学園都市 非公式組織(笑) 【シンボル】 作:幹線道路
上条ちゃーん、補習ですよー
えっ、い、いや。俺には新庄がついてるんで!・・・あれ、新庄?新庄!?
「ただいま」
「・・・おかえり」
学校を終え、部屋に帰ってきた紅葉。それを出迎えたのは先に帰宅していた楓だ。
楓も紅葉と同じ高校に通っている。しかし各々固有の友人もいるので、学校ではあまり話していない。
楓の能力はレベル1の【硬度変化】手に触れた物の硬度を上げることができるという代物。と、
ピンポーン
「ん?予定は無かったはずだけどな。楓出てくれ」
「・・・あの変な喋り方は辞めたの?」
「今は気分じゃない」
気安い掛け合いをしながら楓は玄関を開ける。ドアの向こうに居たのは、先程別れた筈の土御門元春だった。
「あん?
「それもあるけど、先に拳銃を預かりに来たにゃー」
・・・・・・
「なんで知ってんだよ・・・」
紅葉は無駄な抵抗をせずに、拳銃を差し出した。一つだけ。
「・・・
「2個目も分かってんのかよ、銃が軽くなる・・・」
小細工を仕掛け、即座に見破られた紅葉は泣く泣く2丁目の銃のマガジンを差し出した。あまりにごねると手痛いしっぺ返しが来る事を知っているからの素直さだ。
「今度からは、自分で提出してくれると嬉しいんだがにゃー」
「自分だけの銃なんて魅力的なワードに抗える筈ないだろ」
だめだこりゃ、と呆れる土御門を尻目に紅葉は問い掛けた。
「で、仕事の話って?」
「あぁ、大したことじゃないぜい。いつも通り治療の依頼だ」
「重い方?軽い方?」
「両方だにゃー」
話を聞いている楓には詳しい事は分からないが、いつもの事だ。
「んじゃ、なんちゃって暗部の【シンボル】、さっさと行くぞ」
「正真正銘暗部組織だ、貴様ら下っ端では知る事の出来ない闇の奥に俺は居る・・・」
「急に中二モードに入らないで貰えるかにゃー・・・」
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楓を置いて何時ものワンボックスカーに乗り込み、車内で仕事の詳細を確認した。それによると
殺人事件被害者の
植物人間の治療
強姦被害者の治療
暗部構成員の治療
「んー、まぁ、
「そーそ、今回は多いがにゃー。最後の以外は【外部】からの依頼だぜい」
いとも簡単そうに言うが、蘇生なんてものは何時ものやつで済ませられるものでは無い。【冥土返し】と呼ばれる彼でさえ、死んでる人間は生き返らせることは出来ないのだから。
「医療費は幾らだ?」
「蘇生2件で5000万、植物人間は1件300万で強姦は1件500万だにゃー、暗部は5件で50万だぜい」
「毎度毎度暗部の奴らは金払いがわりーな」
それ以上掛かるなら、連れてきた方が早いからな。と、土御門は暗部の深い闇について話した。紅葉は俺の求める暗部はこんな汚い物じゃない・・・と聞かない振りをした。
土御門の運転するワンボックスカーは細い道へ入って行き、止まった。その先にあるのは関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉で、土御門は鍵を使い中へと侵入した。
中には黒ずくめで目だしマスクをした怪しい男が立っていた。
「お待ちしていました、客も扉の向こうに居ます」
がっしりとした体格で喧嘩も強そうなその男は、しかし学生でしかない土御門と新庄にペコペコと頭を下げ口振りも丁寧にするように心掛けていた。同じ暗部の人間とは言え彼らとは立場が違いすぎる。機嫌を損ねてしまえば、明日の朝日を見られなくなったとしてもなんら不思議ではない。
土御門は服を白衣に着替え、サングラスを外す。その後部屋の中を進み扉を開く。その途端に部屋からは腐臭が鼻に飛び込んできた。
「あー・・・、何度経験しても慣れねぇな」
「そんな甘い事言ってるから、お前ら【シンボル】は認められてないんだがな」
うるせー!そう叫びたい衝動に駆られるが部屋の中の雰囲気が重苦しいものであるためそんな気分も薄れてしまった。
部屋は何処かの病室のような内装だ。部屋の中には、中身の見えない袋に詰められたナニカが2つ。そして動かないが、呼吸はしているので死んではいないのだろう機器に繋がれた誰かが1人。その近くに眠り込んでいる女性が1人。
最後に、前の部屋に居た男と雰囲気のよく似たガタイのいい男が5人。こちらも寝ている。
「ま、仕事はさっさと終わらせるか」
そう言うと新庄はまず袋へと近ずいて行き、その口部分を少しだけ開く。
部屋に漂っていた腐臭が更にきつくなる、臭いの元はこれだったようだ。
「それ、
「なんでもっと早く持ってこねーんだよ・・・」
土御門の言葉に一気に血の気が引いた、なんせ今からそれを触らなければならないのだから。
「大丈夫だぜい、虫とかは湧いてないからにゃー」
「そういう事じゃねぇ・・・」
恐る恐る指を突っ込む、中のブニブニとしたナニカに触れ、能力を発動した。
すると袋の中身が蠢いた、ナニカの輪郭が袋へと浮かび上がり、消える。
傍から見ると何が起こっているのかは分からないが本人と土御門は袋の中で起きている現象をよく知っていた。
【時間移動】
自分、または自分に触れた物の時間を自由に進め、戻す事が出来る。
例えば割れた花瓶の一欠片をつまめば。
