謀っ子世にはばかる〜織田信奈の野望   作:☆蛇☆

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難産・・・。

ロリコン・・・ロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコンロリコン大歓喜


燃ゆる伊勢・結ぶ竜胆

 

 

 

グシャッと叩き付けられた音がした。

嘉隆も、一益に率いられた兵も、誰もが一益の死を悟った。

響き渡る音に・・・思わず皆が目を背ける。

 

幼いながらも、見事な指揮とその卓越した射撃技術で、まむし谷と言う地獄谷を果敢に攻め立てた。

 

しかし、最後の最後で・・・敵がいなくなるその直前に・・・一益は足を滑らせた。

 

 

 

 

誰もが悟った・・・・・・滝川一益は死んだのだと・・・。

 

 

 

 

あとほんの数秒でも爆発が早ければ、一益は死ぬことは無かっただろう。

 

誰一人として、谷底に目線を向ける事は出来ない。

そこに広がる光景を・・・決して見たくないからだ。

九鬼嘉隆は、自分の不甲斐なさに今すぐにでも崖から飛び降りてしまいたい気持ちでいっぱいになった。

始まりは自分の声。

愚かにも、奇襲を目前に声を上げてしまった。

その結果がこれだ。

貸し与えられた兵の半数近くを失い、更に主君まで守ることが出来なかった。

 

嘉隆は、自分の手を見やる。

今掴んでいる岩壁を離せば、楽になれる。

 

そうだ・・・それがいい。

当然の報いだと、嘉隆は涙に濡れる自分の頬に気付くことなく、瞳を閉ざした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何を湿気た面をしておるのじゃ!」

 

凛とした・・・だが今この場において決して聞こえてはならない声が、このまむし谷に響き渡る。

一益の最後の叫び・・・まさか本当に?と皆が戦々恐々と谷底に目を移す。

 

汚れた巫女服に身を包み、不服そうに奏順に抱えられている一益。

瞳を大きく開き、喜びのあまりその場で咽び泣く嘉隆。

 

「姫様・・・姫様!!生きて・・・」

 

「たわけ!姫とて死んだかと思うたわ!」

 

まむし谷に、歓声が上がった。

幾百の犠牲を出し、まるで地獄の血の池地獄の様な様相を醸し出すまむし谷。

 

無事な地面に足を下ろした一益は、笑う膝をなんとか押さえつけながら、しっかりと地に足を着けた。

 

何故一益が生きているのか。

それは、奏順である。

 

彼女の受けていた命令は二つ。

一つ目は、まむし谷を侵攻する一益隊の援護。これについては、事細やかに皆光に言われていた。

 

まむし谷を進軍する滝川一益隊・・・その行く手には、必ず崖が立ち塞がる。

史実では、滝川一益率いる織田軍は、崖上の敵に対処することが出来ず、徹底的に叩かれた上で壊滅的な被害を受けている。

だからこそ、皆光は自身の精鋭である鉄砲隊・・・そして六角の荷駄隊を壊滅させた精鋭中の精鋭・・・武田騎馬隊を真似た黒塗りの騎馬隊を一益に付けた。

騎馬隊は馬を下り、敵の城の制圧を目的とした言わば主力。

鉄砲隊は、崖上の敵に対する唯一の対抗策として。

奏順に与えられた一つ目の命令は、必ずまむし谷の崖上を守るであろう敵兵に対する焙烙玉を使った爆破工作。

そして二つ目は、なんとしても滝川一益を生きてまむし谷を攻略させる事である。

 

奏順は皆光からの命令を忠実にこなし、谷の頂上に焙烙玉をばらまいた後、落ち行く一益よりも先に壁面を走るように崖下に到着・・・見事に受け止めた。

 

奏順は、少しばかり危なかったナ・・・と心の中で一益の救出に間に合ったことに安堵する。

一益を助けた際の衝撃に腕が痺れ、震える足をゆっくりと地面に投げ出した。

 

「喜んでいる場合ではないのじゃ!城の本丸は最早目前!乱波の開いた道を無駄にするでない!全軍・・・敵城へ乗り込むのじゃ!」

 

まむし谷に、鬨の声が上がった。

 

「来てんダロ?三人とも」

 

奏順の言葉に呼応する様に、木々の間から右衛門、定保、治宗が顔を出す。

 

「お主の仲間・・・いや、みっちーの配下と言った方が正しいかの?」

 

「あぁ・・・その通りサ。さ、ここの大将はあんたダ。大将がこんな所にいていいのカ?」

 

「ふん、抜かせ。次は負けぬのじゃ」

 

「ならとっとと落とすゾ」

 

「誰に言うておる・・・姫は滝川左近将監一益であるぞ」

 

言ってロ・・・と奏順は崖の上を見上げる。

 

「ちぃと・・・火薬がキツすぎたカ?」

 

