及川光成は走者である   作:水上竜華

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前半、うたのん無双。
後半、日常といった構成です。





第五話 聖域にて

 

 

 そう声高らかに宣言した彼女は鞭を振るいながら前進し、化け物達を相手に単身で突っ込んむ。

 

「そぃやぁぁぁああああ!」

 

 雄叫びを上げながら突き進む彼女に化け物達は殺到し数秒もしないうちに取り囲んでしまったが、彼女はその手に持つ鞭を変幻自在に操ることでそれら全てを叩きのめし消滅させていく。

 その力は圧倒的で彼女に近づこうとする化け物は例外なく消え去り、徐々にその数を減らしていった。

 しかし、奴らもこのまま大人しくやられるほど甘くなく、先程俺たちの目の前で生まれた弓状の化け物が遠距離から彼女を狙い撃ちにしようとしていた。

 それに気が付いた彼女は近くにいた通常の個体に鞭を巻き付け何回かその場で他の化け物達を巻き込みながら鞭を振り回すと、弓状の化け物が攻撃を発射するタイミングを見計らって鞭の先端に巻き付けていた化け物を勢いよく振りほどく。

 その勢いのまま飛んでいった化け物は弓状の化け物と衝突し、その攻撃の軌道を強制的に上方修正したのち消滅した。

 発射のタイミングで狙いがズレたその砲撃は天高く上り雲を突き破るとそのまま空に溶け込んで見えなくなる。

 強大な威力を誇る攻撃ができるとはいえ次弾装填まで時間がかかる性質を持っている化け物にとって今の攻撃を逸らされたことは、目の前に現れた勇者に対して十分すぎる隙だった。

 周囲にいた化け物達を殲滅した彼女は行方を阻む化け物を蹴散らしながら、一直線に弓状の化け物の下へと進む。

 そして、鞭の射程圏内に入った瞬間、弓状の化け物は鞭の連打の嵐を受け全身を粉微塵に砕かれる。

 一番厄介な相手を倒した彼女はその後、鮮やかな鞭捌きにより残りの化け物達を一匹も残らず殲滅したのであった。

 

 

 

  ◇

 

 

 

 俺は地面に体を打ち付けた衝撃で全身にケガを負ってしまったが動けなくなるほどではない。

 むしろ、無理な力の使い方をした所為で頭の負担の方が大きく、さっきから頭がくらくらしてかなり気分が悪い。

 しばらく動けそうにないな、と仰向けになりながら考えていると誰かが俺に向かってくる。

 

「光成お兄ざぁんッ、じっかりしてぐださい!」

 

 膝をついて涙交じりに呼び掛ける声はまさしく恵那ちゃんのモノだった。

 

「大丈夫、問題なく生きてるから、泣き止んでくれ。声が頭に響く。」

 

 ぶっきらぼうな言い方になってしまったが仕方ないだろう。

 気分が悪すぎて言葉遣いに配慮する余裕もないのだ、大目に見てもらいたい。

 

「本当にっ、心配したんですからぁ……。」

 

 しかし、この一カ月で時折出てくる俺の粗暴な返答に慣れてしまったのか、恵那ちゃんは言葉遣いに全く興味を示さず、ただ俺が無事であることが分かり泣きながらも嬉しそうにしていた。

 そんな恵那ちゃんの姿を未だに少しだけ霞んだ視界で微笑ましく見守っていると、新たに誰かの足音が聞こえてくる。

 

「すみませーん。それそろ移動を開始したいんですけど動けますか?」

 

 どうやら先程現れた自称勇者の少女が駆けつけてくれたらしい。

 少し休んだおかげか動こうと思えば動けなくはないくらいには頭に掛かっていた負荷が消えていた。

 

「……はい、まだ少しふらつきますが移動は出来そうです。」

 

 恵那ちゃんの手を借りながら立ち上がると、横に若干揺れはするもののしっかりとした足取りで前に進む。

 生まれたての小鹿よりはマシといったところか。

 その様子を見た目の前の少女、白鳥歌野は問題はないと判断したらしい。

 

