猫な彼女と傭兵と   作:ノア(マウントベアーの熊の方)

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大変遅くなりました、第4話です。
本当は8000文字近くにしようと思ったのですが、書いていてこう締めよう!と思って締めてから文字数を確認すると6000台でした。()

では今回もどうぞごゆっくり、見ていってください!


第4話

「いてて…クソッタレ、何がどうなった…?」

 

そう言いながら倒れている体を起こして周りを見渡した。

どうやら、古ぼけた廃墟のようなところにいるらしく、辺りから埃っぽい匂いと、隙間から吹き込んでくる風を感じ取ることが出来た。

まだそれだけなら少しすれば落ち着き、状況を整理できていただろう。

しかし、今はそれどころではない。

どれほど周りを見渡しても、ミーシャの姿が見当たらないのだ。

俺は急いで少し痛む身体にムチを打って立ち上がり、廃墟の一室から出て他の部屋へと探しに行く事にした。

 

「ミーシャ!どこだ、ミーシャ!」

 

そう叫びながら探索していると、ある一室から物音がしたことに気づいた。

その事に気づいてすぐにその部屋に飛び込むようにドアを開けると、そこにはミーシャとクルミが二人揃って倒れていた。

見つけれたことに安心したのもつかの間、倒れたまま動かない2人が心配になり、慌てて駆け寄る。

幸いなことに呼吸も正常だし、しっかりと脈もあるので気絶しているだけのようだ。

 

とりあえず2人が起きるまで近くで警戒しつつその部屋の中を色々と物色することにした。

部屋の中を探していると、朽ちかけた木製のデスクの中から、一丁のM1911と、『.45ACP』と書かれた小さな箱が出てきた。

箱を開けてみると、中にはざっと数えて50発程度の.45ACP弾が入っており、どうやらダミーカートなどでもなく、本物のようだった。

一方M1911の方はと言うと、マガジンに7発の弾薬が入っており、こちらも本物のようだった。

…一体なぜこんな廃屋に実銃と弾薬があるのだろう。

そんなことを考え出した時、後ろからふわぁぁ…と抜けた声がすることに気づき、後ろを振り向く。

すると、先程まで気絶していた2人が目を擦りながら起き上がっているところだった。

 

「おはよう2人とも、何か変わったことは無いかい?」

 

「変わったこと…この今いる空間ですかね…」

 

「そうっすね、ここどこっすか……?」

 

そう会話を始めようとした時、唐突に片耳からザーという雑音が聞こえ始め、反射的にその耳を触ってみると、小型の無線機のようなものがついていることに気づいた。

しばらくその雑音に耐えていると、唐突に覚えのある声が聞こえ始めた。

 

『あーあー、マイクテストマイクテスト』

 

そうハッキリとキョウヤの声が聞こえ、俺達が気絶する前に言っていた事を思い出す。

記憶が正しければ…『殺し合いをしてもらう』、そう言っていたはずだ。

咄嗟に身構え、周囲の警戒を始める。

クルミもその事を思い出したようで、近くに落ちていたいい感じの木の棒を持ち、警戒していた。

しばらく警戒していると、唐突にまた声が聞こえ出した。

 

『えー、殺し合いをしてもらうというのはブラックジョークなので警戒を解除してください、特に新入りの皆さん』

 

そう無線から聞こえてきたが、どこまでが本当なのかが分からず、そのまま警戒を続ける。

すると唐突にポケットが震え、何かと思いポケットに手を突っ込むと、そこにはスマホに似た端末が入っていた。

電源ボタンらしきボタンを押してみると、端末が起動し、よくスマホなどで見るロック解除画面が現れ、そのままロックを解除する。

するとメイン画面が開き、その中に赤く①と書かれたアイコンがついたアプリがあったので開いていみる。

開いていみてみた限り、どうやらSNSアプリのようだ。

そこの1番上にある項目を押してみると、『このグループに入りますか?』と出てきたので、はいのボタンを押す。

すると見覚えのある名前の人や他の部隊の人など、見覚えのある先輩方が楽しそうに『今回のジョークブラックすぎねぇ?www』などと言って楽しそうに会話を繰り広げていた。

それを見てしばらく固まっていると、また無線が入り、

 

