帝国兵が使っていた馬と馬車を有効利用してハウリア族と共に樹海を目指す。
ハウリア族を馬車に乗せて俺達はバイクで移動するも、クソウサギは断固としてバイクに乗ることを主張し、ユエは何度も叩き落としても諦めなかったので折れた。
その道中、クソウサギが俺達の事について聞いてきた。
どうやら〝同類〟である俺達の事がもっと知りたいらしい。
樹海に到着するまで時間がある間、ハジメとユエは奈落でのことについて話すと。
「うぇ、ぐすっ………ひどい、ひどすぎまずぅ~、ハジメさんもユエさんもがわいぞうですぅ~。そ、それに比べたら、私なんて恵まれて……………うぅ~、自分が情けないですぅ~」
号泣した。
自分以上に大変な境遇だったと知って自分が情けなく思ったらしい。
するとハジメが。
「………………………………そういや、まだ聞いていなかったな。
「ああ。
「………………………ワン○ースの悪魔の実のようにか?」
「………………………………まぁ、そんな感じだ。次に〝使役タイプ〟。これは桜が当てはまる。精霊を使役させてその能力を行使することができる。他にも昆虫のようなものもいれば動物もいるし、なかにはロボットのようなものを使役する奴もいる」
「…………………………虫も?」
「Gを使役する人を相手にするのは苦労したよ」
桜が遠い目でそう語る。
ああ、そんなこともあったな。珍しくも桜が半狂乱しながら精霊魔法で攻撃しまくったっけ? まぁ、気持ちはわかる。俺ももう二度と相手にしたくない。
「三つ目はこの二つに当てはまらないのを〝特殊タイプ〟。これは俺が当てはまる。俺の能力は〝
「へぇ、それなら俺と契約したら俺の技能が使えるんじゃねえか?」
「確かにできるが、契約できる相手によって契約数も変化するんだよ。だからもう手一杯。今の二人でもう契約は出来ない。解約すれば話は別だが」
《絶対にしませんよ! マスター!》
《そうです! 解約なんて断固拒否します!》
頑なに二人は拒否してくる。
安心しろ。物の例えで言っただけだ。俺もお前等と解約なんてする気はねえよ。
《それならいいのですが……………》
《そのお言葉、忘れないでくださいね?》
はいはい。
「大まかに分けてこの三つが
とはいえ、俺もクロノスやへレスと契約できたのはある意味奇跡に近いな。
《何が奇跡ですか。私の時は詐欺でしたよ、詐欺》
《私の時は主の狂気に当てられて死を覚悟しました……………正直、人間の闇を甘く見ていましたね》
やかましい。騙されやすいクロノスが悪い。それとへレス。お前の時はどうしても力が欲しくて俺も必死だったんだよ。
けど、今思えば俺も色々と無茶をしたもんだな。少し前の俺だったら考えることさえしなかっただろうに。
「ハジメさん! ユエさん! 戒さん! 桜さん! 私、決めました! 皆さんの旅についていきます! これからは、このシア・ハウリアが陰に日向に皆さんを助けて差し上げます! 遠慮なんて必要ありませんよ。私達は仲間。共に苦難を乗り越え、望みを果たしましょう!」
クソウサギが不意に勝手なことを言いやがった。
「現在進行形で守られている脆弱ウサギがなに言ってんだ? 完全に足手まといだろうが」
「………………………さり気なく『仲間みたい』から『仲間』に格上げしている……………図太ウサギ」
「何の役にも立たんクソウサギがいても目障りだ。旅なら一人でしろ、クソウサギ」
「皆もう少し言葉を選んでから喋りなさい! それとちゃんとシアのことは名前で呼んであげて!」
冷たい反応で返す俺達に桜は怒る。そんな桜の優しさにクソウサギは涙を流す。
「桜さん……………! うぅ~、桜さんだけですよぉ~。私に優しくしてくれるのは~」
「でもねシア。私も皆と同じ意見なの。シアにとって私達は〝同類〟だとしても一緒には連れて行けない。私達は目的の為に七大迷宮の攻略を目指しているの。そこはとても危険でとてもじゃないけどシアを庇いながら戦えない。だからごめんなさい」
庇うも冷静に説明しながらクソウサギの同行を反対する桜にクソウサギは落ち込むように黙り込む。
それから数時間後。俺達は遂に【ハルツィナ樹海】と平原の境界に到着した。
樹海の外から見れば、ただ鬱蒼とした森でしかないが、あそこに一度はいれば霧に包まれる。その霧の中を動けるのは亜人族だけだ。
クソウサギの父親、カムが言う〝大樹ウーア・アルト〟。そこは神聖な場所として近づく者は滅多にいないらしい。
それから俺達は〝気配遮断〟を使ってハウリア族の案内で大樹に向かおうとするが。
「お前達……………何故人間といる! 種族と族名を名乗れ!」
虎模様の耳と尻尾をつけた、筋骨隆々の亜人たちに見つかった。
既に包囲網は敷かれて数十人の亜人に囲まれているなか、眼前の亜人はクソウサギ達を見てこの場で処刑しようとするもハジメが威嚇射撃と〝威圧〟によって動きを封じる。
「殺るというのなら容赦はしない。約束が果たされるまで、こいつらの命は俺達が保障しているからな……………ただの一人でも生き残れるなどと思うなよ」
威圧の他に殺意も放つ。それにすっかり萎縮する亜人達。
「選べ。敵対して無意味に絶滅するか、大人しく家に帰るか」
その言葉が本当だと察したのだろう。虎の亜人は冷静に言葉を紡いだ。
「……………………何が目的だ?」
「樹海の深部、大樹ウーア・アルトのもとへ行きたい」
そこでハジメは俺達の目的である大迷宮のことについて話す。しかし、虎の獣人はハジメが何を言っているのかわからないのか、困惑しつつも冷静な対応を取った。
「一警備隊隊長の私如きが独断で下ろしていい判断ではない。本国の指示を仰ぐ」
それから虎の亜人は部下を使って今の話を長老に伝令を出す。
後にアルフレリックと名乗る長老の一人が訪れて俺達はそいつに【オルクス迷宮】を攻略の証である指輪を見せると驚きながらも納得するように頷いた。
「なるほど……………確かに、お前さん達はオスカー・オルクスの隠れ家に辿り着いたようだ。他にも色々気になるところはあるが……………よかろう。取りあえずフェアベルゲンに来るがいい。私の名で滞在を許そう。ああ、もちろんハウリアも一緒にな」
「ちょっと待て。俺達は大樹に用があるだけでフェアベルゲンに興味はない。問題ないならこのまま向かわせてもらう」
「いや、それは無理だ」
「なんだと?」
「大樹の周囲は特に霧が濃くてな、亜人族でも方角を見失う。一定周期で霧が弱まるから、大樹のもとへ行くにはそのときでなければならん。次に行けるようになるのは十日後だ。……………亜人族なら誰でも知っているはずだが……………」
俺達はその言葉を聞いてハウリア族を見た。
「あっ」
まさに、今思い出したというような表情に俺達はイラっとした。
必死に言い訳をし、逆ギレし、責任を擦り付け合うハウリア族にユエがお仕置きした。
「――――――〝嵐帝〟」
――――――アッーーーーーーーーーーー!!
天高く舞うクソウサギ一家。
クソウサギも残念ならその一族もまた残念だ。
俺も苛立ったのでハジメと共に魔弾(威力低)とゴム弾で追撃して叩き起こした。