飛ばし過ぎて早速書き溜めがなくなってきました。
というのも、今話と次話で原作と違う流れになり、書き溜めを書くスピードが格段に落ちたからです。
また書き溜めがたまり次第、投稿を再開します。一応来週あたりには更新できるのではないかと思っていますが。
では、どうぞ。
生徒会だけでなく、ほぼすべての一科の先輩から不興を買ってしまったようだが、達也はそんな事を気にする性質ではなかった。
「さて深雪、帰るか」
「そうですね、お兄様」
特に用事もないのでまっすぐ家に帰るつもりだった兄妹に、エリカから提案があった。
「あ、それじゃあ一緒にケーキでも食べに行かない?この近くに美味しいケーキを出すお店があるんだ」
「ケーキですか~」
「いいですね。お兄様はいかがなさいますか?」
「別に構わないぞ」
はしゃぐ三人を見て、達也はこの流れで行かないとは言い出せず、付き合う事にした。もし深雪がいなかったら断っていたかもしれないが、今ここで自分が行かないと言えば、深雪も行かなくなると思ったからだ。
「俺も構わない。だがなエリカ。お前、あいつの事を忘れたというんじゃないだろうな」
その中でただ一人、龍だけがエリカにストップをかけた。
表情も声もそれまでと何も変わらないはずなのだが、不思議な圧があった。
「‥‥‥‥」
固まったエリカ。どうやら龍の指摘は当たっていたらしい。
しかしそれにしては様子がおかしいと、達也は気が付いた。
よく見ると、彼女は大量の冷や汗をかいている。
恐らく、龍の言っていた“あいつ”が原因なのだろうが、と考えていると――
「遅かったわね、エリカ」
――エリカの背後から、寒風が吹きつけた、気がした。
その声は同年代のものとは思えないほど、涼やかだったのだ。
「入学式が終わったら、校門の前で待ち合わせと言ったのは誰だったかしら?」
その姿は、驚くほど凛としていて、華麗だった。
達也をして、深雪と同等だと思うほどに。
「いくら親友といえども‥‥‥‥許せないことってあるのよ」
“彼女”はゆっくりとエリカに近づき、その肩に手を置いた。
まるで、エリカを凍らせるかのように。
「そこらへんで勘弁してやれ。エリカの奴、失神しそうになっているから」
龍の声に、達也は我に返った。“彼女”の持つ独特な雰囲気にのまれていたらしい。
気が付けば、エリカの顔面は蒼白を通り越して死人のような色になっている。
「お兄ちゃんがそう言うなら、仕方ないか」
“彼女”は一つため息を吐くと、エリカを開放した(ように達也には見えた)。
そして、達也たちの方に向き直る。
「初めまして。私は
「氷華は俺の義理の妹なんだ」
氷華の自己紹介に続いて、龍が補足する。
なるほど、だからお兄ちゃんなのかと達也は思った。登場の仕方のわりに呼び方が子供っぽいとも思ったが、そういう余計な事は口にしない。
代わりに、普通の自己紹介をした。
「司波達也です。よろしく」
「妹の司波深雪です。よろしくお願いしますね」
「親友の千葉エリカで~す。よろしく~」
「何がよろしくなの、エリカ」
いつの間にか復活しているエリカに対し、氷華は辛辣な言葉を投げかけた。しかし、その表情は笑っている。
二人の言う通り、この二人は親友なのだなと達也は実感した。
「そういえば美月は?」
エリカの一言で彼女の方を見ると、彼女は立ったまま気絶していたのだった。
いかがでしたでしょうか。
これで主人公が全員揃いました。
氷華の登場シーンはもう少し鮮烈な印象にしたかったのですが、今の私にはこれが限界でした。
さて、前書きでもお伝えした通り、次回の更新は来週になる予定です。
消えたりはしませんので、少しの間お待ちください。