『チームのリーダーには端末を支給していますので確認してください、では今回のイベントルールを発表しまーす!』

 

と楽しそうなキョウヤの声が聞こえてきた。

それを聞きさらに固まっていると、そのまま話が進み始めた。

 

『今回のイベントはモンスターハント!実際に皆さんが"リアルで"そのうち戦うことになるであろうモンスターたちを倒してポイントを競います!相手はもちろん私たちイベント運営チームのキョウヤとライム、そしてミヤ社長です!俺たちを倒すために皆さん協力してモンスターハントをしてください!』

 

「…は?」

 

今"リアルで"と言った気がするが気のせいだろうか。

どうみたって今この空間がどう考えてもリアルだし、第一ミーシャが戦えるわけがない。

一体どうしろと言うのだろう。

変に戦って無残に殺されるのだけは誰であろうと勘弁だ。

そう思っていると、

 

『では何が何だかわからない新入りの皆さんにお教えします!まずは手頃な花瓶を固いものに落としてみてください!』

 

そう言われ、辺りを見回してみると、確かに花瓶があった。

それを言われるがままに硬そうな地面へと落としてみる。

すると、当たり前のように砕けた後に、無数のポリゴン片へとなって消えていった。

その事に3人揃って困惑していると、また無線が入る。

 

『はい、落としてもらってわかる通り、この世界は仮想現実、VRの世界となっています!つまり死んでもその初期リスポーン地点に戻されるだけとなります!…あ、ちなみに参加者は3人1組30チーム+俺達、装備は後ほど空中投下されます、それまでリスポーン地点に隠された武器を使ってサバイバルしてください!では120ポイント目指して…ゲームスタートォ!』

 

そこまで言うと、無線は切られ、あとは静かに警戒を続けていた俺達だけが残った。

要点をまとめると、俺達参加者90人で、3人のチーム相手より先に120ポイント稼げばいいということだ。

ならすぐにでも終わりそうだ。

流石に90人相手に3人が勝てるわけがないだろう。

問題はミーシャだ。

ミーシャは戦闘経験もなければ、銃も撃ったことがない。

それにこの90人の中にはミーシャのように一般の人もいるはずだ。

それを護りながら戦うとなると、思っていたより時間がかかるのかもしれない。

それにキョウヤは『サバイバル』と言った。

つまりは食料や水を確保しなければならないということだ。

つまり火も起こさなければいけない。

一体どこから始めればいいんだ…?

とりあえずみんなで話し合うとするか、そう思い、ひとまず警戒を解いて銃を下ろす。

するとそれを見たクルミも警戒を解き、いい感じの木の棒を下ろした。

 

「ふぅ…とりあえず本当に殺し合う事にならなくて良かったっす」

 

「だな…にしてもクルミ、伝説の剣を抜くとはな…」

 

「ここから、勇者クルミさんの冒険が始まるのであった…」

 

「いや始まりませんよ!?なにミーシャちゃんも乗ってるんすか!」

 

「武器はちゃんと装備しないと、意味がありませんよ…」

 

「クルミは10のダメージを受けた」

 

「なんでっすか!もしかしてこれ刃の部分持ってる扱いなんすか!?そんなことよりこの後どうするか話しましょうよ!」

 

「…そうだな、すまない」

 

確かに、今はふざけるよりもこの後のことを考えなければならない。

まずは他に武器がないかを探すのが先決なのだろうか…いや、その前に外を確認するのが先なのだろうか?

 

「とりあえず…クルミとミーシャはこの廃屋の中の探索を、俺は少し外の様子を見てくる」

 

「了解です!」

 

「了解っす!」

 

そう打ち合わせのようなことをしてから、俺は廃屋の外へと出てみることにした。

ドアノブは壊れており、押すだけでドアが開き、簡単に外に出ることができた。

外から見るに平屋の一戸建てで、周囲には森が広がり、少し行けば近くに川があった。

川の水を少しすくって飲んでみたが、体に変化はないし飲めるだろう。

まあ煮沸するに越したことはない…のだが、まずは火をどうにかしなければ。

そう思い、木の枝を拾い集め、廃屋の前に落ち葉と一緒に集めて固めて置いておく事にした。

あとは摩擦熱で火を起こすことができれば完璧だ。

…いや、食料がないから完璧ではないか。

とりあえずは廃屋探索組と合流して戦果報告だ。

 

