けものフレンズR あるトラのものがたり   作:ナガミヒナゲシ

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過去編終章14 「みらいへのねがい」

「聞いてください。私たちの次の作戦が決定しました」

 

 この原子力潜水艦に身を寄せてから何日か経った時のことだ。

 カコさんがとつぜんに仲間を指令室へと呼び集めた。未だ治療中で起きて来られないスプリングボックを除いて、チームジョーカーが数日ぶりに全員そろっている。

 味方の拠点にいるはずなのに、カコさんの表情は戦場さながらに緊迫している。

 指令室内の冷たい照明の下で、いつものように真っ直ぐ伸ばした背筋には、相変わらず途轍もない重荷が乗っかっているように見える。

 

 そして、ヒルズ将軍がカコさんの反対側に立って同様に場を仕切っている。そのすぐ後ろにはシロナガスとオルカが護衛のように連れ添っている。

 

「グレン・ヴェスパーと停戦調停を結びに行きます」

 

「ていせん、ちょうてい・・・・・・? 何ですか?」

「争いを終わりにするということよ。アムールトラ」

「そ、そんなのって!?」

 

 信じられないような言葉だった。

 まだ何にも解決してないのに、人質だって取られているのに、カコさんはどういうつもりでそんなことを決めたんだ。

 

 私以外にも続々と不満の声が噴出した。バズ・チャラが「なぜだ!?」と大声を上げている。指令室にいるヒルズ将軍の側近たちも同じようにざわついている。

 今やパーク内でのCフォースとの徹底抗戦の気運は最高潮に達している。

 せっかく覚悟を決めて前線で戦ってきたのに、ここにきて梯子を外されたんじゃ堪らないと言わんばかりだった。

 

「落ち着きたまえ諸君」と、ヒルズ将軍が鋭い眼光と共に釘を刺し周囲を黙らせる。

 カコさんと将軍。2人のリーダー同士の意見はすでに一致しているようだ。この場はそれぞれの部下たちを納得させるために設けられたのだろう。

 

「我々は今グレン・ヴェスパーの弱みである最高機密を握っているのだ。奴からしてみれば、己の保身のために我々の申し立てを断ることなど出来まい。機密を下手に漏えいさせるよりも、交渉のカードとして使うのが賢い選択だ。そうだろう、ノヴァ?」

「ええ・・・・・・今ここで我々が機密を世間に漏らせば、彼も引っ込みが付かなくなるでしょう。人質が殺され、セルリアンの女王を生み出すための核実験が強行される恐れがあります。それだけは避けなければなりません」

 

 停戦調停の詳細はこうだ。

 カコさんがパーク側の代表として、グレン・ヴェスパーと極秘の会談を開く。

 そして人質の返還と実験用の核弾頭の凍結を要求する。

 向こうがそれを呑むのであれば、最高機密を闇に葬ることと、今後一切の反Cフォース活動を停止することを約束する、と。

 

「そんなにウマく行くのかねェ? 奴ら、またなんか仕掛けてくるんじゃねーノ?」

 

「それを回避するための停戦調停でもあります。なぜならば調停には仲介者が必要なのだから・・・・・・」

 水を差すように言葉を投げかけるウィザードに、カコさんが淡々と答える。

「パークとCフォースとはお互いにNGO団体になります。よって仲介者は世界中のNGOを査察する権限のある国連ということになります。グレン・ヴェスパーが国連の手で設けられた話し合いの場を蹴って攻撃を仕掛けてくるのであれば、国際的な非難を浴び、Cフォースの組織内からも孤立することは間違いないでしょう」

 

「なるほどねェ? で、いったい国連の誰に話を持ってくつもりなんだヨ?」

「もう決めてあります」

 

 そういってカコさんが手前を指さすと、周囲の衛星地図を映しだしていた大型のモニターの画面がパッと切り替わり、見たことがない人物の顔写真が映し出された。

 白人のおばあちゃんだった。私が見た事あるヒトの中で一番お年寄りかもしれない・・・・・・深緑色のドレスを身に纏い、三つ編みにした白髪を後ろにふわりと纏めて、顔をくしゃくしゃにして笑っている。何というか、気品と優しさに満ちた笑顔だ。

 

「彼女の名はイーラ・C・アルマナック。国連の現理事の一人にして、元アメリカ大統領夫人でもあります」

「そ、そりゃジョークかい? そんな雲の上の人間が話を聞いてくれるわけがないってばヨ!」

「いいえ、きっと取り合ってくれます。何故ならば彼女は、いわばパークの生みの親とも言うべき人物なのだから」

 

 それはパークの創設とCフォースとの対立の始まりの話。今から約20年前、始めて天然フレンズが発見された時のことだ。

 カコさんの父である故・遠坂重三さんはフレンズの庇護を唱え、逆にグレン・ヴェスパーはセルリアンと戦わせる兵器として利用することを主張し、互いに全く譲らなかった。そこまでは私も前に聞いている。

