ゾルディック家の喰種   作:政田正彦

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ぁ……他作品から来た読者さん……なんで……続けないって言ったのに……。
やだぁ……他の創作に浮気しちゃってるトコ、見られちゃってるよぉ……。



……てことで、続いてしまった。

もう続かない(多分)


……あ、あと、書き忘れてたんだけど、前回の念能力紹介の所に……
まぁぶっちゃけちゃうと、血肉を食らうとそいつのオーラを自分のものに出来る、
ただし性能はメルエムに比べると超劣化版、みたいな感じの文と追記しときました。








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 トルイが喰種として目覚めてから、多くの年月が過ぎていき、彼は13歳となった。

 

 既にシルバによる()()は受けていない。

 それは彼がもう訓練等必要無いと判断された為である。

 

 むしろ彼の能力を思えば今家の中に閉じ込めておくのはもったいない。

 (キキョウは「まだちょっと不安なのだけど」と渋ったが)

 

 彼らとしては、彼は13歳という歳で暗殺者として仕事を受け、積極的に依頼にあった人物を喰っていった。

 

 無論、中には念能力者も居たが……並みの念能力者ではまるで相手にならない。

 なにせ、相手は既に人間の領域では無くなってしまっているのだから。

 

 

「……今日のは大した事無くて、良かったよ」

 

 

 とある街、明かりの消えたビルの屋上、トルイは月の光に照らされながら、そう独りごちる。その手には、先程殺した標的の血肉が握られていた。念能力者の物だ。

 

 彼が念能力者を相手にこうして血肉を貪るのは、これで7人目である。

 

 1人目は流石に苦労した。2人目は相手が弱すぎた。3人目はそこそこ強かった。4人目は腕を切られたが逆に四肢を食いちぎってやった。5人目は念能力の効果で自分が強くなっているという事を実感した。6人目はそいつの念の性質上、喰い損ねた。

 

 そして7人目、マフィアの用心棒だった。能力は、拳銃と銃弾を具現化する能力で、それを隠で隠す事で、文字通りの騙し()ちを得意とする奴だった。

 

 ……逆に言えばそれだけだったし、よしんば彼の銃弾がトルイの急所に当たっていたとして、一撃で仕留められたかどうかは微妙なところである。

 

 何故なら()()()()()()、それでも尚彼の行動を阻害する事すら出来なかったのだから。

 

 

「……もう要らない」

 

 

 そう言って、トルイはベッ、と口に含んでいた脳を吐き捨てた。

 

 

「……やっぱり、あんまり強くなった感じがしないな」

 

 

 じっ、と自分のオーラを見ながらそう呟くトルイ。

 彼が血肉を貪るのは単に人間の血肉以外で飢えを満たす事が出来ないという制約と誓約によるものだけではなく……〝貪った相手のオーラを一部自分の物に出来る″という、彼の念能力の本質によるものである。

 

 彼は、自分の念能力を、単に喰種もどきになる【喰種(僕は喰種だ)】と、それの副次的効果で使えるようになった、腰から生える鋭い触手のような物を具現化して操る念能力、【赫子(液状の筋肉)】そして、上記の【共喰い(この世界は弱肉強食)】という、三つの念能力と分けて認識している。

 

 この世界はあくまでH×Hの世界である為、Rc細胞も、CCGも、そもそも喰種という単語そのものが存在しない。

 

 そしてトルイも、経緯はあの上位次元的存在によって覚醒させられたとはいえ、やっている事は前世で見た漫画・アニメの、喰種という設定を模倣し、具現化し、再現する念能力を手に入れているだけに過ぎない。

 

 故に、更に強さを追い求める為、彼は食べなくてはならないのだ。

 

 

「もっと強くなる為には……もっと強い奴を喰べないと」

 

 

 

 そう呟きつつ……これがドラゴンボールだったなら、ワンピースだったなら、とあるだったら、ジョジョだったら、NARUTOだったら、BLEACHだったら、fate/だったら……こうはならなかっただろうに、とトルイはため息をついた。

 

 

 

 

 とはいえ、トルイの置かれている環境は非常に恵まれているといっていいだろう。

 

 なんせ、彼のいる家は人殺しが容認されているどころか、それを仕事としているような一族であり、常により優れた暗殺者となるためにはどうすればいいのだろうか、と模索するような者達である。

 

 幼少期こそ最悪だったが、こうして喰種として目覚めた今では、ここほど恵まれた環境はそうはないだろうとトルイ自身も自覚していた。

 

 なんせあちらから自分の食事が多額の報酬付きでやってくるのだから。

 

 そして、ビルから出たあたりで、トルイの携帯に着信がかかる。

 画面を見ると、弟からのようだ。

 

 

『もしもし兄さん?そっちは終わった?』

 

