【雷霆】ガンヴォルト 作:ガンヴォルトはカッコ可愛いMk-2
ガンヴォルトside
俺の名前はガンヴォルト
所謂転生者と呼ばれる部類の人間だ。前世では大震災の際に倒れてきた電柱によって感電死したっぽい。因みにこの名前は偽名だ。本当の名前を付けて貰った両親は俺を魔術師から救う為に死んでいった。
気付いた時には見覚えのない天井を見て思わず『……知らない天井だ』発言した俺に両親はひどく戸惑っていたことはいまでも脳裏に深く思い出せる。
俺が生まれた民族は『ヴァンパイアハンター』ならぬ『魔術師ハンター』で生計をたてる集団で、過去にご先祖様がとある親切な竜に電流を発する遺伝子を組み込んでもらったかなんかで、魔術紛いの電撃が出来る種族で、俺はその中でも一際強い発電能力があるということで期待されていた期待のニューホープだったそうだ。
だが俺が10歳の時にとある魔術師に誘拐されてしまった。
どうやら特殊な力も持つ俺の一族は生贄として優秀らしく、その中でも高圧高効率の俺はその中でも生贄としての適性は頭一つぶち抜けていたそうだ。救出しに来た同族は次々と返り討ちにあい。もうダメかと半ば諦めていた時に辺境の魔術師を退治しに行ったという俺の両親が件の魔術師を強襲した。
俺の両親は集団ピカイチの電力を誇る強力な『魔術師ハンター』で、親が来たときは思わず泣き出してしまったものだ。だが件の魔術師も強力な魔術師で、両親と魔術師の戦いは熾烈を極めた。
結果は…………親の勝ちとも言えるし、負けともいえる決着だった。
魔術師の不可視の矢が二人を貫き、死に至るまでの一瞬。母が放った特大の電流が止めを放ったことで油断した魔術師を感電させ、父が手に高圧電流を纏った抜手を魔術師の心臓を突き破った。
魔術師は人外の再生能力を持つ筈なのだが何故かそのまま再生せずに崩れ落ちてった。
件の魔術師が死んだため俺を縛っていた摩訶不思議的チェーンが腐り落ち、俺はすぐさま親の元に走り寄った。両親は虫の息で、俺の顔を見た瞬間二人同士して『よかった』とだけ呟いていき、その生涯を閉じた。
その
あのクソ魔術師は集落も壊滅させやがった。
基本木造建築だった我が家や友人の家はさぞかしよく燃えたのだろう。その場にいたのは対魔術師としてはナンバーワンの戦力と知名度を誇る教会の聖騎士たちだった。口調としては俺の事を存分に労ってくれていたが、笑みを見ればこいつ等が俺の事を『ザマァw』的に捉えているのは一目瞭然だった。その場にいた超強面(バッタリあったら泣く自信がある)おじさんがその魔術師の金銀財宝や村の資金を全て俺に譲渡してくれたからよかったもののあの人いなかったらあのクソ共に襲い掛かった。
俺は傷がつきまくった精神と体を奮起させ、十年間世話になった(なお集落の生き残りは俺だけだったらしい)集落に別れをつげた。
そこからはどかに行くかも決めていない行き当たりばったりの旅路だった。幸いにして路銀は先程もらった物を含めて結構な金額だったので生活自体には困らなかった。問題は極短いスパンで俺を襲ってくる魔術師達だった。
実はあの魔術師は絶命する瞬間に広範囲に渡って俺がどれだけ魔術の触媒として使えるのかを広めたらしい(これは俺を最初に襲撃してきた新米魔術師をぶちのめして吐かせた情報だ)、最初のうちは俺の事をただの子供と侮った奴らだけだったが日時がたつにつれて逃げ隠れなくちゃいけない一流とはいかないまでも二流上位の魔術師も出て来た。
中には複数人の奴らもいて―――その時はどこからともなく現れた老婆の魔術師が助けてくれた―――俺の課題は“力を身につける”ことだった。最初のうちは電気をスッカラカンになるまで打ち続け電気の最大保有量を増やしたり、体の成長を妨げない程度に体を鍛えたが、それだけでは足りなかった。
だから俺は【魔術】に手を出した。