 

 フレンズという史上空前の存在に対して人類はどう向き合っていくべきなのか。

 全世界が注目する中、2人の間で繰り広げられた論戦を収束させたのが、当時のアメリカ大統領夫人であり、世界的な動物愛護団体の元締めだった、このイーラというヒトだったらしい。

 彼女は遠坂さんを全面的に擁護した。彼女の絶対的な権力と発言力を前にして、グレン・ヴェスパーは主張を取り下げざるを得なかった。

 しかし外部からの横やりで半ば強制的に議論が終了させられたために、両者の軋轢は拭い去れない物になった・・・・・・そして今にいたると。

 

「イーラ女史ならば必ず停戦調停の仲介者となってくれるはずです。後は私の交渉力次第・・・・・・何としても成功させるつもりです。ですのでどうか納得してください」

 カコさんが諭すように部下たちに告げる。その瞳は静かに燃えているようだ。強い覚悟が伝わってくる。

 

 しかし場の騒ぎはいっこうに収まらない。

「今さら停戦など無理だ」「俺たちは断固戦う」など、部下たちから浴びせられる反対の言葉を、カコさんは無表情のまま、そしてヒルズ将軍は顔を伏せ、溜め息を付きながら受け止めていた。

 

「カコさん!」

 私は周囲の野次を押しのけるようにして、意を決して口を開いた。

 先日の騒ぎの記憶も新しいだろう。未だ信頼されているとは言い難い私が大声を発したのに驚いたのか、それまで非難轟々だった乗組員たちがシンと静まり返る。

 ちょうどいいと思って言葉を続けた。

 この質問だけには、絶対にカコさんの口から答えをもらいたい。

 

「停戦したら、グレン・ヴェスパーをどうやって止めるんですか? あの男の下で可哀想なフレンズが生まれ続けるのをどうやって・・・・・・」

 

 私だってわかっている。核実験の阻止は何よりも大事だ。

 実験によってセルリアンの女王とやらが生み出されれば、グレン・ヴェスパーがフレンズだけでなくセルリアンをも支配下に置くという話なのだから。

 そうしたら、多分だけど、奴がこの世界の支配者になるのだろう。

 絶対にやめさせなくちゃいけないことだ。

 ・・・・・・でも、そのために奴のフレンズへの所業を捨て置くことになるのは我慢できない。

 あの時計塔の中で覗いたメガバットの記憶が、今も私の一部として残っている。彼女が経験したような悲劇を決して繰り返しちゃいけないんだ。

 

 それまで動じなかったカコさんが、私の質問を聞いて、苦痛に耐えるように表情をゆがめた。痛い所を突いているんだ。と思いながらも、彼女が返してくる言葉を待ち望んだ。

 

「今までとやり方を変えるつもりよ」と、辛そうに俯きながらカコさんは続ける。

「停戦調停が結ばれれば、これまでのように敵対することは出来なくなる・・・・・・ですがそれは同時に、Cフォースという組織と正面から付き合うチャンスでもあるわ」

 

 カコさんの考えは、対セルリアンの前線に立ち続けるCフォース軍部に対して、パークがこれまで培ったSSアモなどの対セルリアン兵器の技術を供与するというものだった。

 それらの兵器を時間をかけて世界中に流通させることで、ヒトの手で十分セルリアンに対抗出来るんだという意識をCフォース内に少しずつ植え付けていくのだ。

 

 本来ならその行程は、グレン・ヴェスパーを排除してから行う予定だった。

 あの男の目が黒いうちはフレンズの兵器利用をやめさせることなど出来ないだろう。しかしあの男も高齢だ。あの男が寿命でこの世を去り、その配下の影響力が次第に衰えていくのを待ちながら、ゆっくりと時間をかけてCフォースを改革していくのだ。

 ゆくゆくはフレンズを戦力として使わなくても良い、と多くのヒトが思うまで・・・・・・

 

「かなりの時間がかかってしまうでしょう。何年も、何十年も・・・・・・しかしいつか必ずそうしてみせる。だからアムールトラ、そして皆も、私を信じてください」

 

 そう言うとカコさんは私に向かって、また周りの部下たちに向かって深々と頭を下げた。

 指令室内が段々と静かになりはじめる。

 リーダーがそこまで心に決めている事にしつこく異を差し挟むべきじゃない。納得できなくても首を縦に振るしかない・・・・・・そんな同調圧力が場に広まっていると思った。

 

 私も同じように黙ることにした。

 停戦そのものにはやっぱり賛成できない。でもカコさんの善意を信じたい。どんなに困難な道のりでも、自分の中の善意を貫こうとする彼女の覚悟を信じたい。

 望む結果が手に入るのかどうかはさておいても。

 

