一般人が行うグランドオーダー   作:名無しのガキンチョ

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お久しぶりです。早めの夏休みを堪能してました(白目)
最近やっと落ち着いて執筆の時間が出来ました。
これからまた週一と甲できればと考えていますので読んでくださっている皆様には温かく見守っていてほしいです。


休息 準備 休息

「そろそろ大聖杯だ。ここが最後の休息になるが、やり残しはないか?」

 

アーチャーとの闘いを繰り広げてから、少し歩いたところでキャスターがこちらに声をかけてきた。ここまで来たらもうやり残しとかは特にないはずだ。こちらは準備万端だ。

 

「私の方も特にないよ。このまま奥に進んでも大丈夫。」

 

立香のほうも大丈夫みたいだ。心なしか少し顔がやつれているような気がする。倒れないかちょっと心配だ。

 

「おぉ、こりゃ頼もしい限りだ。ここ一番で(ハラ)を決めるヤツは嫌いじゃない。まだまだ新米だが、お前たちは航海者に一番必要なものが備わっている。」

「運命を掴む天運と、それを前にした時の決断力だ。その向こう見ずさを忘れるなよ?そういうやつにこそ、星の加護ってやつが与えられる。」

 

何だか褒められてるのか呆れられてるのか、よくわからない感じの激励をキャスターからされた。自分はともかく立香は間違いなく()()を持っている。それが何なのかは自分じゃわからない。運を味方にする力なのか、前に進む勇気なのか。とにかく自分にはないものを持っていることだけは何となく感じる。

 

「なに言ってるんだか。進むにしろ戻るにしろ、そのまえに休息が必要に決まっているでしょう。」

 

後ろからマリーさんが、呆れた感じを隠さずに口を開いた。

 

「ドクター、バイタルチェックはやっているの?コイツはともかく立香の顔色、通常より良くないわよ。」

 

『え?!あ...うん、これはちょっとまずいね。急なサーヴァント契約だったからなぁ...。使われていなかった魔術回路(しんけい)がフル稼働して、脳に負担をかけているんだ。』

 

コイツはって...ある意味では信頼されてると言えるのだろうか?だとしても言い方が少しキツイなぁ...。

それにしても、マリーさんが周りをしっかり見ていることに驚いた。自分のことしか考えていないと思ってただけに、意外だった。もしや有能な人なのでは?単にドクターが他のことに集中して気づくのが遅れただけかもしれないが。

 

『マシュ、キャンプの用意を。温かくて蜂蜜がたっぷり入ったお茶の出番だ。』

 

「了解しましたドクター。ティータイムには私も賛成です。」

 

「お、決戦前の腹ごしらえかい?んじゃ俺はイノシシでも狩ってくるか。」

 

いや、この辺にイノシシはいないのでは?今の状況的にも。

 

「いないに決まっているでしょう、イノシシなんて。そもそも肉はやめて。どうせなら果物にしてよね。」

 

「...それより、こんなところでティータイムって大丈夫なのかな?」

 

こっちには英雄様2人にマシュがいるんだし、大抵は何とかなるはずだ。

 

「それもそうだね。それじゃちゃちゃっと準備しちゃおっか。」

 

各々がティータイムを準備し始めたところで、皆には悪いが自分は少しだけ席を外すことにした。特に理由はないが何となく、一人になりたかった。何かあったらすぐに戻ってこれるように、近くの岩場に座り込んだ。座った瞬間体の力が抜け、手足が重くなった。知らないうちに、自分も張り詰めていたみたいだった。

ふと、あの時の戦いでの事を思い出した。初めて敵と出会った。初めて殺気というのを向けられた。初めて殺されると感じた。ゲームで散々やってきた命のやり取り、いつもは敵を倒すことだけを考えていた。しかし、実際にやるとなると、まず体が恐怖で思うように動かない。思考も、沖田さんに任せておけばいい、なんて甘い考えだった。

正直、ここまでキツイと思っていなかったため、精神的なダメージが余計にデカい。自分らしくない。

 

「こんなところにいたのかい、セイバーのマスターさん?」

 

「何だか凄く暗いですね。らしくないですよマスター。」

 

いつの間にか目の前に、沖田さんとキャスターが来ていた。沖田さんが何かを持っていた。...ドライフルーツ?

 

「ええ、マリーさんが懐に隠し持ってたみたいで、紅茶と一緒に召し上がってました。これはおすそわけですって。」

 

あのマリーさんが気遣ってくれるなんて、明日は槍でも降るのだろうか。今まで知り合ってから一回もなかったのでは?多分。ちなみに渡されたドライフルーツはオレンジっぽいものだった。物凄く美味しいです。

 

「何か飲みたくなったらこっちに来てくださいね。まあ紅茶しかないですけどね。」

 

そういと沖田さんは戻っていった。というか本当にティータイムしてるのか...。

 

「こんなとこで何考えてたんだ?まあ大方、戦場に出てみて怖気づいたんだろう?」

 

少しキツイ言い方だが、多分そうなんだろう。実際自分は実際の戦いを怖いと思っている。男なのに情けない。

 

「なぁに、それが普通さ。つか一般人が急に戦えって言われて出来たら、俺らの立場がなくなるって。どれ、人生の先輩としてアドバイスの一つでもしてみようか。」

 

「戦おうなんて考えなくていいさ。あいつもそうだが、お前らは最近まで一般人だったんだ。戦う力がなくて当然だ。だから、ただ生き延びることだけ考えればいいさ。そうすれば何とかなる。なんてったって、お前らは運がいいからな!」

