いやぁ、こちらの筆は乗りに乗っておりまして2日連続で投稿させていただきます。
では、本編どうぞ!
アメリカ海軍、日本国防海軍、イギリス海軍などの揚陸艦と民間から臨時で徴用された貨物船によって武器弾薬、食料、衣類、医薬品、燃料、整備部品などの物資が大量にロデ二ウス大陸に運ばれてきていた。
未だにクワ・トイネに潜伏しているロウリア諜報員らは、それらの物資が何なのかわからずとも大規模侵攻作戦の前兆であることは察していた。無論、これらの情報はロウリア本国にも送られていたが、ロウリア側は具体的な対策をとれずにいた。
小規模なゲリラ部隊を送り、それらの物資を破壊しようとしても、クワ・トイネ―ロウリア国境を越境する前に、
航空支援としてワイバーンを付けても、
それでもロウリア軍が苦心して貼り付けることに成功した斥候による命がけの偵察活動により、ロウリア軍はNATO軍の大規模侵攻作戦発動を知ることができた*1。
しかし、それでもロウリア軍は具体的な対策を取ろうとはしなかった。なぜなら、王都へ行こうというのであれば、街道の途中にあるビーズルを通らなければならず、そこにはロウリア軍主力が集結していたからだ。
ゲリラ作戦の失敗から、ロウリア軍はNATO軍に小規模な部隊を出しても無駄死にするだけだということを理解しており、それならばと決戦に備えて戦力を温存することにしたのである。
そのためNATO軍は戦闘を経験することなく、ロウリア国内に浸透していった。途中、ロウリア後方軍集団がいくつかの町や村落などを制圧したものの、ロウリア軍主力はビーズルに集結していることもあり、これらの町や村落には市民による自警団程度しかおらず、戦闘することなく降伏を選んだ。
城塞都市にしても同じであった。堅牢な城壁があっても、守る兵士がいなくては意味がないのだ。大半が降伏を選んだのは必然であった。自警団を組織して抗戦を選んだ都市も、NATO軍側が自走砲による砲撃や空爆を行い、城壁や通信設備をあっさりと破壊*2したことで降伏を選んだ。
こうしてNATO軍は戦闘らしい戦闘をすることなくロウリア国内を占領していく。
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「そろそろか・・・・・」
NATO軍ビーズル軍集団司令である佐野三輝男、国防陸軍少将は居並ぶ各国指揮官の前でそう言った。彼の指揮下には、4個機甲師団、1個機甲旅団、2個空挺旅団合わせて約75,000名の兵員とそれに付随する戦車、自走砲、各種装甲車がいる。2個空挺旅団5000名はこの場にはいないものの、ビーズル攻略開始に合わせて、ビーズル後方に展開してロウリア軍の退路を遮断する予定であった。
彼らの目標であるビーズル周辺にいる、クワ・トイネ侵攻軍、クイラ侵攻軍、海軍の残存兵力を合わせた合計26万の兵力を有するロウリア軍主力に対して兵数で言えば圧倒的不利であった。しかし、ロウリア軍はワイバーンという航空兵力の援護こそあるものの、基本的には重装歩兵や騎兵などを主力とし、使用装備も剣や槍よくて投石器であるのに対し、NATO軍側は現代ジェット戦闘機やヘリコプターなどの強力な航空兵力の援護に加えて、地上部隊も戦車や装甲車を主体とする近代的な機甲部隊であった。兵力で言えば圧倒的にNATO軍が有利なのである。*3
「森にこもった敵軍は、空軍が蒸し焼きにしてくれるそうだ」
イスラエル陸軍第36機甲師団長がそう言った。ロウリア軍がとる作戦は、日米英の諜報活動によって筒抜けなのだ。
そのため、ゲリラ戦を嫌がるNATO軍は森に展開するロウリア軍を、森ごとナパーム弾やサーモバリック爆弾で消し飛ばしてしまえばいいと考えたのだ。
特に米軍にはベトナムという戦訓があるのだ。それを生かさないわけがなかった。
「補給は十分。あとは最善を尽くすだけだ」
アメリカ陸軍第1騎兵師団長はそういった。いくら強力な兵器や兵士が整っていても、食料や武器・弾薬などを輸送する兵站網がなければ戦えない。特に現代軍隊は現地調達―いわゆる略奪が禁止されており、尚且つ銃砲弾やミサイル、兵器の部品などは現地調達しようにもできないから、より兵站というのものが重要なのだ。
現代戦はどれだけの兵力を集めたかではなく、どれだけの情報を集め、どれだけの物資を準備し、それを最前線に届ける兵站網をいかに構築するかが重要なのだ。そして、NATO軍はそれをきちんと守っていた。
ロウリア軍は兵力だけでなく、ほぼすべての面においてNATO軍に及ぶことはなかったのである。
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翌日。ビーズルから放たれたロウリア軍斥候は、東の方で巻き起こる土煙を発見した。NATO軍の大規模侵攻作戦開始を探知した時点から、森には多数のロウリア軍が潜んでおり、準備は万端であった。
