最近熱いですね。私は一日中エアコンつけっぱなしですw
皆様も熱中症には十分注意してください。
では、本編どうぞ。
※ラ・ルダグア級海防艦のスペックを加筆修正
中央暦 1639年3月10日
この日、第2文明圏の雄にして、この世界において第2位の列強国であるムー国沖に、一隻の
その船の名前は「ジョン・C・ステニス」。この世界において、米日仏しか保有していない15隻の原子力航空母艦のうちの1つである。
その甲板と格納庫には、すでに旧式となったF/A-18E/FスーパーホーネットやE-2Dなどの航空機と大量の食糧を積み込んでいた。
「そろそろムーだな・・・・」
「ジョン・C・ステニス」の艦橋でそうつぶやくのは、艦長の米海軍大佐である。すでに母港であるホノルルをたってから、ひと月がたとうとしていた。
ムーまでの間に、NATO各国の軍用艦艇が利用可能な港がないため、航続距離の問題から「ジョン・C・ステニス」単艦での航海となったこの大冒険も、まもなく半分を過ぎようとしている。
その時、艦橋に副長が入ってくる。
「艦長。ドローンが方位340度、距離50マイルに不明艦艇を確認しました。ムーの沿岸警備艦艇です」
「そうか。すぐに接触するぞ」
艦長は、すぐさま指示を出す。その指示は、どこか焦りが混じっているようだった。
それもそのはずであった。すでに彼らは、母港を出航して1か月がたっているのだ。原子力航空母艦なので、航続距離的には問題ないが、中で艦を操作しているのは人間である。機密保持や使用許可の関係で、1か月間ずっと船上である。食料は航空機搭載量を削って大量に積み込んだため心配ないが、やはり乗員の士気が心配であった。
性犯罪を心配して、この船の乗員は男性兵士のみにしたり、士気を維持するために娯楽用DVDやゲームを大量に積み込むなどしているが、やはり限界があった。この場合、すぐさま士気を回復する方法は、乗員を上陸させ、長い船上生活から解放することだけである。
そんな状況の中、艦長がムーとの接触を急ぐのは当然のことであった。
「了解しました」
副長は、そばにいた航海長に目配せする。航海長も先ほどの会話を聞いていたので、コクリとだけ頷くと操舵手に号令を出した。
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「あれは・・・・空母なのか?」
ムー海軍マイカル方面艦隊第2海防隊に所属しているラ・ルダグア級海防艦*1の15番艦「ラ・セティン」の艦長以下乗員らは、目の前にいる大型空母を見て言葉を失っていた。
「こ、国籍照会は・・・・?」
艦長の言葉に、航海長は国籍図鑑を引っ張り出して、大型艦艇の後ろについている国旗と見比べる。しかし、国籍図鑑に当てはまるような国旗は載っていない。
航海長が顔をしかめて、ウーンとうなっていると、彼の部下の見張り員が何かを思い出す。
「そういえば、こないだ司令部から”あめりか”とかいう国から使節団を乗せた空母がくるから、発見した場合は、臨検後にマイカル港に誘導するよう言われてませんでしたか?」
「ああ、たしかその命令書ならこっちにあるはず・・・・」
航海長も思い出したようで、国籍図鑑を閉じると命令書が入った棚のところに行く。そして、数ある命令書の中からお目当てのものを探し出した。
先ほど、部下の見張り員が言っていた命令書である。そこには命令内容が書かれた紙と一緒に、アメリカの国旗や軍艦旗が載った書類もあった。航海長は、その書類に載っている国旗と、目の前の大型艦艇についている国旗を見比べる。すると、なるほどまさしく同じものであった。
「艦長、あの船は”あめりか”という国からきた外交使節団を乗せた船かと・・・・」
「なに?聞いたことのない国だな・・・・・本艦はいったんあの船の横につけ。通信士、あの船に魔信と無線の両方で呼びかけろ」
「はっ!」
艦橋横の通信室にいた通信士が、何回も大型艦に向けて停船命令と臨検要請を繰り返している。しばらくすると大型艦から返答があったようだ。通信士が艦長を呼び出す。