自分の集落が滅びた元凶なのにか?という疑問がきそうだが俺の憎しみの対象はあくまで『俺を誘拐し両親を殺し、挙句の果てには集落を燃やし尽くした件の魔術師』であって、【魔術師】自体を、ましては【魔術】を憎むつもりは毛頭ない。だって魔術自体は『道具』だし。
丁度俺みたいな素性の怪しいガキにも魔術を教えてくれる『先生』もいたしな。
数年後。免許皆伝……とまではいかないが『自分の弟子を名乗っても問題ないよ』と言われた俺は近所に町でセクハラ騒ぎを起こしていた姉弟子を手土産に先生の元を去った。
そしてその数年後、たどり着いた
途中その土地の【魔王】に呼び出しを食らってなんか悪いことしたっけと思いながら向かうと【雷霆】の二つ名をもらったり自分の専用武器を作るために町の鍛冶師と共同作業(深い意味はない)したり偶々入手した【異世界召喚】の魔術を使ってみたりした。
……まぁ召喚の反動で俺の家が丸ごと吹き飛んだりしたが。
そんなある日のこと、俺は普段は使わないような魔術の本を読んでいた。
魔術師の力の源はこの魔術を学んだ際に得られる【回路】だ…回路の多さイコールその魔術師の強さと言っても過言ではない。ちなみに俺の回路数は三万七千五百。この数値は世の中でも数十人ぐらいの【魔王候補】の中でも頭一つ抜けているらしい……まぁ俺の場合は先生の蔵書を読み漁ってたからなんだが――――――
「【魔王】が一柱マルコシアス崩御ねぇ…まぁあの人も結構年くってたし、妥当ってところかな」
俺は黒い靄がかかったカラス――恐らくどこかの魔術師の使い魔――からの手紙にそう書いてあった。
「さて十中八九【魔王】の遺産を巡って争いが起きそうだな……ん?」
手紙の端にはこう記されていた――――近日元【魔王】マルコシアス様の領地でもあったキュアノエイデスにてマルコシアス様の遺産のオークションをします。ひいては高名な【雷霆】ガンヴォルト様にも――――その後はつらつらと俺にオークションへ参加してほしいという内容が綴られていた……って二枚目もあるし。まぁこっから先はどうでもいいやと手紙を空中に放って放電によって火をつけ処理した。
「この前行ったばっかなんだか…まぁ一応魔術師として向かった方がいいな。」
はぁ……もう歩いていくのもつまらないから一気に行くか。
次の瞬間俺は体に蒼雷を纏った。
次の瞬間耳元でパァン!という音が響く、何回も聞いて完全に慣れた音だが当初は驚いたものだ。
魔術師と聞くと肉体が貧弱なものを想像しがちだが―――まぁ俺は数十年の旅の間でアイツら相手には絶対に油断しなかったが―――実際はそんじょそこらのマッスルマンよりも強靭な肉体だ。なんだったら一週間飲まず食わずで全力戦闘が出来る。そんな強化魔術に加えて俺の電撃による肉体強化が加われば、軽く音速をも超える。
その内強固な結界魔術が目に入った。確かあれは…ザガンとかいう最近盛況な魔術師の領土の筈だ.
基本的には自身の領地に引き篭もっているようで一度もお目にかかった事はないが…確か今は亡きマルコシアスがかなり物騒な二つ名を付けようとしてたな。
それ以上の感情や興味が湧かなかったのでそのまま通り過ぎようとすると――――――
「魔術反応…ん?妙に雑だな。」
駆け出しとはいえ魔王候補の一人がするような紡ぎ方じゃないな…侵入者か?う~ん一応俺は『困った時はお互い様精神』だから助けにいかないわけにはいけないか……な?隣でなんか蠢いている黒っぽいナニカに向かって雷球をぶん投げつつ、俺は自身の体を雷に変換し結界魔術のスキマを縫うように入り込んだ。
sideザガン
「……ん?」
教会の人間らしき女を帰した(正確には適当にポイ捨て捨てたようなもんだが)俺は乗っ取られたのを感知した。
(これは……二人か?)
これでも俺は自分の魔術の腕には自信があるので、多少傷ついたが―――っむ。結界が乗っ取られただけではなく空からも来ている……?そしてそんなことを考えていたら結界を乗っ取った魔術師が…………………………えぇ?
