童顔系潜入捜査官 作:くりっぷ
side 潮田 渚
律と一緒にこのE組にやって来た転校生、飛鳥 進君。はじめは、律のインパクトが強すぎて、「転校生って二人だよな?まさかターミネーターみてーな奴がくるのか!?」なんて戦々慄々としていた。
教室には、ドーンと機械が置かれてあったし、画面には烏間先生から送られた写真とそっくりな女の子が写って、独特の機械音で自己紹介された。烏間先生が律を紹介していると、ひょっこりと男の子が教室に入ってきた。
(((((イケメンキターーー!!)))))
これが僕らの飛鳥君の第一印象。
くせのある黒髪、色白の肌、深紅の瞳が特徴的。 たぶん、アルビノってやつかな?
彼は僕らを見回して、烏間先生から紹介されている律をみて固まった。目をそらせば、それは殺せんせーを捉え、彼の表情は「来るところ間違えたかもしれない......」と物語っていた。
それから、ぎこちなく、なんとか自己紹介してそそくさと席へ座った。クラスの皆の関心は律に集中していて、転校初日の彼からしたらよかったのかもしれない......
でも、その日は律の乱射で授業どころじゃなかった。
(((((転校初日からこんな目にあうなんて、ツイてないやつ......)))))
同情的な視線が飛鳥君に集まった。
【①気遣い屋さん】
彼はよく周りをみていて、サッと手をのばしてさりげなくフォローする。今では、【フォローの飛鳥】や【優しさの塊】なんて言葉が飛鳥君のことだと認識されている。クラスマッチでは、マネージャーを率先してスポドリからプロテインを準備して、テーピングを卒なくこなす。殺せんせーのマッハでしごかれ疲れはてた僕らに疲労効果のバブを手渡し、筋肉痛にならないためのマッサージをレクチャーしていた。彼が菩薩にみえたのは、きっと僕だけじゃない。
【②律になつかれている】
これはちょっと前の話。
「飛鳥さん!貴方のおかげです!」
「何のことだかわからないけれど」
「何とは言いませんが!感謝してます!!」
飛鳥君は「同じ転校生のよしみ」って、困ったように頬をかきながら、笑っていた。たぶん飛鳥君のことだから、知らない間に律をフォローしたんだと思う。
【③趣味は読書】
飛鳥君は読書家だ。一昨日は【走れメロス】昨日は【少年じゃんぷ】今日は【元気玉は過労死を引き起こす】......最後の本のタイトルは突っこみどころがありすぎる。どこでみつけたんだろう?幅広いジャンルを網羅していて言うなれば、飛鳥君の読書は守備範囲が広い。
プールの授業のときはビーチサイドで腰掛けて、【よくわかる拷問術】という本を読んでいた。隣の狭間さんと意気投合して話している様子は「なんかアイツらやべー」感が伝わってきた。普段ならカルマ君や中村さんが嬉々として飛鳥君に水をかけそうだけど、今のやべーやつ二人に近づく勇者は誰もいない。
「水といえば水死体が一番苦しいみたい」
「水責めね。火炙りは魔女裁判でよくされていたわね」
「焼死体かー。殺せんせーって燃えるのか?」
「......誰かオイルライター持ってないかしら」
「狭間さんっ、飛鳥君っ!校舎は燃やさないでくださいね!?」
(((((お前ら、こえーよ!!)))))
真顔の狭間さんとニコニコ笑った飛鳥君はみているだけで恐ろしい。本気で言っているのか、冗談なのかわからなくて、こわい。
***
まだほんの少ししか飛鳥君の一面を知らないけれど、飛鳥君はいい人だと思う。僕の直感だけど。飛鳥君は僕らに敵意をみせないし、どちらかと言うと見守ってる、って表現が近いかもしれない。暗殺はあくまで皆のサポートで消極的。ちょっとミステリアスな雰囲気があるけれど、それも飛鳥君の個性なのかな。