桜と士郎   作:周小荒

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 Fateはテレビアニメから始まり映画を観た後に桜の不遇さに怒りを感じました。
 妹の意中の人を横取りする凛には正直「お前は鬼か!」と思いましたので桜が幸せになる小説です。



プロローグ

 

 空は黒く、地上には火の河が流れ、周辺には炎が散乱していた。

 妻や娘を犠牲にして得た聖杯は万能の願望器では無く、邪悪な意思に汚染されていた。

 その聖杯が暴走する前に処分をしたら、この世の地獄と言える惨劇が展開されてしまった。

 衛宮切嗣は絶望と罪悪感に押し潰されながらも救える命を救う為に誰かを探し回っていた。

 

「誰か居ないのか!」

 

 探し回る切嗣の耳に炎の中から子供の泣き声が聞こえて来た。

 慌てながらも慎重に声を頼りに声の方向に向かうと小さな家庭用冷蔵庫が倒れていた。

 子供の泣き声は冷蔵庫の中から聞こえて来る。冷蔵庫に走り寄ると冷蔵庫の扉の蝶番の部分にサンダルを差し込み扉が完全に閉まらない様にしている。

 冷蔵庫の中には4歳前後の少年が保冷剤や冷凍食品と一緒に泣いていた。

 少年の家族が幼い命を炎から守る為に冷蔵庫の中に避難させたので有ろう。

 

「ありがとう。生きていてくれて、本当にありがとう」

 

 切嗣は少年を冷蔵庫から助け出すと泣きながら抱き締めた。

 

 

 少年の名前は山岡士郎と判明した。少年の服の中に母子手帳が入っていたのである。

 後に切嗣が母子手帳の住所を調べると炎の河に飲み込まれていた。

 恐らくは炎の河が迫った時に我が子だけでもと母親が冷蔵庫に士郎を入れて炎の河から脱出させたのであろう。

 残念ながら母親の名前の部分は焼けて読む事が出来なかった。

 

「山岡さん。貴女の士郎は必ず僕が幸せにします。それが僕に課せられた義務です。安心して眠って下さい」

 

 切嗣は名前も分からない士郎の母親に士郎を立派に成人させる事を誓ったのだが、切嗣も士郎が11歳の時に鬼籍に入る事になる。

 

 己の死期を悟った切嗣は士郎に聖杯戦争の裏事情と自身の罪を告白した。

 

「60年周期で聖杯は現れる。冬木の聖杯は邪悪な意思に汚染されている。また、同じ惨劇が繰り返される。それまでに冬木の地を去るんだ」

 

「分かった。大人になったら何処か遠くの街に行くよ」

 

「それから士郎。僕の息子になってくれて、ありがとう。士郎が息子になってくれて僕も救われた」

 

「僕も父さんの息子で幸せだったよ」

 

 士郎は切嗣の遺言を守る事を約束して、早逝した切嗣の忠告に従い。秘めたる特技として魔術の修行は続けたが魔術師を目指す事は無かった。

 

 それから、士郎は雷河や大河が一緒に暮らす事を勧めても首を立てに振らずに切嗣が遺した屋敷に魔術の修行しながら1人で暮らすのであった。

 

 運命の時まで、幾何の時間が流れるのであった。

 

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