今回からフィルアデス戦争編です。ようやくここまでこれた・・・・。
では、本編どうぞ!
EP32 安全保障政策
中央暦1638年12月22日
ロデニウス戦争時に、パーパルディア皇国なる国がロウリア王国に対して武器、資金、義勇兵などを提供していたことは、すでにNATO諸国に知れ渡っていた。
その対価として、資源、食糧の格安提供や領地の租借などを要求しており、パーパルディア皇国が拡大主義であることからも、NATOはパーパルディア皇国をかなり警戒していた。
現時点で分かっている技術格差的に、NATOの本体である転移国家群にとっては道端の小石程度であるが、その転移国家群にとって、まさしく生命線であるロデニウス大陸は、いまだに国家の近代化が始まったばかりで、パーパルディア皇国に襲われれば、無傷ではすまない。
それを受けて、ベルギーのブリュッセルではNATOの今後の安全保障政策についての首脳会談が開かれていた。
「やはり、かの国とロデニウス大陸や我々転移国家群との間に緩衝国家を設け、支援するべきではないか?」
その提案をしたのは、11月の選挙で新たにイギリス首相となったスコットニーだ。彼は、国防大臣や外務大臣を歴任し、ロデニウス戦争時にはオードリー政権下で各国間の調整を行うなど、安全保障政策に明るい人物であり、こういった情勢下では非常に有能な首相だ。
「では、どこをラインにするかの議論が必要ですね」
そういうのはフランス大統領のラシュレーである。その言葉に大泉はうーんとうなる。
「フェン、ガハラ。あとは?」
「それら2か国に加えてアワン王国は日欧への緩衝国家としては必要だと思うが・・・・」
ドイツのホフマン首相が大泉の言葉にそう返すと、するとイタリア首相ヴィンチェンティーノは首を横に振った。
「いや。確かにそれら3か国への支援も必要にはなるだろう。ただ、正直それらを緩衝国家とせずとも、かの国に面しているのはイギリスと日本だ。前世界でも有数の海軍力を誇っていたのだぞ?近海には常にフリゲートと哨戒艦、潜水艦が哨戒網を張っているし、哨戒機も数多く保有している。対水上戦闘能力も非常に高い日英の海上防衛線をパーパルディア艦隊が突破できるとは考えにくい」
ヴィンチェンティーノの発言は確かに正しかった。
イギリス海軍は、軽空母3隻、ミサイル駆逐艦9隻、フリゲート36隻、哨戒艦10隻、哨戒艇24隻の計82隻の水上戦闘艦艇、原子力潜水艦15隻、ドッグ型揚陸艦7隻をはじめその他艦艇41隻の計138隻を有している。
日本国防海軍も長年中露の艦隊と対峙していたことから、原子力空母2隻、軽空母5隻、ヘリ空母5隻を中核としてミサイル巡洋艦7隻、汎用巡洋艦5隻、ミサイル駆逐艦48隻、汎用駆逐艦68隻、フリゲート34隻、哨戒艦50隻など計224隻の水上戦闘艦艇と原子力潜水艦20隻、通常動力潜水艦52隻など計72隻の潜水艦、強襲揚陸艦10隻、ドッグ型揚陸艦10隻、戦車輸送艦4隻のその他艦船130隻の計438隻とアメリカ海軍に次ぐ世界有数の海軍戦力を有しており*1本土近海の哨戒・防衛を行う部隊の戦力だけで、100隻の水上艦艇がいるのである。
哨戒機も有人・無人機を両国合わせて400機以上保有しており、これらは24時間365日彼らの近海を脅かす艦艇の監視にあたっているのだ。
これだけの艦隊では前世界の中露艦隊でも突破できるのか怪しいところである。
「やはり直近で必要なのはロデニウス大陸への緩衝となる国家だろう」
そう締めくくったヴィンチェンティーノの言葉に、会議に参加していたカナタやクイラ王国首相のドールバーフ2世も頷いた。
クワ・トイネやクイラ王国は、NATOに加盟したこともあり、現在はNATOによる技術・経済・軍事などの近代化への支援が行われている。これら2か国はNATOにとっての食糧・資源地帯であることから、特に軍事的支援が優先で行われており、軍事顧問団が派遣されて現地での教導を行っているほか、両国の軍将校の留学を積極的に受け入れている。さらに大きいのが武器供与であり、SDWプロジェクトと呼ばれるこの世界の国家向けに新規開発した兵器類の供与計画が進められており、ロデニウス戦争が終わった直後である10月から、ライフル銃や火砲*2がまた今月からは戦車や装甲車*3の供与が開始されていた。また、戦闘機や攻撃機、爆撃機などの開発も進められるなど、クワ・トイネ、クイラ王国軍の近代化は急速に進んでいた。
しかしながら、いまだにこれらの兵器は十分な数がそろっておらず、兵士や将校の教育も完了していないことから戦力化できていなかった。
