最近は西側諸国の筆が進むなぁ・・・・。もうEP21までかけていたりします。
では本編どうぞ
ドン
ディルトは木の机に思いっきり拳をたたきつける。
「くそっ!敵はいったい何なのだ!」
彼の問いに答えるものはおらず、周りにいる将軍たちの顔色は悪い。原因は昼間の空襲と、このビーズルから3kmほど離れた地点に展開している敵地上部隊が原因だった。
本来、計画してあった作戦は使えない。敵の無防備な側面を叩くはずであった友軍部隊は、昼間の攻撃で壊滅しているからだ。残った部隊で、代替部隊を編成しようにも身をひそめるべき森は今なおゴウゴウと燃え続けているありさまである。
「パタジン将軍にこのことは?」
ディルトは横にいた通信兵にそう聞いた。
「まだ報告しておりません・・・・」
「何をしているか!今日あったことをすべて報告しろ!」
ディルトは通信兵を怒鳴りつける。ロウリア軍においては、敗北など自身の出世にとって不利益となる情報を隠す将軍が多い中、ディルトは実直な性格で、そういった自身の不利益になることも味方のためにきちんと奉公することができる数少ない将軍の一人であった。
であるからこそ、パタジンにも信用され、要であるこのビーズル防衛の将軍に任じられたのだ。
「は、はい!直ちに!」
通信兵は慌てて部屋から出て行った。
彼は通信兵の背中を見送ると、はぁとため息をつく。いまだにビーズルには10万近い味方と切り札であるパーパルディア皇国からの供与品の魔導砲が20門ほどあるが、状況はかなり悪い。
正直、昼間の鉄の羽虫や地上に展開する鉄の魔獣には、魔導砲であっても効かないような気がしていた。
「・・・・くそっ!我が国は進むべき道を誤ったのだろうか・・・・」
壁に掛けられたロウリア王国旗をみて、ディルトはぽつりとつぶやいた。
――――――――――――――――――――
結局、敵の地上部隊をどうするか、今後の作戦を決める軍議は翌朝まで続いた。ビーズルにいる将軍らは各々の意見を出し合うが、一向に方針は決まらなかった。
なにせ、森に潜んでいようとも見つけ出してくる相手だ。地上部隊にいる鉄の魔獣だって、どのような魔法で動いているのか見当すらつかない。
会議を終え、自室に戻って眠ろうとしたディルトのもとに、伝令兵が駆け込んできた。
「ディルト閣下!」
「どうした!」
眠い中、急にやってきた伝令兵にディルトは少し機嫌が悪くなった。しかし、どうにも伝令兵の様子がおかしい。
「閣下、おいでください!て、敵が!」
ディルトは東にいる敵地上部隊が、ついに城壁の攻略を開始したのかと考えた。
「なに!敵がついに攻撃を開始したか!?」
「いえ、その・・・・」
何やら歯切れの悪い伝令兵に、ディルトの不機嫌度合いは最高潮に達した。
「ええい!いったいなんだというのか!はっきりせんか!」
「て、敵が空から!」
ディルトは驚くと、すぐさま外に向かう。ガチャンと扉を乱暴に開けると、そこにはすでに多くの兵が口をポカンと開けて空を見上げている。ディルトもそれに習って、空を見上げると、そこには空一面に花が咲いていた。
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空から降ってきた花―それの正体はスペイン陸軍第6落下傘軽歩兵旅団と日本国防陸軍第3空挺旅団の計5000名からなるNATO軍空挺部隊だった。
C-17グローブマスターやC-130ハキュリーズ、C-18ジャイアント*1、C-2、C-130、エアバスA400、 C-295などの各国の輸送機によって編成された米日西英連合部隊によって運ばれてきた空挺部隊は、地上部隊がすでに展開しているビーズル東側ではなく、ビーズルの西側に降下した。王都への道である西をふさぐことで敵の退路を塞ぎ、王都に行くことを防ぐためだ。
5000名を超える兵士たちと、それらのための弾薬や対戦車火器などの重火器類のみならず、日西両国陸軍で採用されている装輪装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車、4輪駆動汎用車*2、さらには第2独立空挺旅団第2空挺装甲中隊所属の36式軽戦車や16式装輪装甲戦闘車も投下される。
地上に降り立った兵員たちは、アサルトライフルを構えて周囲を警戒する。そして、先に落とされていた車両や弾薬が入ったコンテナの封印を慣れた手つきで解いていく。車両に乗る予定だった兵士たちは、適当なところに荷物を置くと、スルスルと戦車の中に入っていってエンジンを始動させる。
