救えなかった少年   作:ニック

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那須玲①

ランク戦が始まり早一月半

七月半ばに入るとちょうど夏休みに俺は入っていた

9戦目が終わった時順位

B級一位加藤隊

機動力を主にしたグラスホッパーと得点力は誰にも止められずただ連勝街道を突っ切っていた

隼部隊

俺らのチームの二つ名までつくほどになったんだが

「チッ。」

忍田さんの腹を切られると浮遊感が生まれそしてまた再生する。

スコア1-29

「……あ〜くそまた負けた。」

「いや、だんだんいいところまできている。だが攻撃に特化しすぎて防御が雑になっているな。」

最近忍田本部長に手合わせをお願いするようになっていた

夏休みに入ると夏期講習や補講で忙しくなるんだが俺はどちらも受けないことが決まったので夏休みに俺は休暇を使って自分の実力を確かめる

忍田本部長と手合わせをすると毎回のように負ける

というよりも未だに100試合くらいやって2勝しかしていないのだ

「だってスコーピオンの耐久度じゃさすがに忍田さんの剣受けたら一撃で壊れますよ。太刀川さんでも受け流すの大変なのにどうするんですか。」

「まぁそうだが。」

「それにこれが俺のスタイルだから仕方じゃないと思いますよ。」

俺はあれから少しずつ変化していって戦術も少しずつ変わってきているが戦闘スタイルは攻撃に特化しすぎて防御が明久とサイドエフェクト頼みになっている

……出水曰くスピードバカと呼ばれるほど速さで崩しそしてスコーピオンでとどめをさすやり方がハマっていた

「そういえばあの件どうなりましたか?」

「あの件って。あぁ確かランク戦の件か?」

「はい。ちょっと気になっていたんですけどあのままじゃあ正直なところ自分たちの意見ばかりでチーム力の上昇が難しいと思います。事実B級とA級の差って俺自身は戦略も自力も圧倒的に低いからだと思います。だから根本的に改革するのが他人の意見を聞くっていうのも大切だと思います。俺も毎回のように加古先輩にボロボロに戦略を叩かれてますから。」

主にもっと簡単に勝てたんじゃないか的な意味で

加古さんに正式にランク戦が始まってから弟子入りし

実際俺たちの部隊は新規参入とはいえ三上のフォローと俺のサイドエフェクト、明久のフォロー技術はA級並みと言われているしな

おかげで大分戦略を組み立てて褒められることも多くなったけど

「まぁ、それは一度上層部で検討してみるよ。」

「お願いします。」

俺はそうやって立ち上がろうとすると

「あっ加藤くんここにいたんだ。」

「綾辻?どうした?」

「ちょっと買い物付き合ってほしいんだけどいいかな?前に入隊の時のケーキもまだだし。」

「あっ。悪い完全に忘れてた。」

そういやケーキ奢る約束していたんだった。貯金や未だに三上が昼食を作ってきてくれる分貯金額がたった2月で20万を超えているし少しくらい無駄遣いしてもバチは当たらないだろう

「それじゃあ慶と俺は打ち合うか。」

「ありがとうございました。」

俺は一度礼をする。

「いや、久しぶりに体を動かしたくなったからな。こちらこそありがとう。」

事務処理が溜まっていたのかかなり忙しかったらしく一週間ぶりに打ち合ったらしい

俺は綾辻の元に小走りで向かう

「おう。お待たせ。」

「別に大丈夫だけど本部長と打ち合っていたの?」

「あぁ。一応サブトリガーも使ってやっているけどオプショントリガーは使ってないからな。スコーピオン二つで対応しているんだけど。なんであの人弧月一つで俺の剣筋のスピードより早く振れるんだ?」

「戦ったところみたことないんだけどそんなに強いの?」

「太刀川先輩が8-2で負けるくらいには。」

すると俺はため息をつく

太刀川さんとランク戦をした時の勝率がそのまま太刀川さんと忍田本部長の成績なんだよなぁ。

超攻撃型トリガー構成でシールドが一枚しか入っていない構成は俺のサイドエフェクトと剣の腕があるからできることと前に太刀川さんが言っていた。だから一時期俺の編成をやろうとしていたB級隊員が多くいたのだが堅実主義の奴にボコボコにされる人が多数いて俺以外にこの組み立てをできるようになるのは無理らしい。