「艦長。相手が出ました」
「うん」
艦長は艦長用の席から立ちあがって小走りで通信室に向かうと、無線のマイクを受け取る。
「こちらムー海軍所属"ラ・セティン"艦長である。貴艦は停船ののち、航行目的と所属を明らかにしてもらいたい」
『こちらアメリカ海軍所属"ジョン・C・ステニス"艦長だ。航行目的は、国交開設交渉団の輸送である。すでに外交ルートを通じて、航行許可はとっている』
どうやら相手は事前に司令部から通達のあったアメリカの船で間違いないらしい。第3文明圏というド田舎のさらに文明圏外の国であると漏れ聞いていたが、目の前にいる超大型空母をみていると、それが全くのウソとしか思えない。
「了解。ムーへようこそ。早速、外務省に通達するが、貴艦はそのまま本艦についてきてほしい」
『了解した。誘導感謝する』
そういうと「ラ・セティン」は「ジョン・C・ステニス」の前に向かう。第1次世界大戦時と似た軍艦が、現代艦艇の象徴たる原子力航空母艦とともにいるのは、なんともカオスな光景であった。
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「何とかここまで来たな・・・・・」
いかにも環境に悪そうな黒煙を吐きながら前方を進む古臭い海防艦を見ながら、「ジョン・C・ステニス」艦長は胸をなでおろす。
すると、再び海防艦から通信が入った。
「こちら"ジョン・C・ステニス"。何事ですかな?」
『外務省からの連絡で、会談場所をアイナンク空港にしたいとのことだ。そちらの使節団にお伝え願いたい』
「なるほど・・・・了解した」
艦長は通信している間に、目配せして近くの乗員に使節団の団長であるオズワルド・エイドリアン全権委任大使を呼びに行かせる。たっぷり10分ほどかけて、彼らのもとにエイドリアンがやってくる。
金髪で、フチなし眼鏡をした若干割れ顎気味の、やせ型の男である。あまりパッとしない雰囲気であるが、これでも長年駐中アメリカ大使を務め、米中新冷戦の最前線で活躍してきたベテランの外交官であった。
艦長は、早速状況を伝えるとエイドリアンはフムと考え込む。
「おそらく、これは一種の宣伝行為でしょうね。ジャブのようなものです。技術力を見せつけることで、交渉時に主導権を握っておきたいのでしょう」
「しかし、こちらの空母とあちらの海防艦を見比べれば、そんなこと無意味だとわかりそうなものですが・・・・」
艦長がそういうと、エイドリアンは首を横に振る。
「会談場所を指定してきたのは、この船を見たことのない本国にいる人間でしょう。現場の人間にはわかっても、本国にいる人間にはわからないことなど多々あることです」
「なるほど?ではどうするべきでしょうか?」
艦長がそういうとエイドリアンはにやりと笑って見せた。
「目には目を、歯には歯をというやつで行きましょう」
基準排水量/満載排水量:560t/710t
全長/全幅:71m/7m
エンジン:レシプロ蒸気機関 2基
最高速力:22ノット
武装:40口径76㎜単装砲 2基2門
7.7㎜連装機関銃 4基8丁
乗員:100名
同型艦:81隻
概要:沿岸部での哨戒、沿岸防衛、海賊対策、救難活動を主任務として建造され、ムー海軍の各地方部隊に主力艦艇として配備されている。主砲の76㎜砲は、ムーや神聖ミリシアルの巡洋艦以上の艦艇に有効打を与えることはできないものの、ムー国周辺の仮想敵国は帆船や木造艦艇に鉄板を張り付けただけなどの艦艇ばかりであるため、76㎜砲でも十分有用であった。
いかがでしたでしょうか?
海防艦、海賊対策とか哨戒程度なら、結構十分な武装だと思います。安価になるよう設計されているので、同型艦が81隻もいるとかいう米帝プレーをムーがやってる。
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ではまた次回。さようなら
次回 EP37 ムー(到着編後編)
お楽しみに