久々の投稿で、今回もかなり自身がないです、はい……。
それではどうぞ。
「“月歩”で行った方速くない?」
「全員が“月歩”を使えてたら話は別ですが、現実はそう甘くないので我慢して下さい」
海軍が所持する軍艦の甲板で俺は愚痴るも、ライラに一蹴された。
だって実際そうじゃん!
全盛期のガープさん程じゃないけど、俺も長い間“月歩”で行った方が速いんだぜ?
しかも、俺が先に行って危険度を測ってきた方が良いじゃん。
それを伝えると、
「極度の方向音痴が何ほざいてるんです?」
辛辣!
否定できないけど!
俺ってばゾロ並みに方向音痴らしいんだよ。
人を頼りに見聞色使って元には辿り着けるけど、一人だとわからなくなるんだよなー!
あれ?
ゾロも見聞色使えば迷子も治るんじゃ……?
いや、二年後も治ってなかったな。
ということは、あれは真性の方向音痴ということか…?
んー、ダメだ分からん。
どうやったら治るんだろうか?
「ほら、これでも食べて落ち着いて下さい」
「わ~ありがと~!」
「ちょ、だ、抱き着かないで下さい!」
ライラが出したのは彼女特製のクッキー。
特製というのは
俺はどうも毒にはかなり高い耐性があるらしく、毒はもはや食べ物認識になってる。
それが発覚したのは、確か体の成長が止まったのが19の時でそっから三年後だから、22の時にインペルダウルンの視察に行ったときか。
俺が行ったとき、偶々囚人が暴れてたのでマゼランがそれを鎮圧しようとしたときに彼の能力である毒が俺の口の中に入ったのだ。
多分、『何アレ!?すっげー!』って叫んでたせいだな。
それで思わずそれを飲んでしまい、隣にいたライラとガスパーデが必死に『ぺっしなさい!出来ないなら今から手を喉に突っ込んでぺっさせますから!』『ライラは一回落ち着け!それだと下手の物まで出て来るぞ!』とか叫んでたのは覚えてる。
しかし、次に発した私の発言によりその場が凍ることになる。
『マズ……』
まさかの不味かったのだ。
そう、彼の毒は不味かった。
それを聞いたライラは色々と乱心して俺のことを揺さぶってきて、ガスパーデに羽交い締めで離されるまでやめなかった。
その時、毒に詳しい人がいたので調べて貰うと、それらしき症状は俺には出ていなかったらしいので俺の安全は保証された。
ちなみに、俺にマズいと言われたマゼランは俺に一言謝ってから壁の隅っこで体育座りでかなり落ち込んでいた。
かなりシュールだったよ、あの画は……。
なんたって、その姿を見たその場の全員の顔が引き攣っていたんだから。
それから俺は度々毒の味について調べていたら、ライラも百足になれるのでその毒を食べてみたところ、一番美味しかった。
次に水銀、その次に青カリだったな。
だけど………一番不味かったのがマゼランの毒だったのは謎だったなぁ。
「相変わらず姉御は謎の体質だよな……」
「ハッハッハ!流石は姉貴だぜ!」
俺が毒入りクッキーを食べてると少し離れた所からそんな声が聞こえた。
一人はガスパーデ。
俺が毒入りクッキーを食してんのが未だに謎らしい。
俺自身が蜘蛛だから耐性持ちでもおかしくは無いだろ。
もう一人、こちらを見て愉快そうに笑ってるやつの名前はヴェーリ。
金髪の短髪で碧眼。
身長は二メートルを超えるほどで褐色肌の大男だ。
ちなみにこれでも少将である。
彼は元々とある島の部族で、俺がそこに迷い込んだ祭に彼に喧嘩吹っ掛けられたので返り討ちにして以来なぜか懐かれたので部下として雇う事にした。
そしたら以外と有能だったのでーーー彼の希望もありーーー各地を転々としてる。
彼自身が世界を見てみたいと言うもんだから希望通りにしてみたところ、以外と評判が良かった。
それから、最初はよくいたヴェーリは本部に戻ってくることが少なくなり、常駐している私やライラ、ガスパーデと共にいることが少なくなっていった。
そのことにガスパーデは問題ないようだったが、ライラはちょっと寂しそうにしてた。
それもそうか。
元々騙されて身売りされかけた身の彼女にとっては心を開ける相手というのは少ない。
俺に拾われた当初も挙動不審な上に疑心暗鬼で、誰とも喋ろうとはしなかったからなー。
え?
