救えなかった少年 作:ニック
夏場を抜けるとついに迎えたランク戦最終日
俺たちは圧倒的な強さでここまで勝ち上がってきて、そして
「はい。それじゃあA級昇格及びB級1位を祝って。乾杯。」
「「「「乾杯。」」」」
ボーダーB級ランク戦ぶっちぎりとはいかなかったが優勝を決めた
というよりもほとんど警戒されていて点数が取れる時が少なく、一度俺たちに点数を与えようとしない奴が自害してポイント没収されたという悲惨な事故にあったほどだった
……まぁ、実際それだけ強かったこともあるだろうけど
ベイルアウト数は9回でほとんどベイルアウトしておらず、特に明久は1回足と片手を切られて自発的にベイルアウトした以外ベイルアウトしていないし。弧月になってからは一度もベイルアウトしていない
いや固すぎるだろこいつ
さらにグラスホッパーを使って、ますます太刀川先輩に似てきているんだけど。
……正直似た者同士って戦闘スタイル似るのかな?
まぁ明久も俺も入隊当時から役割ははっきりしていて
アタッカーが俺で防御が明久
その役割を一シーズン崩さなかっただけでも大きな進歩だろう
「てかすごい豪勢だな。」
目の前にはちらし寿司や焼肉、デザートにもケーキや和菓子など色々な物が置いてあるのだが
「でも、さすがに買いすぎたね。」
「そだな。てか多すぎ。」
俺も少しこの量を食べるのはさすがに無理だろ。
「まぁ寿司から食べてそのほかはラップ巻いて冷蔵庫に入れとけばいいだろ。」
「そうね。どうせ加藤先輩が食べるんだから。」
「まぁそうだけど。お前だって来るんだろ?」
速水の両親はボーダーに勤務しているために基本的両親が休みの日以外はボーダーにいることがあり、俺と正直どっこいどっこいだろう。
「でも、夏休みほとんどどこにも行けなかったね。」
「ランク戦が重なっていたからな。それに長期的な休みが取れなかったのがでかかったな。」
シーズンは8月までで家族旅行とかがなくのと両親が忙しいのが原因で長期的な休みがとれなかったのだ
「冬か春が優先して取れるらしいから。それにA級ランク戦まだできるだけの人数じゃないし。」
「そういえば、今どうなる予定なの?」
「来季はA級はランク戦は1ヶ月に一回。つまり三試合での総当たり戦でやるらしい。多分今年A級が上がるのは俺たちだけだと予想されているからな。」
「……あれ?二位の三好隊は?」
「俺たちの時のあの件でペナルティー食らってA級昇格を見送るってさ。」
すると自害の件だと分かったのか全員が苦笑する
「それと3位はさすがに実力差がありすぎだからな。多分落とすだろ。」
「結局沢村隊と入れ替えってこと?」
「そういうこと。まぁどちらにしろ三つ巴か四つ巴だから戦略を決める俺と三上以外はやることは変わらないぞ。むしろ休みが多くなるしな。」
B級が多いのでランク戦はできるだけB級が多めに設定しているのでもしランク戦を行うとしても1日試合。A級は一週に一回ランク戦を行えばいい話になる
「休みが多くてもあまり変わらないでしょ?吉井先輩は家族から逃げるためにここに来るし、三上先輩と加藤先輩は書類仕事があって、私と神崎もやることないからほぼ毎日来るわよ。」
「私もゲームができますから。比較的ボーダーに集まると思います。」
ここ、もう自分の家よりもいる時間長いよな。
「……それならせっかくだし明日、お祭り行かない?」
すると三上がそんなことを言い出す。
「お祭りって。」
「大侵攻を追悼する花火大会のことだろ?綾辻から誘われたから覚えている。まぁ断ったけど。」
「えっ?断ったの?」
「あぁ、せっかくだし隊でなんかしたかったんだよ。三上が言わなかったら俺が誘ってた。」
防衛任務もないことだしせっかくだし羽目を外してもいい機会だろう
「それに、忍田さんからこれもらった。」
俺は紙を数枚だす。
「……何?それ。」
「来賓用の席。有料席なんだけどボーダーも提供しているんだよ。一応大侵攻の追悼ってことだからな。」
「新隊長を世間に見せるためじゃないの。」
速水は本当の目的にも気づいたのか
「そういうこと。それにお詫びも兼ねているだろうよ。俺たち休みがほとんどなかったことも合わせるとなるとな。それに俺が休みを取らなすぎたことも原因だろうな。」
「えっと今嵐山さんの補佐をしているんだよね?」
「それと広報を上層部に進言したりとトリオン技術の研究室に入ったり。今は少し武器改造を頼んでいるからこれからもっと忙しくなると思う。」
「それに加えて仮訓練で指導もしているんだよね?しかも生徒会長目指すっていってなかった?」
「……あの、先輩さすがに仕事やりすぎです。」
神崎がさすがに
「いや。暇だったし。」
「暇だったから仕事するって加藤君私のこと言えないと思うけど。」
「無茶はしてないし、体力はあるし睡眠も6時間はとるからいたって健康体だけどな。」
「仕事人間すぎるでしょ。夏休み那須さんのお見舞い以外ずっとボーダーから出た?」
「毎朝ランニングしているから外出てるぞ。後加古先輩と買い物行ったくらいか。」
「加古先輩と?」