「話は以上だ」と、ヒルズ将軍が、収まりかけた場の流れをすかさず畳んでいく。

「ただいまより本艦は高速潜航へと移行する。各員配置に着きたまえ。目的地はマダガスカルだ」

 

 マダガスカル。東アフリカ大陸沖に浮かぶその国は、四方を海に囲まれた島国であることと、都市部よりも豊かな自然環境が面積の多くを占めていたことから、アフリカ諸国の中でもセルリアンの被害を最小限にとどめている国だという。

 その結果、現在ではアフリカ大陸でのセルリアン災害に対する人道支援活動の拠点として、世界中から頻繁にヒトや資材の出入りが行われている場所だと言うのだ。

 

 国連はアフリカ支部の拠点もマダガスカルに置かれている。イーラ女史も現在そこに滞在して業務にあたっているという。アポイントメントもなしの体当たりの訪問にはなってしまうが、今から急いで彼女のもとへと向かうようだ。

 

 ヒルズ将軍の一声で乗組員たちが元の位置へと散らばっていく。一様に表情が暗く張りつめている。この場にいる全員が、後戻りできない道を進むしかない重圧を共有しているんだと思った。

______ゴゴゴゴ・・・・・・

 強い海流にあおられたのか、艦内が軋んで低い金属音が鳴り響いた。

 それはまるで出発を告げる合図か何かのようだった。

 

 

 原子力潜水艦が静かに深海を移動し続けている。

 私はといえば、ここ数日のあいだ、一日のほとんどを修行に費やしている。

 VRマシンを使わせてもらえる時間は限られていたけど、それ以外でも艦内設備のトレーニングルームを使わせてもらって稽古の復習に励んだ。

 パンサーや、例のオルカともスパーリングをした。もっともフレンズ同士が本気で打ちあえば艦が破壊されかねないため、寸止め以外は厳禁だと固く言い聞かされてはいたが。

 

 停戦する予定とはいえ、Cフォースがいつ襲ってくるかもわからないし、そうじゃなくたって、いずれまたセルリアンと戦う時だって来るだろう。

 力を蓄えておくことに越したことはない。師匠の技術のすべてを物にするために、私は食らいつくように修業に励んでいた。

 

「おーいアムールトラ!」

 VR訓練を受けに行くために暗く狭い通路を歩いていると、後ろからパンサーが声をかけてきたので振り返る。何やら興奮気味な、ただ事ではない様子だ。

 

「どうしたの?」

「スプリングボックが目を覚ましたんだって! 例の円柱がたくさんある広間で看病されてるらしいよ!」

「な、何だって!?」

 

 今まさに私が向かおうとしてた場所にスプリングボックがいたとは・・・・・・それに気付かないまま何度も足を運んでいたというのか。

 とにかくこうしちゃいられない。彼女の無事な姿を早く確認しないと。

 

「スプリングボック! どこなのよ!」

「・・・・・・誰かに案内を頼めば良かったね。ウィザードはもう来てるかな?」

 

 パンサーと一緒に急いで例の広間へと向かったが、あえなく立ち往生になってしまった。

 名も知らぬ乗組員たちが数名、なにかの作業に勤しんでいる以外は人気のない広間だ。数十本の円柱が立ち並ぶ様は、何度見ても奇妙で圧倒される・・・・・・しかし円柱はどれも同じような形と大きさで、私には区別が付かない。たしかこれは核ミサイルの発射管なんだってウィザードが言ってたよな。

 

 2人で歩き回っていると、その中の一本がおもむろに振動し、外壁がスライドしはじめた。中から現れたのは、虹色の液体が充填された水槽だった。

 スプリングボックがそこにいた。水槽の中で、口に酸素マスクを付けられた包帯まみれの痛々しい姿がぷかぷかと浮かんでいる。

 しかしそんな有様でも、こげ茶色の揺れる長い髪の間から覗く瞳には、再び燃えるような闘志の光が宿っている。早くここから出せと言いださんばかりだ。これならもう心配はいらないだろう。

 かなりの重傷を負ったはずだったが、やっぱりフレンズの傷の治りは早い。それともこの設備の効果だろうか。

 

 今スプリングボックが入っているのは、まさしくサンドスター調整槽だ。艦内にフレンズ用の治療設備があるというヒルズ将軍の言葉は嘘じゃなかったことになる。

 別の発射管には例のVRマシンが取り付けられている訳だし、他のには一体何が入っているのかわかったものじゃないな・・・・・・。

 

「アンタ大丈夫?」

《・・・・・・ええパンサー、すぐに戦いに復帰してみせますよ》

「本当に良かったよ。心配してたんだ」

《・・・・・・》

 

 スプリングボックは何も答えないまま、水槽を見上げている私のこと鋭く睨み付けて拒絶した。ケープタウン大学の時計塔の中とまったく同じ空気が、私と彼女との間に現れたみたいだった。

 