俺?
まあ俺も少ない方だと思うけど、ライラはそんな俺よりも少ない。
まず俺にガスパーデ、次にヴェーリともう一人に加えてセンゴクさんとおつるさんの6人だけだ。
だから人付き合いが苦手だし、人間関係も少ない。
特に知らない男が近くにいると基本真顔と無言が多いため、地味に不気味がられてる。
それに女の子とは話すことはあるが必要最低限しか喋らず、彼女に友達とい概念そのものが存在しないほどに俺ら以外の女の子と話してるのを見たことが無い。
一度友達を作らせてみようかなと思ったが、ガスパーデに『姉御は友達いるのか?』と聞かれ、俺は呆気なく撃沈し、その企画は中止となった。
今となっては古傷を開くような思いでしか無いわな……。
閑話休題。
常駐組じゃ無いもう1人に関してはまた今度語ろう。
そして、なんやかんやで、俺がライラをイジったりーーー(見た目は)女同士なのでセクハラにはなりませんーーー、ヴェーリと組み手したり、ガスパーデに実験したり、とそうこうしてる内にその時は来た。
「失礼します!クモ中将、例の島が見えてきました!」
一人の海兵が俺の部屋の前でそう報告してきた。
やっとか。
隣に走る調査船の機械・道具確認や人員確認も終わって暇だったので丁度良かった。
他の奴ら?
多分書類整理か訓練じゃね?
最後にライラと一緒にいたときに書類整理してくるつって別れたからそうなんじゃ無いかと思ってる。
俺は伝えてくれた海兵を簡単に労い、全空間に繋がる通信機で全員に十分後甲板に来るように伝えた。
そして十分後、甲板に全員の集合が終わった。
ちなみにガープさんの部隊は調査船を挟んだもう一隻の軍艦の方にいるのでここにはいない。
………来たら来たで返すけど。
そんな事より、俺は甲板に集まった海兵全員に聞こえるよう、大声で告げる。
「総員、心して聞け!今から我らは危険度の高い未知の島へ突入する!そのため無駄な行動は避け、被害を最小限に抑える事を第一優先とせよ!計画はまず最初に私の部隊が先発隊として安全を確保するので残留組はここで警戒を最大限にして待機!無駄な犠牲を出さないためにも速やかに協力してくれ!最後に!誰一人として死ぬな!見殺しも許さん!良いな?」
『イエッサーッ!!』
「馬鹿かお前ら!イエスマムだ!何故間違える!?」
『イエスマムッ!!』
「はぁ……それでは島に着くまで解散!」
最後はぐだぐだになったが、まあ良いか……。
さあて、準備でもしましょうかねぇ。
◇◆◇◆◇
俺は今回、名のある海賊や調査しに来た海軍の軍艦が次々に消えていく未知の島へ行くことになった海兵の一人だ。
今は海軍艦にて警戒態勢に入っている。
最近少佐に昇格したばかりだが、その矢先に任務がこれとは付いていないのかいるのか分からないものだ。
分からない理由は、これから危険に突っ込むと言うのにどこか安心してる自分がいるからだ。
なんせ化け物クラスと言われている中将が数人もいると聞いたからだ。
一人は言わずもがな『拳骨のガープ』。
“海軍の英雄”とも呼ばれる人で、その実力はかの『海賊王』を何度も追い詰めたことのある程だ。
最近、力が落ちてきたとか言ってるがどこが落ちたのか未だに分からん。
その証拠に一度手合わせをする機会があったが、全く手も足も出なかった。
いや、その時は確か俺以外にも大佐や准将クラスの奴もいたが、そいつらも瞬殺されてたな……。
それだけで全盛期がどれだけ凄かったのかが分かる。
……絶対に相対したくないがな。
もう一人は『天網のクモ』と呼ばれる女の中将だ。
その名の由来はその道のプロすら凌駕する情報収集能力と獲物を確実に逃さずに確実に捕まえる事から付いたらしい。
俺は一度もあの女の戦闘力を見たことも味わった事もない。
一度手合わせしたことのある同僚から聞いたところ、
『あの人はもはや人間じゃねえよ………。お前も体験すれば分かるさ……』
と、怯えるように言っていた。
一体何をされたらそこまで震えるのかが分からなかったが、かなりの実力者なんだろう。
閑話休題。
今出した二人の中将以外にも詳しい数は聞いていないが何人かいるらしい。
………中将は意外と暇なのか?