「分かりました。でも、ここから避難地域までそれなりの距離を歩くことになるのできつくなったらいつでも声を掛けてください。皆さんも、何か困ったことがあったら何でも言ってください!私がおぶりますので。」

 

 俺に声を掛けた後に明るい口調でそう周りに呼び掛けた白鳥さんは先陣を切って歩き出す。

 道中ではこれと言ったトラブルは起きず、無事に案内された施設に辿り着きそこで自らの仕事を終えた白鳥さんとは別れこととなった。

 案内された施設とはこの安全地帯ーーー正式な名称でいうと諏訪湖周辺ーーーに元からあった町の公民館で、ここで身元の確認やここまで来た経緯、これからの生活に必要なことなどを教わるのだという。

 さらに、これから自分たちが住む場所も手配してくれるらしいのだが、主に長野県中から人が集まっているため圧倒的に住宅が足りておらず知らない人と強制的にルームシェアをしなければならないのだとか。

 

 まあ、それなりに事情は理解できるため俺に反発する意思は無いのだが問題なのは恵那ちゃんの方である。

 彼女はこの諏訪の地に着いてからもずっと俺に引っ付いたまま離れようとせず、身元確認の時には俺が付き添っていないとまともな受け答えができないくらい人付き合いが絶望的なまでに悪かった。

 それで取り合えず受付の人と話し合った結果、俺と恵那ちゃんはこのまま一緒に暮らすことになった。

 しかも、2LDKのマンションの部屋を通常であれば四人で生活するところをまるまる提供してくれる上に食事も優先的に配給してくれることになった。

 

 ぶっちゃけ完全に異例の処置なのだが俺達がそれだけ好待遇であるのには理由がある。

 

 ここまでくる経緯を説明する際、どうしても恵那ちゃんの力のことを話さなければならなくなり、本人の了承を取ってから正直に話した結果、恵那ちゃんが""巫女""という神からの神託を受信することができる特別な存在であることが分かったのだ。

 巫女はその数が多ければ多い程一度の神託で得られる情報の精度が上がるため一人いればいいような存在ではなく、むしろ多くいる事の方が重要になってくる。

 現在諏訪には一人の巫女がいるらしく、今も諏訪のために神託を受け取っており恵那ちゃんにも同じ役割を任せてほしいのだという。

 さらに一緒に逃げてきた人たちの証言から俺の力の存在もバレてしまい、あの化け物達、通称""バーテックス""の対抗手段として手を貸してほしいと頼み込まれた。

 バーテックスには俺の予想通りいかなる現代兵器も通用しないらしく、俺という存在が現れるまで霊力が宿った武具でしか倒すことができなかったのだという。

 しかも、その武具の数も限られており、諏訪でこの特殊な武器を使いバーテックスと戦うことができる""勇者""と呼ばれる者は今は一人しかいないらしい。

 その勇者というのが先程俺たちを助けてくれた白鳥歌野だったというわけだ。

 で、勇者とは全く別の力で戦うことができるこの俺をある程度調べた後に即戦力として投入したい諏訪側の人達なのだが、その見返りというべきなのか衣食住は優先してくれることになったのだ。

 

 この提案を蹴るという選択肢は俺達にあってない様なものであり、どうせ協力するのであれば条件がいい方が決まっているため俺はこの提案を受け入れた。

 俺が受け入れるのであればと、恵那ちゃんもその条件でいいということでサバイバル生活に続いて生活を共にすることになったのであった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 2015年9月16日 朝

 

 あれから二週間、俺達はバーテックスが襲来することもなかったため特に戦いに駆り出されることもなく平穏な日々を過ごしていた。

 恵那ちゃんとの共同生活はうまくいっており、ストレスが溜まるようなこともそんなになかった。

 今、俺は日課の朝のランニング中で自然あふれる畑のど真ん中にある道を気分よく走っている。

 走る速さは時速三十キロから五十キロくらいに抑えているが、常人から見たら車が一般道を走っているくらいの速度がでているので異常な光景であることは間違いないだろう。

 ここしばらく味わえなかった普通のランニングを堪能していると畑の一角にこの一週間で見慣れた姿が目に入った。

 