崖上には敵兵の姿は無く、木っ端微塵に吹き飛んだとものと推測される。

あまりの威力に、奏順は頭を人差し指で掻きながら、そう呟いた。

血に濡れたまむし谷・・・後の世に、まむし谷の血決戦と呼ばれる。

しかし、勝者は違う。

滝川一益率いる織田軍は・・・まむし谷を見事制し・・・大河内城の本丸へと攻め入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

滝川一益は・・・【史】に打ち勝ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「そうですか・・・」

 

夜襲直前・・・日が落ちかけている言わば逢魔が時。

薄暗くなる直前に、夜襲の準備に取り掛かっている皆光の元に、奏順が駆け込んできた。

何処と無く嫌な予感を感じたが、報告を聞かない訳にも行かなかった皆光は奏順からの報告を静かに聞いていた。

 

奏順の話では、滝川一益率いる別働隊は見事、まむし谷を制した。

軍の半数を失う程の凄惨な戦の後、本丸を奪われた大河内城の城兵は、まさか敵に本丸を奪われるとは思ってもみず、城には多数の質がいた為、降伏。

 

一益は・・・見事に歴史を打ち破ってくれたのだ。

報告を聞いた皆光は・・・いつもの様に微笑むことも、笑いかける事もせずに、そうですか・・・と簡潔に返事を返した。

しかし、そんな皆光に凶報と言うべき言葉が、奏順から発せられた。

 

「滝川一益からあんたに言伝だ。勝っても負けても、後で覚えておるのじゃ・・・とよ」

 

「それは・・・まぁ・・・そうでしょうね」

 

話を聞く限りだと此度の戦の戦線で・・・最も凄惨な戦となったまむし谷攻防戦。

彼女にその役目を押し付けた皆光は、致し方なし・・・腹を括り首を縦に振ることしか出来なかった。

 

奏順の報告を聞いているうちに・・・あっさりと日が落ちきった。

闇夜に包まれ・・・一寸先すらも視認は困難。

唯一の光源であるはずの月は、まるでこの戦の行く末に興味なしとばかりに、厚い雲で隠れてしまっている。

 

この中で・・・ぼぅ・・・と灯りを放つのは、木造城から離れた場所にある北畠軍の陣だけである。

 

暗闇の中・・・まるでその場だけ世界が違うとばかりに眩い光を発している。

日は落ち・・・戦は休戦・・・と為れば、後は食事をとり明日に向けて休息を摂るのみである。

 

つまり、日落ちすれば直ぐに食事が始まる。

腹が減っては戦ができぬ・・・と言うことだ。

 

皆光が狙ったのはそこだ。

一に睡眠、二に排便、三に湯、四に飯・・・人が最も油断する時である。

そして何より・・・戦が終わり疲れ果て思考するのも億劫なこの時間。

 

互いの顔も視認が難しい中、皆光は静かに・・・命令を下した。

 

北畠軍を攻め立てよ・・・と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半兵衛は、兵を率いて敵陣地の近くへと陣取った。

敵陣からは目と鼻の先・・・距離にして約二丁程(一丁約百メートル程)だろうか。

兵達は、鏃が敵の光に反射しない様に既に乾いたボロ布を鏃に巻き付けている。

 

日本の和弓の最大射程は、実に四丁とも三丁とも言うが、敵を狙い撃つとなれば、その射程は僅か一丁程になると言う。

しかし、こと曲射に限っていえば、和弓の射程は当時の遠距離武器では抜きん出て長距離に射る事が出来る。

 

今回の半兵衛の任は、敵の陣地を燃やす事。

ともなれば・・・射程内でおり、なおかつ敵の襲撃よりも先に自軍が雪崩込むことを想定した距離を導き出す。

 

その距離が二丁である。

騎兵であれば、二丁と言う距離を詰めるに必要な時間は僅か十数秒。

人足の約五分の一である。

 

火打石の擦る音が、あちらこちらで暗闇に響いた。

 

そして、壺に入れられた数十に及ぶ油が、一斉に炎を巻き上げる。

 

敵からすれば、自陣との僅かな距離に突如として敵陣が現れたように見えるだろう。

 

そして、煌々と輝くその光の中で、幾百の影が蠢く。

大きな火から・・・小さな火へ。

矢に火が灯されたのだ。

 

半兵衛はうっすらと輝く羽扇を天に向ける。

暗闇に・・・弓の弦を引き絞る音が木霊する。

 

そして・・・一度静寂が訪れた時・・・半兵衛の羽扇が振り下ろされた。

 

「弓隊・・・放てっ!」

 

けたたましい程の風を斬る音と共に、天に星が増える。

どれもこれも、暗闇に栄える紅の星。

一斉に放たれた三百の矢は、まるで天から降る雨の如く一斉に敵陣地へと降り注いだ。

 

