ちょっと不思議なAK-12との日常   作:なぁのいも

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ちょっとエッチぃ(?)ですかね


私の興味を牽くあなた

 中々長時間の休憩が取れなかったことと仕事の疲れがたまったせいか、何時の間にかソファに背中を預けて書類仕事に励んでいた指揮官は眠ってしまった。

 

 彼の瞼に写るのは真っ白な闇。執務室の蛍光灯を微かに透過した光の白。白い闇の世界のゆりかごに招待されて、指揮官は浅い眠りに入っていたのだ。

 

 眠りの深度からか、指揮官はすぐに違和感に気がつき意識を自動的に浮上させた。指揮官の意識を表に上げさせた要因は、彼の顔がツルツルとしたものに触れられているちょっとばかりくすぐったい感触。

 

 その感触が何かを確かめたくて、指揮官はうっすらと目を開ける。

 

 彼の夜色の瞳に映ったのは、電灯の光を浴びて月のような輝きを放つ銀糸と、特徴的な瞳を瞼によって隠した端正な顔。

 

 あまりにも特徴的な出で立ち。たとえ数ミリしか開かれてない視野の中でも、自分と対面している相手が誰なのか指揮官にはよくわかる。その相手とは、AK-12。電子戦に特化した戦術人形の中でもトップクラスの処理能力をを持つ超高性能機体。

 

 そんな彼女が、指揮官の顔の輪郭を確かめるように手で触れている。彼女の手は特徴的なグローブで覆われているので、ツルツルとした感触は彼女のグローブによるものであったのだろう。

 

 指揮官は再び目を閉じて寝たふりへと移り、ここはAK-12の好きなようにさせてあげることに決める。

 

 普段は無駄を好まず、必要なことを最適解で進めるAK-12が人の顔を撫でるという珍しいことをしているのだ。なんでこんなことをしてくるのかはわからないし想像が出来ないが、彼女が任務以外のことに興味を持つのは珍しい。彼女の探究心を潰さない為に、今は静観することに決めたのだ。

 

 AK-12は指揮官のほっぺたをつまんだり、指先でカリカリと引っ掻いてみあたり、瞼に触れては指で押したりしてくる。鼻先を指でつまんでみたり、下唇を持ち上げてみたり。顔を弄ってる間に、何か面白い変顔になってしまったのだろう、AK-12はクスクスと笑い声を漏らしたりもしていた。

 

 彼女のグローブの手触りと、くすぐるような感触に思わず声を出しそうになってしまったが今は我慢。

 

 今のAK-12は指揮官が普段は拝めないようなかわいらしい表情を浮かべているだろう。その表情を見たくなってしまうが、指揮官は今はこらえようと自分の好奇心を噛み潰す。

 

 どこかミステリアスな雰囲気があるAK-12とはいえ、起きてる指揮官にはさすがに触れて来ようとはしないだおる。むしろこのタイミングで起きたりなぞしたら、開眼して口外しないように脅される危険性もあるし、本当に口外しないかあらゆる機器を乗っ取って、AK-12による監視生活をしてくる危険性もある。

 

 ……実は既に指揮官の私生活は、AK-12の監視下にあることを彼はまだ知らない。知らないが、言ってもいいことは無いだろうから内緒にしてあげた方が彼とAK-12のためになるだろう。

 

 散々顔に触れたことでさすがに触るのにも飽きたようで、AK-12は指揮官の顔を弄っていた手を段々下へと持って行く。

 

 胸元を白魚のような細い指先でくすぐり、鳩尾をなぞって指揮官の危機感を煽ってみせ、鍛え上げられて筋肉が浮かぶ腹部をなぞり、へそのある部分に一度指を沈めると感触を確かめるようにグルリと動かし、そのままさらに下へ――指揮官の股間節へと手をかけようとしたところで――

 

「ストップ!!」

 