「歌野、おはよ。」

 

「あら、光成さん。グッドモーニング!今日は私の方が早かったみたいね。」

 

 走るのを一旦中止し畑の傍に駆け寄ると、朝から畑仕事に精を出す歌野に声を掛ける。

 彼女とはお役目の関係上顔を合わせることが非常に多く、今ではすっかり顔馴染みになっている。

 日課のランニングを始めた時に偶然にも畑にいた彼女と遭遇してから、自然とどちらが先に畑に着くか競争するようになった。

 だが負けたからと言って何かしら代償があるわけもないので少し悔しいくらいでヘッチャラである。

 ……まあ、明日は絶対俺が勝つけど。

 

「ふふーん。光成さん、少したるんできたんじゃないかしらぁ?」

 

「……今日は朝食の下準備をしてて遅れただけだ。明日も同じようにはいかない。」

 

 自信家の歌野は俺に勝ったのが嬉しいのか、好戦的な態度で挑発するが俺も負けじと強気な態度をとる。

 現在我が家では交代制で食事を作るようにしていて、今日は俺が当番だったのだ。

 朝のランニングをする都合上朝食は事前に作っておかないと恵那ちゃんの起床時間に間に合わないため、予め作ることにしていたのだがそれを言い訳にするのは癪だ。

 今度の朝食当番からは早めに起きられるようにしよう。もちろん睡眠時間が削られない程度にだけど。

 

「まあ、そういうことにしてあげましょう。それよりも見て!蕎麦の芽が少し伸びてきたの!」

 

「ん、どれどれ。おー、初めてにしてはいい感じじゃないか。」

 

「そうでしょ、そうでしょ。なにせこの私がラブを込めて育ててるんだから当然といえば当然でしょ!」

 

「……また、すぐに調子に乗りおってからに。」

 

 腕を前で組みながら自慢げに話すその様子を見て、若干うんざりした声を出してしまった。

 確かに農家の生まれでもないのに目の前に広がる畑をまだ短期間とはいえ一人で切り盛りできている彼女には尊敬の念すら覚える。

 しかも、これまで殆んど農作業自体やったことがないというのだから、本当にすごいと思う。

 ただ、書物による情報の方が多い所為か実地での経験の少ないこともあり、荒い部分も少しだけ見受けられた。

 一度彼女に農家の息子として得た経験を基に助言をしたことがあるのだが、それが大層喜ばれたようでそれから度々畑に関する話をするようになり、そのまま流れで俺は彼女の農作業の手伝いをするようになった。

 まあ、学校もなく出撃の命令もなければいたって暇な生活を過ごしていたのでやることに恵まれたことには感謝している。

 ……してはいるのだが、

 

「よぉーし、人手も追加されたことだしこれまで手付かずだった畑にも手を出しもいいんじゃないかしら?」

 

「いや、だから現実的にそれは厳しいって言ってるだろ。せめて今できる範囲で確実に経験を積んでから面積を増やした方が効率がいい。」

 

「えぇ~、で~も~。」

 

「駄々をこねるな、駄々を。」

 

 こうして、若干無謀な試みをしようとしているのが玉に瑕である。

 本人には絶対に言わないが農作業が関わる学習に関して言えば歌野の吸収力は尋常ではない。

 もしかしたら彼女なら先程の試みも問題なくやり遂げる可能性もあるが、不確定要素がある以上許可は出せない。

 ただでさえ物資が枯渇しているのに下手に失敗して貴重な作物の種を無駄にするわけにはいかないのだ。

 

「ぶぅ~。ま、しょうがないわね。今回は私が折れてあげましょう。」

 

 ぶー垂れながらもちゃんと引き下がってくれるのだから、理由自体には納得しているのだろう。

 農作業が大好きなことやこうした大人な対応を見ると、時々彼女が小学五年生であることを忘れてしまいそうだ。

 