放たれた火矢は、北畠軍の矢楯、逆茂木、馬防柵、陣を分ける段幕、油や火薬・・・兵糧に至るまで、様々なものに突き刺さる。

 

再度、空に同じ光景が目に映った。

 

それと同時に、数多の馬が地を駆ける膨大な音が、突風と共に半兵衛の横を過ぎ去る。

風に煽られ、なびく髪を抑える半兵衛。

 

「後はお願いします・・・どうかご無事で。義龍様・・・皆光さん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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北畠軍は、急遽燃え始めた陣に恐慌し、初めて夜襲を仕掛けられていると認識したのは、火矢を撃ち込まれた時では無く、義龍率いる騎馬隊が自陣に突っ込んできた時であった。

 

「夜襲じゃあっ!!!」

 

「敵が突っ込んでくるぞぉぉーっ!」

 

敵の陣地は、さながら巨大な焚き火のように煌々と燃え盛っていた。

夜飯時であり、火を大量に使っていた北畠軍の陣地は、さながら光り輝く巨大な的。

 

そこへ、大量の火矢と共に、義龍隊が突入する。

もはや馬防柵は意味を成さず、乾いた枝を利用した逆茂木は、今や強襲を仕掛けた織田軍にとって、都合のいい光源と化していた。

 

もはや戦は終わりと鎧を脱いでいた者までいた始末。

しかし、そんな事は関係ないとばかりに、馬に轢き殺され、槍で突かれ、流れ矢に当たり地に体を横たえる北畠の兵達。

 

更に、休息十分、今からが戦とばかりに疲れを癒した皆光率いる歩兵が、義龍隊の切り開いた道をなぞるかのように突入した。

 

皆光は、鐙に体重をかけて腰を浮かし馬の揺れを自身の下半身で消すように上体を安定させる。

皆光の手にあるのは・・・弓。

素早く矢筒から矢を引き抜き、腕を胴体と垂直に伸ばし・・・弦を矢と共に引き絞る。

 

「シィッ!」

 

静かな・・・しかし気迫の籠った声で・・・馬上から矢を射る。

矢は、今まさしく種子島を握ろうとしていた敵兵の首筋を捉え、矢は容易く敵兵の首を貫通し隣の兵の腹に突き立って止まった。

 

その姿に、背後の兵が沸き立つ。

 

「全軍散れ!向かって来る者のみを相手に!逃げる者は捨て置くのです!」

 

四方に散っていく兵達。

北畠の兵達は、負けじと槍を握り戦う者、悲鳴を上げて逃げ回る者、その場で震えて立てぬ者と様々だが、戦っているのは全体の三割ほど・・・他は為す術もなく討ち取られるか、散り散りに逃げていく者ばかり。

 

「これで戦意を喪失してくれればいいのですが・・・」

 

パキパキっと皆光の目の前にあった陣を支える木材が軽い音を立てて崩れ落ちた。

燃え盛る段幕。

何気無しにそちらに目を向けた皆光は一瞬・・・呼吸が止まった。

突き刺すような殺気・・・まるで首をはねられた己の姿を幻視するかのような、濃厚な殺気を感じた。

 

思わず姿勢も整っていないにも関わらず、矢を番える。

 

炎に巻かれる陣の中・・・人が居るはずもない。

はずもない・・・が、目が離せない。

皆光の指に、僅かな震えが見てとれる。

 

陣の炎が裂けた。

中から・・・男が堂々と歩いてきた。

 

まるで湖面を歩くかの如く、静かで戸惑いのない足取り。

放たれた殺気は鋭く、炎に炙られているにも関わらず表情一つ変えない。

 

北畠具教・・・南伊勢の覇者であり、伊勢北畠軍の大将である。

左手を鯉口に添え、右手は既に柄に手をかけている。

 

具教の背後には、夥しい数の死体が転がっている。

一刀の元に切り捨てられており、背中から伸びる旗指物は、織田木瓜の旗印。

皆光が散るように命じた織田軍の兵士だ。

 

散るように言ってから僅かな時間しか経っていないにも関わらず、その骸の数はゆうに二十程か。

 

具教の背後から、気の強そうな少女が姿を現す。

その少女の手には、赤く染った薙刀が握られていた。

 

抵抗するならば・・・と皆光は矢を更に強く番える。

 

具教が皆光に向かって・・・静かに歩き始めた。

自身に矢の鏃が向いているにも関わらずだ。

皆光は、致し方なし・・・と矢から指を離した。

 

「嘘でしょう?」

 

皆光は目の前でありえない光景を目にすることとなる。

和弓の速度は時速で言えば約200km/h・・・秒速は約50m/sとなる。

目の前の男と皆光の距離は約30m程・・・一秒と経たずに自らに飛来する矢を見切るのは困難だろう。

それに加え・・・刀を抜き放ち矢を弾くなど・・・。

 