《アムールトラ、もう一度いいます。私は貴様のことが信用できません》

「ちょっとアンタ、目を覚ますなりそんなこと!」

《パンサーは黙っててください! ・・・・・・アムールトラ、いちどは貴様のことを、故郷を共に守ってくれる仲間だと認めていました。でもそれは思い違いだった》

 

 水槽の中で、スプリングボックが口元からゴボゴボと泡を立ち上らせながら怒鳴り続けている。液体の中にいるというのに、彼女が当たり前に喋れているのは不思議だったが、そういう物なんだと納得することにした。

 

《敵に情けをかけるような奴を、仲間とは認めたくない!》

 私は知っている。スプリングボックは全てを白か黒かで分けないと気が済まない、直情的で純粋な性格なんだ。

 黒と断定した者には苛烈で容赦がないが、白と思う者にはどこまでも優しく尽くしてくれる。そんな竹を割ったような気性が彼女の良い所でもある。

 けれども残念なことに、いまの私は彼女の中で黒になってしまったんだろう。

 

《貴様が見逃した敵が、私たちの後ろにいる力なき者を手にかけるかもしれない・・・・・・そのことが何故わからない!? アマーラを思い出してみなさい! ああいう子を守るために私たちは戦っているんでしょうが!》

 

 そうだよな、と思わず納得してしまい、言い返せないで黙りこくる。

 スプリングボックの言い分も正しい。でも正しさってひとつだけじゃないと思うんだ。そのことをわかってもらうには、どう説明したら良いんだろう・・・・・・

 スプリングボックが私のことをどう思おうが、私は彼女を大事な仲間だと思ってる。すれ違ったままなのは嫌だ。

 

「スプリングボック、ちょっとアタシの話を聞きなよ」

《な・・・・・・パンサー?》

「アンタ、力がない者を守るために戦うって言うけどさ」

 

 調整槽ごしに険悪な空気で向き合っている私とスプリングボックに対して、パンサーがあくまで静かな調子で割って入った。

 酸欠気味で赤くなっていたスプリングボックの顔が少し青ざめた。

 

「力がないのはフレンズだって一緒なんだよ。ヒトに保護されないと生きられないんだもん・・・・・・Cフォースの子たちなんて、命令されて無理やり戦わされてるんだよ?」

《な、パンサー、貴様まで何を?》

「アタシたち、このままでいいの? 自分たちの故郷さえ守れれば、よそで不幸なフレンズが何人いても良いって言うの?」

 

 スプリングボックが呆気に取られたような表情をしている。

 そして私も驚いた。パンサーはパークとCフォース、片一方によらない広い視点で物事を考えようとしている。

 フレンズという種が、この世界でどう生きていくべきか・・・・・・とでも言うような視点だ。

 

「ボスに任せっきりにしないで、アタシたちのこれからはアタシたちで考えるべきなんじゃないの? 今すぐは無理でも、Cフォースのフレンズたちと分かり合って一緒に生きることが出来たら、今よりも絶対に良いじゃない」

《・・・・・・そんな絵空事は興味ないですね》

 

 スプリングボックは、怒りを通り越して不貞腐れたようにトーンを落としてつぶやいた。それでも自分の主張は頑なに曲げるつもりはないようだ。

 

《今でも夢に見ます。私が生まれたあの街、スプリングボックがセルリアンによって廃墟と化していくのを・・・・・・何も出来ないで絶望するしかなかった呪わしきあの日を。私にとって、故郷とそこに住むヒトや動物を守ること以上に大切なことなどありません・・・・・・それはパンサー、貴様も同じだと思っていたのですがね。まったく、失望しましたよ》

 

 それを聞いて今度はパンサーがムッとして言葉を失った。

 なんてこった・・・・・・私が責められるだけじゃなくて、助け船を出してくれたパンサーまでスプリングボックと仲違いするだなんて最悪の展開じゃないか。

 

______パチパチパチ

 

 どうにも決着がつきそうにない口論に辟易するような空気が漂い始めた時、乾いた拍手の音が向こうから響いてきて気まずい沈黙を打ち消した。

 音がする方を見やると、奥の方から姿勢の良い歩容でやってくる人影を見つけた。

 その姿が通りかかると、傍にいた乗組員は作業を取りやめて敬礼をしていた。

 

「やあ、サウスエリアのフレンズ諸君。実に興味深い議論をしているじゃないか」

「ヒルズ将軍!?」

 

「現状の維持を最善とするか、現状を捨ててでも新たな理想を追い求めるか。保守と革新。共同体が存続する限り決して避けられない根本的な問題だ。その時々で何が正しいかは変容していき、決まった正解は存在しない・・・・・・そのような議論が出来るということは、フレンズにはやはり人間と同等の知能と社会性が備わっているのだろう」

 

 将軍は私たちの傍で立ち止まると、拍手をやめて手を後ろに回し、落ち着き払った冷たい笑みを向けてきた。そしてまずは私と目を合わせた。

 

