謀っ子世にはばかる〜織田信奈の野望   作:☆蛇☆

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いつも、この小説をお読み頂きまことにありがとうございます。
現在、仕事が大変忙しいので、投稿ペースが少しばかり落ちますが、何卒御容赦ください。
誤字脱字等があるかもしれませんが、これにて二章・・・完でございます。


義理

 

 

 

皆光は感慨深くその少女を見ていた。

長い黒髪を後ろで結った、鋭い目付きの爽やかな美少女。

 

所作は一つとして無駄が無く洗練され育ちの良さが伺える。

 

その少女の名は・・・。

 

「拙者、美濃の出身、土岐源氏の支流に連なる明智十兵衛光秀と申すもの。道三殿が美濃を追われた折に浪人し、以後、足利幕府再興の為に働いておりました」

 

明智十兵衛光秀・・・織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と並んで誰しも名前だけは聞いたことがあるであろう程に有名な、戦国時代の将である。

様々な諸説あれど、最も有名なものとしては、本能寺の変の首謀者たる人物である・・・と言う事柄だろう。

本能寺の変で織田信長を討った後、豊臣秀吉の中国大返しにより討伐され、三日天下と称された御仁である。

 

そして、先にも言った通り・・・美少女である。

 

おでこの広い・・・可愛らしい少女である。

 

皆光は目元を揉みこんだが・・・光景は変わらなかった。

 

信奈が光秀を迎えようと言う提案に、それよりも大事な用があるからと飛び込んできた光秀。

皆光はここは静観すべしと静かに二の句を待った。

 

「実は、畿内を支配する松永久秀、三好一堂が時の将軍足利義輝公を暗殺・・・しかし事は未遂に終わり、賢明なる義輝公は勝ち目なしと見て【他日を期す】と言い残し、義昭姫ら姫君たちを引き連れ、敦賀の港から大明国(中国歴代王朝の一つ)へと逃げてしまいました」

 

暗殺に失敗?と皆光は怪訝な顔をする。

史実の織田は足利義輝が暗殺された折、足利義昭を御輿に担ぎあげ京への上洛を果たした筈である。

それが大明国へ逃げてしまったとあっては、織田は大義を無くしたも同然。

理由あれど下手をすれば、大和を支配する松永久秀と同じく天に弓引く不忠者として扱われかねない。

だとすれば明へと渡り彼等を抱え込む必要がある。

 

 

皆光が考え込んでいる間に光秀と信奈の話し合いが終わったのだろうか。

何やら信奈に耳打ちをしている光秀。

そして、迷うように一瞬顔を顰めるもすぐさま信奈は決断を下した。

 

簡単に言えば、足利家の血を引く吉良家の分家・・・今川家の姫君である今川義元を抱じて京へと上るというものだ。

御所が絶えれば吉良が継ぎ、吉良が絶えれば今川が継ぐと言われる。

上洛の一時的な御輿としては御の字だが、必ず足利将軍家はこの日ノ本に帰ってくるだろう。

それまでに地盤を固めねば・・・。

 

さてと、耳障りな甲高い声が聞こえる。

皆光は冷や汗を流す。

 

「おーほほほほほ。いよいよ、私の出番ですわね・・・あら?」

 

皆光と義元の視線がかち合う。

 

「はぁ〜・・・十兵衛・・・犬千代・・・そいつを抑えて・・・じゃなきゃわたしはそいつを討つわよ」

 

信奈が頭が痛いとばかりに額に手を当てる。

 

光秀ははて?何を・・・と首を傾げるが犬千代が義元へと飛び掛る。

しかしその重そうな十二単を着ながら何故そこまで動けるのか・・・気付けば義元は皆光の傍まで来ていた。

 

「で・・・では私は斎藤家のもの達の所へ行かせて頂きます!」

 

皆光は逃げようと着物を翻したが、その着物の裾を義元ががっちり掴む。

 

「まぁ!わたくしから逃げるおつもりですか?」

 

「に・・・逃げるなんて滅相も・・・」

 

「で・は・何故席を外そうとするのですか?わたしくめにあんな・・・あんな仕打ちをしておきながら・・・」

 

皆光は周囲に助けを求めるが、周りの目は白い・・・。

ちなみにあんなこと・・・とは、皆光が義元を脅しにかけ、無理やり降伏せしめたこと(皆光視点から)(義元視点では戦の最中に口説きに来た男という事になっている)である。

 

その後・・・嫌々ながらも義元の世話を仕事として引き受けていた皆光は度々このような彼女のうわ言に悩まされ続けていた。

助けたことに後悔はないが、せめて自分以外を推挙しておけば良かったと違う方向で後悔をしている。

(当時、手の空いていた将が皆光しかいなかったため)