またNATO軍の大型哨戒機が運用可能な飛行場はクワ・トイネのエジェイ空軍基地しかないなどの問題もあり、両国の重要性に対して防備は足りていないのである。
一応、ロデニウス戦争が終わったばかりということもあり、ロデニウス大陸近海には米海軍から2個空母打撃群が派遣されており、また地上部隊も10万以上の部隊がいまだ駐留しているが、これらはほとんどがロウリア王国駐留部隊であり、クワ・トイネ、クイラの防備は戦前と比べて薄くなっていた。
そのため、両国が一定の防衛戦力を確保できるまでの時間稼ぎとしての緩衝国家が必要であったのだ。
「カナタ首相、ドールバーフ首相らは何か提案はございませんか?」
アリスは、カナタらに発言を求めた。
実際、この世界に来てまだ2年足らずの転移国家群よりも、クワ・トイネ、クイラの方が地域情勢に詳しい。彼らの助言を求めるのは、何ら間違ったことではないのだ。
するとカナタが手を挙げて発言を始める。
「ロデニウス大陸の盾とするならば、アルタラス、シオスの両国以外には考えられないと思います」
両国ともロデニウス大陸とパーパルディア皇国のあるフィルアデス大陸との間に位置する島国である。確かにこの2か国以外、緩衝国家となりえる地理的条件を備えた国家はなかった。
「その2か国以外に考えられないのはわかっている。問題は、どれだけ援助を行うかだ」
そういうスコットニーの発言に返したのは大泉である。
「やはり、武器・資金援助、情報提供、教導団の派遣といったところでは?」
しかし、スコットニーは首を横に振って、さらに一歩踏み込んだ援助をするべきと発言した。
「いや、この2か国はロデニウス大陸への緩衝国家になるほかにもパーパルディア皇国への反抗作戦時の橋頭保としても使用できる。我が国としては、空軍基地としても使用可能な空港の整備、軍港として使用可能な港湾設備の拡充を行うことを提案したい」
スコットニーの言葉に会議場はにわかにざわつくが、彼の言葉には一理あった。アルタラス、シオスがある島はフェンやガハラ、アワンといった国家よりも面積が大きく、またパーパルディア皇国の首都エストシラントに非常に近い。
ここを基地としてパーパルディア皇国の重要インフラを空爆できるほか、上陸部隊の集結地点としても非常に最適である。確かにここに空軍・海軍が利用可能な基地ができれば、パーパルディア皇国に対して圧力をかけることが可能となるのである。
「確かに、そこまでやるべきかもしれませんな」
「わがフランスとしては、イギリスの提案に賛成よ」
「日本としても異議はありません」
会議場のいたるところから賛同の声が上がり始める。
結局、この日のNATO首脳会談で、アルタラス、シオス、フェン、ガハラ、アワンを緩衝国家として積極的に援助することが決定。最優先でアルタラス、シオスに対して教導団や武器・資金・情報提供や港湾・空港設備の整備を提案することが決定された。
ついにNATOは、この世界において5本の指に入るとされる列強、パーパルディア皇国と対立することを決定したのである。
・SDW-L IG38 6.8mmセミオートライフル
・SDW-L LMG38 6.8mm軽機関銃
・SDW-L HMG38 6.8mm重機関銃
・SDW-L SMG38 5.7mmサブマシンガン
・SDW-L FN P38A自動拳銃(FN ファイブセブンの劣化版)
・SDW-L HC-38 155㎜榴弾砲
・SDW-L MM-38 81mm迫撃砲
・SDW-L AT-38 46口径75㎜対戦車砲
・SDW-L RAV38 偵察装甲車
・SDW-L LT38 軽戦車
・SDW-L MT38 中戦車
いかがでしたでしょうか?
強化後の日本国防海軍の軍備が強すぎる・・・・<いや、書いたのは自分だけどさ
なんか、設定考えてたら国防軍の規模がどんどん大きくなっていっている。間違いなく徴兵制ないとできないだろうなぁ・・・・
それと、新たにアンケートをとります。東欧諸国をどうしようかと考えていて、転移させようと考えもしたんですが、そうしたらくどくなっちゃうかなと思いまして。
だから皆様に背中押してもらいたいなぁと・・・・。
それと、新年度になり私用で忙しくなりますので、小説投稿は前以上に低調になると思います。ご容赦ください
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回、さようならぁ!
次回 EP33 アルタラス王国
お楽しみに