童顔系潜入捜査官   作:くりっぷ

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【飛鳥 進】の設定に【趣味は読書】ということに決めた。

 

性格は温厚派で、文学少年のイメージ。

 

潜入して困ったことは、現役中学生のお喋りの話題。なんせ、彼らは「まじで?」「まじまじ~!」で会話することが多々ある。何故それで通じるのか。おかしいな、同じ日本語喋っているよね??まじで。......あ、おれもうつった。

 

憧れた戦隊ヒーローとか、流行った文房具とか、ジェネレーションギャップが生まれるわけだ。いつボロがでるかヒヤヒヤしてしょうがない。その手の話題は聞き役に徹するか、話題転換して乗りきるに限る。

 

ともかく、休憩中の過ごし方で不自然に思われないのは読書だと思い付いた。読書は周囲の動向を察知するカバーになる。一石二鳥だ。

 

 

 

中学生が読む本はどんなものだろうか?

 

 

文学少年なら、王道で【走れメロス】か?

 

 

早速、休憩時間に読んでみた。

 

............唐突だな。政治わからないのに王様を暗殺未遂したのか。のこのこ王城に短剣を持って検問で見つかったのか。それは御用になる。

 

殴り合いのシーンで、ちらっと幼馴染の顔が頭によぎった。ラストシーンはお巡りさん的には公然わいせつ罪で逮捕案件だな。

 

 

パタンと、文庫本を閉じる。タイミングを見計らったように

 

「お堅いの読むんだな。これ、よんでみろよ」

 

と、【少年じゃんぷ】を手渡された。不破さんから回ってきたらしい。独特の印刷の匂いに懐かしく感じる。おれも回し読みやってたなぁ......

 

 

衝撃!!

 

 

おれが現役で【少年じゃんぷ】を読んでた頃にはなかった!

 

 

なかなか面白かったから次の週にコンビニで、【少年じゃんぷ】を購入した。

 

 

【急病のため休載します】

 

 

 

項垂れるおれに、不破さんは「この漫画、しょっちゅう休載するから、いつものことよ。次は一年後かな」と告げる。つまり、地球が救われなければ、このまま未完になるのか。不破さんは慰めにその連載の単行本を貸してくれた。

 

 

それから、ほぼ毎日手当たり次第に本を読んでいると、何人か読書仲間ができて、狭間さんに本を薦められた。

 

 

【黒魔術召喚 初級編】

 

 

「くろまじゅつしょうかん......」

 

タイトルが怪しさ極まりない。思わず、ひらがな言葉がこぼれた。

 

最近の中学生やべー......

 

いや、むしろこれが噂にきく【中二病】なのか?......ハッ!こういう本を読むのが中学生らしさ!!?

 

 

雷に打たれたかのような衝撃が走った。

 

 

「......なんか飛鳥、固まってないか?」

「飛鳥君が堕天しそう」

「さすが狭間。闇の威力、恐るべし......」

「......オイ、読み始めたぞあれ」

「素直か!呪文唱え出したらどうする?」

「お前オカルト信じるのかよ」

「......でも、あの狭間が持ってた本だぞ!?」

「「「「「............」」」」」

 

 

ボソボソと聞こえるが、おれの耳には筒抜けだ。何人かグルになって、【狭間さんが飛鳥に怪しい本を渡したらどうなるか】というモニタリング兼ドッキリを仕掛けたらしい。

 

 

......なんだ、茶番か。......だよなー。危うく中学生の認識を誤解するところだった。それならこっちもソレに乗っかってみようか。

 

 

本を読むにつれて、ニコニコと表情を緩めると、「ひぃ!」とあちこちで悲鳴多発。つい、口角があがりそうになって本来の性格が出そうになる。

 

 

それからちょっと飛鳥君的おふざけをしてみた。ときどき狭間さんとふざけてやべー話をすると、面白い反応をしてくれた。それは殺せんせーにも伝わり、おれと狭間さんは【混ぜるな危険】と扱われるようになった。

 

 

 

***

 

 

読書をしつつ、クラスを観察すると、寺坂君の不満は日に日に大きくなっているようだった。あのタコに対する鬱憤がたまり、つるんでいた友人たちから孤立し、彼は浮いていた。

 

 

殺虫剤のようなものを投げつけ、教室にガスのようなものを撒き散らした。モヤモヤとした煙が広がり、ハンカチで口をおさえる。寺坂君は誰の話にも耳を貸さず、そのまま教室を出ていった。

 

 

そっとハンカチでそれを包み、袋に入れ、回収する。市販のものにはみえない。律に確認したところ、市販品と一致しなかった。今のところ、自分と生徒の様子をみたところ体に害はなさそうだ。

 

 

さて、寺坂君はどこでこれを手に入れたのだか......

 

 

 

考えられる可能性としては......

 

 

 

わるい大人に目をつけられた。

 

 

 

そのわるい大人は誰なのか。

 

 

 

その大人は寺坂君がクラスに馴染めていないことを知っていた。一度、この教室に来たことがある外部の人間。尚且つ、殺せんせーの弱点が水だと発覚したこのタイミング。

 

 

この殺虫剤(仮)を渡すために寺坂君本人と接触し、協力関係を持ちかけた。ならば、一度、E組で信頼を底辺に突き落とされた鷹岡は除外。理事長は仮にも教育者であるし......

 

 

所属に持ちかえっても、日本警察(おれたち)だけでは特定できない。【殺せんせー】に関しては防衛省がほぼ独占している。もし、調査したとしても、上からストップがかかる。なんせ、国家機密だ。

 

 

「......烏間さんに預けるのが最善だな」

 

 

職員室へ足を急ぎ、声をかける。木造校舎の床がギシッと音をならした。

 

 

「寺坂君が殺虫剤を教室でぶちまけてしまって......皆の体に何かあったらこわいので預かってくれませんか?」

 

 

眉を八の字に下げ、袋ごと渡す。おれは体調に不安を感じる生徒らしく「ゴホッ」と咳を隠すように口を手で覆う。烏間さんは神妙そうな顔で了承し、ついでに体調を気遣う言葉をくれた。

 

生真面目な性格で、生徒を預かっている身の烏間さんのことだから、殺虫剤の中身が何か調べてくれるだろう。

 

 

 

 

 

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