 

「はっはっは・・・私にはその義元公の美しさは目に毒過ぎますので、その眩しさたるや私めも流石に逃げたくなりましょう」

 

「まぁ・・・もう皆光さん。そうならそうと早く言って頂ければ良いですのに・・・」

 

皆光の完全なる棒読みの褒め言葉にいやんいやんと頬に手を当て頭を振る義元。

しめたっと皆光は義元の手から裾を抜く。

 

「では姫様!私はこれにて席を外します故に何かあれば使いをお願い致します!」

 

「あ!お待ち下さいましっ!」

 

そう言って、皆光は颯爽と部屋を後にした。

 

その場に残されたのは未だにいやんいやんとお花畑の向こうへ言ったままの義元。

そしてその義元をまるで親の仇のように見つめる信奈。

事情を知らなかったが故に、ポカーンと固まったままの家臣達。

 

「・・・置いていかないで欲しいです。くすん、くすん」

 

そして、沈黙を破った半兵衛が皆光をとことこと追いかけて行くのであった。

 

ちなみにこの後・・・五箇条の条書に花押を書き入れる義元・・・。

とは別で、ある一つの誓約書に花押を押してしまう。

 

【皆光に色目を使ったら国中馬で引きずった後に切腹、この私が直々に成敗してあげるわ】

 

ごねる義元だが笑顔の信奈に種子島の銃口をこめかみに当てられ泣く泣く書き入れる羽目になったとか。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆光は、そそくさと間を後にしたが、さほど離れていない廊下で星を見ながら物思いに耽っていた。

 

「明智十兵衛光秀・・・か」

 

戦国歴史上最も有名な裏切り者。

諸説あれど、それが世間一般的な彼女への評価だろう。

皆光はこれから彼女をどう扱えば良いのかと一人呟く。

それと同時に・・・もうひとつだけ気になることを考えていた。

 

そんな中、喧騒を嫌い(怖がり)皆光を追いかけて来た半兵衛が皆光の横に立つ。

 

「置いていくなんて酷いです。くすん、くすん」

 

少しばかりの涙を目尻に、半兵衛が私怒ってますとでも言いたげな表情で皆光へと話し掛けた。

 

「おや、それは流石に気が回っておりませんでした。申し訳ございません」

 

そう言って皆光は微笑みながら半兵衛の頭に手をのせると半兵衛はくすぐったそうに目を瞑る。

 

「くすくす・・・冗談です。皆さんは怖いですけど・・・優しいですから」

 

「それは良かった」

 

「皆光さんは、何を悩んでおられるのですか?」

 

半兵衛の真っ直ぐな問いに、思わず皆光の手が止まる。

 

「皆光さんは、明智光秀さんを見られてから様子がおかしいです」

 

「そう・・・ですか・・・」

 

今度こそ、皆光は表情を崩し、少しばかり苦しい声を出した。

半兵衛の頭から手を離し、視点を空へと変える。

 

「よく見ていますね・・・」

 

「私は皆光さんの軍師ですから・・・その・・・物事はきちんと見ていないといけません・・・」

 

皆光は、その半兵衛の言葉に、一体何処に自分の表情を見る理由があるのか・・・と苦笑する。

 

「えぇ・・・本当に頼りにしてますよ」

 

「でも・・・もっと・・・もっと頼って欲しいです。戦の時だけではなく、平時の時ももっとあなたのお力になりたいです。くすん、くすん」

 

皆光は、またもや泣き出しそうな表情でこちらを見つめる半兵衛に、嬉しいような、悲しいような・・・複雑な表情を浮かべていた。

 

(全く・・・五右衛門と言い半兵衛と言い・・・どうしてこの時代の幼子達は聡いのやら)

 

皆光は、真っ直ぐと半兵衛を見た。

そのあまりの真剣な眼差しに半兵衛は少しばかり身構えるも、今一歩、皆光へと近付く。

 

「え・・・えっと・・・その・・・ま・・・まだ早いと思うんです・・・」

 

何かを勘違いしている半兵衛に、皆光は口を開いた。

 

「半兵衛・・・私の持つ秘密を・・・知りたいですか?」

 

半兵衛は、自身の妙な勘違いに赤面しながら、それでも真っ直ぐに皆光を見つめ返す。

 

「はい!教えてください。必ずお力になります!んくっ」

 

半兵衛の力の籠った返事に、皆光は苦笑しながら半兵衛の唇に人差し指を当てる。

 

「お静かに・・・」

 

