救えなかった少年 作:ニック
学校中がざわざわと盛り上がり、そして俺と三上は来て欲しくなかった日が迎える
「マジで、これ着るの?」
「うん。いいから。早く、早くもうお客さん来ちゃうよ。」
「……ちょっと栞ちゃん後ろ大丈夫?」
「大丈夫だよ〜。ほら歌歩ちゃんも早くしなよ。」
そうやって俺たちは着替える事になる
休みたかった文化祭。それも今回は那須や出水、神崎や速水も見にくるという事なのでかなりの来客数が見込まれているのだが
これやっぱり似合わないだろ。
俺はくじ(多分仕込まれていた)ものを着ながらため息をつくしかなかった
「宇佐美お前な。」
俺は着替えから終わり出て来るとするときゃーと騒ぎ声が聞こえる
「うん。やっぱり似合っているね。加藤くん。」
「嬉しくね〜。てか何で俺はこれ結構恥ずかしいんだけど。」
というのは俺の今の格好であるのだが
まぁぶっちゃけ執事服なのだ。
どうやら黒執事というアニメのコスプレらしいのだが、俺は見ていないので本当にどういう風にすればいいのか分からない。
そして三上の方も出て来るとするとおぉという声が漏れる
三上のコスプレはもはやコスプレも関係なく、ウエディングドレスである。
最初は三上も嫌がっていた物の、店の手伝いをしなくていいというかなり魅力的な案を出された為に結局三上が折れた。まぁ俺もそうなのだが
「しかし、加藤くんも歌歩ちゃんも似合っているね。」
「はぁ、たく客寄せでこんなに派手な服作るかよ。」
「さすがに私も恥ずかしいかな。」
とある意味公開処刑をすることになるという最悪のことになった
「はぁとりあえず回るか。とりあえず俺たちはこの格好で文化祭を楽しんでくればいいんだよな?」
「うん。それとこれ、文化祭の無料券。」
「「えっ?」」
「いや、さすがに加藤くんも歌歩ちゃんも働いているとはいえ一日中遊ぶことになるから。そうすると加藤くんのお財布軽くなるでしょ?」
「ちょっと待って。この格好で一日中回れっていうのか?」
「文化祭でボードを持って無料で遊べるんだよ。それとも一日中その格好のままで接客する?」
「「……」」
逃げ場はないと思ったので無料券を受け取ると
「んじゃ行くか。」
「そうだね。」
「それと他のクラスの宣伝もしてね。それが無料券の条件だったから。」
「了解。」
と宇佐美はにこにこと笑いながら俺たちを見送った
「それでどこから行くか?」
俺は三上と歩きながらぐったりしたようにする
というのも廊下に出た瞬間捕まり俺と三上は捕まり写真撮影の列ができてしまってもう1時間が経過していた
おかげでかなりの気力と精神がすり減りさらに未だにボーダーメンバーに会っていないという事実がある
「そうだね。とりあえず吉井くんと遥のところに行かない?」
「まぁ、そうなると思ったよ。」
まぁどのみち行く羽目になるだろうし別にいいけど
そうして視線を集めながら俺たちは明久達がいるAクラスへと向かう。
そして中に入ると
「あっ。加藤くんって歌歩ちゃん!?きゃ〜!!加藤くん何その格好?」
とテンション高めで綾辻が俺たちをみる
「……コスプレ喫茶の衣装。俺と三上は番宣係。」
「加藤くんも歌歩ちゃんも似合っているよ。明久くん来て歌歩ちゃんと加藤くんが。」
「あぁもうあんまり広めないで!!」
「どうせ嫌でも目立つことになつよ思うけどな。」
ウェディングドレスと執事服の二人なんかどこの文化祭回っても俺たちだけだろうし
「そういや、中華喫茶ってどんなもの売っているんだ?さすがに麻婆豆腐とか青椒肉絲売るわけにはいかないだろ?」
「胡麻団子と黒烏龍茶だよ。」
「おっ。明久。おはよう。」
「おはようって何でぐったりしているのさ。」
「女子に囲まれ写真撮影。」
「……本当にその苦手なんだね。」
「……明久いないと女子に囲まれるの本当に無理。」
基本見知った奴なら大丈夫なのだが学校の奴はクラスメイト以外に囲まれると未だに慣れない
「……はぁ。それならこれって使えるのか?これ使って他のクラスの宣伝してこいって言われているんだけど。」
「えっ?あっこれ加藤くんも貰ったんだ。2学年だけだけど使えるよ。」
「サンクス。んじゃ胡麻団子とお茶一つ。ボーダーの奴らも今日はくるらしいし、那須も友達連れてくるって言っていたからな。宣伝は任せとけよ。」
「……えっ?玲ちゃんくるの?」
明久がびっくりする。まぁ那須が人混みが多いところに出るのは珍しいしな
