねえ……!
ミホークの野郎、海軍の軍艦ごと海賊船を斬りやがった!
なんで、あいつの悪行のせいで俺が苦労する羽目になるんだよ!
今度センゴクさんに頼んで一発殴らせて貰おうかな、マジで。
俺がそう心の中で愚痴っていると、部下の一人がそっと俺の机にそっとコーヒーの入ったマグカップを置いてきた。
俺はそいつの顔を見ながらお礼を言う。
「ありがとう、ライラ」
「気にしないでください。どうせ、七武海絡みの問題なんでしょう?」
彼女の名前はライラ。
彼女は私と同じ黒髪で、碧い瞳の美少女だ。
彼女は昔、闇オークションから抜け出した所を私が保護したのだ。
保護とは言っても、見た目がタイプだったから誘拐のほうがちk……ゲフンゲフン、俺が保護した、おけ?
彼女の部署が、センゴクさんが手を回してくれて私と同じ部に入れてくれたのは本当に感謝だ。
そんな彼女を拾ったのは五年前なのに、既に大佐にまで昇進してる。
それもそうか、彼女能力者だし。
彼女はムシムシの実モデル百足。
体の一部もしくは全体を百足に変化させる事が出来る。
しかし、私のようにその系統の虫を眷属化する事は出来ないようだが、代わりに意思疎通ができる。
私のは蜘蛛達が集めた情報が勝手に脳内に入ってくるからな、意思の疎通が必要ないのだ。
やろうと思ったことは無いが。
彼女が大佐にまで昇進した理由は、彼女が初めて捕らえた賞金首が億越えだったのが大きい理由だろう。
確か『小指切り』のザースという二億八千万の大男だったな。
何でも海賊・海軍挙げ句の果てに市民、自分に負けた者の小指を切り落としてはコレクションにするという真性のサイコパスだ。
彼はたまたま遠征の途中だったライラに目を付けて、戦闘を吹っ掛けたらしいが結果は返り討ち。
とは言っても、ライラの方も辛勝だったのだ。
百足の装甲のおかげで致命傷は避けられたものの、全身包帯だらけで最低限戦えるようになったのは一週間後になるほどだ。
能力者は自己治癒力が高いのか、非能力者と比べるとその回復力はかなり早い。
実際、彼女が完全復活したのは一ヶ月後だったしな。
それにしても、彼女の初めての戦闘にしてはぶっ飛んだもので、そこで政府の上層部に目を付けられたらしく、彼女の昇格速度がそこらの海兵よりも早いのだ。
俺の可愛い部下に色目使うとは……許せんな~。
そういや、ライラ以外にもウチの部下に色目使ってたな……。
乗り込む以外に今度、別の方法で報復しとくか…。
「おいおい、また悪い顔になってんぞ、姉御」
「ん?なんだ、帰ってきてたのか。ガスパーデ」
ガスパーデ。
劇場版ONE PIECEの中でも古い作品に出て来た男で、確か、その時はとある島を根城にオリキャラの少女とその家族にかなり酷いことをしていたな。
あの時は俺も「何て野郎だ……」とは思ったが、まだ原作が始まってないためにまだ海軍いたので様子見してたら、劇場版の時程人格は最低じゃなかったんだよ。
眷属の蜘蛛を数匹彼に張り付かせて一ヶ月もの間、彼を観察した結果、彼は出世欲が大きいだけなのだ。
しかし、彼の傲岸不遜な態度から周りから勘違いされやすく、密かに海賊と繋がってるのでは無いかと日々囁かれている。
センゴクさん達も多少は疑っていたために、その噂が本当かどうか、情報収集に関しては右に出る者がいない私を呼び出してまで問い質された………。
センゴクさん自身は俺のことを疑ってなかったらしいが、その周りの海軍のお偉いさん達が納得するまで私の報告は終わらなかった。
正直に言おう。
あの時は、本当に面倒くさかった。
主にサカズキ。
俺が会議室に入ってすぐに俺の正体に気付き突っかかってきたのだ。
単純にうるさかったのと
案の定、サカズキはキレだし、俺はゆえ………面白くなってきたので更に煽って、サカズキがとうとう実力行使で私を黙らそうとしてきたところで二人揃ってセンゴクさんに怒られた。
野郎、マジ許さねえ………。
閑話休題。
結果で言えば、ガスパーデは白ということになった。
大きかったのは、センゴクさん、ガープさん、おつるさん、クザンさんという会議室の中でも発言力が大きい人達が俺の言葉を疑ってなかったことだろう。
そのおかげで俺の報告を疑う者が減り始め、反対派はサカズキの一派のみとなり、俺の報告は無事終了した。
恐らく、その時が切っ掛けとなったのだろう。
サカズキが度々俺に突っかかってくるようになったのだ。
まあ、俺はその度にディスったり表で美辞麗句を並べるも、少し考えれば裏では皮肉ってることが分かる言葉をぶつけたがな。
最近となっては、あいつも俺のことをディスり初めてはいるが………フッフッフ、人を苛つかせる達人に勝とうとする姿は正にゆえ………微笑ましい。
ダメだ、超ウケるww。
「なんだとはひでえな。任務の帰りがてらにセンゴク元帥から呼び出しくらってよ」
「なにー?また厄介ごと?」
「いんや……と言いたい所だが、よく分からん」
「それはどういう事でしょうか?」
何だろうか?