「丁度食べ終わったよ。そっちは?イル」

 

『(食べ終わったかじゃなくて殺し終わったかどうか聞いたんだけど)こっちもあっさりだったよ、トル兄』

 

 

 電話の相手の少年の名はイルミ=ゾルディック。

 本来のH×H本編でのゾルディック家の兄妹の長男であり、この世界ではトルイの弟、そしてゾルディック家の次男、トルイとは一つ違いで、現在は12歳である。

 

 ちなみに、彼はまだ念能力に目覚めて間もない。修行の意味も兼ねて、トルイやシルバの仕事について来たりする事もあるが、未だに苦戦した様子を見たことがないあたり、やはりイルミも暗殺者としては相当な才能を持っているのだろう、とトルイは自分を差し置いて静かに戦慄している。

 

 三男となるミルキは今この場には居ない。ちなみに現在はまだ五歳の彼は流石にまだ引きこもっていないし、デブでもないし、オタクでも無ければPCを叩いてもない。彼にもこんなに可愛い時期があったんだなあ、等と考えてしまった程である。

 

『ああそうだ、母さんから伝言』

 

「うん?」

 

『弟が生まれたから家に顔出せってさ』

 

「ん、分かった。もう今回ので今日は終わりだから、すぐ帰るって伝えておい……ああ、やっぱいいや、帰りに電話しとく」

 

『そ。俺はもう先に帰ってるから』

 

「うん、じゃあ気をつけて帰るんだよ、イル」

 

 

 そう言ってトルイは電話を切る。切られた向こう側では、イルミが「俺が何に気をつけろって?」と首を傾げているのは語るまでもない。

 

 

 さて、あっさりとした口調で告げられたが、キルアが誕生した。

 

 トルイは無論キルアの事を知っているし、彼が誕生したと聞いて嬉しくもある。

 だがそれ以上に、自分がいることで何か変わっちゃったら嫌だなあ、という漠然とした不安があるのだ。

 

 実際、既にイルミの件では、彼が()()()()際にシルバと立ち会う事になったりだとか、そのせいで、多分、語られてはいないので憶測ではあるのだが、実際よりかなり酷い目に遭わせてしまったのではなかろうか、と考えている。

 

 流石に、イルミが念に目覚めた後、ただの鞭では効果が薄いからと言って赫子を使って殴らせられた時は死なないように手加減するのに一苦労だったし、それだけ手加減しても、今でもイルミは彼の赫子を見ると一瞬身体が強張る事がある。

 

 是非原作開始までに克服して欲しいところではあるのだが、使用人の一部にも同じような事になっている者が何名か居る事で不安を覚えている。

 

 

 

 そんな不安な気持ちを抱えたまま、トルイが家に帰宅すると、そこには久々に見る母、キキョウの姿があった。ベッドの上で横になりながら赤子をその手に抱くその姿は、どこからどう見ても、ただの母親そのものである。

 

 

「ああ、トルちゃん、おかえりなさい」

 

「ただいま、母さん」

 

「帰ったか。見ろトル、男の子だ」

 

「電話でも聞いたよ。それで、なんて名前なの?」

 

「キルアっていうのよ」

 

 キキョウが嬉しそうにそう答えながら「ねぇ?」とキルアに語りかける。ああ、こうして見れば普通の家族なのに、とトルイは内心複雑な気持ちになった。

 

 

「そっか……立派に育つんだぞ、キルア」

 

 

 そう言って優しくキルアの頭を撫でる。撫でながら彼の今後の受難(主に幼少期の地獄)を思うと少しだけ涙が出そうになった。こんなに可愛いのになあ、と。

 

 

 

 そして、続けざまにアルカが生まれ(この際色々とゴタゴタがあるがそれについては後述する)、そしてカルトが生まれた。 

 

 そして、その二年後にキルアがゾルディック一族の血を一層濃く受け継いでおり、ずば抜けた暗殺の才能を持っていることが判明した。トルイはこの際シルバに呼び出され「お前には本当に申し訳ないんだが、次期当主はキルアにしようと思うんだ」と言われる事となる。

 

 無論トルイはそれを「そりゃそうだよね」と当たり前のように受け入れ快諾した。

 

 原作では「なんでイルミじゃダメなんだ?」と物議を醸す後継者問題だったが、この世界でも原作同様、トルイでもイルミでもミルキでもなく、やはりキルアが選ばれる事となった。

 

 トルイは知らないことだが才能だけで言うなら同じ時期のトルイと比べてもそう大差無い、どころか、シルバをもってして「こいつは化物だ」と思わせた程の念の才能はキルアには無い。

 

 

 問題なのは、ゾルディック一族の血だ。

 

 