「アムールトラ、今日のVR訓練は中止だよ。ウィザードには急遽べつの仕事をやらせている」

「・・・・・・それだけ私に伝えるために、わざわざあなたが来たんですか?」

「そう邪見にするな。一度君たちと話をしてみたかったのだ・・・・・・これから共に戦うのだから、親睦を深めておくのに越したことはない。君たちも信用できない人間に背中を預ける気にはなれないだろう?」

 

 どこまでも見透かしたような物言いが鼻につく。パンサーもスプリングボックも私と同じように不審そうに黙りこくっている。

 

「あなたはナビゲーションユニットもないのに、私の日本語がわかるんですか?」

「そもそも僕が話せるのはリベリアの公用語、つまり英語だけだ。日本語もアフリカーンスもわからない。だからコイツを使っている」

 

 将軍はそう言って己の左手首を顔の高さに掲げた。

 手首に巻かれている腕時計状の黒いバンドは、よく見ると時計の代わりにカメラのレンズみたいな丸いガラスが中央にはめ込まれていた。

 

「ナビゲーションユニットの言語変換回路だけを抜き出した簡易デバイスだ。そして僕の耳にも君らと同じ小型通信機が入っている。僕らの会話はデバイスを通じて常に共通言語に変換され通信機に送られている」

「なるほど・・・・・・で、私たちに何を話に来たんですか?」

「僕がパークに参画している動機についてだよ。それを聞いて、僕が信頼に足る人間かどうかを判断してくれたまえ」

 

 ともかく話だけは聞いておこうと思って黙って耳を傾けた。

 このヒルズ将軍という男は、少なくともオルカとシロナガスとは、恐怖でも強制でもない純粋な信頼関係を築いていることは知っている。

 その理由が何なのかは知っておきたい。

 

「僕はミセス・ノヴァとは考え方が違う。彼女のようにフレンズを守ろう、慈しもうなどとは最初から考えていない・・・・・・なぜなら僕は、フレンズが恐ろしくてしょうがない」

「ど、どういうことですか?」

 

 まったく、べらべらと舌が良く回るヒトだな。最初の語り出しでこちらの関心をがっちりと掴まれたような気がする。

 彼は己が弁が立つのを自覚しているのか、得意そうに言葉を続けるのだった。

 

「パンサー、君はさっきフレンズは弱い存在だと言った。ヒトに保護されなければ生きていけない存在だと。それは何故だかわかるかい?」

「アタシ、こんな体になっちゃったから、元の動物の仲間の所には戻れないだもん・・・・・・ヒトに用意してもらわないと生きていける場所がない。他の子だってきっとそうだよ」

 

「ふむ、だいたい正解としておこう」

 パンサーがひねり出すように答えた言葉を、ヒルズ将軍は素直に称賛しているのか、小馬鹿にしているのか、底が読めないような態度で受け止める。

 

「単純な問題だ。君たちフレンズの立場が弱いのは、君たちの存在があまりにも希少であることに起因する・・・・・・だが、その希少なフレンズの数を、グレン・ヴェスパーは急速に増やそうとしている。すると何が起こると思う?」

 

 何が? 何が起こるって言うんだ? ヒルズ将軍が予想する未来とは、フレンズが恐ろしいと発言する理由は何なんだ?

 私たちは3人とも一様に押し黙りながら、話の続きを熱を帯びた視線でせがんだ。

 

「いつかは人間とフレンズの力関係が逆転するだろう。フレンズは人間にとって、セルリアンに代わる新たな脅威となるであろう」

「そ、そんなことあるわけないです!」

「それはどうかな? たとえ個体数が少なくても、個々のフレンズの力は強大だ。まさに一騎当千の戦闘能力を持っている。その上さらに知能も人間と同等・・・・・・そんな恐ろしい生命体が徒党を組んで人間に牙を剥けば、知能のないセルリアンなどとは比較にならない脅威となり得る」

 

 確かに、フレンズがヒトを殺さないとは限らない。

 先日のケープタウン大学の戦闘で、パンサーは返り血で血まみれになりながら何十人ものCフォース兵を殺していた。

 ・・・・・・私だって2人殺した。直後は辛くてしょうがなかったが、今はもう後悔してない。

 私のもう一人の師匠、伝説の狙撃手カイルが私を立ち直らせてくれたからだ。

 今だって殺しを是とはしてないけど、必要があるならば非とも思わない。

 

 だけど、今ヒルズ将軍が言っていることは、それとは全く次元の違う話じゃないか。

 フレンズがヒト全体に牙を剥くなんて有り得ない。敵も味方も関係ない大量殺戮を好き好んでやろうとするフレンズがいるとは思えない。

 

「フレンズの人類侵攻は、十中八九Cフォースから始まるだろう。Cフォースの人造フレンズが組織内で反乱を起こすことがきっかけでね」

「なんでそう言い切れるんですか?」

 

