それでは本遍どうぞ―!
めんどくさいこと
影胤の事件から数日後。俺は里見の家に向かうことになっていた。
「凛ちゃん、ちょっと里見の家に行ってくるよこの間桃を延珠ちゃんに紹介する約束したからさ。それに里見も俺に用事あるみたいだし」
「わかったわ。あ、でも待って」
凛ちゃんは冷蔵庫から袋を取り出し、渡してきた。
「せっかくだからこれ持っていきなさい」
「リンゴ? それもこんなにたくさん」
「あなたのお兄さんからもらったものよ。私たちじゃ食べきれないから」
兄さんは加減を知らないからなぁいつも食べきれなくてジャムとかにしちゃうんだよね
「あと、明日天子ちゃんに会いに行くわよ。ちょっとめんどくさいことになったわ」
「めんどくさいこと?」
「明日になればわかるわ」
以前教えてもらった家に着き、呼び鈴をならす。すると中から里見の相棒、延珠ちゃんがでてきた。
「む? たしかおぬしは……」
「水木蒼矢だよ延珠ちゃん。里見は?」
「蓮太郎はいま夕食の準備をしておる」
「蒼矢かー? 入ってきてくれ」
里見に言われ中に入る。案外綺麗にしていいることに驚く。男子高校生の部屋って汚いもんだけど
「里見これ。もらいもんで悪いがこれ」
「おお、悪いな」
「で、用事ってのは?」
「ああ、そのことなんだが……延珠。悪いが先に風呂入ってくれ」
「? わかったのだ」
「あ、なら桃も一緒に入れてもらってもいいか?」
「ああ。お互い年が近いし話しやすいだろう」
「では着替えるのだ!」
延珠ちゃんが服を脱ぎ始める。もちろん俺は目をそらしたよ? つかそらさないと桃に目をつぶされる
「ばっバカ! ちゃんと脱衣所で着替えろ!」
苦労してそうだなぁ里見。俺の中で里見の評価がロリコンから苦労するロリコンに変化したよ。
「で、話ってのは? 延珠ちゃんに関することなんだろ?」
「ああ、実は延珠に新しく学校に通わせたいんだが……」
里見によると少し前に延珠ちゃんは学校で呪われた子供たちということがバレ、やむを得ず学校を辞めたらしい。それで桃と同じ学校に編入させたい、ということだ。
「うん。俺だけの判断じゃ無理だね。凛ちゃんの指示を仰がないと」
俺は携帯電話を取り出し凛ちゃんに電話する。
「もしもし凛ちゃん?」
『あら蒼矢。なにかしら』
「実は――」
事情を説明すると少しの沈黙の後小さな声でつぶやいた。
『……近いうち里見と話がしたいわ。今度そっちの会社に行きたいのだけど』
「いつでもいいぜ」
『わかったわ。行くとき事務所のほうに連絡するから』
「それで? ほかに用事は?」
「ああ、どっちかっていうとこっちの方が本題なんだが――おまえの所のメイドについてだ」
「サラについて?」
「ああ、どうみても年が十歳を越えて見える。呪われた子供がそんなに長く生きられないだろ」
「サラは特別なんだ」
「特別?」
「ああ。サラは”作られた”呪われた子供たちなんだ」
俺が告げた真実に里見は口を大きく広げ驚いている。まぁ俺も最初はそんな反応だったからね
「……は?それってどういうことだよ!」
「詳しくは凛ちゃんに聞いてくれ。俺も詳しく知らん」
悪いね、本当に知らないんだ。本人に聞いてくれ。
それから桃と延珠ちゃんの二人がお風呂から出て里見に夕食を食っていけといわれ準備を手伝っているとインターホンが鳴った。
「俺が出るよ」
扉を開けるとそこには――――
「里見ちゃ〜ん」
和服が似合ううちの高校の生徒会長、司馬未織が具合悪そうにして立っていた。
「看病……して〜」
その言葉を最後に未織さんは頭から倒れた。……大丈夫かこれ?
その後ろからもう一人女の人の影が見えた。あれは……木更さん?
「里見君……これ……お肉」
半額のシールが貼り付けられている肉のトレイを受け取ると限界が来たのか顔が青くなり
「すき焼き……作って……」
未織さんに覆いかぶさるように木更さんも倒れた。
「――それが司馬未織と天童木更の最後の言葉だった」
「だった、じゃねぇよ! あぁもう! 蒼矢、どちらか外に連れ出してくれ。俺は何も見なかったことにする」
あの後倒れていた二人も入れて一緒にすき焼きを食べている。それに加えて桃と俺もいるから結構な数が里見の部屋にいる。狭い。
「この和服は何者なのだ?」
延珠ちゃんが未織さんに指をさす。
「司馬未織。俺たちに武器を提供してくれている『司馬重工』の社長令嬢だ」
「俺たちの学校の生徒会長でもあるね」
「悪いねぇ里見ちゃん」
「……ほんとよ」
うわ、ものすごい不機嫌そうだ木更さん。まぁ見た感じ全然性格が違うしね。そりが合わないんだろう。
そのあと未織さんと木更さんが喧嘩したりといろいろあり、外もだいぶ暗くなってきたころ。桃が寝息を立て始めた。
「ん、そろそろ俺帰るよ。桃も眠そうだし」
「わかった気をつけてな」
桃を背中に背負い里見達に挨拶をして家を出る。すると入り口から延珠ちゃんが出てきてこちらに向かって叫んだ。
「桃! 今度天誅ガールズについてもっと詳しく教えるからな! 楽しみに待っているのだぞ」
「はい……ありがとうございます」
眠そうだけど嬉しそうだな桃。うん、妹に友達ができてうれしいな兄としては。でも天誅ガールズかぁ。智也もはまってるんだよな。人気なのかな?
翌日、凛ちゃんと共に天子ちゃんのいるところに来ていた。
「こちらです。水木様。金蜂様」
護衛であろう人に案内してもらった扉を開ける。そこにはいつもテレビで見る白い姿の天子ちゃんがいた。
扉を閉じると彼女はこちらに近づき、飛び込んできた。
「お久しぶりです蒼矢君。お元気そうで何よりです」
「あなたも変わらずでなによりです。聖天子様」
そういうと天子ちゃんは頬を膨らませ不機嫌そうになる。
「……昔のように話してください。いまこの部屋には私とあなたしかいませんので」
「しかし……」
「そうしないと口利きません。つーん」
拗ねたように唇を尖らせる天子ちゃん。うん、かわいい。
「あぁもう! わかった。わかったよ天子ちゃん」
「ふふっ。はい天子ちゃんですよ」
「な~にいちゃついてるのかしら?」
「ぐぇ!」
後ろから不機嫌な声と共に襟元を引っ張られ首が絞まり変な声が出た。
「全く。私もいるわよ。……久しぶり天子ちゃん」
「久しぶり、というほどではありませんけどね」
「明日はよろしくね」
「そうそう。俺ってどんな任務受けるの?」
「あら、言わなかったかしら。天子ちゃんの護衛よ」
「はい?」
「よろしくお願いしますね。蒼矢君」
天子ちゃんは笑顔でこちらに微笑んできた。
……何だろう嫌な予感しかしない。
ありがとうございましたー!アドバイス、感想、リクエスト何でも待ってマース