でも強い人と手合わせをするのはかなりの勉強になる

剣筋、思考癖を見抜きそれを隙を見て一本取ったときの快感は忘れられないくらいに気持ちがいい

「てかそういや何で今日なんだよ。明日から三日行ったら俺たち夏休み入るだろ?」

俺たちは期末試験が終わり相変わらず3つ赤点の明久と丁度中間辺りの出水、そして俺と三上は同じくらいの上の中程度で綾辻がボーダー内ではトップだったのだ。

「私は嵐山隊の引き継ぎとかで忙しいんだよね。」

「あっ。そういや来季で東隊も解体らしいな。元々優秀な隊長を育てる為に東さんが引き受けていた節もあってA級一位になったら解散って決めていたらしい。」

「へぇ〜つまり二宮先輩や加古先輩、三輪くんが隊長になるの?」

「加古先輩はまだ組まないって言っていたな。しばらくはソロで様子を見るらしい。他はどうするのか俺も知らないけど月見は三輪が隊長になった時にオペレーターになるって言っていたな。」

と綾辻と話していると既にボーダー専用通路の前にくる

「そういや、綾辻。今日のメンツって。」

「私と加藤くんだけだけど。」

「……」

突っ込んだ方がいいのか微妙な線だな。多分こいつ無自覚で誘ったパターンだ。

気にしない方がいいか微妙だな

三上や明久誘おうと思ったがあいつらは家族関係の用事(明久は高校生になったら一人暮らしする許可を取りに行った。)し出水も友達と遊びに行くと言っていたのでいないしなぁ

「はぁとりあえずどこ行く。買い物って行っても種類あるだろ?」

「う〜ん。買い物って言ったけどあまり買いたいものはないんだけど。」

「おい。ちょい待ち。買い物ないってどういう。」

「だって今日加藤くんを休ませるのが目的だもん。」

すると綾辻がそんなことを言い出す。

「俺を休ませる?」

俺は首をかしげる

「歌歩ちゃんが言っていたけど最近ボーダーで夜遅くまでログ見ているよね?」

「まぁ確かにログは見てるけど、最近は上層部に少し提案を持ち込んでいるからそれのデータをまとめたりしているけど。」

「……休み最近いつとったの?」

「休みか。……休みそういやあったか?」

何かと模擬戦とかランク戦とかで休みは入隊してから一度もとってなかったような。

「……うん。取ってない。外出るのもトレーニングしている時だけだな。根っからの仕事人間だし。」

「だから今日は加藤くんの好きなところ回らないかな?吉井くんが昔はよく遊びに行ったって言っていたから。」

「遊びに行くったって。う〜ん行きたいところか。」

あんまりないんだよなぁ

「綾辻は?」

「私?う〜ん。」

少し悩み出す綾辻。そういや

「悪いちょっと付き合ってくれないか?そういや久しぶりに行きたいところがある。」

「行きたいところ?」

「あぁ、居たらラッキー程度だけど昔の友達に会いにいこうって思って。」

「うん。いいけど。どこ行くの?」

「病院。」

すると絢辻は驚いたような顔をしているが久しぶりに電話番号をうつ。

ツーコール後すぐに出る相手に対して俺は少しだけ息を吐きそして声を出す

「もしもし加藤だけど、那須か?」

そして俺がコールしたした後に出た声はどこか懐かしくそして少し怒ったような声だった

 

「綾辻は知らないと思うんだけど。元々小学生の時俺と那須、明久は4〜6年まで同じクラスだったんだよ。」

俺は那須の好きな桃缶を買った後に少しだけ綾辻に話しかけていた

「んで唯一俺の友達だったって言える仲だったんだよ。明久は誰とも仲がよかったけど俺たちといる時が一番高かったんだよ。んで那須って奴は昔から病弱でよく検査入院を繰り返していてあまり学校に来ない時期が多かったんだよ。」

事実今日も検査入院で病院にいるらしいし

「俺は少し小学生のときは今の学校よりは明るかったけど、元々騒ぐのが苦手で比較的隅でのんびり寝ていることが多かったんだけど。昼寝していたら那須が話しかけてきて、んで明久はいつの間にか俺たちのグループに入っていたな。」