「僕には人造フレンズたちの気持ちがよくわかる・・・・・・むかし、僕は少年兵だった。僕や仲間は物心ついた頃から自由を奪われ、戦いの道具として使い捨てられていた。それこそ今、彼女たちが受けている扱いと同じさ」

 ヒルズ将軍は突然に声のトーンを落とし、遠い目をして自虐的に笑いながらポツリと囁いた。

「僕や仲間の人生を踏みにじった大人たちに復讐し、自由になることだけを夢見て地獄の日々を生き抜いた。そして計画を立て慎重に機をうかがい、計画通りに奴らを1人残らず殺してやった・・・・・・だからわかる。いずれCフォースのフレンズたちも同じことをやるとね」

 

 想像もつかない事実だった。カメラ越しに最初にヒルズ将軍を見た時、その清潔で金がかかってそうな身なりと、役者のような優雅なふるまいを見るに、私の知らない煌びやかな世界に生きてきたヒトなんだとばかり思っていた。

 そんな血なまぐさい過去を持っていたとは・・・・・・

 

「で、ですがCフォースのフレンズにはオーダーが施されています。反乱なんて起こせるわけが」

「オーダーにも抜け穴はあるだろう・・・・・・それは君自身が証明していることだ。オーダーが発動することなく、運よくCフォースから離れられたのだろう?」

 

 Cフォースが人造フレンズに施したオーダーが発動する条件は二つ。

 脱走しようとするか、ヒトを殺そうとするか・・・・・・実際の行動ではなくて、そうしようと思う意志に反応して発動するんだった。

 私のオーダーが発動しなかったのは、Cフォースから逃げるのではなく対立しようと思ったから。そしてヒトを殺さずに気絶に留めようと無意識に心がけていたから。

 そうこうしている内にパークと出会い、オーダーを取り外してもらうことができた。

 ・・・・・・今にして思えば、単に運が良かったというだけではなくて、確かにオーダーには抜け穴がある。発動条件が大ざっぱすぎるからだ。

 

「後は最後の条件さえ整えば、反乱は必ず起きる」

「・・・・・・条件? 何です?」

「反乱を扇動する”指導者”が人造フレンズの中に現れることだ。このまま彼女らが生み出され続ければ、やがてはそのような存在が現れ得る・・・・・・フレンズの知能は人間と同等なのだ。その中にはリーダーの資質を強く持った個体もいるはずだ。その者こそが、人類にとって最悪の厄災となる」

 

 いつの間にかヒルズ将軍の顔からは笑みが消え、まるで本当に恐ろしい未来に直面しているかのような苦々しい表情で語り続ける。

 

「反乱を起こした人造フレンズ達は、それを阻止せんとするCフォースの兵力と交戦に陥るだろう。徒党を組んだフレンズ達の戦闘能力は計り知れない。Cフォース側には万にひとつの勝ち目はなく、彼らは己が生み出したフレンズ達の手によって壊滅させられるだろう」

「その一件でフレンズの恐ろしさが人間社会に認知されることになり、そうなってはもう、パークの手で人造フレンズを保護することも出来ない」

 

「Cフォースを壊滅させて自由になった人造フレンズの集団は、今度は人間社会全体から排斥される運命が待っているだろう。野生の動物に戻ることは出来ず、かといって人間の中で暮らすことも出来ない彼女達は、人間と戦いを始める道しか残されていない・・・・・・自分たちの居場所を得るための、永遠の戦いだ」

「元々からしてセルリアン災害で疲弊していた人間社会に、新たにフレンズという脅威が加わることになる」

 

 ヒルズ将軍は、もちまえの広長舌で休むことなく己の未来予想を語り切ると、最後に深い溜め息を付き、決定的な一言を告げた。

 

「最終的に、人類は壊滅的な状況に陥る。絶滅するか、あるいはごく少数の生き残りがどこかに隠れ住むような有り様になってしまうだろう」

「・・・・・・それって、つまり」

「人類に代わって、フレンズとセルリアンという二つの種族が地球を支配する時代がやってくる、ということさ」

 

 聞き終わった後、己の心臓がドキドキしていることに気付く。将軍の語り口は、それが決して妄想の類ではないという確信に満ちている。

 そうか、それもあり得るかも知れない未来のひとつなんだ。

 

「お分かりいただけただろうか? そのような最悪な未来が現実のものとならないように、僕はパークで戦っている。フレンズが自身のことを、人間に保護されないと生きていけない弱い存在なのだと錯覚させ続け、パークという檻の中で半永久的に飼い殺しにする・・・・・・それが僕の目的だよ。人類を守るためにね」

 

 なるほど、わかった。将軍なりに筋の通った理屈は持っているようだ。

 カコさんとは物の考え方はずいぶん違うけれど、少なくとも利害は一致している。だからひとまずはこのヒトを信じても良さそうだ。

 

