救えなかった少年 作:ニック
翌日三門駅付近で俺は三上を待っていた
というのも三門アウトレットとは違い駅前からの方からの方が近いのだ
服は適当に白Tシャツに適当に合わせてきたけど
約束の時間は後20分くらいあるのでまだ時間は有り余っている
まさか三上と出かけるなんてな。
学校でもボーダーでも屈指の人気を集め、さらに俺たちのA級入り後は一気に評価が変わり上層部からも一目を置かれている
……ぶっちゃけあいつの弱点って人に頼ろうとしないくらいでほとんどないんだよな
気が利きオペレーターもかなり早いスピードで覚えている。
絢辻や中央オペレーターの知り合いに指導を頼んでいたし、時間を見ては俺もトリガーの切り替えなど三上の手伝いに当たっていたのもある
元々チームの要は三上だ
機動力と予知で情報伝達量が他のチームより多く4人チーム、さらに俺と神崎は連携もするようになったのでさらに情報が増えているはずなのにこんなに上手くいっているのは三上が的確にフォローしてくれるからだろう
……スカウトして正解だったな
俺は内心だけほっとしていると
「よう。いや、初めましてかな天才少年君。」
声をかけられる
「……初めましてではないでしょ。というよりも八百屋の常連さんがまさか迅さんって思いませんって。」
ゴーグルをかけた少し大きい男性は新規S級隊員となった迅さんだった
「てか、俺の方からも少し気になっていることがあるんですけど。」
「何だい。少年。」
「……何で俺たちの隊を東隊を解散させてまで、A級にするように動かしたんですか。」
未来が見えるというのはいくつかの可能性が見えるってことだ。
俺はメンバーが確定した時にいくつかの可能性を見たのだがその時にいくつかの可能性があった
一つ目はまぁ、B級中位グループ。そして二つ目がB級上位グループでこの可能性が一番高かった。
だけど東隊の解散で全てが変わったのだ
一つ目は重点的に加古先輩が俺の指導をしたのが一番大きいのだろう
「……まぁ。バレるか。」
「当たり前です。俺のサイドエフェクトがそういっていましたから。」
「まぁ、そうした方が忍田さんや俺にとって都合がよかったんだよ。」
「……派閥争いですか。」
俺がそういうと迅さんは頷く
「あぁ。って知っていたのか?」
「玉狛と城戸司令が仲が悪いことは知ってますよ。俺も時々上層部に呼ばれるので。」
「まぁ、ぶっちゃけると忍田さんの派閥に入って欲しいんだよ。」
「……忍田さんですか?」
「あぁ、これから城戸派と俺たちで相当な対立が生まれる。できればその間に加藤隊がいると助かるんだよ。」
「いや、東さんがいるじゃないですか。俺もアタッカーの指導任されるんですよ。」
「知っているよ。……だからこそお前が適任なんだ。」
「……どういうことですか?」
「いずれわかる日がくるさ。俺のサイドエフェクトがそういっている。」
……とは言ってもな俺一人の意見で決めることじゃないしな
「まぁ、一応隊のみんなと話しておきます。一応派閥に入るってことは結構大事なことだと思うので。」
「あぁ。それでいい。それと、」
迅さんは一つ息を飲み
「少年の両親が死んだのは少年が悪いわけじゃないさ。」
と一言だけ言い迅さんは去っていった
「……」
俺はただ呆然とその後ろ姿を見ていた
……何でこのタイミングで伝えるのかな
いや、このタイミングで伝えたのは理由があると周辺を見回すとやっぱり三上がいた
「……聞いていたか。」
すると三上は少し迷っていたが頷く
「う、うん。」
「……そっか。」
多分誰にも見せたことがない顔をしているのだろう
「……ちょっと付き合ってくれ。少し話したいことがある。」
『予知なんてできるわけないだろ。』
『あんた何バカのこと言っているのよ。そんなことより勉強しなさい。模試がもう近いのよ。』
それが最後の両親と話した言葉だったんだ
……予知が使えるからって救えるとは限らない。
あの日の朝、母さんと父さん言われた言葉が嫌にも思い出してしまう
……今でも時々夢をみる
楽しかった思い出やどうでもいいと思っていた説教や褒められて調子に乗っている自分の夢
でも一番多いのは自分の両親がネイバーに殺される夢だったんだよ
仕事に逃げていた時点で、ずっとそのままだったんだろう
現実を見るのが怖くて
失うことが怖くて
危険予知
サイドエフェクトはみんなは睡眠の進化だと思われているのだが本当は違う
人間には五感とほかに第六感と呼ばれるものがあるのはしっているか?