何処からか残りの部分が集まり、かつての形に修復される。
例えば強固な砦にひとたび触れれば
連なる物は原材料へと戻され、一瞬にして崩壊するだろう。
時を止めることこそ出来ないが、戻れるのならばそう問題は無い。
また、妹である楓は【時間停止】の能力を持っている。
自分、または自分に触れた物の時間を止めることが出来るというものだ。
止められた物体は楓以外の干渉を防ぎあらゆる攻撃を無効化する。
ぴらっぴらの折り紙の時を止めれば幼児でも持てるほど軽量でありながら対戦車ライフルの一撃を防ぐ最強の盾の出来上がりだ。それを支える手足は無事とはいかないが。
つまり深夜での現象を説明するとこうなる。
息も切らさず走り続けられる体力→【疲れる前に身体を巻き戻していた】
バラバラになった拳銃→【組み立てられる前まで巻き戻していた】
弾かれた攻撃→【時を停められた紅葉に攻撃が当たった】
元に戻った拳銃→【組み上がった後に時間を進めた】
と、言うことだ。
さらに言えば土御門の話した『お前なら1発あれば充分だろう』という一言は
【撃った後に撃つ前の拳銃に巻き戻せば弾も戻る】と言うもはや訳の分からない現象を知っているから発せられた言葉だ。
まぁ、という感じで紅葉は傷の治療は名画の修復、【蘇生】なんて言うとんでもない事まで容易く行うことができる。その特異な能力の事もあり、紅葉は学園都市の暗い部分に強制で引きずり込まれ、何やかんや適応して中二病になった。
しかし、蘇生に関しては制限がある。人なら死後1ヶ月ほどで身体をどれ程戻しても動き出すことが無くなるのだ。研究によると【魂】と言われるナニカが消えてしまうからではないかとの事だ。動物や虫なんかにも蘇生を挑んだが、動物は1週間、虫は死んですぐでないと蘇生することは出来なかった。魂、意思の力と言った目に見えない物が何らかの影響を及ぼしているらしい。
「・・・えっ?こ、ここどこだよ!」
と、袋の中から声が聞こえた。何とか蘇生は成功したらしい。恐らく、中の人間の記憶は殺される前、家の中か外かは知らないがーー死ぬ前に袋に入ってたなんて事はそうそうないだろうーーその時の記憶で途切れている。混乱し暴れ出す前に土御門が眠らせ、次の袋へと向かった。
こっちは数日だったようで腐っておらず比較的簡単に終わった。
強姦被害者は身体を犯されるより前に戻すだけではなく、
こういうのは、外の権力者の親族らしい。死んだり犯されたり、外聞の悪い話は秘密裏に処理するのだが、本人達が何事も無く過ごしているのが1番隠しやすい。そういう事で俺に白刃の矢が飛んできたという訳だ。
「えっ、ど、どこここ!?」
時間移動の難点は、戻すと薬の効果が無くなる事だな。1つの物体の1部分を治すといった事が出来ないので記憶をかなり戻そうと思えば身長だって縮んでしまう。
「貴方は交通事故で頭を強く打ってしまったのです。記憶が混乱しているのかも知れませんね」
そう言って土御門は何らかの薬品で女性を眠らせた。無理矢理でも納得させるために土御門は白衣に着替えたのだ。
黒服達は割愛する。精神の壊れた者達なので適当に巻き戻せば終わりだ。壊れきってドロップアウトする事も出来ないのは哀れに見えるが、土御門曰くどうしようもないほどのクズ達の集まりだそうで同情できない。
「お疲れさん、後で口座に振り込んでおくぜい。しっかし、毎度随分稼ぐにゃー。今幾らになったんだにゃー?」
治療を終え、部屋から出た紅葉に土御門は問いかける。そう言う土御門も、仲介料という名目で1割弱の金額を得ているのだが。
「25億か250億くらいじゃないか?桁覚えてないわ」
「うひゃー、んじゃ、250億かにゃー。25億は少なすぎるってもんですたい」
大した労力も無い為、自分で稼いでいると言う実感が無い紅葉。しかし貰えるものはしっかりと貰っておく主義なので現金資産がアホみたいな事になっていた。
土御門は死なない為に色々手回ししたり小道具を用意したりしてかなりお金を使っているので2億位しか貯金出来ていない。それも場合によっては消し飛ぶようだ。
「命懸けてるのに、土御門可哀想な奴だよな」
「分かってるなら分けて欲しいにゃー・・・」
「ま、ヤバい時は幾らでもやるよ。死んでも死体さえありゃ戻してやれるし」
恐らく、土御門が死ぬような時は死体が紅葉の前に出てくる事は無いだろうが、気休めにでも言っておく。
日常とは言えない日々ながらも、少年は毎日を平穏に過ごしていた。
主人公の能力はなんでしょう
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身体操作(硬化・治癒など)
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時間操作(止めたり戻ったり自由自在)
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時間移動(進むか戻るかだけ)
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原子操作(原子を自由自在に動かす)
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その他