彩りを添えて   作:stiff

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わがまま

 

 

裕太

 

 

「ここだよ!」

 

丸山が行こうとしていた場所に着いた。羽沢珈琲店と書いてある。喫茶店のようだ。

 

丸山がドアを開けて店内に入っていくので俺もついて行く

 

「いらっしゃいませー。あ、彩先輩!」

 

店の奥から出てきたのは茶髪のショートヘアの女の子だった。

とても可愛らしい雰囲気を漂わせているので少し見とれていると丸山が俺に早く座るように言ってきた。

何故か少し拗ねている。

 

「彩先輩と…?彼氏さんですか?」

「ち、違うよ!ただの友達だよ!」

 

間髪入れず丸山が訂正を入れる。

まだ友達にもなっても無いと思うけどな。

折角喫茶店に来たので何か飲もうと思って俺はアイスコーヒーを頼んだ。丸山さんはカフェラテらしい。

 

飲み物を頼むと早速課題に取り掛かる事にした。

丸山は鼻歌を歌いながら課題をしている。

さっきから少しテンションが高い気がするが気の所為だろうか?

基本的に別々で課題をして丸山が分からない所は俺が教えながらするといったやり方で課題を進める。

 

▽▽▽

2時間後

 

「終わった…!終わったよ水無月君!!」

「良かったな」

 

丸山が課題を終わらせた様だ。

俺は喫茶店で課題を始めて30分程度で終わらせたが、丸山は2時間くらいかかっていた。

やけに進むのが遅い気がしたが気にしなかった。

 

「水無月君、手伝ってくれてありがとう!」

「うん、じゃあ俺帰るわ」

 

丸山から感謝の言葉を受け取り俺は出口へ向かう。

その時だった。

 

何かに後ろに引っ張られた。

後ろを見ると丸山が顔を真っ赤にして俺の服を掴んで来ている

 

「どうした…?」

「こ、これ!私の連絡先!」

 

メモ用紙を俺に差し出してくる

 

「ま、またこうやって2人で会いたいな…!」

 

ほぼ告白の様な言葉を受け取り唖然としていると、丸山は下を向いたまま帰ってしまった。

 

正気になった俺も急いで店を後にして帰路に着いた。

 

帰り道、丸山のラインを追加して「よろしく」と一言だけ送った。

 

▼▼▼

 

 

 

水無月君の手を引いて向かった場所は羽沢珈琲店。

私の行きつけの喫茶店だ。

 

店に入ったら店の奥から可愛らしい女の子が出迎えてくれた。

彼女の名前は羽沢つぐみちゃん。

実家がこの喫茶店であり、つぐみちゃんはよくお手伝いをしている。

 

あれ?水無月君がつぐみちゃんの事を見つめてる…

何故か私は悔しくなり、急いで水無月君を席に座らせる。

 

私はいつも飲んでいるカフェラテを頼み課題に取り掛かった。

水無月君といる時間はとても楽しい。素っ気ない態度が私にとってとても居心地が良かった。

鼻歌を歌いながら課題を進める。

課題は案外早く進んで1時間程度で終わりそうだった。

しかし、私の中で変な気持ちが芽生えてきた。

まだ帰りたくない。

まだ一緒に居たい。

私はわざと課題をゆっくり進めた。

水無月君には申し訳ないけど私にはこの方法しかなかった。

 

▽▽▽

 

「終わった…!終わったよ水無月君!」

 

1時間程度で終わる課題を2時間かけて終わらせた。

水無月君はとても眠そうだ。

しかし、まだ帰りたくなかった。

まだ一緒に居たかった。

その思いも届かず水無月君は帰ろうとしている。

 

そのとき、私は咄嗟に体が動いて水無月君の服を掴んでいた。

顔は目も当てられないくらい真っ赤になっている事は自分でも分かった。

 

「こ、これ!私の連絡先!」

 

私の連絡先が書いてあるメモ用紙を水無月君に押し当てる。

 

「ま、またこうやって2人で会いたいな!」

 

また会いたい。

また話したい。

 

この気持ちだけでこんなセリフが口から出てきてしまった。

言った後に恥ずかしくなって私は逃げる様に店から出てしまった。

 

帰り道に水無月君からLINEが来た時は嬉しくて、嬉しくて、少し涙が出てしまった。

「よろしく」

送られてきた言葉はこれだけだったが十分だった。

私はなんて返そうか考えながら再び歩き始めた。

 

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