ご閲覧ありがとうございます。
気づけばお気に入りは六百を超え、UAも二万を超えました。
この作品を見て頂け、さらにこの先を楽しみにしてくださる方々がいることに非常に感動しております。
ちなみに出張先なのですが、何の因果か岐阜県に行ってまいりました。
どこ・・・と言ってしまうとあれなのですが、とにかく鮎と栗が美味しかったなぁとしみじみしております。
ちなみに投稿が遅れた理由についてなのですが、ぶっちゃけ言わせていただきます。
誠に申し訳ありませんでした。
せっかく来たのだから・・・と稲葉山城跡に、長良川、道三塚等々、二日ほど個人で観光してしまったのです。
ほんとう・・・なんというか・・・ごめんなさいでした。
幾度と無く侵攻する織田軍。
それを撃退する半兵衛率いる義龍軍。
戦は、完全な沈着状態に陥っていた。
一手一手を着実に進めようとする皆光を邪魔する半兵衛、尾張と美濃の戦は、例えるならば知恵者同士の詰め将棋のような様相を醸し出していた。
皆光は、現代であれば無用の長物だった世界各国数多の軍略を駆使し半兵衛に渡り合い、半兵衛もまた、己が知識を幾重にも重ね掛けし看破されまいと自らの知識をさらに応用し、何度も織田を苦しませた。
陣形、伏兵、強襲、奇襲、水攻め、火攻め。
まさしく策の叩き売り状態だった。
半兵衛の策略にハマり、織田軍が敗走した日もあれば、半兵衛の策を看破し逆に皆光が自らの策を重ね掛けし義龍軍が敗走する日、さらには、両軍睨み合ったまま、衝突せずに撤退する日まであった。
だが、思い出して欲しい。
幾度と無く衝突する尾張と美濃だが、その衝突の理由はなんだっただろうか?
敵の首をとること?敵を疲弊させること?
否である。
この戦の真の目的は、敵城であり、美濃の蝮 斎藤道三の元居城 稲葉山城を奪い返す事が目的である。
つまり、局地的な戦に勝てたとしても、稲葉山城を落とせなければ、勝利ではないのだ。
つまり、攻めても攻めても、稲葉山城に辿り着けなければ、それまでの勝利は全て無に帰す。
そんな状況に、とうとう信奈が音を上げた。
皆光によって、被害は抑えられているとは言え、戦にかかる戦費と兵糧は抑えることが出来ない。
何度攻めても、得るものは何も無い。
そんな戦に、信奈の堪忍袋の緒が切れたのだ。
「ほんっっと何なのよ!訳の分からない悪知恵ばっかりしかけてきて!稲葉山城にすら辿り着けないなんて巫山戯てるのっ!」
大広間 家臣一同揃い踏みしている中、上座で怒りを爆発させているのは、我らが大将 織田信奈。
「それだけ半兵衛の持つ知略が優れていると言うことでしょう。とは言え、皆光殿がこちらにいた事は幸いでした。皆光殿が居なければ、織田軍は幾度と無く壊滅していたでしょう・・・。それを踏まえて・・・六十点です」
そう言って、戦の感想を述べるのは織田の参謀役、丹羽長秀。
「とは言ってもあんなやられ方・・・納得出来ない!正々堂々勝負するのが戦ってもんだろう!」
床に拳を叩きつけながら、息巻くのは尾張きっての猛将、柴田勝家。
「それが軍師の役割、兵を動かし、敵を知り、また知恵を振るう。勝家殿のような剛の者とは、戦う土台が違うのですよ」
冷静に勝家に言葉を返すのは、現代からやってきた織田軍の軍師、皆光。
それっぽくその場を和ませようとした皆光だったが、和ませ方を間違えたのか勝家にキッと睨まれる。
「所詮は他人任せじゃないか。何が軍師だ!槍持って戦った方が分かりやすいだろ!」
違った、ただ脳筋なだけだった。
皆光はやれやれ・・・と肩をすくませる。
「にしてもまぁ・・・竹中半兵衛、流石としか言えませんね」
現代でかき集めた知識を駆使して、なんとか半兵衛についていけている状態に皆光は、苦笑する。
ネットも蔵書も未来では容易く手に入っていた皆光と違って、半兵衛は現代人(今の時代では)である。
「むしろ、あれに着いて行けてるあんたを初めて尊敬したわ・・・」
「姫さま、流石にそれは皆光殿に失礼では?」
「まぁ、姫様にアレを理解してください・・・なんて言っても無理でしょうしね」
「これがなければね」
一言多い・・・と信奈が少し顔を顰めるが、皆光はにこやかに笑みを信奈に向ける。
