童顔系潜入捜査官 作:くりっぷ
side 潮田 渚
閉じ込められた僕らはここから脱出しようと、出口を探す。竹林君の爆弾、奥田さんのカプセル煙幕。地下道を通ってスマホで律に呼び掛けると、画面のなかの彼女はだらしない格好で......死神にハッキングされていた。
「聞こえるかな、E組の皆。実はね、君たちが逃げてとても嬉しかったよ。未知の大物の前の肩慣らしだ。期待してるよ」
鷹岡先生のような単純な執念じゃない。
......死神の顔がみえない......
***
脱出したものの、また振り出しに戻ってしまった。ロヴロさんに教えてもらった必殺技は、死神相手にまったく歯が立たなかった。僕らはまた檻の中に閉じ込められている。
「たとえどんなに情報不足でも結果を出す。それが世界一の殺し屋だよ」
「カラスマ......」
「.....参ったな。かなり予定が狂ってしまった。仕方ない。プラン16だ。」
死神とビッチ先生が立ち去ったのを見届けると、それまでじっと黙っていた飛鳥君がポキッポキッと首や肩をならしながら立ち上がった。足元には縄が落ちてある。
それに気づいた皆が飛鳥君に話しかけようとすると、人差し指を口元にあて、しぃーとあざといくらいにポーズするので、毒気が抜かれた。
飛鳥君は体格のいい寺坂君と赤羽君をクイクイとこっちに来るようにサインをし、背中合わせに座った。監視カメラを気にして、死角になる位置になっている。
皆が飛鳥君の行動に固唾を飲んで見ていると、「......そろそろかな。なるべく壁際に移動して」と小声で言った。
――――まさか次の瞬間に殺せんせーが落ちてくるとは思わなかった。
殺せんせーがふざけている間に飛鳥君は僕らに時間稼ぎの指示を出した。飛鳥君のことだから何か手段を思いついたのかな。
「あのさァ。そのペロペロ続けるなら、全員の首輪、爆破していくよ。......今からここに水を流す。ここは放水路だ。上の操作室から指示を出せば、放出される毎秒200トンの水圧と檻で、君はバラバラになる」
「......生徒ごと殺すつもりか?」
「当たり前さ。今さら待てない。......確かに多少手荒だが、地球を救うチャンスをみすみす逃せというのかな」
「......政府の見解を伝える。......28人の命は地球より重い。それでも彼らごと殺すつもりなら俺が止める」
ぎゅっとネクタイを緩め、烏間先生は死神を見据えた。
「その言葉、待ってたよ烏間さん」
ターン、と何かを叩く音がした。
緩慢な動作でパソコンを手に持った飛鳥君はいつものように笑みを浮かべていた。
「ぼくらは死ぬ気なんて、さらさらなくてね。ここの操作室は今はぼくが司令塔になっている。......あぁ、首輪の爆弾もそのスマホのスイッチと連動していたから、解除させてもらった。......あとは、あんたを絞めるだけ。」
チッと舌打ちした死神を烏間さんが追う。
***
飛鳥君が僕らを縛っていた縄をほどき、殺せんせーが首輪の爆弾をはずしていく。檻の解除させて、僕らはようやく脱出できた。
「これがぼくの【第二の刃】さ」
竹林君の爆薬、奥田さんのカプセル煙幕。飛鳥君のハッキングに、イトナ君の機械スキル......
本当に僕のクラスメイトは頼もしい。
「つか、飛鳥のハッキングってアウトじゃね?」
「あはは~」
「笑って誤魔化してる!?」
「白よりのグレーだから気にしないでよ」
「むしろ心配になってきたよ!?」