救えなかった少年 作:ニック
胡麻団子を食い終わった後に俺と三上と綾辻は廊下を歩いていた
「それで、これからどうするの?」
「ん?適当にクラスごとに回っていってあいつらが来るのを待つって感じだな。ちょうど目立っているだろうし。」
「目立つって。」
「こういった場面は便利だよね。」
「あんまり人目集めるのは勘弁してほしいけどな。」
綾辻の言葉に反論する。こいつは目立つことにはとことん慣れているしな
「でも、ボーダーだったら加藤くんは有名でしょ?中学生ながらA級部隊を率いて私たちを集中砲火したんだし。」
「嵐山隊強いんだけど個人でいえば二宮先輩、明久、俺、加古先輩の順に強いだろ?」
「えっ?吉井くん加藤くんよりも強いの?」
「相性がいいから俺と明久が戦ったら俺が勝つけどそれでも、あいつくらいじゃないのか?太刀川さんに純粋な剣の勝負で勝ち越せるのは。」
「……えっ?」
「吉井くん本気で強いからね。加藤くんのサイドエフェクト持ってないのにランク戦に入り浸っているおかげだけど、私加藤くん以外に吉井くんが負け越しているところ見たことないかも。」
「俺は二宮さんに負け越しているところは見たことはあるけど、それでも4ー6だったからなぁ。何というか、明久の剣って一撃で仕留めるっていうより地道にトリオンを削っていく持久戦よりの戦い方なんだよなぁ。俺は短期決戦型でトリオンをかなり消費する戦い方をするから。」
事実俺はトリオン消費力を考えずなりふり構わずに攻めることが多い。実際前のランク戦は明久には不利な状況な戦いだったはずだ
「トリオン能力が同じだったら俺でも勝てないさ。それ以前に防御よりの戦闘スタイルは多分トリオンが少ないからこそそうしたんだろ?明久は俺たちに嘘をついてまで多分スタイルを変更したくらいだったしな。」
「どういう?」
「あいつはチームの勝利を優先し自分のスタイルを変えたんだよ。」
一言だけ呟くと
事実明久のスコーピオンはマスターランクに達しており、そして普通にアタッカーとしてもエースとしてできるくらいの実力を持っている
……明久はバカだ
バカだけどそれでもチームとしての明久はバカではないということだ
もう少し頑張らないとな
そんなことを思わされてばっかりだ。
神崎だって速水だってコソ練していることも知っている
あいつらを生かすのも殺すのも俺の采配しだいだろうし
それにあいつらのことを守れるのも俺と。
俺は横を少し見ると綾辻と話している三上がいる
……恵まれているよな。
元々は俺と三上から始まったこの隊はいつの間にか俺の居場所となっていた
本当に金の為に始めたボーダーだけど本当に入ってよかったな
……なんか柄にもないことを思っているなと思いながらも鼻歌を歌っていたらしく綾辻と三上が首を傾げていた
「おっ。巧じゃん。って何その格好。」
すると出水が友達と思われる男を連れて来ている
「……宇佐美に一日中遊んでいいって言われた代わりにコスプレさせられた。」
「まだコスプレなだけマシだよ。私なんてウエディングドレス着せられたし。」
「ん?もしかしてお前栞と知り合いなのか?」
すると出水の友達なのかカチューシャをつけている男がいた
「ん?あぁ。一応同じクラスでボーダー仲間だな。公平の友達だよな?」
「あぁ。俺は米屋陽介。」
「俺は加藤巧。まぁ、公平の同期だな。」
「話には聞いているぜ。一期だけでA級まで上がった化け物だろ?」
「化け物って。おい。」
「事実じゃねーか。てかお前だけだろ?唯一の中学生隊長で今はシーズン途中だけどA級一位だろ?」
「……あっ。」
そういえば順位のこと全く気にしてなかった。
「あっそっか。この一ヶ月間はA級一位って加藤隊なんだ。」
「選択権あったからだろうな。てか全く気づかなかったな。」
「私も。」
「……お前ら。」
「いや、だって俺と三上って基本仕事回されて書類仕事ばっかりだぞA級になってからランク戦ブースにすらあまり行ってないし。最近じゃ綾辻と三上と一緒に気分転換で遊びに行くくらいじゃないのか?」
「女子ばっかりだな。」
「お前は断るし、明久はゲームかランク戦だしな。」
「お前男の知り合い少なくね?」
「後、風間先輩、太刀川先輩、嵐山さんだぞ。堤先輩はともかく俺たちの下同級生案外男子いないし、それに弱いし。」
「辛辣だな。」
「……だって同学年で今俺が負け越す可能性があるやつってお前と明久、三輪以外に本部にいると思うか?」
「いや、全く。」
「つまりはそういうことだ。」
俺はため息を吐く
「支部の奴らは俺は知らないけど、俺と正隊員で個人で負けるのは太刀川先輩と二宮先輩くらいだろ?今の所。」
「弾丸有利と言われているのにお前ら普通に弾を切ってくるからな。」
「シールドがもろすぎるんだよ。マジで。」
「そういう問題じゃないだろ。」
呆れたように俺を見る
「でも、未だに負けてないことを考えると、お前らのチームって本当に強いよな。でも、俺たちも来季からチーム組むからその時はよろしく。」
「おっ。それは楽しみに待っているさ。……まぁ負けねぇけど。」
「おう。それじゃあ明久のところ行ってくるわ。」
「面白いことになっているからカメラ持って行った方がいいぞ。それと米谷って言ったか?」
「おう。なんだ?」
「三ヶ月後楽しみに待っているさ。」
俺はそういうと手を振り歩き始める
多分首を傾げていると思うけど俺のサイドエフェクトは告げていた