無限の龍と偽物の始まりの蛇   作:アザミさんに踏まれ隊

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蛇が見つめる世界

 人の思いをエネルギーに変える『システム』を作った魔術師がいた。

 様々な奇跡起こせる能力者が蔓延る世界があった。

 偉業の民が暮らす国があった。

 それは早い段階で生物が生まれた世界。早い段階で生命が進化した世界。寿命も長く有り余ったり、或いは不老の法を得ていたりする。

 彼等は支配者を名乗りたくなった。自分達の下を作りたなった。そこで丁度言い場所を見つけた。

 緑と水と肉が溢れた異界の星。そこに自分達をもして作った無能を送り込んだのだ。そして無知なる彼等に鉄の作り方や火の扱い方、武器の作り方などを教え神として崇めさせた。

 

「うちの場合は楽園から追放させて、沈めて、新天地を与える~なんて嘯いて信仰心を高めようとしたな。うちのクソ親父が生命創造できるほどの魔術師だから……あ、今は普通に神とか名乗ってるけどな」

「そうか」

 

 アザゼルはあっさりと返す少女になんだかなぁ、と頭をかく。おそらく現地住民、天使に襲われていたから助けたのだが、もう少し感謝とかしてくれないだろうか?しかし彼女が着ている黒い服、この辺りでは見かけないな。何処かの神話の支配下にされた所からの脱走者か?

 

「なあ、お前………」

「……………」

「おーい………」

「……………」

「おーい……」

「……………チッ、何ださっきから」

 

 さっさと行こうとしてしまう薄情な女を呼び止める。力の質からして、原生生物だとは思うんだが………この世界のどの生物にも共通する反応を感じる。それも結構色濃く。というか、まさかこの世界の生物全般がコイツの血を引いてたり?は、ねぇか。この世界にはそういった超常的な生物は確認されていない、

 

「ああ、いや……お前、これからどうすんのかなって………」

「…………知らん。私に食事を提供していた村ももうないことだし、適当に回る」

「ほーう、なんだ、咒師でもやってたか?」

 

 この世界には超常的な存在は生息しないが超常的な力を持つ人間は少なからず居る。それが自然を操る咒師などだ。とはいえいかい神話の連中に比べれば力は弱いが、それでも村々では崇められる。

 

「死なぬだけだ」

「へぇ………え?」

 

 死なない?聞き間違いか?この世界に不死は居ない。長く生きても数百年の生物が海の中に少し。知的生命体に永い時を生きられる者がいないからこそ、真実を偽り嘘の神話を塗り固める場所に選ばれたのだ。

 

「お前、一体………」

「………私はアザミ、幾星霜の時をただ生きるだけの、化物だ」

 

 アザミと名乗った女の目が赤く光る。途端に、アザミの姿が消えた。

 

 

 

 

 『目を凝らし』世界を見続ける。鉄と火を与えられた新人類は瞬く間に文明を発達させて行く。

 『目を合体(あわ)せる』力で新たに『目を移す』を生み出し長距離を移動し、その場を実際に見て回る。

 何処の人間も神を名乗る来訪者達の下僕ばかり。面白かったのは神を否定した王か。来訪者が己を崇めさせる為に作ったり、来訪者の血が混じった者達が造ったり、来訪者とは別の、最近産まれたこの星本来の超常的存在が作ったりした様々な武具、宝物を集め、面白いから不死をやろうかと訪ねればそんなもの要らぬはと断った王。

 死んでしまったが彼と過ごした時間はそれなりに楽しかった。

 しかし時代というのは自分にとっては瞬きのような時間ですら移り変わる。

 妙な男が蛇か、よし、次は巨大な蛇を作るぞ!とか言ったり他の来訪者達の世界でも怪物達が蛇を模しはじめたり………いや、多分、自分の真似なのだろうなと呆れること数回。

 神を名乗るバカ共を何人も石にしてやった。その光景が人に見られもした。だからこそ神々は神のライバルとして彼女の存在を納得させるために神に匹敵する怪物達を生み出したのだ。様々な神話に神の敵、或いは神そのものとして蛇が現れ始めた。始まりはアザミである。

 

「つまりだ、サマエルも後から創られた。蛇がアダムとイヴに知恵の実を食わせたという話もバベルの塔が壊されたあとの時代に広められたのだ。全く、迷惑な話だ」

「そうですか。苦労なさったのですね」

「……貴様、仮にも神の子であろう?否定したりせぬのか?」

「確かにそう言われたいます。神の声も、確かに聞いています。しかし神が真に全能であるなら、我等はそもそも知恵の実を食らう事も、人種の違いで争う事もなかったでしょう。私は神の子として、人の為となる教は広めましょう。しかし神にはすがらない。神は、きっと私を見捨てるのだから」

「ならば、私が逃してやろうか?」

「いいえ。罪人として捉えられた私が逃げれば、私の弟子達と、協会の者達が本格的に殺し合いをしてしまう。それは、望まぬ事です」

「…………つまらん。お前は欲がない、そんなんだから、神に利用されるのだ。お前の神に死後はないぞ?仏教共ならあの世があるが……」

「死すればそれで終わり。天の国も地獄も、私、実は信じてないんです」

 

 だから異端者と言うのも間違いではありませんでした、と朗らかに笑う男。翌日には茨の冠を被せられ、十字架を背負い丘へと登った。同時に同じ監獄に捉えられていた悪魔憑きが姿を消した。

 その死後、生死の確認のために心臓を刺された。

 あれだけ神格化されていた男の血を浴びたのだ、神々が好む武器作りの核としては充分な触媒だろう。

 その男の死体は天使に持っていかれ、復活したなどと噂が流れるもその男ととある化物が再び出会うことは二度となかった。

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