「なんで黒コゲになってるんだバルバロス」
「俺が聞きてぇぐらいだっ?」
妙にひょろ長く如何にもな不健康顔をしている悪友バルバロスに思わず呆れた声が出た。
「普段の行いじゃないか?」
「あぁそりゃそうだろうな!俺たち魔術師だもんなっ、でもありゃあ確実に魔術の雷だったぜ!!」
「それと勝手に俺の結界を乗っ取るな殺すぞ。」
「今ナチュナルに俺のこと殺すって言いやがったなっ」
"仲がいい"と言われた日には迷わず存在ごと消し去るような悪友と話していると、上から青白い光とパチパチという音が聞こえて来た。
不思議に思って上を見上げた瞬間、俺のとなりに雷が落ちた。
「ッ!?」
雲一つない快晴の筈なのに降って来た雷の方向に振り向くとそこには青と黒が混じった色のトレンチコートを着込んだ金髪碧眼の男がいた。
「結構細かい結界だったな……っと、君がザガンか?俺はガンヴォルト。これでも【雷霆】の二つ名を貰ってるそこそこ有名な魔術師だ。」
「…そこのバルバロスに雷を落としたのは―――」
「俺だな。後悔もしてないし反省もしてない。」
「反省しやがれっ!」
犯人を特定したバルバロスからの熱戦の魔術が
sideガンヴォルト
この子本当に駆け出しか……?魔力が既に【魔王候補】の域に達してやがる――――――っとと、話しかけといて放置は非礼極まるな、取り合えず…………
「先程は申し訳ない。魔王候補たる貴方にしては雑すぎる魔力反応を見かけたもので―――何かあったので?」
俺の目的は別に喧嘩を売りに来たってわけじゃない。ただ単純にさっきの魔力反応が気になっただけだ。ザガンはふと何かを考える素振をした後にこちらに向かって口を開いた
「あー……さっき俺のこの<領土>ないで生贄魔術でもしようとしてた奴がいてな…安眠のためにぶっ殺したら生贄の女が気絶した。俺はそんな類の魔術には興味も無く研究する気もないから女のほうは俺の<領土>の外に転移させた。」
ふーん………ん?
「俺の記憶が確かなら近辺に<顔剥ぎ>とか言う三流魔術師がいて、【教会】の聖騎士が派遣された気が―――――」
「あぁ確か女には教会の紋章があったな。案外その派遣された聖騎士の生き残りだったのかもな。」
むぅ。女性の聖騎士って……
「オイオイおめえ何もったいないことしてんだよ【女】で【聖騎士】の生贄なんぞそうそう手に入んねぇんだぞ?」
「あんな準備も手間もかかる魔術使えるか。しかもあの手のやつは肝心の時に使えん。」
「お前はどう…って聞くまでもねぇか」
「…【煉獄】とは違って俺も生贄を使う系の魔術は使わない主義だ。対価を要求される魔術でも触媒を使ってる。」
俺自身が過去に生贄になりかけた経緯があるため自他とも並みの人よりも生贄魔術を忌避しているが、それを今表に出してもなにもかいけつしないのでぐっと飲み込んだ。
「……それで【雷霆】はなんの用事で来た?」
「俺の名前はガンヴォルトだ。言われた通りさっきのはついでで、本命は『招待』だ。」
「招待だぁ?」
「といっても舞踏会とかの類じゃない。【煉獄】は知ってるかもしれないが、最近【最長老】のマルコシアスが亡くなったことは?」
「もちろん知ってるぜ?っていうか俺もその件についてコイツを誘いに来たんだ。」
「オイ。二人だけで話を進めるな、俺はマルコシアスが死んだこと自体初耳だぞ。」
「…さっきも言った通りここら一帯を治めていたマルコシアスが亡くなってね。近くのキュアノエイデスで―――――」
「……まさか」
「そのまさかさ、出るって話だぜ?かの【最長老】の遺品ってヤツがよ。」
「俺の所に招待状が来てね。【かの高名な雷霆様にもぜひ来て頂きたい】ってさ。せっかくだしこれまで関わりの無かったザガン君を誘ったって訳さ。」
その後、条件付きでザガンから金を借りた【煉獄】と一緒に俺はキュアノエイデスへと赴いた………まさか思い付きで連れてった子の運命の相手が見つかるとは露にも知らずに