西側諸国召喚   作:RIM-156 SM-2ER

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みなさまどうもSM-2です。
4月になりましたね。入学式が増える時期ですが、近所の桜はすでに葉桜となってしまっています。私が小学生1年生の頃は、入学式の日に満開の桜が咲いていたと記憶しておりますが、地球温暖化の影響なのかすでに入学式のころには葉桜となってしまっています。
これから20年、30年と時間がたてば、もしかしたら正月に桜が咲いているかもしれませんね。
では、本編どうぞ



EP14 ロウリアの行く道

ロウリア王国軍が作戦を決定した翌日。パタジンは作戦の説明と了承を取り付けるために、ハーク・ロウリア34世のもとにいた。

 

「――以上が、今回の作戦でございます」

 

パタジンが作戦の説明を終えるがハーク・ロウリア34世自身は作戦に少し懐疑的であった。

 

「なるほど・・・・よくわかった。しかし、その作戦で勝てるのか?」

 

するとパタジンは、苦々しい面持ちになった。

 

「わかりません。やってみないことには何も・・・・・。しかしこれしか作戦がないのが事実です。この作戦にすべてをかけなければ、ロウリア王国は敗北し、亜人どもの奴隷となることでしょう」

 

NATO諸国は奴隷制度を禁止しているし、その保護下にあるクワ・トイネ、クイラ両国も奴隷制度の廃止をはじめ、奴隷の売買の禁止や新規奴隷の獲得の禁止などを行っている。現在も保有している奴隷に関しては、公的な場で保有されていた奴隷は解放され、正当な賃金が払われて雇われている。個人所有の奴隷に関しては1年の猶予期間を設け、奴隷解放を行っていく予定であった。そのためロウリア王国の人間が奴隷になることはまずないのだが、奴隷なしの社会を見たことも聞いたこともない彼らからすれば想像がつかないのは無理ないことであった。

 

「そうか・・・・・。作戦を許可しよう・・・・」

「ははっ・・・・・」

 

作戦の了承を取り付けたパタジンは、その場でお辞儀をしようとすると部屋から出ていこうとした。

すると後ろから、彼も聞いたことのない弱弱しいハーク・ロウリア34世の声が聞こえてきた。

 

「・・・・パタジンよ・・・・頼むぞ・・・・・」

「・・・・ッ!ハハァ!!このパタジン、陛下のご期待に必ずやお答えします!!!」

 

パタジンは再び深くお辞儀をすると、王の間から退出する。

パタジンは部屋を出てくる前にハーク・ロウリア34世が見せた弱弱しい姿を思い出し、最善を尽くそうと決意した。

 

「パタジンよ····」

「!?」

 

パタジンは突然声をかけられ、声の主の方を向く。

そしてその声の主が誰なのか、それを認識するとパタジンは深々とお辞儀をする。

 

「王太子殿下に第2王子殿下であらせられましたか。ご機嫌麗しゅう」

 

声の主はハーク·ロウリア34世の実の子である、ロウリア王国第1王子兼王太子のジプトス・ロウリアと第2王子のアルレンス・ロウリアであった。

二人とも顔がよく、ジプトスは雄々しさを感じさせる顔と体つきをしている。対してアルレンスは正反対の華奢な美男子である。

顔だけでなく性格も正反対で、ジプトスは絵にかいたような脳筋であり、兵士としての才能はすさまじいが将軍や為政者としての才能はないに等しかった。国内の有力貴族の娘の子供で貴族たちからの支持が厚かった。豪快な性格で、酒癖が悪く、酒を飲んだ後些末なことで奴隷を殺すこともあった。

アルレンスは病弱だがいわゆる頭脳派で、将軍や為政者としての才能が備わっていた。母親は裕福な商人の娘でハーク·ロウリア34世が王子であったころに市中であったのだ。幼い頃は市中で育ったからなのか、優しい性格で酒も嗜む程度。彼は奴隷や亜人排斥にも懐疑的な立場であった。

優しいアルレンスは一般市民からの支持が厚く、ハーク·ロウリア34世自身も政略結婚で結婚した貴族の娘の子であるジプトスより、心の底から愛した女性の子であるアルレンスを可愛がっていた。