まあそんな事、今はどうでも良いか。
しかし、警戒態勢で巡回とは言っても軍艦の中や外を歩き回るだけだからな。
ハァ、暇だ…。
そんな事を考えてる内に、俺はいつの間にか甲板に出ていた。
今回の目標である未知の島が少しずつだが、その全体が見えてくる。
砂浜が見えるが、その近くに廃船とかした軍艦や海賊船が見える。
どうやら噂は本当みたいだ。
言うなればこの島はまさしく無人島だ。
しかし、どういう理由でどいつもこいつもいなくなってるんだろうな。
人を呑み込めるような化け物でもいんのかね。
俺が島について考えてると、後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、そこにいたのは
「やあ、君は最近少佐に昇格したばかりのーーーーー君だね」
黒い長髪の真紅の瞳。
外見年齢は20代前半の女だった。
それは、クモ中将だった。
馬鹿な…。
ここに来るまで一切の気配を感じなかったぞ。
それ抜きにしても何も聞こえなかった。
つまりだ。
これだけで実力の差が分かってしまう。
悔しいが、それが現実だ。
「どうかしたのかい?」
俺が黙ってるのを不審に思ったのか、クモ中将が再度声を掛けてくる。
「申し訳ございません。少し呆けてました」
「そうか。あまり緊張するなってのは無理かも知れないけど無茶はするなよ?それをするのは私らの役目だからな」
「ハッ!」
………中将としてはそれはどうなのかと思うが、何も言わずに俺は大人しく従う。
しかし、思ってたよりも全体的に柔らかい女だな。
噂だと20年ぐらい姿が変わってないと聞くが本当だろうか?
聞いてみたい気持ちはあるが、女性に年齢を聞くほど恐ろしいことは無いからな(経験談)。
「今変な事考えてなかった?」
「いえ、何も」
「そうか…。ならいい。お勤めご苦労、しっかりこの艦を守ってくれよ。それでは」
「ハッ!」
そう言うと、彼女は去って行った。
そう言えば、何故俺みたいな下っ端同然の俺に話し掛けてきたんだ?
俺よりももっと話すべき奴はいると思うが……。
………まあ、命令だ。
しっかりとこなしてやるさ。
◇◆◇◆◇
やって参りました!
未知の島!
お家帰りたいです!
え?
ダメ?
知ってたよ畜生!
俺たちがいるのは、今回の任務の目標である未知の島の砂浜。
一回、外周を回ってみたけど止まれそうな場所がここしか無かったのでガープさん達を待ってる。
先発隊は私の部隊であるライラ、ガスパーデにヴェーリ。
後は数人の部下。
そこにガープさんの部隊が加わって今回の任務が遂行される。
調査隊の人達は私たちが安全を確保するまで出ないように厳命してある。
だって下手に死ねばこちらが責任持たなきゃいけなくなるからね。
「お~い、クモ~。こっちも終わったぞ~」
ふとそんな声が聞こえてきた。
その声の方向を向くとガープさん………と…?
何であの人がいんだ!?
「“
「うぉわ!」
俺の五指から黒い糸が飛び出し、その人物を捕まえる。
その人物は諦めたように大人しくし、ガープさんは必死で口笛を吹いてる。
出来てないけど………。
「説明を求めます。答えなかった場合は今までの悪行をセンゴクさんとおつるさんに報告します」
「お前さん儂にだけ辛辣すぎないか!?」
「普段の行動を振り返ってから言って下さい。それで………何で、
そう、俺が驚いたのはガープさんの右後ろ辺りを歩いていたクザンさんを見つけたからだ。
彼の部下から偶々聞いたけど、確か今日の予定は書類処理だったはずなのだが……?