「とは言え私達よりも遥かに軍略に通じている皆光殿ですら半兵衛相手では後手に回る程・・・このままでは美濃を落とす所か稲葉山城にもたどり着けません・・・ですが・・・浅井に援軍を申し込めば・・・」
「確実に対価に姫様を要求するでしょうね。対等に同盟を結ぶのであれば、少なくとも美濃を併呑しなければ難しいです。それともそれをお望みで?」
「そうは言っておりません。ですが、我々だけでは手に負えないのも事実・・・・・・五点です・・・」
「稲葉山城にさえ近づくことが出来ればあたしの槍で!槍で!」
何かを突っ突く動作をする勝家に、皆光は
「槍でどうするんですか・・・槍一本で城が落ちるわけでもないでしょうに・・・」
と突っ込んだ。
とは言え、本気でこちらの動向を警戒する半兵衛を容易に抜き、稲葉山城へ肉薄することが出来るかと言われれば、流石の皆光も両手を上げて降参するしか無かった。
「あぁ〜もう!思い出しても頭に来るわ!皆光!あんたの乱破に半兵衛を暗殺させなさいよ。そしたら楽になるわ!」
何を言っているんだこの人は・・・と皆光は呆れた目で信奈を見る。
「本気で?」
とは言え、皆光とてお抱えの身、信奈にそうしろと言われれば、忍び達にそうしろと命令を出さざるを得ない。
しかし、そこに待ったをかけたのは長秀だった。
「姫様、それでは美濃を盗ったとしても、豪族諸侯が着いてこなくなります」
「ううぅ・・・分かってるわよ!冗談よ・・・冗談!」
全く・・・零点です・・・と零した長秀に、心の中で皆光は感謝した。
とは言え、全く冗談に聞こえなかったんですけど・・・と皆光は信奈に疑惑の視線を送る。
「あによ?」
じー・・・
「ねぇ」
じー・・・
「ね、ねぇってば・・・」
じー・・・
「斬・・・斬るわよ?」
何故か涙目になりながら、信奈にそう言われた途端、皆光はサッと視線を逸らした。
不意に急な動きをした為、皆光の首から妙な音がしたが気にしない。
涙目でうるうるとこちらを見つめる信奈は可愛いが、刀を持っている時点で減点である。
「何か言いなさいよぅ!」
「いてて・・・さてと私はこれで。道三殿の元へ行ってきますので何か使いがあれば道三殿の元へお願い致します」
皆光は首を抑えながら立ち上がった。
「どうせ行くなら蝮から半兵衛の弱点か何か聞き出してきなさいよ」
「ないから困っているのですが・・・」
皆光は肩をすくめながら、大広間を後にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
信奈が拵えた道三の屋敷は、それはそれは立派な物だった。
それこそ、皆光が貰った屋敷が小さく見えるほどだ。
むしろ軽く砦に見えないことも無い。
一体何と戦うつもりだ。
周囲は道三と共に落ち延びてきた美濃兵が固めており、道三の屋敷の周辺は何故か美濃衆の長屋と化していた。
警備の兵に聞いてみると、どうやら彼らは自分達で長屋を建てたらしい。
信奈の許可を貰ってはいるらしいが、傍から見ると、ただの小城とちょっとした城下町に見える。
「またまた・・・見栄っ張りな姫様らしい屋敷ですなぁ・・・」
屋敷を見た皆光の感想はそれだけだった。
むしろ圧倒されすぎてそれ以上言葉が見つからない。
「皆光様、どうぞこちらへ。道三様がお待ちです」
皆光は、警備の兵に案内されるがままにあとをついて行くのだった。
ほぇ〜だの、ほぉ〜だの、感嘆の声を上げる皆光を、案内は微笑ましそうに見ている。
「こちらへ」
案内が襖を開けると、元気そうな道三が好々爺の様に茶を啜っていた。
「急な訪問、ご対応ありがとうございます」
「ふぉっふぉ、所詮は隠居爺。むしろ来客がないと暇でな」
「まだまだ隠居するには早いですぞ」
皆光の真面目な挨拶に、軽く冗談を交えながらも皆光に座るように目配せをする道三に、皆光も冗談を飛ばしながら、道三の目の前に腰を下ろす。
世話役の一人が皆光の前に茶を置いた所で、道三が口を開いた。
「して、坊主・・・いや、今は皆光殿とお呼びした方が良いかの?」
「はっはっ、あなたにそう呼ばれると何故でしょうか・・・こう・・・背筋に薄ら寒いものが・・・今まで通りでお願いします」
いたずらな笑みを浮かべた道三に、おどけながらもむず痒いかのように背筋を震わせる皆光。