「でも、ネバーギブアップ!完全に諦めたわけじゃないからその時は覚悟なさい!」

 

 ズビシッ!と効果音がしそうな勢いで歌野は右腕の人差し指を俺に向ける。

 何に覚悟すればいいのか分からないがこういう負けず嫌いな所は実に年相応である。

 彼女には変わらず成長してほしいものだ。

 

「じゃあ、また後で手伝いに行くから。」

 

「えぇ、今日もよろしく。」

 

 そう言うとそれぞれランニングと農作業を再開する。

 こうしてまた、平穏な一日が始まる。

 

 

 

 ◇◇

 

 

 

 朝の40キロランニングを終えた俺はシャワーを浴びた後、寝起きの恵那ちゃんと共に朝食を食べるとすぐさま諏訪の神社にある大社の支部に顔を出す。

 大社とはバーテックスにより引き起こされた騒動と共に現れた謎の組織で、もはやほとんど機能しなくなった政府に代わって大衆を導く組織である。

 大社はこの一連の騒動について多くを知っているらしく、勇者や巫女の存在、諏訪や一部の地域に張られている結界についても把握していたらしい。

 これはここに来てから聞いた話なのだが、この結界というのはその地に根付く地の神たる土地神達によって張られたもので人類を殲滅せんと攻めてくる天の神の先兵である""バーテックス""の侵入を阻む力があるのだという。

 バーテックスの正体を聞いたとき、なぜ奴らに現代兵器が通用しないのかがようやくわかった。

 神の力に対抗するには同じく神の力が必要なのは道理である。

 俺が奴らと渡り合えたのは転生特典によって強化された俺の体には少なからず神の力が秘めているからなのだろう。

 詳しい原理は良く分からないが大体そういう感じでいいはずだ。

 

 話を戻すが、その大社の本部は諏訪と同じように全域を結界で守られている四国にあり、勇者や巫女の人数は諏訪より多く、施設も向こうの方が充実しているらしい。

 それでも諏訪にも少ない人数ではあるが大社の職員がそれなりにおり、歌野の着ていた霊的な力が籠ったバトルスーツや神の力を利用して四国との連絡を可能とする通信機の調整をしてくれている。

 今回俺が呼ばれたのは俺の力の仕組みの解明し、可能であれば専用のバトルスーツを作るための下準備である検査をするためである。

 バトルスーツの下地である何かしら逸話の残った古い鎧や武具は残っているため、作れないことは無いのだとか。

 かれこれ二週間くらい同じような検査を繰り返し行っており未だに詳しいことは解明されいないが、俺の力は勇者と違い武具を通して神の力を手にしているわけでは無く体の内側から溢れて出てきていることが分かった。

 この溢れて出るというのが重要で、俺は今までこの力を毎度全開で使っていたが一部のエネルギーが身体能力の強化に使われずに駄々洩れになっていたことが検査によって判明したのだ。

 これは俺の体を検査してくれた大社職員が言っていたことなのだが、この溢れ出ているエネルギーは俺という器がまだ未熟であるため体が壊れないように隙間からこぼれている力の一部である可能性が高く、これを利用することができれば勇者のバトルスーツ以上の強化が望まれるらしい。

 ただし、体の負荷を抑えるために放出していたエネルギーを使うということは負荷も増大するわけで、現状でも問題なく戦える以上必要性を感じないスーツになりそうなのだ。

 まあ、取り敢えず四国の本部と相談しながら製作段階に入っているとのことで、俺に出来ることはデータ取りに協力しながら完成まで気長に待つだけだ。

 

 今日の検査も滞りなく終わり、午前中のうちに解放された俺は大社の人から勉強を教えてもらっている恵那ちゃんと合流し、歌野が待っているであろう畑に向かう。

 外の天気は快晴でお出かけ日和なのだが外を歩く人の姿は非常に少なく、出歩いてる人も晴れ渡った空を見るどころか視界に入らないように日傘を指したり、帽子を深くかぶり俯いている人が多く見受けられる。

