センリが剣を投げると、剣は魔物を貫き絶命する。新たに剣を取り出し投げて魔物を串刺しにする。センリはジャンプして魔物の群れを見る。
センリが見たところ魔物の群れはザッと100体くらいいる。いや、既に11体の魔物を殺したから89体か。
「この程度なら私には全然問題ないけどね」
センリはまた鞘から剣を8本取り出し魔物に向けて投げる。上空から襲い掛かる剣に魔物達は避ける間もなく串刺しになる。あまりにも剣を投げるスピードと飛ぶスピードが速過ぎるのだ。落ちる最中にもセンリは40本程剣を投げて、40体ほどの魔物が絶命している。そしてセンリは着地する。
「残り49体、7の2乗ね」
センリが呟くと同時に3体の魔物が飛びかかって来るが、センリは刹那の間に魔物の脇をすり抜けて飛びかかって来た魔物を串刺しにする。
「遅いのよ」
センリは剣士だ。しかしその戦闘スタイルは剣の投擲を主としている。千本鞘と呼ばれる剣をたくさん収納する事ができる鞘を持ち、数多の剣を投げて相手を串刺しにする。そういう戦闘スタイルなのだ。
センリは魔物の隙間を神速の如く駆け抜けて24体の魔物を剣で串刺す。
「さて……残り22体ね」
センリは僅かの間に魔物の数を4分の1以下まで減らした。時間という意味では出入り口まで来る時間の方が遅かったくらいだ。
センリのあまりの強さに恐れを抱いたのか魔物達はセンリから背を向けて一斉に逃げ出す。
(散り散りになったら面倒だね)
だからセンリは魔物達が散り散りになる前に剣を投げて背後から22体を串刺しにして殺した。
「あっ……やっちゃった」
センリは間違って魔物を全滅させてしまった。当初の予定では1体だけ残してその魔物を逃がした後に魔物の巣まで案内してもらって魔物の巣まで行き根絶やしにするつもりだった。
「ん?」
センリはまだ串刺しにされていない魔物を1体見つけた。魔物はセンリが見ている事も知らずにコソコソ逃げて行く。
「ラッキー」
センリは追いつかない程度に走り魔物を追い掛けた。
10分くらい走ると、センリは魔物の巣と思われる洞窟を見つけた。追い掛けていた魔物は洞窟に入って行く。センリは洞窟の前で立ち止まる。
「ここね。まあ、大丈夫だよね」
センリは洞窟に入る。洞窟の中は暗い。センリの視界は黒色に染まり正真正銘真っ黒闇だった。
「ナメないでくれる」
センリは3本の剣を投げた。壁に剣の刺さる音と3重奏の断末魔をセンリは聞いた。
(出入り口付近はそうでもなかったけど中は割と広いのね)
センリは通路を進みながら襲い掛かって来る魔物を撃退して行く。
そしてついにセンリは魔物の群れのリーダーと思われる魔物に遭遇した。
センリには魔物の姿が見えないから言い方はおかしいかもしれないが、センリはその魔物を一目見てリーダーだとわかった。
「君がリーダーね?」
人語がわかるのか、それとも単に声が出ないだけなのか魔物はセンリの質問に何の反応も示さない。
「わかるよ。君は確かに魔物のリーダーだ。自然界の法則──弱肉強食を厳格に守りながらもそれでいてあれほどの群れを統率する知恵があり本能に従っている。戦いがいがありそうね。身も心も串刺しにしてあげる」
センリが喋り終わると魔物のリーダーが火の玉を口から発射した。センリは体をずらしてこれを避ける。魔物のリーダーは続けて火の玉を連射する。火の玉の猛攻はセンリを近づける隙間を与えない。
「なるほど……相手が武器を投げるなら避けられるくらいの距離を取って遠距離攻撃で対応とはなかなか知恵が回る。だけどね……」
センリは鞘から1本剣を取り、魔物のリーダーに向かって走り出す。センリは火の玉を避けずに剣を振るう。剣が火の玉に当たると火の玉は形を変えて刃状となり魔物のリーダーに向けて飛んで行く。火の刃を魔物のリーダーは避ける。
「隙間がないなら隙を作ればいいの。距離を取られたら距離を詰めればいいの。ほら、私はもう君を通り越して君の背後だよ」
「ギギ?」
センリは腕をクロスさせて既に魔物のリーダーの後ろにいる。センリの背後では魔物のリーダーが体中10本の剣に串刺しにされ、地面に身を預けている。絶命したのだ。
まるでその運命を全うしたように……。
「ちょうど130本使ったのね。手痛い出費かな? 後で町で使った剣くらいは回収しとこう」
センリは来た道を戻りながら呟いた。