「体調が最近はいいらしくて、後はいとこがこの学校にいるらしいからついでにって感じだけどな。」
「それじゃあ玲ちゃんに久しぶりに会えるかな。」
「まぁ、俺は会えるから別にいいけどお前も会いにこればよかったのに。」
「僕はいいよ。二人の邪魔したら悪いし。」
「邪魔って普通に昔3人で話していたから邪魔じゃないと思うけど。」
すると呆れたように明久は俺を見る
まぁどうせ『これだから巧は』とでも言いたいのだろう
「それにあいつも会いたがっていたから。それに神崎と速水も来るのそれくらいだし。ついでに嵐山隊と嵐山さんの従兄弟もくるらしいし今回かなり大人数になりそうだな。もち加古先輩も来るらしいし公平も友達連れてくるらしい。」
「また豪華なメンツだね。僕も国近先輩とユキちゃん回る約束しているから。」
「…国近先輩とよく徹ゲーやっているもんなお前ら。」
小学生と中学生が徹ゲーをやって俺も時々付き合わせれるが、基本的に俺は落ちてしまい途中で寝てしまう。
てか神崎があの二人についていける方がすごいと思うんだが
なお、小学生組の両親は俺と三上から勉強をしっかり教えているので塾行っていた時よりも成績が上がったことを喜んでいたのと一度二人が隊室にいる時に挨拶しに行ったことにより信用出来る人物だと判断されたらしく、俺と三上のいる時だけはボーダーで泊まることを許してくれた。
だけど徹ゲーだけは勘弁してください。マジで。
それともう一人今回に限ったら一番大事な人がくる
連絡を取ったところ色々言われたがまぁ条件持ちで引き受けてくれることを承諾してくれた
……はぁ、まぁこう言った特殊任務は得意だし、上層部にももう説明して修学旅行でのトリガーの使用許可を得ているんだけどな
「あっ、そうだ、綾辻生徒会長から、今日くらい仕事はいいからゆっくり文化祭楽しんでおいでだってさ。」
「えっ?」
「お前俺に働きすぎって言いながらボーダーと生徒会掛け持ちで毎日仕事をしていたらしいじゃないか。……俺に生徒会長から報告きているんだぞ?」
すると視線を逸らす綾辻
……こいつもある意味仕事中毒じゃねーか
「はぁ。というわけでこいつ借りて行くぞ。」
「えっ?」
「うん。根回しは終わっているから綾辻さんのことお願いね。」
「ちょっと吉井くん。」
「……結構マジでやばいんだよ。お前。」
俺が小さな声で綾辻に警告する。というのもサイドエフェクトである未来が見えたからだった
「サイドエフェクトでお前が倒れる未来が見えた。」
「……えっ?」
「一応明久に頼んで無理言って綾辻を休ませるように頼んでいたんだけど、生徒会の仕事の方に行っていたんだろ?」
出来るだけ気づかれないようにしないようにしないと未来が少しややこしいことになるんだけど
まぁ、俺の不利益になるだけだしそこは置いといて
「今日一日付き合え。少し気分転換しないと本気でまずい。」
「……うん。」
悪いけど今回ばかりは笑ってはいられない
明久に結構無茶を言って休ませるようにしないといけないくらいにやばい未来だった
それを察したのか綾辻はただ頷くだけだった
「明久一人分追加。」
「うん。もう準備はしてあるからいいよ。それで料金は。」
「いくら?さすがに払う。」
「二つのセットで500円だよ。」
「あいよっと。……んで突っ込もうか突っ込まないか迷ったけど、何でお前だけチャイナドレスなんだ?」
ワンコイン払った後に明久は真っ赤で派手な服を着ていることに俺は苦笑してしまう。
「……これが条件だったんだったから。」
「……悪い。うち俺持ちで。」
「肉。」
「ジで。」
「了解。」
打ち上げ数万は飛ぶだろうな。焼肉としたら安いけど
「お前らも行くか?」
「なんて言っていたのかまず分からないんだけど。」
「打ち上げを俺おごりで寿寿苑になったって話。」
「えっ?いいの?」
「いいぞ。最近明らかに弁当豪華になったしな。」
主に加古炒飯を食べる機会が増えた分増えたんだけど
それに太刀川先輩や堤先輩が俺たちを誘ってくるので速水と神崎に至ってはその二人をブラックリストという名の隊室出入り禁止としたのだ。
まぁうちの隊で炒飯ばっかりな現状はさすがに俺もくるのもがあるけど
「綾辻も来れば?防衛任務もないし。」
「私もいいの?」
「甘いものじゃなくて悪いけどな。」
「やった〜!!」
と無邪気に笑う綾辻に俺は少し苦笑してしまう。
時々見せる子供っぽい発言はいつもよりも可愛く見えた