 

「何、要する戦いは俺らに任せておけってことさ。お前はお前のやりたいことをしてればいいのさ。」

 

キャスターから、こんな激励をもらうとは思っていなかった。てっきり男なんだからシャキッとしろ、ぐらいしか言われないと。意外だ。

 

「ほら、あっちに混ざって英気を養いに行ってこい。次は文字通り死闘になりそうだからな。」

 

背中をグイグイ押されてその場から立たされた。そのままキャスターは歩いてしまった。恐らく周りを見張ってくれるのだろう。まあここでうだうだ考えていても仕方ないだろう。まずは今をどうするか。ひとまずみんなの所に合流して紅茶をいただきに行こう。いつの間にか手足にあった重みは感じられなかった。

 

 

 

 

 

 

「...満足です。所長がドライフルーツを隠し持っているなんて、改めてその周到さに舌を巻きました。」

 

「たまたま所持していただけよ。頭痛には柑橘系がよく聞くのよ。それよりも――――」

 

紅茶を飲み終えたマシュが一言呟いた。てか頭痛には柑橘が効くのか。自分も頭痛には苦しめられているから覚えておこう。そんなことを考えながら紅茶を飲んでいると、マリーさんが自分と立香を見つめてきていた。お代わりでも欲しいのだろうか。

 

「.....お代わりですか、所長?」

 

「一杯で十分よ。それと、私は紅茶よりコーヒー派だと覚えておきなさい!い、いえ、そうじゃなくて...そういうコトじゃなくて...ああもう!」

 

立香も同じことを考えていたみたいだったが、どうやら違うみたいだった。そういえば、よくカルデアでコーヒー飲んでた事を思い出した。そして何やら一人で騒いでいらっしゃるマリーさん。普段見られない光景だから見ていてとても面白い。あと少し可愛い。

 

「こ、ここまでの働きは及第点です。カルデア所長として、貴方たちの功績を認めます。」

 

まさかこの状況で褒められるなんて思いもしなかった。立香もキョトンとした顔をしていた。何だかさっきから驚いてばかりな気がする。

 

「ふん、何よその顔は。どうせまぐれだろうけど、今は貴方たちしかいないのよ。その調子で上手くやれば褒めてあげてもいいってことよ。三流でも一人前の仕事ができるんだってわかったし。」

 

『なんと、二人を一人前と認めてくれるなんて、何か甘いものでも食べました?』

 

「ロマニ。無駄口を叩く余裕あるなら補給物資の一つでも送りなさい。二人して頑張っているのに、装備不足で失敗するなんて可哀相じゃない。」

 

『おや、可哀想とはお優しい。これはもしや、所長にもようやく心の雪解けが?』

 

「所長...」

 

「素直に心配って言えばいいじゃないですか。」

 

皆して社長の気遣いに驚いたりイジったりしている。ここまで優しいマリーさんは見たことないから、相当珍しい事なんだろう。本当に、今回はマリーさんの意外なところをよく見れる。

 

「バ...!あ、哀れでみじめって意味よ!そんなこともわからないの?!」

 

『いやあ、いつ見てもいいですね、少年少女の交流というものは。少女というには所長はちょっとアレですが。』

 

「そうでしょうか?所長は確かに年上ですが、趣味嗜好は大変近しいものを感じます。親愛を覚えます。」

 

「なに言ってるのアンタ?!アンタたちなんて私の道具だって言ってるでしょう。

 

「――――――(うんうん)」

 

「ほら見なさい、こんな黒っぽくて怪物っぽいのさえ同意してるじゃない!」

 

「ぇ...あひぃいいい?!マシュ、セイバー!早く排除して!食べられる、食べられる!」

 

「大丈夫ですよ。確かに面妖な見た目ですが、敵意はありませんし。殺気も感じられませんでした」

 

沖田さんがそう言うんだったら間違いはずだ。...もしかして気づいてた?

 

「ええ、気配はありましたし。まあ実害がないようなので手は出しませんでしたけど。」

 

「大丈夫なの?本当に大丈夫なのね?!とにかくマシュ、早くどこかにやってちょうだい!」

 

「わ、わかりました。マシュ・キリエライト。オーダーを実行します。」

 

そういうとマシュは手加減しながら攻撃をして、獣?のような何かを追い払った。多分紅茶やドライフルーツの匂いに釣られたのだろう。いやあ、それにしてもいいものが見れてよかった。

 

「私は良くないわよ!...もう周りにはなにも居ないわよね、ドクター!」

 

『大丈夫ですよ、周りに生体反応はもうありませんから。安心していいですよ。』

 

マリーさんはまだ後ろでぷるぷる震えている。よほど怖がったのだろう。プライドも何もかも全て捨てて、マシュに抱きついている。

 

「オイ、騒がしいが何かしたのか?」

 

『実は...』

 

騒ぎを聞きつけて帰ってきたキャスターに説明し始めたドクター。これは後で色々言われそうだなぁ。事の顛末を話し終えると、キャスターは盛大に笑いだした。

 

「こりゃ傑作だ!アンタにも可愛いところあるなんてな、ハハハ!」

 

「ちょっと、いつまで笑ってるのよ!本当に怖かったんだから...」

 

レアなマリーさんを見ることはできたが、ここまで弄られ続けていているのを見ていると、少しだけ同情してしまう。ご愁傷様です。




久しぶり過ぎて上手く表現出来てるか不安です。
そういえば、アプリの次の夏イベ、北斎さん配布ですってね。
凄くたのしみです
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