現在、戦場へと八と共に駆けているところでございます。
あの後五右衛門と少し話をして髪の毛を1本抜き取られ、契約の義と称して藁人形に詰められた。(あの子・・・ヤンデレの基質あり要注意だぞ。私よ)
そして槍働きをしろと言ってさっさと消えていった。
マジモンの忍者パネェっす。
木下殿は、地蔵の裏に寝かし、槍を拝借した。(木下殿!見ておられるか!私逃げたいです!)
主戦場では一進一退の攻防が繰り広げられていた。
織田軍の旗を背中に立て、八と共に足軽隊へと突っ込む。
意外にも八は度胸が座っている様子。先頭の足軽を蹴飛ばしぶっ飛ばした。(俺知らない。というかこんな子に育てた覚えは・・・)
俺は唯一やっていたゲームの三国志無双と言うゲームの馬上戦術を見様見真似で真似してみた。
右へ左へ槍を振り回し、常に馬をとめずに、敵を蹴散らしていく。(あ、ちなみに叩いているだけで殺してないです。どちらかと言えば八がやってそう・・・というか殺ってそう)
私2割、八が8割と言った感じで敵を蹴散らす。
騎馬に乗った武将が誰か本陣へと、叫んでいるが、皆聞こえているのかいないのか、誰一人戻る様子はない。
というか、女の子?だった気がする。美形かな?
「ならば私におまかせを!」
これ幸いと戦場から逃げ出す小心者。(わ・た・し・だ)
八で駆け付けると本陣はがら空きそして、何やら、前を走るのは、今川勢・・・。
(ちょ・・・おま・・・ちょっまてよ)
織田勢は馬鹿なのか!こんな戦場に殿様1人とか、脳筋にも程がある・・・さては現場監督は柴田だな?(図星)
何やら高そうな(高くても着たいとは思わない)珍妙な衣装に身を包んだ人が、本陣の椅子に座っとるというか・・・女の子?や、この世界は美形が多いなぁ・・・。
ん?柴田は髭面だった気が・・・。
まぁいい。多分あれ殿様。(ヒアウィゴー)
殿様に向かった槍を横合いから突き上げ、殿様の前に立ち塞がる。
「素浪人の身なれど、織田方に加勢するため!小早川皆光!参る!」
「ヒヒイイィーーーン」
俺と八は雄叫びを上げる。(というか、八よ、さては貴様ちと楽しんでおるな?けしからん。)
「新手の織田兵だ!」
「たった一人だぞ!先にやってしまえ!」
「やれるものならやってみろ!」
とはいえ、こちらが騎兵なら、馬を狙うのが定石。すぐさま三本の槍が八へ向かう。
とはいえ基本槍は叩くもの。突くなんてのは、そもそも命中精度が悪い。
私は八へ向かう槍を全て横から弾き、その返し手で、槍を持った3人の顔を思いっきりぶっ叩いた。(八を狙うなんぞ許さんぞ)
割と吹っ飛んでいく槍兵。
そして、振り切った槍に足軽が、掴みかかった。思いっきり引っ張られ逆側から今度は私めがけて槍が来る。しかも今度は殴打の方だ。
咄嗟に腰の模擬刀を抜き放ち槍を弾く。その間に八が後ろ足で足軽を吹き飛ばした。
咄嗟のことで槍は離してしまったが、まだ模擬刀がある。これなら切れないし槍と同じようにぶっ叩くだけでいい。
軽く八で駆けながら右へ左へ模擬刀を振る。もちろん今度は遠慮なしに当てているので、敵兵は、顔面を抑えて蹲る。
気付けば、立っているものはいなくなっていた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・なんとか、なりましたかね」
なんとも、キツい戦いだったと思う。
殺したくない一心でぶっ叩いただけに終わったが、ぶっちゃけ死んでもおかしくない程に思い切り振り切った気がする。
一人、戦いの感傷に浸っていると、背後から馬が駆けてくる蹄の音が響いてきた。
「ご主君、戦はお味方の大勝利です!ご無事でしたか!」
はて、先程チラッと見た武将のようだが・・・まぁなんとも、デカい。戦闘力がまるで見えるね。(まぁ、私だって女の子は好きですもん)