 あの騒動以降、空に恐れを抱く人がたくさん現れるようになった。

 所謂トラウマというやつで彼らは皆、天を仰ぐと空から現れたあの化け物の姿を思い出してしまうのだ。

 症状が酷い人に至っては空を見ずともあの日の情景がフラッシュバックし、半狂乱になったり耐え切れず自ら命を絶つこともある。

 しかし、精神病というのは見極めが非常に困難であり、病院に行ってすぐ治る様な類の病気ではないため非常に厄介だ。

 まだ正式な名称は無いがこれから患者の精神状態の段階をしっかり調査した上で、いずれちゃんとした精神病として取り扱ってもらえるようにすると大社の人は言っていた。

 俺に出来ることは少ないが、彼らをこれ以上絶望させないためにも頑張って諏訪の防衛に努めるだけだ。

 

 そうこうしているうちに目的地に到着する。

 遠目で歌野が作物の状態を確認しながら土いじりをしている最中であることを確認すると、畑の傍にある木々で出来た木陰の方に足を延ばす。

 そこには既に先客がおり、土いじりに夢中になっている歌野の様子を微笑ましく見ている少女がいた。

 

「こんにちは、藤森さん。今日は日差しが強いな。」

 

「……水都ちゃん、こんにちは」

 

「あ、及川さんに恵那ちゃん、こんにちは。今日はいつもより早いですね。」

 

 彼女の名前は""藤森水都""。この諏訪の地に住まうもう一人の巫女だ。

 彼女も歌野と同様にこの二週間を通して交流しており、すっかり顔なじみになっている。

 

「ああ、もうだいぶデータは取れたからそこまで調べる必要がないんだとさ。今度からはこのくらいの時間に来るようになるかもしれん。」

 

「……へぇー、そうなんですか……。きっと、うたのん喜ぶと思います。いつも及川さんと一緒に作業してると楽しそうだから。」

 

 藤森さんは少しだけ寂しそうな雰囲気を纏いながらそう言う。

 初めて顔を合わせてからもそうなのだが、彼女は俺と話をすると時々こういう感じになる。

 努力はしているのだが何が原因でそうなってしまっているのか分からないので改善のしようがなく、今でも彼女とはかなり微妙な関係になっている。

 まだ「微妙」で済んでいるのはなぜかと言うと、

 

「……水都ちゃん、元気出して。私の飴、あげるから。」

 

「恵那ちゃんっ、ありがとう。心配かけちゃってごめんね。」

 

「ううん、謝らなくていいよ。私もその気持ち、分かるから……。」

 

「恵那ちゃん……。」

 

 こうしていつも恵那ちゃんが仲を取り持ってくれてるからだ。

 ぶっちゃけ会話の内容は全く理解できないわけではない。

 ……ないのだが、下手に関係性を拗らせる訳にもいかないので、あえて分からないふりをする。

 そそくさとこの場から退散したいのだが、割り込むタイミングが全く分からん。

 

「光成お兄さん、そろそろ歌野さんの手伝いに行ったらどうですか?」

 

 恵那ちゃんに俺の空気を読んでもらったのか、それともただ単に邪魔者扱いされたのかは分からないがここは前者だと信じて行かせてもらおう。

 

「ああ、そうさてもらおうかな。藤森さん、恵那をお願いします。」

 

「はい、任せてください。」

 

 さっきよりも大分ましな雰囲気になった藤森さんをみてから、俺はその場を後にする。

 そのまま歌野の元に行き畑仕事に交じり、昼になって食事をしてからまた畑仕事に戻り、夕暮れになる前に買い物をして夕食を作り、夕食を食べたら寝る準備をして眠る。

 

 これが今の俺たちの日常であり、守るべき大切な日々である。

 

 

 

 

 

 






主人公は鈍感な訳ではないんです。
ただ今の関係性が崩れることを恐れているだけなんです。

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