実際、かの蝮の道三に皆光殿と呼ばれると、嬉しいやら恐縮やら怖いやらで複雑な心境なのは本当だ。
「相変わらず物怖じせんやつじゃ・・・では皆光よ、此度は何用か?」
「本日は刀を返しに参りました。ずっと借りっぱなしでしたね」
そう言って皆光は、尾張の鍛冶屋に磨かせた見事な白拵えの太刀を道三に差し出す。
だが、道三はその太刀をしばらく見つめるとやがて首を横に振った。
「その太刀はお主にやろう」
「何故?別に太刀くらいなら新しく買いますが・・・」
道三は少しばかり悩んだ末に、ある事を皆光へ零した。
「皆光よ。長良川での戦で儂と話した事を覚えておるか?」
「えぇ、勿論覚えておりまする。さて、どの言葉かはそれだけでは判断つきませんが」
「儂は老い先短い命と申したはずじゃ」
皆光は静かに頷くと道三を見つめる。
「儂は十分に老いた。最近身体の調子も悪くてな。いつ冥府へ旅立つかも分からぬ」
「何を、私の目には未だ元気に茶を啜る好々爺にしか見えませんよ。まさか、道三殿の夢を継いだ姫様の道・・・見られぬとは言いますまい?」
「人はいずれ死ぬる。じゃがその死は突然訪れるもの。確約はできまいて」
皆光はやれやれ・・・と肩をすくませると、微笑みながら道三を見る。
「確かに、唐突に来るものには対策のしようもないですな。ですが養生することは出来る。御身を大事にして下され。道三殿と出会って間もないですが、姫様には未だあなたが必要です。無論、私にとってもです」
「ふぉっふぉ・・・全く・・・嬉しいことを言ってくれるわい。儂の夢を継いだ信奈ちゃんの未来は確かに見たいが・・・どうしようもなくなる時は必ず来るじゃろう。そこで・・・お主に頼みがある」
皆光は真剣な目でこちらを見据える道三に、流石におどける気はないのか、道三の言葉を聞き逃すまいと静かに二の言を待つ。
「その刀は最早儂の半身と言っても過言ではないほど我が人生を共に過して来た。故に、その刀を儂だと思って、信奈殿の進む道我が義娘が進むその先へと・・・そやつを連れて行ってやってはくれんか?」
皆光は道三が受け取らなかった刀を見つめる。鞘も柄も何一つ変えず手入れだけをしてもらった物だが、何処と無く、斎藤道三の刀と言われれば納得してしまう程の貫禄を放っている。
皆光は刀を軽く鞘から抜き、刃を確認すると静かに刀を鞘に戻し静かに口を開いた。
「確かに・・・永きに渡り共をした物には意思が宿ると聞きます。この刀は道三殿の意志を継いでくれているでしょう・・・。分かりました。私の共に・・・私が夢半ばで倒れた時は、姫様に・・・」
「すまぬな・・・」
「いえいえ・・・私もこの子が気に入っております。まさに渡りに船・・・生涯を共にする刀としては、私には勿体ないくらいですよ」
「ふぉっふぉっふぉ。生涯を共に・・・か。お主風に言うならば・・・儂が姫武将であれば惚れておったところじゃよ・・・だったかの?」
皆光は顔を顰め・・・手でシッシッといったふうに仕草をする。
「全く・・・よく覚えておられるもので。耄碌していないなら十分、養生なされませ。病は気からと言いますし、弱気になっていては本当に旅立ってしまいますぞ」
「忠告痛み入る。そうじゃのう・・・少しばかり長生きをしてみるのも悪くは無い」
「その意気です」
ふぉっふぉっふぉ・・・ふふふ・・・と二人仲良く笑い合うその姿は、周囲の人々から見ればまるで旧知の仲の様な睦まじさだった。
ひとしきり話が終わり、茶も飲んで満足した皆光は席を立った。
「さてと、ではお暇させて頂きましょうか」
「また茶でも飲みに来るが良い。相談事くらいならば聞いてやらんこともないぞ」
「ありがとうございます」
そう言って皆光は、道三の屋敷を後にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
皆光は自分の屋敷に戻ると、もはや恒例となった犬千代と、ねねのお出迎えから始まった。
「・・・おかえり・・・ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・あぅあぅ」
私・・・と犬千代が言う前に、皆光が犬千代の頭を撫でることによって強制的に阻止する。