北畠具教は、鹿島新当流の祖・塚原卜伝を師に持つ剣豪と伝えられている。

 

皆光は、まさか・・・と背筋に嫌な汗が伝う。

 

「北畠・・・具教ですか?」

 

「いかにも」

 

簡潔にそう答えた具教に、皆光は表情こそ変えることはないが内心では焦りに焦っている。

皆光の剣の腕は並み。

この男に勝てる見込みは万に一つもありはしない。

事実・・・皆光はこの男の太刀を目に写すことは出来なかった。

瞬き一瞬・・・僅かな間に気付けば刀は抜かれていたのだ。

 

「夜襲とは、正しく奇策よな。まさかとは思っておったが」

 

新たな鬨の声が聞こえる。

木造勢が今が好機とばかりに北畠軍を攻め始めたのだ。

今や、北畠軍は敗走者も含め兵の大半を失っていた。

戦っているのは、全体の一割・・・千にも満たない僅かな手勢である。

 

「具教殿・・・どうかご降伏を。これ以上兵を傷付けるのは愚君の所業・・・戦を終わらせたく存じます・・・」

 

皆光は、一縷の望みを掛けて・・・具教へ降伏を進言した。

硬く口を閉ざした少女・・・北畠具房が具教へ視線を向ける。

具教は未だ黙ったまま・・・こちらを静かに見詰めている。

 

「我らは言わば先鋒・・・残り二千の兵が我らの動き次第では後詰に加わって来ます。具教殿の主城・・・大河内城はつい先刻、降伏により落城しました。これ以上戦っても・・・犠牲は増えるばかりです」

 

北畠具教の目が、驚きにより大きく開かれた。

 

北畠具教は、戦に敗北した時の籠城の為、周囲の支城から兵糧を運び込み、三千の精兵と三人の将を置いて来たのだ。

その三人の将とは、服部、潮田、船木・・・伊勢を代表する北畠三勇士と名高い彼の腹心の武将である。

今この場にいる数、後詰の数、そして城を責めた数・・・どう考えようと採算が合わない。

 

具教はただでさえきついその目を、更にきつく皆光を睨み付けた。

 

「兄(けい)らの何処に、そのような戦力がある?よもや僅か数十数百で城を落としたとは言うまいな?」

 

一瞬・・・皆光の顔が悲痛に染まる。

いつもは飄々と笑っている事の多い皆光だが、今は違った。

睨みつける具教を睨み返し真っ直ぐに見据える。

 

「まむし谷・・・かの地に命を賭して向かった六百名・・・そしてそれを率いた幼き英雄。その者らにより本丸が陥落・・・二ノ丸、三ノ丸を守備していた者達は戦わず降伏・・・・・降伏した理由が、貴方ほどの男に分からぬ筈もない」

 

皆光は、一瞬・・・北畠具教が狼狽えた様に見えた。

そして、実際北畠具教はその胸の内に、僅かな動揺を覚えた。

真っ直ぐに皆光へと刀を向ける具教。

具教は静かに皆光へと問いかけた。

 

「奴らが降伏した理由を述べよ。それ次第では・・・俺は兄を命に変えても討ち取らねばならん」

 

皆光は、恐ろしい闘気に晒されながらも一呼吸し・・・口を開いた。

 

「あなたの家内を案じて・・・との事です。勿論・・・乱暴狼藉は一切させておりません。例え私が死したとしても・・・我が兵は天下泰平の尖兵・・・かのような狼藉を働く事は無いでしょう」

 

暫しの無言。

北畠具教は皆光を睨み付けたまま目を離さない。皆光も北畠具教を静かに見据えたまま一切目を逸らさず負けじと目をそらすことは無かった。

 

「甘い男だ・・・ここで死して尚・・・か?」

 

「例え死したとしても、私はそのような外道に落ちる気はさらさらありません」

 

ふっ・・・と北畠具教の表情が崩れる。

それと同時に皆光へと向けられていた刀は腰へと収められ、皆光を包んでいた重圧がふと消える。

 

「とは言え質(人質)は質。質を抱えられては抵抗も見苦しいものよ。よかろう。この北畠具教・・・降伏いたす。処分は如何様にでもするが良い」

 

北畠具教の隣に立つ具房は一瞬・・・悲しげな表情を浮かべたが、地に瞳を伏せ薙刀を投げ捨てる。

 

「父に同じく・・・北畠具房・・・降伏致します」

 

 

 

夜を明るく照らす煌々と燃え盛る陣地の中で、北畠具教、北畠具房両名が降伏した。

勝鬨を上げる織田軍の声は、静かな夜空へ高々と響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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大河内城

 

城郭構造は山城に分類し、小高い丘陵に築かれたこの城は、東に坂内川、北に矢津川が流れ、西、南には深い谷が形成された天然の要害であり、伊勢北畠家から諸氏として派生した大河内氏が治めていた城だ。