しかしアルレンスは彼の主張から、奴隷を大量保有する貴族や裕福な平民らからは支持されていなかった。貴族からの圧力もあり、彼らにとって操りやすい性格のジプトスが王太子となった。

 

「父上に作戦の奏上か?」

「はっ!そのとおりでございます」

 

ジプトスの問いにパタジンは答える。

その声はどこかぶっきらぼうにも思える。

パタジンは下級貴族の出身で、指揮官として長らく現場で戦ったことのある叩き上げの軍人であった。そんな経験と類まれなる忠誠心を持つ彼は、無能であるジプトスよりもアルレンスを支持していたのだ。

 

「パタジンよ。どのような作戦なのだ?」

「はい·····」

 

パタジンはジプトスに先程ハーク·ロウリア34世に説明したことを繰り返す。

すべて話し終えるとジプトスは呆れたような顔になる。

 

「そのような作戦を立てるとは、そなたも墜ちたものだな」

「はい?」

 

ジプトスの言っている意味が理解できず、パタジンは思わず聞き返す。そんなパタジンにジプトスは、更に呆れたような態度になる。

 

「ギムでの敗戦は私も聞いている。だがあれは敵が全軍を集中的に運用し、我が先遣隊が局地的な数的不利となり負けただけであろう?海での敗戦も海獣や神竜レベルの魔獣による横槍が原因と聞いている」

 

NATO軍の航空機や艦艇は、その異次元の性能から魔獣のたぐいとして、ロウリア軍に認識されていた。

 

「魔獣共がいるかぎり海からの侵攻は危険であろうが、陸は違う。未だ30万を超える将兵が健在であるし、海軍の将兵も3万が残っている。これらのうち本土防衛に必要な部隊を除く、すべての部隊をまとめてぶつければ、小賢しい策など不要であろう」

 

自信満々に言ってのけるジプトスに、パタジンは頭が痛くなった。

戦争というのは、事前に十二分に情報を収集し、そこから想定しうる最悪を考えて動くものだ。クワ・トイネに関していえば、最悪のパターンが起ころうとも勝てるはずだった。しかし、NATOというイレギュラーな存在がすべてを変えたのだ。なんの情報も得られていない今、想定しうる最悪の場合はロウリアの敗戦であった。であれば少しでも勝てるように努力しなければならない。ジプトスにはそれがわかっていないのだ。

するとジプトスはグイッとパタジンに顔を近づける。

 

「どうだ?パタジン。私にクワ・トイネ侵攻を任せてみないか?私ならば小賢しい策を弄せずとも、ロウリアらしい正々堂々とした戦いで、クワ・トイネ、クイラのみならず、参戦してきたNATOとやらにも攻め入ってやるぞ?」

「いえ。殿下を危険にさらすわけにはいきませんゆえ、お心だけでもありがたくいただきます」

「うむ、そうか・・・・・・。では期待しておるぞ」

 

それだけ言うとジプトスはその場を後にする。パタジンがその背中を見送っていると、今まで黙っていたアルレンスが口を開く。

 

「いつも兄上がすまないなパタジン・・・・」

「なぜアルレンス殿下が謝る必要があるのですか?」

 

そういってパタジンは笑った。するとアルレンスはその問いには答えず、暗い顔をする。

 

「ところでパタジン。お前はこの戦、どう思う?」

「どう、とおっしゃられますと?」

「この戦の意義だ・・・・」

 

アルレンスの言葉にパタジンは返答に困った。アルレンスの普段の主張からこの戦争の目標である亜人排斥に疑問があるのだろう。

しかし、亜人排斥運動は王国の総意であった。もうすでに引くことは出来ないところまで来ている。下手なことを言えば、パタジンとて命が危ない。

 

「・・・・殿下のおっしゃることはわかります。しかし、亜人排斥は王国の悲願でもあります。殿下も下手なことはおっしゃらないでください。殿下の御命も危うくなります」

「確かにそうだ。しかし、命を惜しんでいればいつかとんでもないことになるであろう。私は愛する国民が苦しむ姿を見たくはないのだ」

 

「王族というのは、国民のために命を捧げなければならない」というのは、彼の主張の一つであった。しかし、その主張のみならず彼の思想は、今のロウリア王国の風潮に真っ向から反するものであった。