「おかえりなさいですぞ!兄様〜!最近忙しいのは分かっておりまするが少しは帰ってきて欲しいですぞ!」
とてて・・・と足元に抱きついてきたねねに、皆光も苦笑する。
「すみませんね。確かに・・・今度からはもう少し家に帰るようにしますので許して下さいな」
最近本陣そばに立てられた幕の中で眠っていることに今気づいた皆光は、少しばかり働き過ぎかと反省する。
すると、二人が唐突に離れる。
二人とも鼻をつまんでいる事から、もしかして結構臭う?と皆光も自分の着物の匂いを嗅ぐ。
「クンクン・・・皆光・・・臭い」
「兄様!くさいくさいですぞ!」
「最近・・・確かに簡単な水浴びしかしてなかったですからねぇ・・・」
逆に何故女性陣は臭わないのか・・・皆光は疑問で仕方なかった。
「とりあえず・・・風呂から・・・ですかね?」
有無を言わさず猛烈に二人に頷かれた皆光はしょんぼりしながら風呂場に直行するのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
脱衣所で服を脱ぎ、さほど広くはない風呂場に入ると、とりあえず水を被る。
本当は皆光とてお湯がいいのだが、この屋敷の風呂は・・・貯めた井戸水を温める設備はない。
むしろ個室で風呂に入れること自体がむしろ羨ましがられる程である。
ブルブルと震えながら、馬油に花の香りを付けた石鹸もどきでせっせと洗っていく。
皆光がわっしゃわっしゃと頭を洗っていると、不意に背後の扉が勢いよく開いた。
「お背中お流し致しますぞー!」
「ちょっ!ねね?!」
「それー!ですぞ!」
(あぁ・・・もう・・・誰か助けて〜・・・)
「・・・・・・参上」
「犬千代!あなたは止めてくれると信じてましたよ!」
「・・・お背中・・・お流しする」
「おぅ・・・」
「兄様!目をつぶってくだされ!流しますぞ!」
「じ・・・自分で・・・」
「・・・良いではないか・・・良いではないか・・・」
「ああああああああぁぁぁぁれぇぇぇぇぇ!」
皆光の屋敷から・・・皆光本人の絶叫が響いた。
「皆光様・・・また何かやってるみゃ」
「気にせん方がええ。あの方は物好きな方みゃぁも」
響き渡った絶叫に、ご近所さんも苦笑い。
ギァァァァァァァァ!
「今日は随分と騒がしいみゃあ」
「気にせん方がええ。あの方の絶叫はいつもの事みゃあも」
皆光の屋敷の周辺では割とよくある出来事らしい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁ・・・はぁ・・・」
風呂に入るだけで何故こんなに疲労困憊にならなきゃならんのだ・・・と皆光は自室で溶けていた。
そんな皆光を気にするでもなく心做しか肌に艶が出ている犬千代が茶を持ってやってきた。
ちなみにひとつ言っておく。艶の原因は馬油である。
「皆光・・・お茶・・・」
「ありがとうございます・・・」
未だ溶けたままの状態から動かない皆光は、そのままの状態でお茶を受け取る。
「おや、そう言えばねねは?」
お茶を零さないように姿勢を正した皆光はふと静かなのに気がついた。
「・・・買い出し。晩御飯張り切ると言っていた」
最近屋敷に帰っていなかったからか、女性陣(ねね)に屋敷の実権がある事に皆光は少なからず戦慄する。
ぶっちゃけ皆光がこの屋敷のどこに何があるかが分からない時点で手遅れではあるが。
「そうですか・・・あの子には苦労をかけっぱなしですね・・・。何もお金だけを稼げばいいなんて思っている訳では無いのですが・・・」
「・・・でも・・・ねねは楽しそう。犬千代は楽しい・・・」
最近気の強い女性(信奈、勝家)や癖の強い女性(長秀、元康)、我の強い女性(義元)にしか会っていなかったのもあって犬千代の言葉に心底嬉しそうに微笑みを浮かべる皆光。
「本当に・・・あなた達二人には世話をかけます」
そう言って皆光が天井を見上げた瞬間、天井に浮かぶ十の瞳が皆光を見つめていた。
「うっっっ!?・・・って・・・あなた達でしたか」
その瞳の正体は皆光の忍び達。
何やら五右衛門が不服そうにしているのが目に付いた皆光は、首をかしげた。
「五右衛門、どうかしましたか?」