構造は奇しくも、皆光が攻略し織田が落城させた岐阜城・・・旧稲葉山城に酷似している。

 

半兵衛、義龍、龍興と軍を伴い、降伏した北畠両名と纏めあげた敗残兵を引き連れて大河内城へと入った皆光。

 

城門をくぐり抜け城に入った皆光を待ち受けていたのはぶすっとした一益と皆光と会った時とはうってかわって何処か覇気のない嘉隆。

 

むくれている一益の横に見慣れない一人の幼女が立っていた。

鷲色の茶髪を肩下で緩く結い、優しそうな垂れ目をした随分と可愛らしい幼女。

 

その幼女が一人の男性を見つけると、そそくさのその傍に走って行く。

 

「父上!よくぞご無事で・・・」

 

「千代・・・何かされてはおらぬか?」

 

千代・・・またの名を雪姫と言い、織田信長の子・・・織田信雄・・・またの名を北畠具豊(ともとよ)の正室、千代御前であり北畠具教の娘である。

 

北畠具教、具房両名が戦死した場合・・・自らも自身の手で自決してやる・・・と城を落とした織田勢に息巻いていたらしい。

その小さな体ながら、その心は正しく北畠具教の娘としての気高さを感じさせる。

 

娘に擦り寄られ、無表情ながらどこか困った様子の具教を皆光は微笑ましそうに見詰める。

 

皆光達に会話はない。

こちらは逆に重苦しい雰囲気を出しながら北畠具教の案内で大河内城の評定の間へと足を踏み入れた。

 

(・・・・・・)

 

皆光は重い足取りで上座へと腰を下ろす。

その横に、滝川一益が座り・・・諸将が下座へ、そして北畠具教、具房両名が評定の間の中央へ腰を下ろした。

 

少しばかりの緊張に、皆光は乾いた唇を一度舐めると静かに口を開いた。

 

「戦後の評定を始めます。此度の伊勢侵攻、戦後に至るまで、私は姫様に裁量権を与えられております。私は織田家家臣・小早川皆光・・・以後お見知りおきを」

 

北畠具教は表情を変えることなく、皆光へと返答を返した。

 

「北畠具教、この伊勢の国司である」

 

国司とは、朝廷から正式に拝命したその国の大名の事を指す。

 

国司とは、国、もしくは郡と言った大領を収める言わば地方公家のような存在であり、さらに武家として守護大名が国司の下につく。

戦国時代は国司と守護大名の二重支配だったのだ。

 

国司の身分は四階級・・・それぞれが守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)、目(さかん)と言う。

上記を踏まえた上で、北畠具教は国司として伊勢守(いせのかみ)を名乗ることが許されているということだ。

まぁ、守護大名が力をつけ戦国大名となってからは、各自がそれぞれ勝手に名乗る場合もあるが。

ちなみにだが、元々織田信奈が治める尾張と遠江、越前と加えた計三国を斯波氏と言う幕府から正式に命じられた守護が治めていたが、斯波氏の力が弱まり、守護代として尾張織田家、越前朝倉・甲斐両家、遠江に至っては今川が進出してくるようになり、結果斯波氏は衰退。

戦国大名として一族同士の殺し合いへと発展した尾張織田家・越前朝倉家へと成長していくこととなる。

各地でこう言った武力を持つ守護代が戦国大名へと姿を変え、権力簒奪、領地拡大の武力衝突が耐えないことから後の世にて、戦乱の世・・・戦国時代と呼ばれるようになった。

まぁ豆知識的な事である。

 

「では北畠具教殿・・・いえ・・・伊勢北畠家の処遇についてですが」

 

皆光はふぅ・・・と一息吐いた。

 

「あなた方の領地は安堵とさせて頂きます」

 

これに驚いたのは龍興の背後に控えていた道利、そして具房、義龍であった。

 

「皆光殿・・・失礼ながら理由をお聞きしても?」

 

道利は思わず、皆光へ意図を問いただしていた。

道利の質問に慌てることも無く、皆光はまるで文を読む様に、すらすらと質問に答えた。

 

「現在、畿内の内乱により足利将軍家が途絶えたが故に・・・織田は足利公方の血に連なる者として今川義元を担ぎ上洛をする。ですがその道程は険しく、南近江には六角承禎・・・畿内の三好一派・・・大和の松永弾正久秀・・・それ以外にも、織田は畿内内外に多くの敵を抱え込むことと相成りましょう。西方の毛利・・・四国の長宗我部・・・九州にすら未だ見えぬ敵も大勢いる。そんな中・・・東国を注視することが出来るものと言えば、今ここにいる滝川一益、九鬼嘉隆、そして三河衆を率いる松平のみ」

 

「つまり・・・兄は我ら北畠家に、東国の牽制をせよと?」

 