生まれつき俺は臆病で泣き虫だったらしい
さらに母さんは成績至上主義であるから、さらにメルヘンチックであったこともあったのが原因なんだろう
だから第六感が発達した
最初はただの危険予知だった
こうしたら怒られるとかテストで間違いがあった時に気付く程度だったんだ
人の顔を伺い人をストレスが溜まる日々だったから
いつの日か未来が見えるようになっていた
……だけどそんな日も俺にとっては幸せだったのだろう
元々成績もよかったのもあるのだが普通に父さんは優しかったし、母さんは将来のことを考えてくれていたことがわかっていた
……だから俺は自分が許せない
自分が守れなかった
未来を変えられなかったんだよ
一通りぶっちゃけると俺は息を吐く
ここまで自分のことを話したのは本当に初めてだった
からんと氷の音がなり、昼前で混雑していた喫茶店の中で俺たちの机は対象的に静かだった
そして終始無言だったのだが
「これが俺の罪。本当なら少し粘れたらもしかしたら助けられる未来もあったんだよ。」
事実1割ほどだけどそういう可能性があったんだが
「でも、俺は自分が確実に生き残るルートを選択した。助けられる命を俺は見捨てて自分だけが生き残る選択をしたんだ。」
来月から中学生になる俺にはかなりつらい結末だった。
「……まぁ、まさかこのタイミングで迅さんが介入してくるとは思わなかったけどな。完全に見落としていた。」
「……予知で見えなかったんだ。」
「というよりも見えないように仕向けたんだろうな。……お前と待ち合わせしていたからその約束を破ることは俺に取って両親の死と向き合うよりも最悪の未来だし。」
「えっ?」
「俺にとって第一優先は友達と師匠だ。……お前もメンバーもな。」
俺は少し息を吐き
「死んだ人間より生きた人間。それに守りたい奴らがいるし、逆に守られる立場って知っている。」
「……それって私たちのこと?」
「当たり前だ。だって俺には足りないところをお前らで補っているんだし。」
「……へ?」
「三上は純粋な優しさと視野の広さ。信頼性も高く気遣いができる。速水は根っからの仕事人。……きついときはあるけどそれでも任された仕事はキチンとやり遂げる。神崎は人のことをよく見て的確にサポートする。いわゆる気遣いができる存在。んで明久はムードメイカーでまっすぐで、んで誰よりも優しい性格。全部俺よりも優れている点で。俺にはない才能なんだよ。まぁ、うちの隊は全員が一癖あるような性格なんだけどな。」
事実、何度も明久や三上には救われているし
「俺が作ったからかもしれないが俺はお前らのこと好きなんだよ。……だから今度こそは守りたいんだ。みんなを。もう二度と大切誰かを失わないように。……誰かを悲しませないように。俺みたいなことを起こさせないように。」
すると三上が驚いたように俺を見る
「……加藤くんは復讐とかは?」
「別に考えてないさ。ぶっちゃけ俺の力不足が原因だったし、それにお前らに復讐を目標にしてほしくないしな。」
「……優しいって言っていたけど、加藤くんも十分優しいと思うよ。」
三上はそんなことをいう。俺はキョトンとしてしまうが少し笑ってしまう
俺は優しいなんて思わないし見捨てる奴は見捨てる
それでもこいつらに優しいって評価をもたれているんだったらそれならばいいだろう
……俺が守りたいのはお前らだからな
「……まぁ、いいや。とりあえずこの話はおしまい。結構久しぶりに溜まっていることを言えたしな。結構すっきりした。」
「やっぱり溜まっていたんだね。」
「聞いてくれる人がいなかったしな……案外ストレスとか溜まっているんだぞ。まぁ時々三上に愚痴聞いてもらえばいいか。」
「……えっ?私?」
「せっかくだし、お前のことも聞かせろよ。あんまり学校でも宇佐美と絢辻に取られるしボーダーだったら出水や明久と話すから話す暇ねぇしな。あんまり二人っきりで話す機会ないしそれに俺ばっかり恥ずかしい話してお前が無傷っていうのが苛つくし。」
ただの憂さ晴らしとも言える言葉に三上はキョトンとしているが意味が分かったらしく笑っている
そして、店の人に注意を受けるまで俺たちは話を途切らせることはなくずっと話していた