ガスパーデが持ってくる大体は護衛か面倒事だ。
ちなみに面倒事とはサカズキの野郎が裏で手を回して俺をどうにかして失墜させようと並の海兵では死ぬような難しい依頼のことだ。
まあ、俺はそれを難なくクリアするために逆に信用が上がってくのだ。
サカズキザマァwww。
閑話休題。
そんなガスパーデがよく分からない依頼というのは今までに一度も無かったため、ライラも耐えきれず聞いてしまうほどに不思議なことなのだ。
ライラと俺が疑問符を頭に浮かべてると、ガスパーデがその内容を口にする。
「今回の依頼は『とある島の調査』だそうだ」
「は?」
「え?」
「気持ちは分かる。俺も最初はそうなった」
「センゴクさんからは?」
「伝書を預かってる。これだ」
「ありがと」
ガスパーデが懐から数回に折られた紙を取り出し、俺に渡してきた。
俺はライラと共に、その内容を見る。
『今回これを君に頼むのは筋違いなのは分かってる。
しかし、名のある海賊達がそこに行ったきり戻ってこないらしいのだ。
中には億越えもいるとの報告もあった。
そこで政府から海軍が調査に赴くように命令されて、調査隊とその護衛達でその島に向かうことになった。
だが、結果は音信不通。
護衛の中にはナザーレ中将等がいたにも関わらずだ。
彼らの生存はあまり期待しない方が良いだろう。
彼らには申し訳ないことをした。
結果を聞いた政府は再度調査申請をしてきており、現在その調査隊の編成が上手くいっていないのだ。
大将クラスを連れていけば信用があるのだが、大将を連れて行くには理由が小さいために政府から却下された。
そこで、大将にも引けを取らない実力を持つ君に白羽の矢が立った。
君だけでも問題ないだろうが、一応ガープも付けておくので安心して欲しい。
君たちが護衛と聞けば募る有志も多いだろう。
報酬も満足できるものを約束しよう。
本当に申し訳ないが、この依頼を引き受けてはくれないだろうか?
良い返事を期待してる。』
んー、これはセンゴクさんも結構焦ってるな。
いつものセンゴクさんの依頼ならガープさんを付けるなんて有り得ないからな。
…………何かあるのだろうか?
しかも政府の依頼か……。
なら間違いなくあるな。
いや、
まあ、いいや。
それは後で考えられる。
俺はライラに今ここにはいないが
そして、俺はセンゴクさんの元へ向かった。
時間はまだ夕方、この時間帯ならまだ執務室にいたはず。
今までの経験則からそう予想し、その予想は当たることになった。
「おぉ!クモか!それで、返事は…?」
センゴクさんは入って来た俺を見て開口一番に
「勿論受けますよ」
「それは助かる!本当にありがとう!」
「気にしないで下さい。それより、詳しい説明をお願いします」
「うむ、分かった。まず、日時に関し手だがーーーーーー」
◇◆◇◆◇
プルプルプル プルプルプル、プルプル…ガチャ
「もしもし、こちらライラ」
『ん?ライラか。珍しいな、そっちから掛けてくるなんて』
「ええ、あの人から頼まれたので」
『ほう、けど俺がいなくても充分なんじゃ?』
「それは、今回行くのは未知の島。政府や海軍も少なくない犠牲を出してるようなので、あなたにも来て欲しいのです。それに……好きなんでしょう?未知の島へ行くのは」
『マジかよ……。よし分かった。今マリンフォードだよな?』
「ええ」
『ならそっちには三日着く。それまでに準備を終わらしとけよ』
「無論、そのつもりです。では」
ガチャ。
「あの人の番号は確か………」
プルプルプル、プルプルプル、プルプルプル、プルプルプル…ガチャ。
「もしもし、こちらライラ」
『ライラちゃん、こんにちは。早速だけど用件は?』
「未知の島へ行く調査隊の護衛についてです。そちらから来れそうですか?」
『ごめんなさい、行けそうに無いわ。こっちも別件で手が空かないのよ。その代わり、今度ご飯奢ってあげると伝えておいて。勿論、あなたも一緒よ』
「フフッ、ありがとうございます。それじゃあ、伝えておきますので、無理しないで下さいね。それでは」
『ええ、そちらもね。じゃ、バイバイ~』
ガチャ。
「…………残念です。久々に全員揃えると思ったのに………」
んー書いてて不安になってきた……