「実はな……押し切られてしまっての……」
「いや、なに負けてんですか!?そして、クザンさんはなに押し切ってんですか!」
「前に……ちょっと借りを作ってしまっての………」
「こんな面白そうなイベントを俺が見逃す無いでしょうが」
「開き直ってんじゃねえよ…!とりあえず……二人は本部に戻ったら覚悟しとけよ…?」
『ひぇ………』
((((((クモ中将が……いつも使ってる敬語を使ってない………!あのガープ中将とクザン中将が怯えてる!)))))
(本当に何したらあそこまで怯えられんだ?)
「少なくとも今は安心して下さい。今すぐには追い出さないので。それに、戦力は多い方が良いですからね」
『はい………』
(((((すっげーしょんぼりしてる!?)))))
(………もう驚かねえぞ)
「それでは、出発だ!元気を出していこう!」
『ハッ!』
(二名ほど元気でてないのは良いのだろうか?)
「あ、ちょっと忘れてた」
『?』
みんなが俺の言葉に疑問を抱いたが、俺は気にせずに始める。
「~~~~~~~~~!」
「……なにをしてんだあれ?」
「俺らに分かるわけ無いだろ」
「にしても何も聞こえねえな。なんか喋ってんだろうけど」
………俺が何してるかって言うと、
そう歌ってんだ。
しかし、これは蜘蛛にしか聞こえない声で、超音波による信号みたいなものだ。
俺がこうする理由はもうすぐ分かる。
「な、なんだアレ!?」
「黒い塊、イヤ違う!アレはなんかの群れか?」
「よく見ろ…!アレ全部虫の蜘蛛だ!」
「まさか、あれらを呼び出してのか!」
部下の反応から分かる通り、俺はこの島にいるであろう蜘蛛達に砂浜に集まるように信号を送っていたのだ。
そして集まったのは、戦闘に立つ一番デカいタランチュラのような蜘蛛を筆頭に大きさ順に私の前に大量の蜘蛛達。
俺の能力は見ただけで眷属支配が完了するので、一匹ずつ終わった順から森に帰っていく。
今回は四百ちょいか、ちょっと少ないけどこの島なら充分か。
「ハッハッハ!これは久々に見たのう」
「俺は未だにちょっとぞわっとしますがねぇ」
ガープさんとクザンさんは別々の時だが前にもこれを見ており、初めて見た時の反応はとても良かった。
その後怒られたけど……。
閑話休題。
蜘蛛の眷属支配し終わり、情報収集するためにみんなにここで少し待つ旨を伝え待つ事にした。
~十分後~
暇だったので、ヴェーリと共に が下っ端海兵達をしごいていた。
ライラ、ガスパーデはちょっと軍艦の方で待機して貰ってるらしい。
ただし受けた奴らは死屍累々としてるがな。
「あらららぁ、見事なまでに屍とかしてんな」
「ワッハッハ!まだまだじゃな!」
どこかへ行ってたクザンさんとガープさんが戻ってきた。
どうせ能力不使用の模擬戦でもしてたんだろうな。
俺は情報収集がだいたい終わったのでそれを伝えると
「流石だねぇ。もう見つかったのか?」
「なんじゃ、すぐに帰んのか?」
クザンさんは何か期待して、ガープさんはなんかがっかりした。
まだ内容は伝えてないんだけどなぁ。
「そうがっかりしないで下さいガープさん。恐らく後数日はここにいる羽目になりそうですから」
「それはどういう事じゃ?」
「私が行ったのは表面上の調査だけでまだ詳しい所までには手が届いてないんですよ」
「へえ、クモちゃんでも手こずる所があったのかい?」
「ええ。でもちょっとおかしな所がありましてね」
「「?」」
「ここの森って奥に行けば行くほど危険地帯になってるんですよ。それもかなり歪でして」
「歪とは?」
「そうですね……。見た限りだと、死体すら残らない猛毒沼エリアの隣に食人植物であろう巨大な植物が蠢いていたり、大量の蟲が跋扈するエリアの隣に人の数倍は大きい猛獣達が
「……んむ?」
「つまり、色々おかしいということか?猛毒沼なら食人植物のエリアに何故か浸食せずに、その逆でも食人植物が猛毒沼エリアに浸食しないのは不自然。そして、もう一つ、大量の蟲がいるというのなら、その中にも間違いなく肉食の蟲は存在するはずなのに猛獣達はそちらに行こうともせずに自分達側で普通に過ごしてるのは不自然。と、言いたいんだよな?」
「全く以てその通りです。そこまで言われるとは思いませんでしたが、更に付け加えて簡単に言うと、まるで
「……それは、どういう判断でそう決めたんじゃ?」