静かに皆光の言葉を聞いていた具教が、静かに口を開いた。

しかし、皆光は静かに首を横に振る。

 

「北畠家として・・・ではなく、伊勢国として・・・です」

 

皆光のその言葉に、全員が首を傾げた。

北畠家としてではない。

ならば何を持って国として東国を牽制するのか。

一人・・・またと気付いたかの様に皆光を見つめる。

未だ気付かないのは、嘉隆、具房、そして致し方ないであろう千代と呼ばれる少女のみである。

 

「既に北の豪族衆は織田に準ずるとの事。中伊勢の長野工藤氏に至っては既に具教殿の手中にあれば、我々織田と北畠が手を結べばあなたは南伊勢は愚かこの伊勢一国の主として治めることが可能でしょう?」

 

「つまり・・・兄は織田が持つ領を手に我らに織田に下れと?」

 

具教の鋭い視線が皆光に突き刺さるが、皆光はそれを気にすることもなく飄々と受け流す。むしろ、何処か自信に満ちた瞳で具教を見つめ返し「いえいえ・・・」とくすくす笑っている。

 

「我らが求めるは伊勢一国の平定を元手に・・・北畠具教殿・・・貴方に我ら織田と対等な同盟を結んで頂きたい」

 

「僕は反対だと思うけどね」

 

皆光の言葉に反対したのは、中性的な喋りが特徴の斎藤龍興。

皆光が何故に?と問うと、龍興は淀むことなく話し始めた。

 

「伊勢は・・・こう言うのは癪だけど織田が実権を握るべきだ。質を取り武力を奪い、支配権を握る・・・国盗りと言うのはそういうものだろう?あまつさえ国を与え、武力を伸ばし、毒を富ませる・・・いざ裏切られた時の事を考えてご覧よ」

 

龍興の言うことは最もだ。

実際・・・北畠具教は一度は織田に下るも、後に武田と文を通じて謀反を企てていた。

そして、理由は定かとなってはいないが、裏切りが露見した後に一族郎党皆殺しと言う凄惨な最後を迎える事となる。

 

「龍興殿の言うことは最も。ですが此度の戦・・・非は我々にあり。私の浅はかな進言により不要な戦を起こしてしまったことは事実・・・であれば、誠意を持って接することが大切だとは思いませんか?」

 

「確かに・・・誠意は大事じゃ。じゃが場を考えるのじゃ。決死で挑んだ結果がこれではみっちーの兵が浮かばれんのではないのかの?」

 

一益の言葉に、皆光の顔が一瞬揺らぐ。

 

「裏切らないでくださいで謀反が無くなるのなら・・・とっくにこの世から戦は消えているよ」

 

皆光は少し目を伏せ考え込む。

この先織田を阻むのは、苦境苦難ばかり。

今のままでは、史実通り多くの家臣が夢半ばにして命を落とす事になるだろう。

だからと言って皆光は誰が死んでいいなどと言うつもりは無い。

それでも信奈の事だ。

必ず心に深い傷を負う。

伝えられた通りの織田信長本人ならば問題は無く我が道を行くかもしれないが、この不思議時空の織田信長は織田信奈であり彼女だ。

 

彼女なら・・・こんな時・・・どうするだろうか。

 

皆光は、天井を仰いだ。

そんな皆光へ、何処か恐怖しているかの様な声色で尋ねる少女の声が掛けられた。

 

「・・・父は・・・父と姉様はどうなるのですか?」

 

皆光が天井から視線を下ろすと、真っ直ぐと見つめる少女と目が合った。

皆光はその少女へ微笑みかけると、安心出来るように優しい声色で話し掛けた。

 

「どうもしませんよ。貴方の父も・・・貴方の姉も・・・貴方から奪ったりはしません」

 

「ど・・・どうしてそう言いきれるのですか?」

 

皆光は考えなかった。

 

「この先・・・戦のない世が必ず訪れます。そうすれば・・・ずっと傍に居ることが出来るでしょう?」

 

まるで、さも当然とばかりに言い放った。

皆光の言葉に、何を言っているんだ?とばかりに怪訝な表情を浮かべる具房だが、それとは対照的に・・・何処か面白そうに・・・くっくっと笑いをこらえる具教。

 

「くくっ・・・だがそれは・・・兄の夢物語だろう?」

 

「夢は抱き続ければ何れ叶う・・・と教わったもので」

 

具教の言葉にムッとした様に言葉を返す皆光。

 

「そのような甘事で世を制すると?」

 

「甘事であろうと、それが主君の夢ならば」

 

何処かムキになっている皆光に、具教は面白そうに・・・だが鋭い視線で皆光を睨み付けた。

気迫か・・・闘志か。

場に・・・まるで風が凪いだかの様な感覚。

思わず太刀を握る者たちを、皆光は手で制する。

 

