童顔系潜入捜査官 作:くりっぷ
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おれは、しがない警察官の卵のはずだった。つい先日までは。
幼なじみで同級生の金髪褐色野郎と猫目野郎と警察学校に行って.....
卒業するや否や、すげー偉いジジイに呼び出され、怪しげな雰囲気を目撃した!
「やぁ。君の評判はよく聴いてるよ。早速だが、君には、ある場所に潜入してもらう」
喰えない笑みで、胡散臭く感じる。
この場を切り抜ける方法を考えるのに夢中になっていたおれは
背後から近づいて来るもう一人のジジイの仲間に気づかなかった......
【プランA:ガングロ卵に押し付ける】を実行する前に
おれはその男に問答無用に書類を渡され、ハッと気がついたら
中学生として、危険人物を監視する任務を承けていた!!
「君のその...あー、なんというか...とにかく!その容姿なら中学生でも問題ないだろう。その対象クラスに
問 題 し か な い
言葉を選びながらも、とんでもないことを要求された。誰が想像しただろう。ついこの間まで「警察官になるんだYo☆」in警察学校を耐え抜いたと思ったら、こんな無茶苦茶な仕事が待っているだなんて。
手渡された資料には、黄色い丸い頭のタコがニヤニヤとこちらを馬鹿にしたように笑って写っている。正直、突拍子すぎて信じられない話だ。チラチラと入口を見るが、誰もドッキリ看板を持ってくる気配はない。
そんなおれに構わず、ペラペラ説明し始めた上司もといジジイ曰く、危険人物は黄色いタコみたいな生命体らしい。なんとまあ月を爆発させ、今度は地球を爆発させると宣言したそうだ。圧倒的テロリスト!最近の犯罪者は犯行予告するのがブームなのか、地球爆発とは大きく出たものだ。
そしてそのテロリストは何故か中学校で教師をしているらしい。......ますます意味がわからない。
テロリストに本当のおれの存在がバレたら、命を狙われ......まわりの人間にも被害が及ぶ。
ジジイの助言(強制)で正体を隠すことにしたおれは名前を【
そして、世間がGWにそわそわしているころ、ヤツの情報をつかみ、その周囲の安全のために、ヤツが教師をやっている椚ヶ丘中学に転入することになった。
***
「きりーつ、れーい!!」
始業のベルとともに、生徒が一斉に銃を構える。おもちゃ弾のようなそれがポップコーンのように銃口から弾けとんだ。視界は無数の銃弾に埋め尽くされ、かろうじて黄色い影が見え隠れしていた。黄色い影の正体...ターゲットは、ひらりひらりと、交わしながら、出欠をとる。ゴーグルを装着し、適当に狙ったふりをして、最後尾の席から教室全体を観察する。生徒たちはターゲットに当てようと必死だが、マッハ20には、とても太刀打ちでないことは明らかだった。
「ヌルフフフフ......今日も残念でしたねぇ。」
緑のしましま模様は暗殺者をなめている態度。今日もまた、暗殺は【失敗】。
生徒が床に落ちたBB弾を掃除する様子をチラリとみながら、ハァと小さく息を吐く。すぐ後ろのロッカーから、ホウキや塵取りを取りだし、後片付けを手伝う。
「ありがとう、飛鳥君」
「皆で掃除した方が早いからね」
ニコッと笑いながら、猫を被る。こんな好青年を装うなんて、自分でも寒気がする。いろんな意味で重たいため息がつい溢れる。幸い、生徒たちも、暗殺失敗して気落ちしていたから、不自然に思われなかった。
「殺せるといいですねぇ......卒業までに」
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報告書
椚ヶ丘中学 3年E組。通称【暗殺教室】
5月16日
始業と同時に生徒による危険人物への一斉射撃。危険人物、生徒らは無傷。生徒の身体的、心理的負担の目立ったところはなし。危険人物はかわりなく、教師をしている。