2日連続投稿になります。現在、パーパルディア皇国編を執筆中なので、ロデニウス大陸編をそろそろ終わらせようと思いまして・・・・。
では、本編どうぞ
降伏の3週間後。ジン・ハーク某所
薄暗い裏路地にある古臭い集合住宅の一角。その部屋の窓からは物干し竿のようなものが多数出ていた。しかし、カーテンは常に閉め切っており、近所の人間も住んでいる住人を気味悪がって近づかなかった。
「くそっ!まだ無線はつながらないのか!」
その部屋の中で一人の男が、そう怒鳴った。彼は窓に近づくとカーテンを少し開けて外を出歩く謎の兵士を見た。
現在、ジン・ハークは進駐してきた米第1機甲師団並びに日第1海兵師団の管理下にあり、町のいたるところに迷彩服とボディアーマーに身を包みアサルトライフルを持った兵士が立っていた。
「この情報は何としても本国に伝えなければならん・・・・」
男は近くのテーブルに乱雑におかれたモノクロ写真の一つを手に取る。
そこにはNATO軍が有する31式戦車やM4戦車*1、ほか歩兵戦闘車や戦闘機、ヘリコプターなどが映った写真もあった。
すると、別の男が彼のそばにコーヒーの入ったコップを置いてつぶやいた。
「不気味ですね」
「ああ、この通信機の不調といい、何から何まで不気味だ・・・・」
彼は出されたコーヒーを煽るように飲み干すと、そういい捨てるように言った。
2人以外にもこの部屋には一人の女と2人の男がおり、その3人とも通信機に張り付いてどうにか通信をつなげようとしていた。
その時、ふいにコンコンと部屋の扉がノックされた。5人の顔が強張り、服の中から古臭い南部14年式拳銃のような見た目をした銃を取り出す。
女が部屋の扉に近づき、チェーンをかけたまま、扉を少しだけ開けて様子をうかがう。
「はい。何でしょう?」
するとそこには、何か布のようなものを持った30代くらいの女性がいた。
彼女は、布を掲げて人のよさそうな笑みを浮かべていう。
「ああ、近所に住んでいるものです。お宅の洗濯物が道に落ちていたので、届けに来ました」
女は仲間に合図して外の様子を見させる。なるほど、確かに偽装用で無線アンテナの横にある本物の物干し竿にかけておいた洗濯物が消えている。
どうやら敵ではないようだ。5人はほっと一安心すると、拳銃をホルスターの中にしまう。正直に言うと、聞いたことのない声であったが、もともと近所との付き合いなどない。
女は服を受け取るためにチェーンをはずして、ドアを開ける。
すると、その隙間から突然、円筒状の何かが放り込まれた。その正体が何なのか理解した彼らは戦慄した。
「まずい!グレネードだ!伏せr!!!!」
警告が最後まで続くことはなかった。その瞬間、強い光と大きな音が彼らを襲ったからだ。
「GOGOGO!!」
外で待機していたボディアーマーに身を包んだ米陸軍グリーンベレーの隊員が、MP7B*2やM5A1などを構えて突入する。
中にいた5人はヘルメットなどもしていなかったため、強烈な音響を食らって平衡感覚などを失って立ち眩みを起こしている。
そんな彼らに、グリーンベレーの隊員らは腕などに銃弾を撃ち込んで反撃能力を削ぐ。
「clear!」
全員の反撃能力を削いだことを確認すると、数人の隊員らが彼らを後ろ手に手錠をかけて拘束する。同時に衛生兵が止血を行い、万が一がないようにする。
それを横目に、ほかの隊員らは部屋の中にあった写真や資料をかたっぱしから回収していく。
ものの10分ほどで、部屋の中のものをあらかた回収し、元の部屋の主らも人目につかないように車両に担ぎ込むと、後からやってきた日第1海兵師団司令部付憲兵中隊の隊員に後始末を任せて撤収していった。
この日、ジン・ハークのいたるところで同じような光景が繰り広げられ、中には抵抗したがために5.7㎜弾や6.8㎜弾を叩き込まれて、死体となって運び出されるものもいた。
こうしてCIA主導の「ゴースト・バスターズ作戦」は成功という形で幕を下ろした。
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「ゴースト・バスターズ作戦」の成功は、その日のうちにホワイトハウスに上げられた。
「これから奴らを聴取する予定ですが、エニグマのような暗号表や第2次大戦時のような通信機を多数押収しました。それなりの技術力を持つ国の人間とみて、まずは間違いないでしょう」
CIA長官の報告にアリスは複雑そうな顔をした。
それなりの技術力を持つ国ということは、軍備もそれなりに持つ国に他ならないのだ。とくに第2次大戦時となれば、負けはしないだろうが一定の被害が出る可能性もある。安全保障上よろしくないのである。