「甘さで天下を盗るとは・・・笑わせる」

 

皆光は、言葉を返さない。

ただ静かに・・・こちらを見詰める具教を見つめ返すばかり。

 

しかし・・・と具教が言葉を続ける。

 

「受けた恩・・・受けた情には報わねばならんな」

 

静かに北畠具教は佇まいを正す。

それにならい、具房・・・そして小さな少女である千代までがそれに並ぶ。

 

「伊勢北畠家・・・織田家・・・延(ひ)いては小早川皆光殿と・・・対等な同盟を結びたく存じまする」

 

国と・・・人。

国と一個人。

そんな、損はあれど得のない同盟。

流石の皆光も、これには驚きに身を固める。

周りの者達も、何を馬鹿な事を・・・と具教達を見据えている。

 

「何故・・・私に?」

 

「何も不思議なことではあるまい。兄程の器量ならば、何れは一国を有する事になろう。ならば、先に唾を付けておこうと思った迄よ」

 

転んでもただでは起きない具教。

皆光は、義龍、龍興、一益、半兵衛と順に見詰めていくが、誰も彼もが首を竦めるばかり。

要は・・・自分でなんとかしろ・・・という事らしい。

 

「私・・・つまり、織田と同盟を結んでいただけると・・・そういう解釈でよろしいので?」

 

「相違ない。どの道織田の行く道が我らの進む道。だが織田信奈の進む道は、必ず兄が手を入れる」

 

そこで一度言葉を切った具教だったが、「だが・・・」と一呼吸入れて再度口を開いた。

 

「兄の道が逸れた時・・・延いては織田も道を誤ると言うことを忘れるな。そうなれば・・・後に続く我らが・・・織田を追い落としてくれる」

 

何処か挑戦的に言い放った具教の言葉に、皆光は口を緩める。

 

「その時は・・・どうぞお好きに・・・私が道を誤った時・・・それは私が志を違えた時でしょうから」

 

皆光の志。

 

天下布情の志。

 

情を持って・・・天下を制す。

その志に、今一つの旗が翻った。

闇夜に揺れる笹竜胆。

志を違えた時は・・・翻る笹竜胆が刃の如く牙を向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

隠れていた月が・・・顔を覗かせる。

静かに揺れる木々。

肌を撫でる夜風が皆光の体を薙ぎ、月明かりが皆光の顔を照らす。

 

皆光は、眠ること無く本丸の頂上から、闇に閉ざされた地平線へと視線を向けていた。

 

静かに・・・何を考えるでも無くぼうっと視線を地平線に向ける皆光。

ふと、皆光は室内に視線を向ける。

 

「眠らないのですか?」

 

皆光は、誰も居ないはずの室内に語りかけた。

一拍置いて、襖が開く。

 

「何故分かったのじゃ?」

 

そこに居たのは、いつもの巫女姿ではなく、床に入る姿の一益であった。

そんな彼女を一瞥し、皆光は地平線へと視線を戻した。

 

「こう見えても、忍び衆を率いているのです。多少なりとも、気配に敏感になるのは致し方無いことでしょう?」

 

「そんなもんかのう?」

 

ぴょこぴょこと皆光に近寄り、寒いのじゃ・・・と皆光にぴたりと張り付いた一益。

そんな一益を気にする事もなく、皆光は今一度、同じ質問を一益へと投げ掛けた。

 

「眠らないのですか?」

 

「眠れないのじゃ。少しばかり・・・闇が怖くてのう」

 

皆光の表情が少しばかり曇る。

 

「かの者達の事でも考えておったか?」

 

一益の言うかの者達とは、まむし谷を果敢に攻め立てた僅か六百の兵からなる精鋭達の事である。

この兵達は、皆光が清須に来た頃からの馴染みや、長良川の合戦で従軍した者達で構成された・・・言わば皆光にとっては腹心の兵であった。

 

桶狭間、稲葉山城攻略戦、墨俣一夜城。

彼らと共に駆けた戦は既に伝説となっているものもある。

「これから忙しくなる・・・。忘れることは無いでしょうが、今宵くらいはゆっくり、彼らの冥福を祈っても良いでしょう?」

 

一益が、皆光と同じく地平線へと目を向けた。

 

「お主の兵は、誰一人逃げる者はおらんかった」

 

「貴方が逃げれば・・・共に逃げたかも知れませんよ」

 

「姫に逃げればよかったと言っておるのか?」

 

「失礼・・・失言でしたね。少しばかり・・・思考が纏まらず・・・申し訳ございません」

 

一益は、横目で皆光の顔を見る。

その時・・・皆光の瞳から、一筋の光が頬へと伝った。

 

「のぶなちゃんは・・・いつもあのような戦を経験しておるのじゃろうか・・・」

 

「どのような戦であっても、凄惨なことに変わりはありませんよ」

 

