ついにゆゆゆ二次に手を出してしまった愚か者です。
なるべく続けられるよう頑張ります。
本日、三連投稿です。
夕焼けに照らされた秋空の下、彼は一人、壁の上にいた。
彼の足場となっている壁は樹木が絡み合ったかのように構成されており、どこか神秘的なモノを感じさせる。
それもそのはず、四国を覆うように現れたこの壁は土地神達の集合体である""神樹""によって生み出されたモノであり、天の神によって存亡の危機に瀕した人類を護るための結界を担っているのだ。
神樹に護られている人類からしてみれば、その壁は四国の中心にいる神樹の本体と同様に恐れ多いモノであり、ましてや足を乗せることすらおこがましい神聖なモノである。
お役目の際に必要とあればその上に立つことを許されるのであるが、そうでなければかなり厳しい処分が下されることはまず間違いないだろう。
そんな神聖なモノの上に白のジャージ姿で立つ彼に壁の上で行うお役目など課せられておらず、普通であれば有無を言わさずに厳罰に処されていただろうが、彼の場合例外的に処分が下されることはない。
なぜなら、彼は神によって選ばれた人間のみが行う特別なお役目についており、壁に乗る程度のことで一々とやかく言われるような立場では無いのだ。
視線を四国の外へ向けたまま、一時間程その場にとどまり続けている彼のもとに一人の少女が空から降って来る。
その少女は全体的に青い装いに包まれており、その腰には一振りの刀を差していた。
武人と評するのがしっくりするような雰囲気を醸し出すその少女は、彼を視線に入れると自分に背中を向ける彼と同じようにどこか悲しげな表情を作った。
「…また、ここに来ていたのだな。」
「……ああ。」
少女の呼びかけに素っ気なく彼は返事をした。
少女はいつも通りの彼のぶっきらぼうな態度を特に気にすることなく、言葉を続けた。
「
「……すまない。もう少ししたら直ぐに帰ると伝えてくれ。」
壁の外を見続けていた彼、
そんな光成の様子に少女はやれやれと言いたげな様子で肩をすくめる。
「それなら自分で伝えてやってくれ。端末は身に着けているのだろう。」
「あっ……。」
その手があったかと、割と本気で驚く光成を見て少女は頭を抱えた。
「いい加減、口頭以外での連絡手段にも慣れてくれないか?いくら使えない期間が長かったと言っても度が過ぎるぞ。」
「……すまない。」
申し訳なさそうな様子でそう言う目の前の男に少女はため息を吐くも、彼の事情を知ってる身としてもこれ以上の説教は控えることにした。
「まあいい。何にしろ、早く帰ってやれ。人のことを強く言えんが、過去の人間に構ってばかりで今の大切なパートナーを放って置いてしまっては散っていった者達に申し訳が立たん。だから、程々にな。」
少女は過去の自分と光成の様子を照らし合わせたのか、少しだけ自嘲気味にそう言った。
「ああ、分かった。色々と面倒を掛けてすまんな、若葉。」
「それはお互いさまというやつだ。」
そう言いながら光成の隣に歩み寄った少女、乃木若葉は彼と同じように壁の外へと視線を向ける。
「少し気分が変わった。私もしばらく一緒にいさせてもらおう。」
「……いいのか?あまり遅くなるとひなたの雷が落ちるぞ。」
「大丈夫だ。ひなたには既にメールも送ってるし、私が一緒の方が光成さんも時間を意識しやすくなるだろう?」
「……本当にすまない。」
年下の少女に気を使われていることを気にしているのか、先程から光成は謝ってばかりだ。
「分かればいいさ。私もひなたの説教は御免こうむりたいのでな。」
フッ、と笑った若葉はそのまま隣に立つ光成と同様に外の世界へと視線を向けて物思いにふけっていった。
彼女と彼、そして彼らの仲間たちは人類を滅ぼそうと攻めてきた天の神の先兵である""バーテックス""に対抗するべく神樹から力を授かった""勇者""とそれと同等の力を持つ""勇者代行""であり、これまで幾度となく奴らと戦い、平穏と引き換えにかけがえのない仲間たちを失ってきた。
今、彼らの戦いは
そんな救い用のない状況下で、光成は若葉を含む他の勇者と巫女の仲間達には知らされていない、とあるお役目について考えていた。
そのお役目は他者に知らせることを禁止されている特別なお役目で、光成はそれを受けるか受けないか思い悩み、この場所で一人、過去の仲間達の記憶に思いを馳せながら考え込んでいたのだ。
そのお役目は
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
彼は愛する人を一人、この世に残すことしかできない自分の不甲斐なさに唇を噛み締める。
彼は自分の中で踏ん切りを着け、己が為すべきことを確かにするために、これまでの自分が辿ってきた道程を記憶の中から掘り出していった。
この話は時系列的に言うと最終回直前の話です。
流石にこれだけだと短いので連続投稿です。