半兵衛の顔が急激に赤くなっていく。

 

「これから語るのは・・・全て誠の事です。信ずるに値するか・・・それは、あなたが決めてください」

 

そして、皆光は半兵衛に全てを話した。

未来から来たこと。

信奈達や他の大名が後世にまで名を残した事。

それら全てを集約した・・・歴史の事を。

半兵衛は、黙って聞いていた。

 

「・・・私は申したはずですよ。私を知った所で・・・幻滅するのはあなたですよ・・・と」

 

ふふふ・・・と半兵衛が笑う。

 

「皆光さんはやっぱり・・・お馬鹿さんですね。私は皆光さんに幻滅なんてしません。皆光さんが未来を知っているなんて、関係ありません」

 

「随分きっぱりと言い切るのですね」

 

「だって皆光さんは・・・未来を知った上で皆を救おうとする優しいお方です。皆光さんの信奈さまへの忠義も・・・本物です。今この時代が・・・皆光さんの時代なんです」

 

「私の時代・・・?」

 

「だって・・・皆光さんはまた誰かを救おうとしていますよね?皆光さんが苦しいお顔をする時は・・・いつも誰かが苦しんでしまう時ですから・・・わたしの時も・・・だから、幻滅なんてしません」

 

「・・・そう・・・ですか」

 

やれやれ・・・と皆光は肩をすくめる。

 

「ありがとうございます。気が楽になりましたよ」

 

そう言って笑顔で半兵衛を撫でる皆光。

あぅあぅ・・・と言葉を失っている半兵衛。

 

「これからも・・・あなたの事を頼りにさせてもらいますよ」

 

「あぅあぅ・・・不束者ですがよろしくお願いしますっ」

 

その挨拶はちと間違ってはいませんかね?と皆光は一人微笑ましそうに、半兵衛を撫で続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斎藤道三は一人、金華山の山頂にて杯を煽っていた。

 

「儂も随分と甘くなったものよ・・・この蝮めが・・・」

 

道三は、自らの子ら二人の処遇について・・・本当にそれで良かったのだろうかとひとり思い悩んでいた。

 

斎藤義龍

顔に似合わぬ狡猾さと智謀を併せ持ち、再三にわたり皆光に敗れたものの、文武両道を体現しているかの如く我が子。

 

斎藤龍興

見目にそぐわない智謀と観察眼を持ち、美濃を己が野望の為と手に入れることを画策し、最終的には同じく皆光に敗れた有智高才な我が子。

 

「だが些か甘すぎる・・・」

 

信奈も・・・それを支える皆光も。

自らも策に乗ったとはいえ、我の強い義龍に自らを情け無用と引きずり下ろした龍興。

この二人を高々勿体ないという理由で配下に加えようなどと。

 

「それが姫様の良い所・・・ではございませんか?」

 

ふと、道三の独り言に対して、相槌をうった声が掛かった。

道三が背後を振り向くと、そこには半兵衛を伴った皆光がどこかすっきりとした表情で佇んでいた。

 

「この戦の功労者足るものがこんな場所におって良いのか?」

 

「私は酒の席が苦手故に」

 

主に勝家殿ですが・・・と皆光が苦笑いを浮かべながら道三の隣に腰かけた。

 

「甘さは強さ・・・非道さは弱さ。甘き者は余裕を持ちながらも様々な事を成し遂げる。非道な心を持つものには、そも心に余裕が無い者達・・・違いませぬか?」

 

「甘さが強さ・・・か。些か甘過ぎるのも問題じゃろう。結果、足をすくわれては・・・の」

 

「それが器と言うもの。心狭きものが広きものを上回ることなど、ありはしますまい?それに、ただ甘いだけでは世が渡れぬのも姫様は分かっておりまする。甘さには打算が付き物・・・その打算が吉と出るか凶と出るかまでは分かりかねまするが、少なくとも・・・彼らに次はございませぬ」

 

「だが奴らに次を与える事すら間違っておる事に気付けぬとは」

 

「ならばあなたは・・・子に死ねと申されますかな?」

 

「必要とあらば死ねと言うべきじゃろう。それがこの世の習わしじゃ」

 

「その習わしを壊そうと走る姫様に・・・そう言われますか?」

 

「何かを得るには何かを捨てねばならぬ。ならば甘さを捨てるのが天下への近道じゃろうて・・・」

 

「先の見えぬ道に近いも遠いもないでしょうに」

 

「ぬぅ・・・」

 

居心地の悪そうに頭を搔く道三。

そんな道三を見て、皆光は静かに空を見上げる。

 