「なんでもごじゃらん」
ぷいっとそっぽを向いてしまった五右衛門に、益々首を傾げる皆光であった。
「えっと・・・五右衛門・・・どちらに行っていたので?」
戦が終わってから度々姿を消していた忍び衆に、どこに行っていたのかを尋ねる皆光に、五右衛門は未だに皆光と顔を合わせないまま皆光の前に跪く。
「あ〜あ・・・大将・・・やっちまったナ」
最初の頃と比べ、忍びらしさがだんだん無くなり徐々にフランクになりつつある奏順が、皆光の横に胡座をかいて座る。
「・・・・・・」
本当に理由が思い当たらない皆光は、何度も首を傾げ、犬千代に助けを求めるが、犬千代も首を傾げるばかり。
「まぁ・・・その・・・報告を聞きましょうか」
「むぅ・・・こほん・・・報告もうしげ・・・申し上げる。美濃の国国主斎藤義龍に正式に仕官することの決まったたけにゃかはんべーが、にゃにやら家臣をちゅのっているとの情報をちゅかんだでごじゃる」
いつにも増して噛み噛みな五右衛門の報告だったが、皆光は口が塞がらないほど驚いていた。
「竹中半兵衛が家臣を?というより、それは一般に情報として流布されているのですか?」
「その通りにござる」
皆光は思わず他の忍び達を見つめるが、皆一様に頷くだけ。
皆光は訳が分からないと頭を抱えるが、そこでふと気付いた。
(まさか・・・三顧の礼・・・秀吉が三顧の礼と同じ方法で竹中半兵衛を調略した・・・と言う話があるが・・・だが既に史実がどうなっているのか分からない・・・)
考えなさい・・・考えなさい・・・。
皆光は一人知恵を回しながら考え込む。
「・・・皆光?」
「小早川氏?大丈夫でござるか?」
皆の呼びかけが聞こえない程に皆光は考え込んでいた。
そして・・・。
「浅井か!」
急に立ち上がり、そう叫んだ皆光に、思わず周囲が飛び上がる。
(家臣集めはひとまず置いておいても・・・もしや・・・謀反を企てている?史実では確かに一度斉藤家から稲葉山城を奪ってはいるが・・・その為の人員集め?であれば信の置けぬ素浪人などを使うのでしょうか?いや・・・半兵衛に限ってそれは有り得ません・・・)
皆光は待てよ・・・と一度そこで思考を止める。
そしてひとつの確信に近い答えを導き出した。
(この時代・・・と言うよりこの世界は史実と違って・・・・・・)
姫武将が居る
(となれば史実では謀反を起こした後に浅井へ身を寄せているが・・・半兵衛が姫武将だった場合下手をすれば・・・)
竹中半兵衛が浅井に着いてしまう。
皆光はまずいことになったと一人慌てる。
「五人衆・・・案内してください。竹中半兵衛への面談場所へ」
そういった皆光に、忍び達は御意・・・と返事をしたが、そこで待ったをかけたのは犬千代だった。
「・・・皆光・・・姫さまを裏切る?」
静かに殺気立っていく犬千代に、皆光は首を横に振る。
「・・・何故半兵衛の元へ?」
「竹中半兵衛への仕官・・・その場に浅井がいれば厄介な事になる。いえ・・・確実にいるでしょう。浅井に竹中半兵衛が付けば・・・恐らく織田家は終わると思ったからです」
そう言い放った皆光は、未だに鋭い眼光でこちらを睨みつける犬千代に、若干冷や汗を流す。
しばらく睨み合いが続くと、ふっと犬千代の表情がいつもの無表情に戻った。
「・・・皆光の考えは分からない・・・けど姫さまを裏切らないならいい・・・犬千代も着いていく」
「ありがとうございます。私は姫様を裏切るような事はしませんよ」
とりあえずは修羅場は去ったか・・・と皆光は一人胸をなで下ろした。
「皆・・・すいませんが案内をお願い致します。それと五右衛門、四忍衆・・・本当によくやってくれましたね」
五右衛門がいなければ危うく、浅井に半兵衛が加担する所だった。
そう思うと、全く笑えないどころかお先真っ暗になってしまうので、思わず皆光は五右衛門達を褒める。
先程まで機嫌が悪そうだった五右衛門だが、皆光のその言葉を聞いて嬉し恥ずかしそうに、口布を上へ上げた。
あぁ・・・皆光がロリコンと化すんですが・・・。
やばい・・・やばいでございます。
あ、あと次話半兵衛・・・出てきますよ!
・・・・・・出てきたはいいですが・・・また幼女な気が。
なんか・・・謝ってばかりですが申し訳ございません