そう思い、廃屋のドアを開けて入ろうとすると、遠くからヘリの音が聞こえ始めた。

しばらく待っていると、俺達のいる廃屋の真上を通り掛かった時に、巨大な箱が投下され、パラシュートを使ってゆっくりと降りてきた。

降りてきた物資を確認しようとヒモを解き、中を見ると、中にはSCARとP90、MP5に各種弾薬、数日分のレーションと水、サバイバルナイフが三本あった。

 

とりあえず廃屋探索組を呼び、外へと来てもらい、3人で武器と食料、水にナイフを配り、室内へと戻る。

そこで一休みしつつ、室内探索の戦果を聞くことにした。

 

「えーっとっすね、釣竿が三本に西洋刀、あとマッチョ・マンのCDとCDプレイヤーっすね…あ、あと鍋があったっす」

 

「唐突なマッチョマンは笑うしかねぇや…俺はこの周辺を探索してみたがここが森の中ってのと近くに川があることくらいしかわからなかった、すまない」

 

「川があるってわかっただけでも大収穫ですよご主人!」

 

「そうっすよ!川があるなら釣りもできますし、飲み水も確保できるっすよ!」

 

「だといいんだが…」

 

そんな会話をした後に、軽く銃のチェックをすることにした。

おそらく大丈夫だが、こいつがしっかり動かないと狩りなんてできない。

なら点検しておく方がいいと思ったのだ。

もちろんミーシャ用に支給されたのであろうMP5も可能な限り手入れして、一応使えると確認しておいた。

あとはちまちまモンスターを狩ったりして無事にこのゲームを終わらせるだけだ。

問題はどんなモンスターが出るか…だが、リアルでもたまにいるクレイジー・ボアと呼ばれる巨大イノシシや、せいぜい出たとしてもプラチナムベアと呼ばれる硬い金属質な爪や牙をもつ銀色の巨大熊だろう。

そうでないと非戦闘員1人を含む3人で勝てる気がしない。

…にしても、これが本当に殺し合いをさせてくるのでなくて本当によかったと思う。

もし、たとえ仮想空間であっても人を殺めなければならない事になったら、昔の俺に逆戻りしてしまう気がするのだ。

ミーシャと暮らしている今、昔のような俺をミーシャに見せたくない。

そりゃあミーシャが家に来た時はその時の俺を見ていただろうが、それも既に約6ヶ月前のことだ、忘れてくれてると願いたい。

とまあ、そんな事を考えながら、次に何をすべきか考える方に考えを切り替える。

食料に水は揃った…という事は…

 

「さて…次は火だな…どうしたもんか」

 

「火、いるっすかね?食料も水もありますし」

 

「それもそうか、なら情報収集でもするか…」

 

そう言いながら、支給された端末を適当にいじり始める。

やはり討伐ポイントの集計結果や、出てきたモンスターなどの情報が見れるようになっていた。

やはり先程言ったような比較的低級なモンスターが多いらしいが、キマイラと言った上級モンスターの目撃情報まであった。

そんなものまでいるとなると、確実に射撃経験がない人では狩りは難しいだろう。

あった所で上位モンスターなぞ3人で狩るものではない。

そう思っていたのだが…

 

「…嘘だろ?社長チームだけで上級モンスターを狩ってやがる」

 

「マジっすか!?一体どうやって!?」

 

「わからん、多分だが支給された装備が強かったのかもしれん…普段何装備してやがんだ」

 

「え?なんなんですかご主人?上級モンスターって?」

 

「この世界には下級、中級、上級モンスターってのがいてな、ほら、たまにテレビでグールの大量出現だのなんだの言ってるだろう?あれのもっとやべーやつだ」

 

「ひぇぇ…怖いです…」

 

そう言って、ミーシャは両手を頭に置き、しっぽを足の間の方に引っ込めてしまった。

実にかわい…いやなんでもない。

そんな怖がるミーシャの姿を見て、俺は気がつけばミーシャを抱きしめ、頭を撫でていた。

はっと気がつき、やめて当たりを見回した頃には、ミーシャは顔を真っ赤にし、クルミまで耳を真っ赤に染めていた。

 

