《8》
泣かせてもうたァァァ!!!
お、落ち着け。この状況を一旦整理しよう。
広場には小学生くらいの女の子が泣きじゃくっており、傍らには人相の悪い男がいる。
どう見てもポリスメン一直線コースです。
お疲れ様でした。
いやいや諦めちゃダメだ!
どうする。どうすればいい!!
僕はーーーー
「えっ…」
女の子の頭をとりあえず撫でるを選択した。
(大丈夫、大丈夫、これは犯罪じゃない。大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫)
内心冷や汗ぐっしょりなりながら優しい顔を作ってみる。
「ふっ、ふふふ」
良かった。とりあえず泣き止んでくれたみたいだ。
「ふふふふっ、ふっ、ふつ」
え?今度はどうしたの?
「いやっ、その、お兄さんの変顔が面白ろくって」
僕、笑顔を浮かべたつもりだったんだが、変な顔になってたの!?
(ま、まぁ、これはこれで結果オーライだな…)
「じゃあこれで「チノ大丈夫か!?」」
しかしにげきれなかった!
僕は油の切れた人形のように振り返ると、紫髪のポニーテールの女の子が猛然と近ずいてくるのが見えた。
「いや、これはーー」
そんな言い訳を言う前に僕はその子にそれは綺麗な背負い投げを決められた。
《9》
「早とちりして、すまなかった…」
あの後、なんとか誤解をとくことに成功した。
「うん…誤解が解けて何より…」
小学生…いや、彼女は中学生らしいのだが「香風さん」の奮闘があったおかげであると記しておく。
とりあえずポリスメンのお世話にならずによかった…。
「お詫びと言ってはアレだが、私たち喫茶店でバイトしてるんだ。良かったら来ないか?」
申し訳なさそうに頭を下げてくれている。
ちなみに綺麗な背負い投げをかましてくれたこの女の子は天々座さんというらしい。
「ちょっと休みたいし、うん。喜んで」
この決断が、あの人と出会うことになるとは梅雨にも思わず。
(10)
案内された街角の一角にひっそりと「ラビットハウス」という喫茶店はあった。
「なかなか、雰囲気のある喫茶店だなぁ」
木製の喫茶店か。温かみがあるな。
ぼーっと店内を眺めたていたら、喫茶店の制服に着替えた香風さんがでてきた。
ん?いや、頭にうさぎが乗ってる…バランス感覚すごいな。
うさぎと仲良くなれたじゃん!と言ったら香風さん曰くティピー(ラビットハウスで飼ってるうさぎ)は別ですということらしい。
「どうぞどこでも腰掛けてください」
「はい」
お言葉に甘えて、窓側のテーブル席に腰かける。
「これがメニューだ」
天々座さんが持ってきてくれたメニューには、珈琲には間違いなんだろうが…キリマンジャロ?アメリカンコーヒー?違いがわからない…。
「じ、じゃあ、オリジナルブレンドで」
「かしこまりました」
そう言うと香風さんはアルコールランプのようなものに火をつけ用意を始めた。
ていうか僕以外にお客さんいないから気まずい…。
ふと、天々座さんと目があったので気になったことを聞いてみる。
「ここで働いてるのって二人だけなのの?」
「いや、もう1人いるんだ。今日は帰りが遅いみたいで、もう少ししたら帰ってくると思うぞ」
天々座さんの発言から察するに学生だけでやってるのか…?大変だな…。
それからたわいもない会話をすること数分。
ついにコーヒーが運ばれてきた。
「おぉ…」
透き通るような白色の磁器に入れられた黒々とした液体を見て思わずゴクリと唾を飲む。
「頂き「ごめんねー!!頼まれごとこなしてたら遅くなっちゃった!!」」
あっ、さっき言ってたもう一人の子かと思ってなんとなしに扉の方を見て見てーー
僕の思考は停止した。
手から滑り落ちた珈琲カップのことなど気にもならない。
「おっと危なかったな」
天々座さんが何か言った見たいだが、それどころじゃない。
「ココアさん、お客さんです。急いで支度してください」
「あー!ホントだ!お客さん…だ…」
ついにその子と目が合った。
昔とほとんど変わっていなかった。
見間違えるはずもない。
変わったのは背丈くらいだろうか。
オレンジ色っぽい髪を肩まで伸ばし、今も桜の髪飾りを付けてる。 ・・
「っ…」
「すみません。代金はここに置いておくんで」
「え、ユウキさん?」
困惑する香風さんを他所に、僕は彼女から逃げるように喫茶店を飛び出した。
(11)
それから僕は、飛び込むように甘兎庵に帰った。
千夜が何か言っていたようだが、無視して部屋にこもってしまった。
今は気持ちの整理がつかない。
抑えていたふたが開いたかのように感情が溢れ出す。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
うわ言のように繰り返す。何度も。何度も。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
気がつくと僕は…。
満点の夜空の下にいた。
夢なのか…?
そして正面を見ると雲でできた椅子に小さな男がいた。
スーツに身を包んでいるのは普通だが、異様に鼻が長く、そして目が出っ張って血走っている。
その男は笑って歓迎した。
「ようこそ、私のベルベットルームへ」
僕の贖罪が始まる。
ストックが切れたァァ!!
こっから更新遅くなると思います。
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