王家に絶対の忠誠を誓い、国のために命をささげると誓ったパタジンは、敬愛するアルレンスの言葉にどう返すべきかわからなかった。

そんなパタジンの苦悩を察したのか、アルレンスはパタジンに微笑みかける。

 

「すまない。お前を困らせてしまったな。どちらにせよ。国を、民を守ってくれ。信じている」

「ははっ!必ずや・・・・」

 

パタジンは、深くお辞儀をする。前に、クワ・トイネ総督にするという話があったが、その話に関係なく、この国を守るという気持ちをより一層強くさせた。

アルレンスは「頼んだぞ」というと去っていった。パタジンも、アルレンスの姿が見えなくなると、軍司令部に向かった。

この2人のやり取りは、王城に潜入していたCIAのエージェントにも聞かれていた。このエージェントの報告が、ロウリアの未来を変えることになる。

 

――――――――――――――――――――

 

2日後。NATO首脳電話会談が開かれた。議題は「ロウリアの戦後処理について」であった。戦争は、いまだに終結していないが、NATOとロウリアの技術格差的に戦争の勝敗は決したも同然であり、すでに各国の政治家の関心はロウリアの戦後についてであった。

 

「やはり、戦後日本を参考とした占領プランを立てるべきだろう」

 

そう言ったのはイギリスのオードリー首相であった。それに対して反論するのは、ラシュレー仏大統領とヴィンチェンティーノ伊首相である。

 

「ですが、日本を参考にするにしても国をまとめる象徴が必要です。今のロウリアに象徴としてふさわしい人間はいるのですか?」

「それに、日本とロウリアでは前提条件が違いすぎる。日本は戦前から選挙制度があったが、ロウリアには民主主義制度はおろか選挙のせの字もない」

 

するとアリスは、一つの書類を取り出して画面の前に持ってきた。

 

「選挙制度については仕方ないですが、象徴となる人物に関してはCIAの方で一人だけ相応しい人物をピックアップしてあります。詳細に関しては、先ほどメールで送った通りです」

 

各国の首脳たちは、早速パソコンに届いたメールを確認してみる。そこにはCIAのエージェントが盗撮した顔写真とともに、その人物の詳細な経歴が記されていた。

 

「アルレンス・ロウリア・・・・?」

「ええ。ロウリア王国の第2王子で、思想・能力などどれをとっても戦後ロウリアを引っ張っていくことができる人物だと思うわ」

 

アリスはそう断言した。

アルレンスに関する調査報告書を読み進めるにつれて、NATOの各国首脳もアルレンスを戦後ロウリアの国家元首に据えることに賛同し始めた。

 

「たしかに、象徴には圧倒的な国民からの支持が必要だ。彼なら出自も、民衆からの支持もその器に足りえる」

「為政者としての能力があるならば、民主主義国家の考えが根付くまでは、彼に政治をやってもらえばいい」

 

NATO首脳陣は、アルレンスに関する報告書を見て、口々にそういった。しかし、ラシュレー仏大統領はあくまで冷静であった。

 

「もし、アルレンスが私たちの提案を蹴った場合も、考えなければなりません」

「その場合は、面倒だろうが各地の都市に部隊を駐留させて、ロウリアを全面占領しつつ。我々がロウリアをしばらくの間管理するしかないだろう」

 

オードリー首相は、非常にいやそうな顔をしながらそう言った。ロウリアは人口が多く、国土もそこそこある。その全土に部隊を派遣するとなれば、その予算と苦労は計り知れないものになる。

全面占領は避けたい。アルレンスにロウリアの新国王となってもらい、NATOの統治委員会の意向に従って、政治をしてもらうのがベストなのである。

 

「あまりやりたくはないですが、ほったらかしにしておけばクワ・トイネ、クイラの両国に被害が及ぶでしょう。やるしかありません」

 

アリスの厳しい口調に、NATOの首脳陣は頷いた。こうして、ロウリアのあずかり知らぬところで、ロウリアの未来は決定されたのであった。




いかがでしたでしょうか。
ジプトス君はバカです(断言。兵士としての素質はすごいんだけどね、為政者としての素質が皆無なんですよ。
アルレンス君に関してですが、ロウリア戦終わった後も出そうかどうしようか悩んでおります。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回。さようなら

次回 EP15 作戦開始

お楽しみに
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