童顔系潜入捜査官 作:くりっぷ
名残惜しく3年E組をあとにしたおれは、事後処理に追われていた。
マスコミの報道規制やら、E組生徒の処遇やら......てんやわんやで、猫の手を借りたい勢いだった。
これまでの功績からE組生徒をいっそのこと引き抜こうぜ(意訳)と提案が出たときは待ったをかけた。
未来ある子どもなんです!!
と、ゴリ推しして、期限付きの監視でどうにか落ち着いた。この1年で兵士を育てたようなものだから、野放しして危ない思想や行動をとらないかという意味で、マークされたというわけだ。
律に引き続きE組の安全管理をお願いし、おれに関する情報はロックをかけた。ピンク携帯は解約し、電話もメールもできなくなったが、なんとなく手放せなくて、御守り代わりに持ち歩いている。
それから、殺せんせー騒動が落ち着き、世間の記憶から風化され、やっと一段落ついた。
***
おれは童顔系潜入捜査官
幼なじみで同級生の理不尽ゴリラとかげみつ(あだ名)とともに警察学校を卒業するや否や、中学生に紛れ込み、【暗殺教室】の任務を完了した。
後処理を終えるのに徹夜組になっていたおれは......
背後から近づいて来るジジイに気づかなかった。
おれはその男に拉致され、強制的に仮眠室へ放り込まれた。そして目が覚めたら、
「やぁ。お目覚めかな。早速だが、君には、ある場所に潜入してもらう」
何処かで聞いたことがある話だ。思い出せ、おれ。......そうだ、あれはまだ初々しい警察官だったころだ.....この手際のいい流れ作業......テンプレな台詞......
嫌な予感がする。
ジジイは喰えない笑みで、やっぱり胡散臭く感じた。瞬時に面倒事を察知したおれは【プランB:ぶぶ漬け】を実行した。
「ブルームーンいかがですか?」
「それこそできない相談だ」
バッサリ切り捨てられた。
悲しいかな、縦社会なんてこんなものだ。2回目ともなると、だいたいわかる。前は1年だったが、今回はどれくらいの期間になるかあやふやだという。「半年かもしれないし、10年かかるかもな」とジジイは何を今さら、という表情で言っていた。......気が遠い。
それからは
おれが警察官であるとヤツらにバレたら、命を狙われ、まわりの人間にも被害が及ぶ。
文字通り裏路地に放り込まれ、闇深い組織を転々としながら、検挙、検挙、検挙......の日々を送っていた。この童顔で未成年だと勘違いされ、ヤツらの懐にするすると入り込み、バンバン情報を刈り取っていった。
ジジイの命令で正体を隠していたおれは
アンダーグラウンド界隈で知り合った銀髪ロン毛に名前を聞かれて、ちょうどその日切らしていた調味料を思いだし、とっさに【みりん】と名乗った。
マズイと思ったが、後の祭り。この日のおれは、アドレナリンが好調し、頭のネジが2、3本置いてけぼりになっていた。
「ふざけてんのかテメェ」とメンチ切られたが、紆余曲折あって銀髪ロン毛が幹部をやっている通称【黒の組織】に転がり込んだ。
そしておれの受難の日々が始まったのである。