「待ってよ将軍さん!」と、パンサーが困惑した顔で口を差し挟んだ。

「人造フレンズがヒトを滅ぼすって言うけど、その話の中に、アタシたち天然フレンズが出てこなかったじゃない。アタシたちはどうなるの?」

 

「・・・・・・君たちはCフォースの人造フレンズたちと違って、人間に対する直接的な恨みはないだろう。なので君たちの行動は恐らく二つに分かれる。人間に義理立てして人造フレンズと戦う者もいるだろう。しかし逆に、彼女らに感情移入して仲間に加わる者も出てくるはずさ」

 

 将軍の回答を聞いてパンサーの表情が暗く曇った。

 水槽に浮かんでいるスプリングボックの方を見ると、彼女も同じようにして言葉を失っている。

 ヒトに味方するか、人造フレンズに味方するか、用は自身の判断次第。自分の未来に訪れるかもしれない選択肢を想像して、それに恐れおののいているみたいだった。

 ・・・・・・私は、私はどっちも嫌だ。フレンズとヒトが殺し合うなんて未来は考えたくもない。

 

「今からそう思いつめることもあるまい」と、ヒルズ将軍が、自身で招いた重たい空気を一笑に付した。

「重ねていうが、あくまでも可能性の話だよ。天然も人造も、仲良くパークで飼い殺されている幸せな未来が来ることを祈りたまえ」

 

「あの、将軍、ところで聞きたいことが・・・・・・」

 

 このヒトはそう悪いことは言っていないのに、いちいち言葉選びにムダな悪意があるな、と内心憤慨しつつも、場の空気を早く変えてしまいたい気持ちの方が勝った。

 なので私は出し抜けに質問を投げかけることにした。

 

「何かな?」

「教えてください。メガバットもここにいるんですか? あの子もサンドスター調整槽で治療を受けているんじゃないんですか?」

 

 メガバットのことがずっと気がかりだった。

 ここの乗組員たちに担架で運ばれていく姿を最後に彼女の姿を見ていない。

 自壊装置に四肢をもぎ取られるという、スプリングボックとは比較にならない程の重傷を負って、まだ命を繋ぎとめられているんだろうか。

 

 この格納庫に立ち並ぶミサイル発射管には、ミサイルの代わりに様々な機器が詰められているのだろう。

 サンドスター調整槽が、スプリングボックが入っている一基だけとは限らない。

 であるならば、メガバットだってここにいるはずだ。艦内の他の場所はどこもかしこも狭くて、彼女を治療できる設備があるとは思えない。

 

「いいだろう。会わせてあげよう」

 

 俄かにゆっくりと歩き出したヒルズ将軍が、スプリングボックが入れられている調整槽の右隣にある発射管の前に立つと、根本に備え付けられたコンソールに、スーツの内ポケットから取り出したカードを挿入した。

______ゴゴゴゴ・・・・・・

 案の定、先ほども見た光景を目にすることになった。

 発射管が振動を起こしながら少しずつスライドし、中から虹色の液体が充填された水槽の姿が現れるのだった。

 

「・・・・・・ッ」

 横にいるパンサーが辛そうに顔を伏せる。

 私はただただ言葉を失って水槽の中にある姿を見上げた。

 手足も翼もない、頭と胴体だけになったメガバットの体が、力なく静かに浮いている。

 水槽の中から気迫をぎらつかせているスプリングボックとの違いは一目瞭然だ。生気がいっさい感じられない。

 まるで石像か何かみたいに動かない体を、口元に取り付けられた人工呼吸器から送られる酸素だけが、機械的なリズムで揺らしている。

 

「植物状態だ。フレンズ特有の自己治癒能力も働いていないようだ。体内のサンドスターが著しく失われた結果だろう」

 ヒルズ将軍が感情を差し挟まずに淡々と告げる。

「人工呼吸器がなければ呼吸もままならない。調整槽から出した途端に心臓が止まるだろうな」

 

 機械によってかろうじて生かされている状態。もうこれ以上はどうにもならない。

 将軍の説明を聞くよりも前に、メガバットの様子を見て悟るのだった。

 いや、それよりも前から覚悟はしてた。意の世界で、彼女からの別れの言葉を聞いた時から。

 

「おや、もうこんな時間か」

 言葉を失って立ち尽くしている私をよそに、ヒルズ将軍が懐中時計を見やりながら独り言ちる。

「では僕は指令室に戻ることにするよ」

「将軍さん? 突然どうしたのよ?」

「あと10時間ほどでマダガスカル領海に入る。この艦はトゥリアラという港湾都市に停泊させる予定だ」

 

 マダガスカルは国際的な非戦闘地域に指定されているという。

 なのでCフォースとの戦闘が行われることはあり得ない。危険があるとすれば、船舶の貨物に紛れて潜入してくる小型セルリアンだけだという。

「特に何事も起こらんとは思うが・・・・・・気を緩めずにおきたまえ」

 そういって私たちに一礼すると、ここに来た時と同じく整った歩容でツカツカと立ち去り始めるのだった。

 