 さすがにこれ以上先に触れるのは許してはいけないと、指揮官は寝た振りを止め、大きく目を見開き、言葉でAK-12を制止させる。

 

「おはよう指揮官。やっと寝たふりを止めたのね」

 

 指揮官が寝たふりをしていたのはバレてしたらしい。彼女が時折クスクスと声を漏らしていたのは、もしかして指揮官が寝たふりをしているのはとっくにわかっていて、寝たふりを続けることを可笑しく思って笑っていた可能性がある。

 

 そんな指揮官の考えを読み切ったとでも言うように、AK-12は口角を持ち上げて余裕のある微笑みを湛えている。 

 

 AK-12は笑んだまま、再び指揮官の股間に指を這わそうとして――――

 

「だからやめい!」

 

 指揮官はその手を掴んで無理矢理止めさせた。

 

 AK-12は悪びれる様子も無く、なんで?と言わんばかりに首を傾げる。

 

「こういうことはだなぁ!?」

 

 そんな彼女に声を荒げて、いくら興味があることを徹底的に追及したくなったからと言ってやっていいことと悪いことがある、と説教をしようと指揮官。

 

 だが、彼が説教モードに入る前に、AK-12が言葉を重ねて遮る。

 

「指揮官、私はあなたのことをもっと知りたいわ」

 

「だからと言ってもなぁ!?」

 

「知りたいのよあなたのこと。あなたの過去を知るだけじゃ駄目、あなたの今を知るだけじゃ駄目。もっともっと知りたいの」

 

 AK-12の纏う雰囲気が変わる。その証拠に彼女の微笑みの種類が変わっている。彼女の浮かべていた温和な微笑みが、飢えた獣が獲物を見つけた時のような欲望に満ちた微笑みに。

 

 その雰囲気に飲まれてAK-12の手を掴んでいた指揮官の強さが弱まってしまう。AK-12は力が抜けた指揮官の手を、今度は自分の番だと言うかのように自分が掴むと自分の胸元へと持って行く。

 

 指揮官の大きくゴツゴツとした男性らしい手が、AK-12の着るジャケット越しでもわかるくらい豊かな胸へと導かれ、ふわふわな感触に包まれて沈んでいく。

 

 その柔らかさには何処か安心感のようなものを感じるのと同時に、恐怖故に敏感になった感覚が沸き立ち、様々な方向へと指揮官の感情が舵をとる。彼女の雰囲気へ抱く恐れ、彼女の胸部へと触れた安心感、そして場違いにも男としての性の悦び。

 

 AK-12が指揮官の股間を撫でる。その刺激に指揮官の背筋は大きく震える。

 

「あぐ……!」

 

 指揮官の表情が蕩けるように歪む。普段は穏やかな彼が浮かべた特殊な有様に、AK-12は恍惚を含んだ吐息を漏す。

 

 ――あぁ、どうしてあなたはこんなにも。私を惹き付けてやまないのだろう。

 

 AK-12は瞳を開いてカーネーションのような色をした特徴的な瞳を露わにし、ターゲットを視界いっぱいに捉えて、妖艶な微笑みを浮かべる。

 

 ――限界なのはあなたじゃ無い。この興味を、あなたへの好意という好奇心を抑えられないのは

 

「だから、私が見たことの無いあなたのことを、いっぱい見せて?」

 

 ――私だ

 

 AK-12は指揮官の股関節を人差し指と中指で撫でて挑発した後に、チャックを一瞬で下ろす。

 

彼が艶かしい吐息を漏らすと同時に、AK-12も呼応するように熱のこもった吐息を彼へと吹きかける。

 

今、自分と彼は同じ気持ちで一つになってるのだ。そんな倒錯した思考にAK-12が身をまかせる。

 

欲望は、もう、抑えきれない。

 

AK-12は指揮官の肩を押してソファに沈みこませ、自分の獲物だとマーキングするように、強引に、熱情的に、扇情的に、彼の唇を貪った。

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