「働きすぎって言われて色々連れ回された。そして戻ったら堤さんと一緒にいくらカスタード炒飯を。」
「……お疲れ様です。」
同情したように速水がいう
「まぁ話逸れたけどどうだ?一応俺は挨拶回りだけはしないといけないけど。」
「僕はいくよ。せっかく優待券もらったら使わないともったいないし。」
「私も行きます。」
「それじゃあ私も。」
「了解。それじゃあ明日は午後5時にここに集合な。とりあえず食おうぜ。」
と俺は箸をつけ始めた
「うわぁ。相変わらずだな。」
花火大会だけあって人混みの多い中で俺たちは5人で歩いていた
「まぁお祭りなんだから仕方ないと思うよ。」
「それにお祭りができるくらい平和になったんだよ。去年のこの時期ってまだ復興が進んでいなかったから。」
「まぁそれもそうか。」
確かに復興が進んできた証拠か
「……でも、普通に浴衣なんだなお前ら。」
と女子と明久は女性ものの浴衣を着ていた
「うぅ。姉さんがこれを着ていかなかったら家から出しませんって言っていたから。」
「吉井先輩の家って本当に女性が強いんですね。」
「元々こいつが何も言わなかったことに問題があるからな。さすがに同情するけどさ。」
さすがに俺でもこいつの家の息子にだけはなりたくないし。
「でも、似合っているわね。」
速水がそういう。まぁぶっちゃけ女子より可愛いってよく言われているし
「言われるまでこいつが男ってまず気づかないよな。」
「私も。」
「ちょっとみんな酷くない!!」
いや。事実だし。
「てかお前隊室で集合したから着替えてこればよかっただろうが。」
「……あっ。」
いつも泊まることが多い俺と明久は服を持って着ていることが多く俺がよくコインランドリーで洗濯した服がそのまま残っているのに
「すっかり忘れてた。」
「バカだ。」
「うぅ。否定できない。」
あぁそれと
「てかお前らも似合っているな。」
「えっ?」
「うん3人とも似合っているよ」
赤主にした少し派手な浴衣をした速水と薄い桃色浴衣を着た神崎、そして青に金魚を描かれている
すると少し照れたように微笑む3人。
「とりあえずどうする?屋台回るか?」
「うん。席取りはしなくていいんだよね?」
「忍田さんも一応来ているからな。先に挨拶回りしてくれるって。俺たちはその後に来賓席に行けばいいってこと。それに集合時間は7時30分だしまだまだ先だし。」
純粋に祭りを楽しんで来なさいって言われたしな
「それなら僕たこ焼き食べたい。」
「あっ。俺も。ついでに焼きそばも買ってきて、お金払うから。」
「ついでじゃないと思うんだけど、私も行くよ?」
「うん。分かった。」
すると明久と三上は近くの屋台へと並び始める
「……本当に自由ですね。」
「楽しんだもの勝ちだろ?お祭りなんて一年に一度行けたらいいくらいなだけだし来年もしかしたら防衛任務入っている可能性があるだろ?それに、お前らがどんなものが好きなのか知っておきたいし。それに時々はこうやって出かけるのもいいだろ?」
「はい。そうですね。」
「まぁそうだけど。」
すると笑う神崎と少し戸惑っている速水に苦笑する
「…だからお前らももっとやってみたいこととか困ったあれば言えよ。俺、いや俺たちができることならやるから。ボーダーのことでも、それ以外でも大歓迎だ。」
「……あんた、そんなこと言って恥ずかしくないの?」
「めっちゃ恥ずい。でもそうでも言わないとお前らは頼りそうになかったからな。ついでに一度三上にやっているし。」
俺は頰をかきながら顔を隠す
「三上先輩もですか?」
「三上もだよ。というよりもこいつの場合はどこか甘えたいと思っていたんじゃないのかな。三上って自己主張は少ないし気を使うタイプだから隊結成時に行ったんだよ。もう少し頼ってくれって。あんまり関わりないし迷惑だと思われる可能性はあったんだけど。」
「……先輩お人好しってよく言われませんか?」
「お人好しってより身内に甘いだけだ。……一度失った辛さだけは未だに忘れられないからな。」
今でも時々夢を見ることがある
楽しかった両親のことを
……大侵攻のときの夢を
「……だから今度こそは大切な人を守れる強さが欲しいんだよ。」
もう失いたくないから。
もう何もできないのは嫌だから
だから俺は強くなりたい
生活だって落ち着いているし、今は少しくらい弱音を言ってもいいだろう
「……」
「……」
速水も神崎も黙って聞いている。
まぁ、分かれって言う方が酷だ
俺は神崎と速水の頭を軽く叩く
「だからお前らくらいは守らせてくれ。大事な仲間なんだから。」
そういうと俺は明久と三上のところに向かう
今度こそは守ってみせるから、見守ってくれよ
明るいからか空をみても星空は全く見えなかった
アンケート結果ですが、一番多かったのは増やさないという回答だったので予定していた人以外は加えることはしないことになりました
アンケートに答えてくれた123名のみなさまありがとうございました。
まさかこんなにもアンケートに答えてくれるとは……
ご覧頂きありがとうございます。駄文ですが救えなかった少年これからもお願いします