ブォオンというディーゼルエンジンやガソリンエンジンの音が響き渡り、弾薬類を回収した歩兵たちは再び周囲を警戒する。
しかし、どういうわけがロウリア軍はNATO軍空挺部隊に戦闘を仕掛けることはなく、NATO軍は拍子抜けしながらも1日ほどかけて陣地構築を完了した。
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「ディルト将軍!いったい如何なるおつもりか!」
NATO軍空挺部隊が現れた日の夜。軍議は紛糾していた。スキンヘッドの勇ましい顔つきの将軍がディルトを責め立てた。ほかの将軍たちも同じような表情でディルトを睨みつける。
しかし、当のディルトは一切慌てる様子を見せない。
「いかなるつもり・・・・とは?」
歯牙にもかけぬディルトの態度に、彼らはバカにされたと感じてより一層怒りを深くする。
「昼間のことです!空から現れた敵に対する攻撃を、閣下はお止めになられた!おかけで、敵は陣地を作り上げてしまった!すぐにでも攻撃すれば勝機もあったものを・・・・」
「私は兵の損耗を抑えただけだ」
そう答えるディルトに若手の士官が言った。
「ディルト閣下は臆病風に吹かれているのではないですかな?」
「なに?では貴官らは以下にすれば、あの敵に打ち勝てたというのか。聞こうじゃないか」
若手の士官は自信を崩さないで持論を述べ始める。
「ええ。確かに敵は手ごわい。空から兵を送り込むなど考えつかないことです。ですが敵は寡兵。敵が陣地を築く前に、わがビーズル方面軍10万をもってすれば、敵を殲滅することも可能だったはずです。そうしなかったのは閣下が臆病だったからにほかなりません!」
「そうだ!」
加熱する会議場。ディルトを非難する声で会議場はつつまれた。しかし、ディルトはそれらに臆することなくドンとテーブルに拳を叩きつける。殺気すらも交えた彼の雰囲気に、加熱していた会議場は一気に静まり返った。
「昨日の攻撃を見ても、まだそのようなことを言っているのか?6万を誇った東方征伐軍は壊滅し、4400隻を超える海軍もすでに行動不能だ。森に潜んでいる兵ですら暴き出すような軍隊だ!地上部隊にもそれ相応の力があると見て間違いないだろう。それを鑑みても、まだ勝機があったなどというのか?」
ディルトの言葉に答える者はいない。この場にいる全員はNATO軍による空爆とその結果を目の当たりにしているのだ。
それでもなお、ディルトを非難するのは、パタジンが将軍になってから重用されるディルトに対する嫉妬と、ロデ二ウス大陸一の練度を誇り、10万を超える兵力を抱えているビーズル方面軍が負けるはずがないという希望的観測が原因だったのだ。それに、いまだにNATO軍地上部隊と交戦をしていないというのも、それに拍車をかけていた。
「このビーズルは王都へ向かう街道の途中にある要所だ。ここが落ちなければ、敵は王都攻略に本気を出せない。敵が空から現れたのは予想外であったが数は少ない。あのような部隊が王都を攻略しようとしたところで3重の城壁に阻まれてしまうし、補給が持たない。王都を本気で攻略するには万全な補給と万を超える兵力が必要なのだ」
それは正しいことであった。そのようなこと、この場にいる将軍・士官ら全員が分かっていることであった。
「それにこのビーズルの部隊を保全することで、ビーズルの防衛はより強固になるし、敵の兵力をこちらに引き付ける囮にもなろう。その間に、大規模な徴兵をもって、戦前の倍の兵力を整えれば、彼の敵にも打ち勝てるかもしれん。しかし、このビーズルの兵力をいたずらに消耗すれば、それもできまい。ここは耐える一手だ。山のように動かず、亀のようにこもり、時が来たら一気に動く・・・・。各々方、それでよいな?」
すさまじい殺気を放つディルトの言葉に、その場にいる全員は頷くことしかできなかった。
こうしてロウリアとの戦争が終結するまで、ビーズルにいるロウリア軍とNATO軍ビーズル軍集団による奇妙なにらみ合いは続くことになる。
いかがでしたでしょうか?
タイトル詐欺で申し訳ございません(土下座)。会戦と言っておきながら、戦いは空襲だけというねw。いや、戦いは王都攻略戦に持っていきたかったんですよ。だから許してください。
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ではまた次回。さようならぁ
次回 EP19 割れるロウリア
お楽しみに