しかし、反対にクワ・トイネなどの近代化していない国には売れない、電子製品や自動車などの輸出先としても有望であるという、市場として魅力的な可能性もあるのだ。
「友好的な国ならいいわね。その工作員らの所属する国の位置や政治体制、文化にいたるまでありとあらゆることを調査してちょうだい」
「わかりました。プレジデント」
そういうとCIA長官は執務室から出ていく。アリスは、これ以上考えても仕方がないと大統領補佐官に別の話題を振る。
「そういえばSDWプロジェクトのほうはどうかしら?」
SDWプロジェクト―
それは歩兵用の銃器や戦車から船舶、航空機に至るまで多岐にわたり、使用弾薬などはNATOがすでに使っているものを同じものが使えることとしてある。
「順調です。すでに戦車、火砲、小火器は3月までに試作品が納入され、9月までにすべて試験が完了しております。現在は、量産体制に移っております。哨戒艇は、すでに供与済みですし、魚雷艇も建造に入っております。航空機は来年中には試作機が完成すると思われます」
「ならよかったわ。いつまでも民生品の改造やモンキーモデルでごまかすわけにもいかない。SDWが完成したら、もともと供与していた兵器のうち、いくつかをすべて回収してほしいわ」
「承知しました。至急、リストを作ります」
NATOの異世界戦略は着々と進んでいた。
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ロウリア王国からはるか西にある国、グラ・バルカス帝国。通称、第8帝国と呼ばれるこの国の首都にある情報局の庁舎の一角には電気式通信機が並べられた部屋がある。
その通信機の前には、WW2時のドイツ国防軍の将校用軍服のようなものに似た服を着た何人もの人間がヘッドホンを付けて、紙とペンをもって座っていた。
そのうち一人の男が紙に何かを書き終えた後、スッと立ち上がって部屋を出ていく。彼はそのまま階段を上がって、ある部屋の扉をコンコンとノックする。
「入っていいぞ」
中から入室を許可する声がすると、彼は「失礼します」といってドアを開けた。
「部長。ロデニウス大陸の情報が届きましたので、報告にまいりました」
「ふむ・・・・。そういえばロウリアとかいう国が戦争をおっぱじめたんだったな。状況は?」
「ロウリア王国ですが、全面降伏し現地にNATOと呼ばれる国家連合の軍が進駐し始めているということです」
「なに?」
部長と呼ばれた男は方眉を吊り上げる。なぜなら、その報告は彼らが立てていた予想を覆すものであったからだ。
「事前の分析ではロウリア王国側が圧勝するという話だったが?」
「それが、NATOと呼ばれる国家連合の参戦によりロウリア王国軍は敗北したようです。現地工作員との通信が取れず、周辺国に派遣している工作員からようやく報告がきたばかりなので、情報を掴むのが遅れました」
現地工作員との連絡途絶というのは、不吉なものであった。ロウリアという辺境の国であっても送られたのは正規の訓練を受けた敏腕の工作員である。諜報にも最新の技術が使われているから、ロウリアのような国にばれることはないはずであった。
「ふむ・・・・。そのNATOだったか?奴らの軍隊の情報は何かないのか?」
「終戦後、ロウリアやクワ・トイネから帰ってきた商船から得た情報から推測するに、まず機関銃などを運用していると思われます。また、固定翼機も目撃されており、ハーク港周辺には空母もいるようです。しかし、現地との連絡が取れないですから詳しいことは何も・・・・」
「ふむ。情報収集を強化する必要がありそうだな。周辺国の工作員に手が伸びていないのであれば好都合だ。そいつらを使ってNATOに関する情報をかき集めさせろ」
「わかりました」
今ある情報ではこれ以上の推測はできないことから、部長は話題を変えた。
「そういえば・・・・レイフォルはどうなっている?」
「現在、海軍東方征伐艦隊が敵艦隊を捕捉したようです。しかし、どうやら遊び心が過ぎるようで、グレート・アトラスターだけで戦うようです」
「あの船か・・・・戦場伝説を作るにはちょうどいいな・・・・」
いかがでしたでしょうか?
特殊部隊を出したいがために書いたというのは否定しません。やっぱり一回はあこがれるよね特殊部隊。
最初は、SASとかGIGNとか特殊作戦群とかも出す予定でしたが、話の流れ的に辞めました。
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ではまた次回。お楽しみに!
次回 EP31 はるか西方での戦い