「私の眷属支配した蜘蛛はある程度私の命令に従うようになってるんです。だからその蜘蛛達の総合的強さ、毒耐性の強さ、身体能力の高さ、技術力の高さで個別に分けた蜘蛛達にそれぞれの危険エリアに行って貰い、その結果で判断しました」
「そうか。それで………
「能力者は全員ですね。“六式使い”がいたらその人もお願いします。後はそれぞれの部隊から引き抜いた精鋭を」
「それなら大丈夫じゃ。そこらにいるのはお主より遥かに弱いがそれなりの精鋭じゃ。“六式”の全ては使えないもののいくつかは使える者ばかりじゃ」
「彼らも伊達に死線を潜ってきてはいないってこと。そんじゃ、クモちゃんの作戦はどういうやつなんだ?」
「私の考えてる事なんて作戦と呼べるものじゃありませんよ。ただ、クザンさんがそこら一帯を凍らして解けないうちに駆け抜ける。これだけです」
「俺らも頭使うのは苦手だからなぁ……」
「儂も無理じゃな!」
「そんな開き直らないでください……」
「別に良いじゃないの。そんな事より、クモちゃんの一番安全なエリアってどこだい?俺には全て危険に聞こえんだけど?」
「それはですねーーーーーー」
◇◆◇◆◇
「ここが最も凍らせれば安全な場所、食人植物エリアです」
俺たちは無人島の今言ったが、食人植物エリアの入り口付近に立っていた。
しかし、その奥に見える景色を見てライラが感想を言う。
「姉さん、明らかに安全そうには見えないんですが?」
そりゃそうだ。
気配を消してるとはいえ、○ックンを進化させて首が増えた上に更に凶悪な見た目の奴がうようよいるんだからそうなるよね。
俺も怖い。
だが、部下の前でビビるなんぞ有り得ない。
「大丈夫大丈夫。ここの蟲や獣たちなら冷気耐性もあるんだけど、ここの植物共はどうやらそれがないらしいからね」
「本当に便利な能力だな」
そう呟いたのはクザンさん。
俺もその意見に同感だ。
眷属支配した蜘蛛は個体差はあるものの知能がかなり上がる。
平均で五、六歳の子供レベルにだ。
殆どの蜘蛛が烏ーーー人間の三、四歳程度の知能を持つーーーーより頭良いんだぜ?
しかも最高だと成人レベルで頭が良い奴もいる。
そいつは俺もなるべく失いたくないから、滅多に出さないようにしている。
出すとしたら、俺が対処不可能の窮地に陥ったときぐらいだろう。
「自分で言うのもなんですが、私もそう思います(≧ω≦)b」
「自分で言っちゃうかぁ。しかもドヤ顔が可愛いから画になr……」
「判定、黒。処刑します」
「落ち着こうね、ライラ。私でも視認できないスピードでクザンさんに覇気纏った刀を押し付けないで」
「俺………刺される?」
「そりゃそんな生活してたらな。刺す奴は特定されてるけどな」
「お前さんら、いつまで遊んどるのじゃ?そろそろ始めるぞ」
巫山戯たやり取りをしていると、ガープさんから作戦の開始を促されたので早速始める事にした。
食人植物を達をクザンさんが簡単に凍らせ、食人植物達は此方に気付くことなく、停止した状態で固まっていた。
その隙を突いて俺たちはそこを全力で走る。
とは言っても、一般海兵とかもいるわけだから、全力で走ると差が出てしまうのである。
置いていくわけにもいかず、何とか合わせて走る。
それから少しして、俺たちは目的の場所に辿り着いた。
そこには何もなかった。
森なのは分かるが、気配を探っても何も分からなかった。
そこにあるのは木々が生い茂るだけで、それらしき人や獣の姿もなかった。
「なんじゃ、何も無いではないか?」
「ん~?」
「おかしいですね…………。何かあると思ったのですが……………」
「姉貴、なんか嫌な予感がする」
ガープさんやクザンさんが不思議に思い、どうしようかと悩んでたところ、ヴェーリがそんな事を言ってきた。
彼の感は元々山育ちのせいか、見聞色より鋭いときがある。
しかも、その確率が十分の九なので、皆に警戒するように声を掛けようとしたとき、
「総員退避!!」
咄嗟に叫んだが、全員避けきれたとは言えなかった。
何人かが
俺はそいつらを一瞬で手から糸を出して回収し、後ろの方へと置く。
そして、目の前を見た。
そいつは黒紫色の肌………甲殻を纏っており、両脇にある巨大な鋏をカチカチと鳴らし、後ろから生えてるであろう巨大な尻尾はこちらに向けており、その先端には鋭い棘がある。
もしかしなくても、蠍だ。
大きさは、クザンさんの2倍ぐらいか…?