「む?なんだ貴様は。私の顔に何がついているのか?」
「いいえ。まぁ、強いて言えば・・・女性ですか?」
すると(色々)デカい女の子武将は少し怒ったのか、目を吊り上げてこちらを睨みつけてくる。
(おっと・・・デリカシーがなってませんでしたかね・・・)
「どういう意味の質問なのか分からないな。女だから戦場に出ては行けないのか?それとも、女に見えないとでも?」
「や、失敬。まぁ強いて言えば、どちらもと・・・」
次の瞬間、無礼者!と言う声と共に刀を抜き放つ女の子。
その目には、純粋な怒りが浮かんでいる。
斬りにこられてはたまったもんじゃないので、こちらもそばにある木下殿の槍を、八の蹴りにより、気絶している敵兵から抜き取り構える。
一触即発のその時、本陣の椅子に座っていた大将が、口を開いた。
「やめなさい、六!そいつはわたしの命を救ったんだから、褒美をあげなきゃ」
「・・・それは・・・」
女の子からすれば、身に覚えはあるのだろう。
本陣へと言う命令を聞かぬ兵共の中で、唯一声を張り上げ本陣へ向かった馬に乗った兵。
その男が今目の前にいる。
「そこに転がっている敵兵を全員、1人で打ち倒していたわ」
「そうですか。御意」
(さてと、ようやく一息・・・そして一歩前進といったところかね)
そして、やはり大将も女の子だったか・・・。
絶望的ではあった。なにせ、自分にとっては、これが初陣であったのだから。
それよりも、その事にあまり動揺していない自分がいることが嫌だった。
それは・・・それはまるで・・・創作物を読んでいるかのよう。
追ってきた敵将を弓で射った時も、木下殿が亡くなられた時も、そして、今、この瞬間も。
ひとつの物語として、もしかしたら、私は読んでいるだけと、思っているのかもしれない。
(なんて・・・感傷に浸っている場合ではないか)
とりあえず、五右衛門(殿と付けると悲しそうな顔をして、やめてくだちゃれ、と言っていた。)との約束は果たさねばならない。
「さて、では、士官の話はどなたに取り付けばよろしいですか?」
すると、奇抜少女が、こちらに目を向ける。
未だ少し(大いに)怒っている鎧少女の盛大な睨みつけを受けながら、聞いてみた。
「士官・・・織田家に仕官したいの?」
なんとも不思議そうな顔をしながら聞いてくる。
「えぇ、まぁこの戦に参戦したのも、その為でしたので」
「ッッ!姫様!こやつは確かに姫様のお命をお救いしましたが、怪しすぎます!」
六、と呼ばれた女の子は反対するが、それを無視して、少しの期待を浮かべた奇抜女子は、
「じゃあ、貴方には何が出来るの?」
と聞いてきた。
「さて・・・何が出来るのかと言われましたも。そうですね・・・強いて言えば、軍略、政務、多少の武の心得まぁ、割となんでも」
実際、世界の勝ち戦とか、内政とか(悪政の結果の国が滅ぶ過程とかめっちゃ好き)武の心得とは言っても、弓のみだけど、まぁいいよね。
多分な驚きに目を見開く六少女と、期待通りという顔をした奇抜少女。
「そ、まぁ、詳しくは城で聞くわ!」
「そうですか。あ、ちなみにお二人のお名前は?」
今度はどっちもビックリしたらしい。
まさか知らないなんて、そんな顔をしている。
「私・・・変な事を聞きましたかね?」
「・・・私ならまだ分かる・・・しかし!姫様のお名前を忘れるとはこの!」
またもや刀を引き抜いた六少女を片手で制しながら、奇抜少女は胸を貼る。
「ならば!よく聞きなさい!私こそ、この日ノ本を統一する天下一の美少女!織田信奈よ!あと、こっちは勝家ね」
「あ、そうでしたか・・・私は小早川皆光・・・ぇ?」
拝啓・・・私の知っている過去と違うんですが・・・もう、なんか、武将まで女の子って・・・全く!過去から既に日本は未来に生きていたんだな・・・(白目)