 トルイは頭髪が上半分だけが銀髪で、下半分は黒髪である。

 目は射殺すような鋭い眼光で、しかし色彩は黒色で母親の色を受け継いでいる。

 体格は、筋肉質だがすらっとして引き締まっている。

 

 このように、見事にシルバとキキョウの血をどちらも受け継いでいるのだ。

 だが逆に言えばゾルディックの血は半分しか受け継いでいない。

 

 そうなると問題となるのは、もしトルイが当主となればその子供はゾルディックの血を半分以下しか受け継ぐことが出来ないという事である。

 

 もしトルイの持つ化物的な念の才能も受け継ぐ子が生まれるなら話は別かもしれないが……念はあまり遺伝がどうこう、といった話を聞いたことがない。

 

 既にイルミは操作系である事が発覚しているし、トルイは特質系、キルアは変化形とバラバラな事からも、念に遺伝等といった血は関係はないという事が明らかだ。

 

 

 よって、ゾルディックとしての血を一番色濃く受け継いで生まれたキルアこそ、この家の次期当主に相応しい、と考えられているのである。

 

 

「理由を聞かなくていいのか?」

 

「いいよ。別に。それが親父の判断なら、僕はそれに従うさ」

 

「……そうか」

 

 

 

 それから更に数年が経過した。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 キルアには三人の兄が居る。

 

 下から、三男のミルキ。現在17歳。10歳から引きこもって、見事なオタデブになっている。何かと自分のことを目の敵にしてきて、鞭などを持ち出して引っぱたいて来たりするウザイ奴。これで一族の中では一番頭が良くてネット関係、情報関係で言うなら恐らくこいつの右に出る奴は居ない。素直に頭は良い、そこは認めるが、やはり少し、こう……馬鹿である。

 

 次男、イルミ。イルミと、父、そしてもう一人の兄によって訓練を受けていた事で若干の苦手意識がある。というかぶっちゃけ嫌いである。というか性格も顔も母キキョウ似なのが無性に嫌いである。人をモノ扱いしてくるし……感情があるのかないのか分からない顔も、不気味で仕方ない。

 

 

 そして長男、トルイ()()()

 

 

「ほら、どうしたの?かかっておいで、キル」

 

「だっ!クソッ……!これなら、どうだ!」

 

「うん、隙有り」

 

 

『K.O!』

 

 

「だぁっ!!?また負けた!!チクショー!!」

 

 

 

 こうして一緒にゲームをやる程度には、彼とは仲が良い。というか、一族の中で彼が一番まともな存在だとキルアは思っていたりする。キルアが暇そうにしているとこうしてゲームに誘ってくれたり、仕事に「ついてくるかい?」と連れて行ってくれて、そして大抵帰り道でどこか寄り道して、遊んでから帰る。

 

 ただ「俺も戦いたい」なんて言うと「キルアには今回の相手はまだ早いかな~」と言ってはぐらかされるのだが、これで食い下がるとボコボコにされる。

 

 勝てる気がしない、という意味ではトルイもまたキルアにとって全く勝てるビジョンが思いつかない相手である。そういう意味ではむしろ一番苦手だ。

 

 ただ、そう、なんていうか……唯一、兄らしい事をしてくれる兄とでも言えばいいだろうか。

 

 

「もう一回やる?」

 

「やる!今度はそっちのキャラがいい!」

 

「いいよ。じゃあ今度は僕がこのキャラを使おうかな」

 

「俺が勝ったら俺の好きなお菓子一年分って約束忘れてないよね!?」

 

「もちろん」

 

 

 キルアはトルイ兄さんの事が……まぁ、嫌いではない。

 

 まぁ、キルアはこのほんの三日後に、母や他の兄達の行き過ぎた教育で嫌気が差してきたのでキキョウの顔を刺し、ミルキを刺し、家出する事になるのだが、トルイは「やっぱりこうなったか~」と半ば諦感して苦笑いした。




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トルイ=ゾルディック

特質系の念能力者。25歳。誕生日は9月8日。
身長185cm。体重70kg。血液型は不明。

髪の毛の上半分が銀髪で、下半分の髪が黒髪。
目は射殺すような鋭い眼光で、しかし色彩は黒。
身体は、細身だが筋肉質で仕上がっている。
見事に母と父のどちらの血も受け継いでいる。


ゾルディック家の長男として、次期後継者となるべく訓練または英才教育という名の拷問に幼少期の殆どを費やしており、兄妹ときちんと面識を持ったのは12歳(暗殺者として仕事をするようになった)頃である。

当初は彼が兄弟の中で次の後継者として考えられていたが、キルアという父の血を色濃く受け継いだ弟が生まれた事で、彼を次期の当主にしようと考え始める事となる。

今年で25だが、念の効果なのか、まだ10代後半と言っても通じる程若い。

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