魔法通信によって、すぐさま警報が発せられ、ビーズルとその周囲に潜むロウリア軍は臨戦態勢に移る。
「かならずや、敵を打ち負かして見せる」そう意気込むロウリア軍をあざ笑う可能ように、彼らの頭上に死神が舞い降りた。
「スカイキーパー1、ディスイズ
空を飛ぶのはアメリカ空軍第7空軍第51戦闘航空団に所属するA-10攻撃機4機であった。高い生存性と劣化ウラン弾を使うことによって高い対地攻撃能力を有する、アメリカしか運用していない世界最強の対地攻撃機であった。本来ならば、2030年代には退役する予定であったが、高い対地攻撃能力から2040年代になっても運用される予定であった。
一応、制空戦闘能力は皆無に等しいため、彼らの上空2000mを護衛のF-37A4機が飛んでいた。加えて早期警戒機E-2のバックアップ付きである。
万全の護衛体制にあるA-10は、主翼と胴体下にある11のハードポイントにMk.77爆弾やBLU-108クラスター爆弾をめいっぱい抱え込んでいた。
『ワックアモー。ディスイズスカイキーパー1。
「ラジャー。
A-10は4機編隊を崩し、2個の2機編隊に分かれる。そのうちの1個編隊―ワックアモー01と02は、ロウリア軍がいるであろう森に針路をとって、高度を下げる。
早期警戒機から送られてきた指示通りに森の上空を飛んで、途中に
「ワックアモー01。
1番機のパイロットのコールとともに、ぱらぱらと等間隔でMk.77爆弾が落とされる。ヒュウウという甲高い音をたてながら、それは森に落ちて行った。
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「何があった!?」
部下からの報告を受けて、城壁の上までやってきたビーズル防衛隊指揮官―ブラフト・ファン・ディルトは、目の前で燃えるロウリア軍主力10万が潜んでいるはずの森と、その上空を乱舞し時折地上に光弾を放つ鉄の羽虫を見て、そういった。
傍にいた、この区域の城壁の防衛を担当する指揮官が説明をする。
「今から20分ほど前、鉄竜2騎が現れ、森の至る所で火災が発生。続いて森の広範囲で小規模な爆発が起こりました」
ディルトは空を飛ぶ羽虫に向かって指をさす。
「あの羽虫は・・・・?」
「ほんの10分ほど前からです。時折、地上に向かって、光弾や槍を放っています」
すると、先に来ていて状況確認をしていたディルトの副官が青い顔をして報告を始める。
「・・・・あの羽虫が飛び始めてから、森に潜伏している各部隊との通信が次々と途絶えております」
副官の言葉の意味を察したディルトは、今なお地上に向かって光弾を放つ
「つまり、あの光弾で友軍部隊を攻撃しているということか?森に潜んだ兵を見つけ出して、攻撃していると・・・・?」
「非常に信じられないことですが、それしか考えられません・・・・」
空から森に隠れた歩兵を探すことは困難だ。敵歩兵が森に潜んでいる場合、ワイバーンは森自体を焼き払う戦法を取るが、ピンポイントで敵を攻撃することなどできない。
しかし、それを敵はやってのけている。いったい、どんな魔法が使われているのかわからない。
「やつらは・・・・古の魔法帝国なのか?」
震える声でディルトはぽつりとつぶやいた。
ちょうどその時だった。地平線の向こうに若干の土煙が見える。ディルトの副官は、それを指さした。
「なんだ・・・・あれは・・・・」
その場にいるロウリア兵の視線は一気に土煙に集まった。その土煙はどんどんとビーズルに近づいてくる。その土煙の先にあるのは、クワ・トイネだ。東方征伐軍はすでに壊滅しているから、それが味方である可能性は少ない。
つまり、土煙の正体は―敵。ディルトはその結論に至ると同時に声を張り上げた。
「て、敵襲!急いで兵を集めろ!森に潜んでいる部隊には可能な限り耐えさせて、敵が予定地点に到達させたら行動させろ!」
「は、はい!」
その場にいたロウリア兵が、はじかれたように動き出す。城壁の上に設置された緊急を知らせる鐘が至る所で鳴らされ、兵士たちが動き始める。
森の方で突如起きた火事に興味津々で城壁の方に集まっていた野次馬らは、敵襲を悟って兵士たちに道を譲る。すでにビーズルから出る門はすべてふさがれているから、彼らには自分の家で城壁が突破されないことを祈ることくらいしかできないのだ。
ついにロウリア軍とNATO軍の全面衝突が始まろうとしていた。
いかがでしたでしょうか。
実はビーズル会戦、全部書いたんですけどタイトル詐欺になってしまいそうです・・・・。戦闘は王都攻略戦に全部回しますから許してください。
次回はかなり出来がいいので楽しみに待っていてください。
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ではまた次回!さようなら!
次回 EP17 ビーズル会戦(中編)
お楽しみに