皆光は、ゆっくりと一益を撫でる。

撫でられた一益は、その手を振り払う事はせずにされるがままとなっている。

一益は、皆光に自身の持つ力を使おうとこの場に来たが、どうにもそのような気分では無くなってしまった。

むしろ、皆光が流す涙にちくりとした痛みを胸に感じてしまう。

 

「一益殿・・・」

 

「一益でよい。特別に・・・左近と呼んでも良いぞ?」

 

「・・・・・・一益」

 

皆光はひとしきり悩んだ末に、一益と呼ぶ事にした。

 

「なんじゃ?」

 

「共に・・・京へ行きませんか?勿論・・・貴方が陸を嫌っていることは知っていますが、北畠家が織田に協力してくれれば、あなたは少しばかり自由になる」

 

一益は、露骨に嫌そうな顔をした。

 

「嫌じゃ・・・。もう二度と・・・あのような戦をしとうない」

 

「では、姫様にその役を押し付けるのですか?姫様の盾であり・・・また矛である我々家臣が」

 

「聞き方が卑怯じゃぞ・・・」

 

「ははは・・・失礼」

 

少しばかりの沈黙が二人を包む。

風の音・・・虫の音色、木々のざわめき。それがひとしきり止み、先に口を開いたのは、一益であった。

 

「陸は嫌いじゃ・・・じゃが・・・のぶなちゃんがあのような苦しみを感じるのは嫌じゃ・・・」

 

「だからこそ・・・姫様はこの世から戦を無くそうと奮闘するのです。同じ苦しみから人々を救う為に・・・自らが犠牲になって」

 

「みっちーは・・・苦しくない・・・訳ないのう。でなければこのような場所で憂いていないであろうしの」

 

「たはは・・・まぁ、この気持ちは・・・無くなることは無いでしょう」

 

「もしも・・・姫が苦しんでおったら・・・みっちーはどうするのじゃ?」

 

皆光は考えること無く、一益へと顔を向けた。

 

「助けますよ?どのように苦しんでいるのか・・・何を悩んでいるのか関係なく。助けます。だって、仲間でしょう?」

 

皆光は、一益へと微笑みかけた。

一益は顔が熱くなるのを感じるが、夜間・・・ということもあり、流石に顔色までは見られまい・・・と皆光を見つめ返す。

ちなみに・・・この時、皆光は・・・(子供は体温高いですね〜)なんて思ってたりするが。

 

「ふむ・・・であれば・・・姫が陸が嫌いなのは知っておろう?」

 

「ええ・・・先程も言いましたが・・・」

 

一益の瞳がキラッと光った。

可愛く・・・可愛く・・・可愛く・・・ひたすらに念じ、皆光に抱きついた。

 

「おねが〜い♡姫をゆっくりと休ませてぇ〜?ね?いいでしょ〜?」

 

そして、一益は思い出した。

この男に・・・これは通じなかった事を。

しかし、やってしまった事は後の祭り。

暑くなる顔を無理やり隠すように、皆光に腹に顔を押し付ける。

 

「・・・全く・・・今回は仕方ありませんか。愛らしい姫のわがままを聞くとしましょう。共に京へ行けないのは非常に残念ですが・・・」

 

皆光は、困ったように苦笑し腹に抱き着く一益を優しく撫でた。

 

一益は、また負けた・・・とガッカリするが、内心は少し嬉しかったりする。

だが、それをひた隠しに・・・出来うる限りの恨めしそうな声で、口を開いた。

 

「・・・むぅ〜・・・姫の負けじゃ」

 

(色んな意味での・・・)

 

「はて?負けとは?」

 

「少しばかり・・・京へ行く用が出来たのじゃ。姫も・・・上洛とやら・・・共に行ってやるのじゃ!」

 

皆光は、可笑しそうに・・・ぷっと吹き出した。

 

「ぐぬぬ・・・何がおかしいのじゃ!」

 

一益がぽかぽかと皆光の腹を叩くが、まるで聞いた様子が無く皆光は一益と同じ目線になるようにかがみこんだ。

 

「少しばかり面白くて・・・。頼りにしてますよ?一益」

 

「この男は・・・・・・」

 

「はて?」

 

 

 

 

 

 

夜風に揺れる忍び装束。

 

赤く光る瞳が、皆光達を見詰めている。

 

「小早川氏・・・もはや癖か何かでござるか?」

 

五右衛門の呟きは・・・風に掻き消され闇夜に消えていった。

 

 

 

 




更新長らくお待たせ致しました。
あ、前書き気にしないでください。
疲れていただけなので・・・。
伊勢編・・・これにて完結。
あっさり終わった気がしないでもないですが、、、。
さぁ〜次は京ということで、長らくお待ち頂いた方々・・・お待たせ致しました!
ロリコンロリコンロリコンロリコンロリコン(ry

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