「吉井くんらしいね。」

「あいつバカは才能で自然と仲が良くなれるのは才能だからな。話は逸れたけど明久は当時女子からモテていて、それで結構那須って女子から妬まれていたんだよ。」

ぶっちゃけ虐められているところは何度か見たことあるし、俺も明久も知っていたけどでも、ちょっかいを出したら悪化することもわからないほどの馬鹿ではなかった

「……だから一度悪意を全部俺に向けたんだよ。明久と相談してな。」

「えっ?どういう?」

「思いっきり正論をそのクラスの女王みたいな奴に吹っかけた。那須がいない間にな。」

あいつが知ったら怒られると俺はわかっていた。明久だってそれは分かっていたし、俺だってサイドエフェクトで見ていた

「明久は反対したけど、それでも俺は押し通して決行した。……まぁ成功はしたけどそれがきっかけでギクシャクしてな。中学になってからは大侵攻もあったし疎遠だったんだよ。」

明久は覚えていたらしいけど、あのことについては未だに俺も明久も触れてはいない

それは禁忌のように扱うかのように

「……それじゃあ私はお邪魔かな?」

「いや。一人じゃ居づらいからお前連れてきたんだけど。」

「それは連れてきた加藤くんも悪いと思うよ。」

「……それについては謝るけど。それほど俺が会いたくなかったんだよ。例えそれが那須を助けるためであっても傷つけたのは事実だからな。」

多分本当の理由を言ってもわからないだろう

そしてしばらく歩くと三門市立病院に着く

この辺りでは一番大きい病院で、そして俺が昔からよくお見舞いに訪れていた病院だ

「……ふぅ。やっぱり綾辻一緒に来てくれないか?ちょっとマジで心拍数がまずい。」

心臓がばくばく言って手汗がやばいほど出ている。

「加藤くんどれだけ緊張しているの?」

「仕方ないだろ。はぁ。でも行くしかないのか。」

「うん。私は受付で待っているから。」

俺は受付で面会希望を選択しいつもの部屋番号を伝える

許可がおりると俺はコツコツという靴音が響きながら窓口へ向かう

そして久しぶりに見るこの名前

那須玲

という文字が俺の目に入る

「……ふぅ。」

俺は一息入れそして

コンコンとノックをする

「はい。どうぞ。」

「失礼します。」

俺はゆっくり入るとそこには白い服を着た色白の女子が俺の方を見ていた

「久しぶりだな。那須。」

「えぇ。久しぶりね。でも電話番号覚えていたのね。」

「覚えるも何も卒業式に連絡先を卒業アルバムに連絡先書いて無言で去って行く奴を忘れるか。」

俺は少しだけため息を吐く

「悪い。色々あって謝りにくるの遅くなった。」

「……」

「ごめん。今更だったけど。でも。」

「いいわ。私のためにやってくれたのは吉井くんが言っていたから。」

あいつ話すなって言っていただろうが

俺はさすがに少し苦笑いをしてしまう

「でも生きていたのね。」

「俺はな。調べたけど小学校の奴らも数人は死んでるか行方不明だとさ。明久は生きているから安心しとけ。」

「明久くんも生きているの?」

すると意外な言葉が出てくる

「あれ?てっきり会っているかと思っていたんだけど。会ってなかったのか?」

「お互いに中学校が違うから会えなくなって。」

「……へぇ〜正直意外。連絡先は?」

「私は知らないわね。多分明久くんも知らないんじゃないかしら。」

へぇ〜。それなら明久も今度連れてくるか。てか久しぶりに会うと何を話そうか迷うな

「そういや桃缶食うか?」

「えぇ。頂くわ。」

俺はそうやって缶詰を用意して開く。手慣れたように開く。

「……どうなんだ。」

「昔よりは大分楽になったわ。動くと息苦しかったり体調を崩すみたい。でも普段はあまり病院に行く頻度は減ったわ。」

「そうか。ということは中学には行けているのか。」

「えぇ。病院で休んでいることは多いのだけれど。」

「無事行けているんならよかったよ。家族は大丈夫だったのか?」

「その日は偶然お見舞いに来てて。」

「……そっか。よかったな。」

「そっちは?」

「俺の家は俺以外全滅。今はボーダーで生計を立てながら生活って感じか。」

「ボーダーってあのボーダー?」

「そうそう。んで明久と後三上って奴でチーム組んでる。一応来季にはA級上げれそうだけどな。」

軽く桃缶を摘みながら那須と話す

久しぶりに話す友達はとても楽しそうで、しばらく時間を忘れるほど楽しい時間だった

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