童顔系潜入捜査官 作:くりっぷ
どいつもこいつも腐ってる。
この手の仕事に詳しい顔見知りに依頼したものを詰め込み、スコッチ――景光――のもとへ急いだ。
【おれ】名義の番号から連絡をかけるが繋がらない。人手が足りない。時間も足りない。
こんなとき、あの子たちがいたら......と頭によぎる。
イトナ君の保護のとき、おれは彼を切り捨てろと命令された。それは政府を味方につけた柳沢の作戦を上層部が考慮したからにすぎなかった。だから、イトナ君を助けるためにはE組を動かすしかないとおれは判断し、あの子たちを動かした。仲間意識が強いあの子たちなら、きっとイトナ君を助けようとすると見通して。
もしも、まだおれが【飛鳥 進】だったら......なんてありえない空想を浮かべ現実に戻る。
ダメだあの子たちは
通称【みりん教】信者の目撃情報から景光の居場所が特定できた。夜の廃ビルへとエンジン音をふかした。
いた!スコッチだ!!
ギュインッとハンドルを曲げ、バイクに乗ったまま階段を上る。交通法は空の彼方へ飛んでいった。人命かかってるんだ、こっちは!
勢いそのまま屋上の扉を押し破り、肩にびっくりドッキリバズーカ砲をかけ、スコッチに向けて催涙ガスを放つ。
「......なっ!......みりん!?」
真正面から浴びたスコッチは、秒で意識が落ちた。さすが
それから暗殺者から催涙ガスとともに同封された【死んだふり取扱説明書】の手順に従い、スコッチを血糊でメイクしていく。リアルすぎてグロいハロウィンパーティみたいだ。
バッチリオッケー。そのままパシャリと写真を撮り、ジンへ送信した。これで【みりんがスコッチを始末した】とすぐに広まるだろう。ついでにおれの連絡員を呼び出す。
「これでより中枢深く潜れるな。お前は鬼だな。同胞を殺すとは......【暗殺教室】の生き残りは恐ろしいもんだ」
到着するなり景光の遺体(仮)を一瞥してそうニヤリと宣った。この連絡員は景光が死んでいると判断したらしい。
何でそんなことを......また仲間を切り捨てるのかあんたたちはッ!
不穏な言葉にこのままこの連絡員に景光を引き渡していいのか躊躇した。
本当にジジイがこの男に景光を殺すように命令したのか。
この男が独断で動いてスコッチを売ったのか。
生憎判断がつかない。グラグラと思考が揺れ動く。
迷っていると、カンカンカンと音がした。現れたのはバーボンとライだった。
「スコッチ......!」
バーボンがスコッチの方へ視線を向け、絶句した。ライは静かな声で「......お前がやったのか」と血糊がべっとりついたライダースーツを着たおれをみる。
たしかにこの景光の仮装(ゾンビver)はおれがやったのでコクりと頷いた。
ユラリとバーボンが顔を上げ、もう一人の観客である連絡員に気がついた。
「彼が教えてくれたんだ。スコッチが鼠だってね」
何でもないように組織の人間らしく【みりん】は説明した。男はバーボンをみて顔を青ざめた。ひどく動揺して彼をみている。バーボンは「......ホォー」と低い声で相槌をうつ。そのバーボンの様子からこの連絡員の独断だと判断し、一気に畳み掛けた。
「お前倒すけどいいよね?」
グイッと手足を拘束し、そのままバーボンに引き渡した。丸投げともいう。
思わぬ急展開に冷静になるため、この場にいるキャストを整理する。
スコッチ:死亡(生きている)
バーボン:幹部(NOC)
ライ:幹部
連絡員:情報漏洩の容疑者
おれ:スコッチを始末した(NOC)
ライがいなかったら堂々とこの場で種明かしできたのに......やっぱりライは早々に組織から出ていってもらいたい。
スコッチが NOCだとバレた今、バーボンまでバレたらまずい。
バーボンはこの
チラチラとバーボンとライからの視線が痛かったので
「だって、これボクのだし.....ボクたちトモダチだよね?」
びっくりドッキリバズーカ砲を向けて追い返した。
証拠隠滅のために廃ビルは吹き飛ばしたけど、組織の連中は「またか」と呆れつつ、あっさりした反応だった。慣れってこわいな......