「…悪い、つい可愛すぎて」

 

「…もう、そうやってすぐに可愛いなんて言わないでください、嬉しいですけど」

 

「ま、まあ確かに今のは可愛かったし仕方ないと思うっす…でもできるだけ人目につかないところでお願いしたいっす…」

 

「…わかった」

 

そうクルミに軽く怒られ、俺は確かに人のいる所ではしない方がいいと思い、少し反省する。

…少し俺はデリカシーが足りないのかもしれない。

そんな事を思っていると、近くで獣の遠吠えが聞こえ、咄嗟に銃を手に取る。

クルミも同じ考えだったようで、こちらにアイコンタクトをしてきて、1つ小さく頷いた。

…この仮想空間に来てからの初戦闘になるだろう。

そして、遠吠えの声からして恐らくブラッディウルフだ。

ヤツらは群れて行動して攻撃してくるが、落ち着いて対処すれば楽に狩れると言う理由で低級ランクになる。

 

「…ミーシャ、何があってもここを動くなよ」

 

「わ、わかりました」

 

「タクさん、行くっすよ、ヤツらならこんな対策のない廃屋の窓なら突き破って来るっす」

 

「ああ、全力で行くぞ」

 

そう言い、俺とクルミは銃をしっかりと構え、ドアを開けて周囲を見回した。

すると、やはり匂いでバレていたのかなんなのか、既に囲まれていた。

ざっと見、15かそのへんだろう。

 

「背中は預けたぞ、クルミ」

 

「了解っす!派手に行くっすよ!」

 

そうクルミは言うと、廃屋を背にした状態から向かって左側の敵に向かって突撃を始めた。

そしてその小柄な身体を活かしたすばやさで、敵の攻撃をすんでのところで避けて、近距離で返り血を浴びながら射撃を繰り返していた。

それを見届け、大丈夫と悟ってから、俺はSCAR-Lをしっかりと構え、つけられているドットサイトでしっかりと照準をつけ、トリガーを引き、半分ほどそのまま連射しているかのような速度で次々にブラッディウルフの急所を狙っていく。

すると各個での攻撃は不利だと悟ったのか、1つの塊になり、一斉に攻撃をしてきた。

 

「クソッタレが!数を減らせても回避は確定じゃねぇかよ!」

 

「あははっ!そうっすね!でもその方が"生きてる"って感じがして楽しいっすよ!」

 

「…ははっ、違ぇねぇ!」

 

そう言うと、クルミはハッとしたような顔をした後、嬉しそうに満面の笑みを浮かべて一度こちらへと集まってきた。

そしてこちらへと背中を向けて、

 

「背中は預けましたよ、タクさん!」

 

と言ってきた。

 

「ああ、任せろ!」

 

そう言うと、後ろへと振り向き、笑顔を見せてから、まだ地味に残っているブラッディウルフの群れへと突っ込んでいった。

一気にクルミへと飛びかかっていくヤツらを、クルミは回避しつつ射撃していた。

しかし、そんな簡単に回避しきれる訳もなく、体制が崩れたクルミに向かい、1匹のブラッディウルフが飛びかかった時―――

 

「そこだっ!」

 

俺はそのブラッディウルフへ向かい射撃をして、少し軌道をずらし、クルミにぶつからないようにする。

それを何度か繰り返し、もう少しで倒しきれるという時だった。

 

「きゃぁぁぁ!」

 

という声が廃屋から聞こえたと思い、そちらの方向を見てみると、ドアの開いた廃屋が目に飛び込んできた。

そう、コイツらはドア程度なら簡単に開く知能があるのだ。

だからこそ廃屋から付かず離れずの距離で戦闘をしていたのだが、いつの間にか別働隊が侵入してしまっていたらしい。

一心不乱に廃屋へと駆け込み、ミーシャを探す。

するとそこには―――

 

 

―――ミーシャに向かって飛びかかる、ブラッディウルフの姿があった。




いかがでしたでしょうか?
果たしてミーシャはどうなってしまうのか!
一応構想は練れてるのでまたしばらくしてメイン作品が一定に行くか書けなくなってきたら書き上げたいと思います!(はよ書け)

ではまた次回、お会いしましょう!

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