「姫様はその為に私に道を与えてくださった。この意味が分からぬあなたではありませぬでしょう?」

 

「本当に・・・お主は良いのか?お主の半生を奴に預けることになるのじゃぞ」

 

「私の半生を預けるに足る御仁となり得る方かと。斎藤道三・・・あなたの姫君は、私が貰い受けましょう。政略とは言えども、彼女を抑えるにはそれしかありますまい・・・しかし家督はご子息にお譲りくださいませ」

 

「何故じゃ?それではあやつに口実を与える様なものであろう?」

 

「全く・・・最後の最後まで子を信ずる事が出来なくてどうしますか・・・。姫様は、道三殿を義父として大層愛しておられます。そのご子息ともなれば、姫様からすれば十分に愛するに足る家族も同然。そんな彼らに思いは伝わらずとも、せめて貴方だけは・・・姫様のその思いを知っておいて頂きたい」

 

「家族・・・」

 

「甘さでも非情さでもなく、愛する者達へ向けた慈愛なのですよ。それを情けと彼らは捉えまするが、それもまた・・・教えてあげれば良いでしょう」

 

そう言って皆光は席を立った。

 

「私は彼らの元へと向かいます故にこれにて失礼・・・」

 

ふと・・・道三は・・・最後に少しだけ皆光に昔話を話した。

皆光はそれを静かに聞き・・・背を向ける。

そうして皆光がいなくなるのを見送る道三。

しかし皆光は途中で立ち止まり背中越しで道三に話し掛けた。

 

「この地・・・この城が・・・あなたへの姫様の愛で御座いましょう。岐阜の町・・・岐阜の城・・・中々洒落ているではありませぬか」

 

そう言って今度こそ皆光は姿を消した。

 

その後・・・静かに佇む道三の目の前に、暗闇で何かが浮かび上がった。

ポツリ・・・ポツリ・・・とまばらなその光は、やがてひとつのものを形作る。

その光景を見た道三は、目を見開き・・・そして顔を扇子で隠す。

 

「ぎふのまち・・・ぎふのしろ・・・か」

 

麓に広がる光景。

 

まるで、鳥獣戯画に出てきそうな可愛らしい蛇が眩い光で麓を照らす。

 

「義父の町・・・義父の城・・・」

 

愛する子から・・・愛する父への贈り物。

親の心・・・子知らず・・・されど子の心を・・・親は知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

夜も随分と深けた頃。

二ノ丸・義龍の館に皆光は足を運んでいた。

護衛・・・と言うよりかは監視の意味合いが強いであろう兵達に通してもらい、皆光と半兵衛はその中へと足を進める。

そして、評定の間へと足を踏み入れた。

 

中には未だに白装束を着たまま、不機嫌そうにこちらを一瞥する義龍と、まるで彼と同じ部屋に居たくないとばかりに部屋の隅で壁に背を預け、浅い息を繰り返す龍興がいた。

よく見ると傷の手当もしておらず、未だに血が滲んでいる。

皆光は思わず龍興に駆け寄り、兵に布団や血止めの布を持ってくるように命じた。

すぐさま布団やその他諸々を持ってきてくれた兵に礼を言いすぐさま龍興を布団に寝かせる。

その時に触れた龍興の体はかなり熱を持っており、傷が原因で発熱を起こし始めている状態だった。

 

「何故このようになるまで放っておいたのですか!」

 

思わず皆光の声が荒ぶる。

 

「織田の施しは受けない・・・と・・・告げたはずだよ?・・・」

 

そう言って皆光の手を払い除ける。

 

「織田だの斎藤だのは関係ありません!」

 

「放っておけい。そやつの自業自得よ」

 

義龍から苛立ちの篭った声が皆光へと飛ぶが皆光はそんなことお構い無しと龍興の白装束を剥き傷を確かめる。

 

「傷が変色しつつある・・・膿む前か!」

 

「やめてくれと言っているだろう!」

 

そう言って皆光を突き放した龍興は、もはや声を出すのも辛いのか、布団ではない方向へと体を倒れさせ、浅い呼吸を繰り返す。

 

「いい加減にしろ!」

 

そう言って皆光は龍興を無理矢理布団の上へと押さえ込み、酒で濡らした布で血を拭き取り酒で傷を一度洗う。

 

「私はあなたを殺させる事も死なせる事もしません。とりあえず話は療治を終えた後です」

 

少しばかり大人しくなった龍興をテキパキと手当し、静かに横たえる。

冷水に浸した布を龍興の頭に乗せ、ようやく皆光は腰を下ろす。

終始しかめっ面をした両兄妹に皆光も少しばかり顔をしかめた。

 

