童顔系潜入捜査官   作:くりっぷ

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side 諸伏 景光

 

零を庇って死んだアイツ。俺に何も告げず秘密を身に纏ったアイツ。

 

―――彼は極秘に潜入したスパイ......警察官だ。

 

 

アイツの直属の上司から大まかに告げられた。

 

零はショックを受けていて、俺はそんな零に何の言葉をかけてやることも出来なかった。会話は少なくなった。

 

 

ただ手掛りが欲しかった。俺はアイツから受け取った遺品をかたづけていた。

 

 

―――この仕事が終わったら、一緒にゲームしない?ほのぼのして癒されるんだこれ。

 

 

最後に会った日にアイツから渡されたゲーム機とソフトが目に止まった。

 

 

「......そういえば、よくゲームをしていたな」

 

緩いほのぼのした動物のキャラクターが描かれたソフトを差し込んだ。

 

 

二人の住民がプレイヤーとして登録されていた。一人は【みりん】......もう一人はアイツの下の名前だった。

 

【みりん】を起動させると、ポストに郵便物がある。【未来からの自分】から届いた手紙だった。

 

【データは 郵便局の 手紙に 全て 保存した】

 

たったひと言、それだけ書かれていた。プレイヤーを動かし、郵便局へ向かった。

 

 

信じられない量の組織に関するデータが事細かに手紙に保存されていた。アジトの場所、幹部の特徴、今後予測される組織の動き......

 

 

 

暗い闇に僅かな光が差し込んだかのように錯覚した。

 

 

ゲームのプレイ画面をそのまま表示させ、急いで零のもとへ走った。命をかけて掴んだこの情報をアイツは俺に託した。

 

 

だったら、俺はこれをちゃんと使()()()()()()()()()

 

 

 

side 降谷 零

 

景光から渡されたゲームから知り得た情報は俺たちに共有され、すぐさま動き始めた。いったいアイツはいつからこんなに十分な証拠を集めていたのだろう。

 

組織では10代という設定をカモフラージュするように子どもっぽく振る舞っていた。まさかゲーム内に最重要機密を保存するなんて、誰が想像した。

 

 

他にも情報がないかくまなく探した。ゲームの設定の村のイベントを予告する掲示板にアイツからのメッセージが書かれていた。

 

 

【悪い。さよならだな。長生きしろよ】

 

 

 

切羽詰まった状況だったのか。短い言葉だ。嗚咽し、声を詰まらせて泣いた。

 

 

アイツは自分が死ぬとでも予感していたのか.....どうして何も相談してくれなかったのか......

 

 

もうひとりのプレイヤーはアイツの名前で登録されていた。交番の近くに家を建てている。そしてプレイヤーの服装はお巡りさんの格好だ。思わず笑ってしまった。

 

そして同じようにポストや手紙を確認すると、驚くべき事実が発覚した。

 

 

アイツの直属の上司が揉み消した事件の証拠が発見した。

 

 

それはアイツがまだ一桁ほどの少年だったときに起こり、()()()()()で処理されていたものだ。

 

その不幸な事故は、アイツの直属の上司が糸を垂らし、意図的に起こった事故だとアイツは突き止めた。

 

調書を録れば、その上司は必要な犠牲だったと抜かしていた。

 

 

―――この国にどれだけのスパイやテロリストがいる?現場の人間がどれだけ企画書をあげてもすんなり通ることはほとんどなかった。安全神話に心酔した平和ボケの奴らを説得し、納得させるためには()()()を持たせないといけない。連中は事故が起こって初めてやっと()()()()()()()......一般人が巻き込まれるのは計画外のことだった。

 

 

―――儂なりに部下を可愛がっていたんだがな......

 

 

―――アイツがかぎまわっているのは、薄々気付いてた。儂も無駄に歳を重ねてこの席を勝ち取ったわけじゃない......だが、アイツの方が一枚上手だったか......

 

 

 

その不幸な事故に巻き込まれた一般人がアイツの唯一の姉だった。両親がいないアイツは姉に世話をされて、随分慕っていた。俺と出会ったときは施設で過ごしていたから、その前に起こったことだろう。

 

 

「ただの操り人形じゃなかったわけか......」

 

 

おかしいと思った。

 

アイツの経歴はごく一般的な警察官とちがう。

 

直属の部下となり、時には進んで闇組織に潜入していたと聞いた。巧妙に隠された証拠を掴むため。死物狂いだったのだろう。

 

 

アイツは裏社会を渡り歩き、そこでひとり孤独に戦っていた。

 

 

姉の無念を張らすためか、アイツの正義なのかわからない。

 

 

でも、闇に染まってもアイツの根本は警察官だったってことはわかる。

 

 

 

***

 

 

 

それからは早かった。すぐさま令状を取り付けた。組織の方も着々と解体に向かってる。

 

 

僕は【安室 透】と名乗り、喫茶店でバイトをしている。ベルモットの目撃情報が毛利探偵事務所の近くであったからだ。

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

 

お客さんは水色の髪をした女の子みたいな少年だった。

 

 

「......すみません。私立探偵の安室 透さんですよね?依頼したいことがあるのですが」

 

 

 

 

カランと扉を閉めた拍子にベルが鳴り響いた。

 

 

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