 私は去っていく将軍に会釈も返さずに、ただメガバットを見上げていた。

 パンサーは私に気を遣っているのか、何も言えずにおろおろとしている。調整槽の中のスプリングボックも不機嫌そうな顔で黙っている。

 私は結局、メガバットに何もしてあげられなかったんだ。悲しいことばかりだった彼女の人生に、新しい幸せが訪れることはもうない。

 

 過去にも現在にも悲しいことばっかりだ。未来はそれ以上に最悪かもしれない。

 グレン・ヴェスパーがこの世を支配しているかもしれない未来。Cフォースのフレンズたちが反乱を起こし、ヒトを滅ぼすかもしれない未来。

 そうなった時、私はどうしているんだろう・・・・・・

 

(あなたはあなたらしく、不器用に美しく生きて)

 メガバットに”意”の世界の中で言われた言葉が、頭の中でもう一度聞こえた気がした。

 わかってるよ、と内心答えながら、深く空気を吸い込んで顔をあげた。

 

「パンサー、スプリングボック、聞いてくれ」

 

 沈黙を突然やぶった私のことを、2人がきょとんとした顔で見つめている。私は静かな熱のこもった瞳で彼女たちを見返し、今一度深くうなずいた。

 

「私は未来を良い物にしたい。フレンズもヒトも幸せになれる世界を作りたいんだ。アマーラたちのことは勿論守りたい。だけどフレンズたちが生きられる居場所も作りたいんだ」

 

 2人の反応は芳しくなかった。

「・・・・・・アムールトラ」

 パンサーが心配そうに私を見つめている。

 君ってば本当に優しいよな。いつも私のことを心配してくれるんだから。でも大丈夫だよ。私はもう挫けないから。

 

《フン、どっち付かずな者の戯言にしか聴こえませんがね。アムールトラ、貴様は望んだことが全て実現出来るとでも思っているんですか?》

 スプリングボックが溜め息まじりに私を冷笑した。

 いつでも抜き身100%の本音をぶつけて来る。彼女のそういうストレートな所が好きだ。

 本音で来る相手には、私も本音をぶつけるだけだ。

 

「出来るか出来ないかじゃないんだ。それが私の願いなんだ・・・・・・私は私の願いをかなえるために戦うだけだよ」

______タンッ

 私はそう言うと、スプリングボックに向かって、お互いの拳を突き合わせるジェスチャーを求めるように、虹色の液体を充填した水槽の表面に拳を押し当てた。

 

「スプリングボック、また私と一緒に戦ってくれ」

《き、貴様?》

 スプリングボックがジェスチャーの申し出に応えてくれることはなかった。

 水槽の中で、ただポカンと口を開けたまま私を凝視している。

 私は今いちど彼女に念を押すように頷いてから、踵を返して格納庫を立ち去ることにした。

 大丈夫、スプリングボックならきっとわかってくれるはずだ。

 

《なんなんですか? アムールトラのやつ、以前とまったく様子がちがう!》

「アンタが寝てる間に、あの子にとって辛いことがたくさんあったんだよ。でもあの子はそれを乗り越えて立ち直った。アタシは全部見てた」

《パンサー、貴様もアイツと気持ちは同じというわけですか》

「うん、アタシはアムールトラを信じる。あの子なら、皆が幸せになれる未来を、本当に掴めるような気がするから・・・・・・」 

 

 to be continued・・・




_______________Cast________________
    
哺乳綱・ネコ目・ネコ科・ヒョウ属トラ亜種
「アムールトラ」
哺乳綱・ネコ目・ネコ科・ヒョウ属
「パンサー」
哺乳綱・鯨偶蹄目・ウシ科・スプリングボック属
「スプリングボック」
哺乳綱・コウモリ目・オオコウモリ科・オオコウモリ属
「インドオオコウモリ(俗称メガバット)」

_______________Human cast ________________

「久留生 果子(くりゅうかこ)」
年齢:26歳 性別:女 職業:国際的非政府組織「PARK」構成員 南アフリカ事業所代表
「リクタス・エレクタス・ヒルズ(Rictus Erectus Hills)」
年齢:30歳 性別:男 職業:国際的非政府組織「PARK」構成員 リベリア・ギニア事業所代表
「ウィザード(本名不明)」
年齢:30代半ば 性別:男 職業:フリーランス・ブラックハッカー
「バズ・チャラ・カーター(Baz Challa Carter)」
年齢:29歳 性別:男 職業:国際的非政府組織「PARK」構成員 南アフリカ事業所職員

______________Story inspired by________________

“けものフレンズ”  “けものフレンズ2”
      byけものフレンズプロジェクト

     “けものフレンズR”
      by呪詛兄貴

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