「何故・・・助けたんだい?」

 

未だ傷が疼くのだろう。

浅い呼吸を繰り返しながら、皆光に問いかける龍興。

そんな龍興を、皆光は裾に手を入れ、目を伏せながらも口を開いた。

 

「私が助けた訳では無いでしょう?私は・・・姫様の下知に従っただけですよ。ただ、強いて言うならば・・・ここで死ぬべき方々ではない・・・と」

 

ちらっと義龍を見るが、我関せずと言った様子。

 

「僕はいつか・・・必ず織田信奈の首を狙う・・・そう分かっていながら・・・君は僕を生かすのかい?」

 

「その時はまた私がお止めしましょう。一度ならず・・・二度でも三度でも」

 

「全く・・・甘い男だ・・・だが何故だろうね。その甘さがまた・・・心地いい」

 

皆光は、そっと二人を正面に捉えるように、座り直し、頭を静かに下げた。

 

「斎藤義龍・・・斎藤龍興両名共に・・・私の元に着いて頂きます。斎藤義龍・・・あなたには斎藤家の家督を継いで頂き、一度死んだ身として私に着いてきて頂きたい」

 

「なっ!・・・儂に家督だと?今更何を・・・」

 

「道三殿は・・・決してあなた方二人を軽んじていた訳ではございませぬ。織田に仕えよ・・・とは言いませぬ。ただ、私には未だに力が足りませぬ。故に・・・何卒ご助力をお願い申し上げたく存じます」

 

皆光はさらに深々と頭を下げた。

そんな皆光を義龍はじろり・・・と見つめる義龍。

 

「儂は織田に降ったつもりは無い。それでもか」

 

「それでも・・・」

 

頭を垂れたまま、皆光は肯定する。

義龍は、少しばかり顔を険しくするも、やがて呆れたように鼻を鳴らし、席を立った。

 

「ふん。龍興の言う通り・・・随分と甘い男よ。貴様が何処までその甘さを貫けるか・・・見物よの」

 

そう言い残して義龍は評定の間より立ち去った。

皆光は困惑した表情で、義龍を見送る。

 

「駄目・・・でしたか」

 

「くっくっく・・・いや、あれは素直じゃないだけさ」

 

意気消沈する皆光に、龍興はそうじゃないよ・・・と声を掛けた。

 

「で?僕には何も無いのかい?」

 

ニヤニヤと皆光を見つめる龍興。

そんな龍興の表情に、皆光は少しばかり顔を顰めながら、口を開いた。

 

「斎藤龍興殿・・・その・・・・・・」

 

「んん?ほら、早くいいなよ。どうせ結果は分かっているんだ。ササッと吐いた方が楽だよ」

 

龍興が煽る煽る。

そんな彼女に、皆光は青筋を立てながら、しかし意地の悪い顔を浮かべて彼女の側へと移動した。

 

「斎藤龍興殿、あなたは私と誼を結んで頂きます。勿論、あなたを押さえつける為に・・・ね?」

 

「へぇ〜?あのお姫様が良く許したもんだよ。まぁ、君ならいいよ?あ、それとももうここで・・・」

 

近くに居る皆光に躙り寄る龍興に、皆光は意地の悪い笑みを崩さないまま、席を立った。

 

「おや?兄妹か夫婦かも分からないのに随分とお喜びの様で。あくまで誼を結んだだけ・・・しかも道三殿と私の間で交わされただけであって正式なものではない・・・。それなのに・・・そうも喜んで貰えるとは・・・この皆光・・・嬉しい限りでございます」

 

「へ?」

 

「さてと・・・では私もそろそろ休ませて頂きますぞ。では・・・ごゆっくりと」

 

そう言って皆光は足早にその場を立ち去る。

皆光の後ろ姿を間抜けな表情をしながら見送る龍興。

そして、皆光の姿が完全になくなった時、少しばかりの悔しそうな顔で、呟いた。

 

「謀ったな・・・」

 

 

 

 

 





かなり雑に終わらしてしまったかと・・・。

当分はキャラ紹介を作るのは無理そうです・・・。
次回は・・・まぁ龍興と半兵衛辺りを予定しております。
二度目かもしれませんが・・・龍興は織田信奈の野望〜帰蝶〜と検索して頂ければ大方の容姿は出てくるかと・・・。

また、アンケート結果として無事(?)ハーレムとなりましたので、1部タグを変更しております。
作者は自重を止めまする〜!っと。
ちなみに・・・最近になって度々ランキングに載っております。
最高は17位!またもや同僚を困らせましたよええ・・・。
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