だが、全体的な大きさで言えば、軽く三メートルは超えてるであろう、巨大な蠍が今にでもこちらへ牙を剝かんとしていた。
それよりも、どっから現れたんだ、こいつ…………!?
「なんじゃこいつは!?デカい蠍じゃのう!」
「虫は寒いのに弱いんだろ?なら、
クザンさんが能力で蠍を凍り付けにした。
クザンさんはヒエヒエの実を食った氷結人間。
氷雪系悪魔の実の中でも最強クラスの力を持つそれは、発動する度に常に絶対零度の冷気を纏う。
クザンさん未満の実力者がその力を喰らえば、まず自力での脱出は不可能だ。
そして、クザンさんの能力を以てしてその例外を見たこと無かった海兵の一部は、もう大丈夫だと安心しきっていた。
しかし、その例外は目の前で起きることになる。
パリィィン!
凍り付けにされた筈の蠍が自力で氷を破ったのだった。
「ばかな!?」
「嘘だろ…!」
「あいつ、相当ヤバいぞ………」
海兵達はそのことに混乱していた。
かく言う俺は、最悪のパターンを考えていた。
もしかしたらこいつはーーーーー!
「キシャァァァァァァァァァ!!」
「ぐっ!?」
そう考えてる内にクザンさんに蠍が襲い掛かっていた。
本来なら、クザンさんは自然系なのでどんな攻撃をしようともその体に効かない。
ただし、その中にはいくつか例外があるが、その内の一つが武装色の覇気だ。
体を黒く染め、鎧のような効果を発揮するものだが……………蠍はそれを纏っていた…!
クザンさんはそれを見極め、必死で退避する。
そこをガープさんがなんでか上から降りてきては巨大蠍の背中に拳骨を喰らわせた。
「フンッ!」
「キシャッァァァァァ!!」
よく見たらあの蠍全身に武装色纏ってるじゃねえか!!
しかも、かなりの練度だ。
ガープさんの攻撃は効いてるようだが…………大したダメージにはなってない、たぶん。
その後にライラが百足に変身し、ヴェーリは
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
「面白ぇ!相手してやるよ、蠍野郎!」
ヴェーリはムシムシの実モデル“蟷螂”の能力者だ。
彼は島にいた頃から悪魔の実を食っていたが、使わずに島の頂点に立っていたのだから、彼の戦闘センスには驚かせてもらってばかりだ。
「キシャァァァァァァァァァ!!」
「ギィィィィィィィィィィィ!!」
「キュァァァァァァァァァァ!!」
上から巨大蠍、ライラ、ヴェーリです。
ライラが蠍の体を巻き付き、ヴェーリがその間から前足の鎌で蠍を斬りつける。
しかし、蠍にはそれらの攻撃が効いていないように見える。
ガスパーデは能力を駆使して他の奴らのサポートに周り、クザンさんとガープさんとライラにヴェーリが攻撃の要となっている。
俺はさっきからあいつらの援護をしてる。
ヘイトを集めたり、前線から離脱させたり、そんな感じで立ち回ってる。
このまま行けば問題はないだろうが……………違和感を感じる。
なんで……この巨大蠍しかいないんだ…?
恐らく、こいつに今は戦略を立てられる程の知能は無いはずだ…。
なのに、なんでこの島はあれ程人工的に作られたようになってるんだ…?
はっ!
まさか………!
そう思った刹那、ライラの体が爆発した。