西側諸国召喚   作:RIM-156 SM-2ER

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皆様、お久しぶりです。SM-2でございます。
投稿が久しくなってしまい、申し訳ございません。ここ数か月は特に小説執筆に割ける時間が少なく、更新が遅れてしまいました。
来年の2月あたりまでは、ちょっとこの状態が続くかもしれません。ですが、何とか年末年始に投稿できると思いますので、どうぞご容赦ください。
それでは、本編どうぞ。


EP45 招かれざる客Ⅰ

「こいつはいったい何なんだ?」

 

"きたかみ"のCICでフェン王国派遣部隊の暫定指揮を執る"きたかみ"艦長(大佐)は、接近してくるアンノウンの正体を考えていた。

艦長は顎に手を当てて少し考えこんだ後、横にいた砲雷長の方を向く。

 

「フェン王国側に確認は?」

 

その問いに、砲雷長は首を横に振る。

 

「とりましたが、いまだに回答はありません」

 

その答えに、艦長はドカッと椅子に座ると腕を組んでうなった。しかし、うなったところでフェン王国からは回答はこない。無情にも時間は過ぎていき、アンノウンは着々と近づいてきていた。

 

―――――――――――――――

 

そのアンノウンの正体は、第3文明圏列強のパーパルディア皇国の監察軍東洋艦隊に所属するワイバーン部隊20騎であった。

監察軍というのは皇国正規軍とは別にある軍事組織であり、皇国軍最高司令部の指揮下にはなく第3外交局の指揮下で、皇国の意にそぐわない行動をとる文明圏外国家への懲罰行動などを行う機関であった。装備や人員の質は皇国正規軍には劣るものの、周辺の文明圏外国家よりは強力な軍事組織であった。

 

 

彼らの任務は、各国の観戦武官が集まるこの軍祭の日にフェン王国に懲罰攻撃を行い、皇国に逆らった国家の末路を知らしめることであった。

これにより、他国への見せしめにできるほか、フェン王国が周辺地域で多大な影響力を持つ皇国との関係が最悪であると見せつけることで外交的にも孤立させることが可能であった。

しかし、そんな彼らでも懸念はあった。それはアマノキ上空を飛ぶガハラ神国の風竜であった。

風竜というのはワイバーンよりも上位の存在であり、飛行性能や魔力は段違いである。そんな彼らと万に一でも敵対してしまえば、いかなパーパルディア皇国軍でも大きな被害を受ける。

そのため、ワイバーン部隊の指揮を執る隊長は、たかが文明圏外国家の竜にここまで注意しなければならない状況を苦々しく思いつつ、細心の注意を払うように部下に伝達する。

 

「・・・・ガハラの風竜には間違っても手を出すな!第2、第3小隊はフェン王城を、第4、第5小隊は・・・・あのでかい船を攻撃せよ。第1小隊は万が一に備えて上空で警戒、攻撃部隊を支援する!・・・・散開!」

 

隊長のその号令とともに、20騎のワイバーン部隊は3隊に分かれ、目標に向かった。

 

――――――――――――――

 

ワイバーン部隊の標的にされたでかい船、それは標的船への射撃のためアマノキ湾内に深く入り込んでいた"あしがら"であった。

すでにワイバーン部隊は目視可能圏内に入っており、20騎のワイバーンが3隊に分かれるところは、艦橋やその横の見張り台にいる乗組員が確認していた。

 

「何だ?・・・・ッ!!アンノウン8騎!こっちに突っ込んでくる!」

 

それを報告したのは艦橋右の見張り台にいる航海科の二等海曹であった。艦橋内にいた士官はすぐさま双眼鏡でそれを確認するとジャイロコンパスを使って方位などを測るとCICに報告した。

 

「CIC!こちら艦橋!右32度!高角30!距離40!機数8!まっすぐ突っ込んでくる!」

 

その報告を聞いたCICはどよめいた。この時点で、アンノウンの正体に関するフェン王国から返答はなく、敵か味方かを測りかねている状況であったからだ。しかし、編隊を組んで突っ込んでくるのであれば攻撃的ととらえることもできた。

砲雷長はすぐさま艦長に進言をする。

 

「艦長!主砲、CIWSで迎撃すべきです!」

 

しかし、艦長は首を縦に振ることはなかった。

 

「だめだ!まだ敵かわからん!こちらから攻撃することは許さん!しかし、万が一に備えて回避行動をとるぞ。両舷前進一杯!ここから前方2800mは直進しても大丈夫だ!それと艦橋見張り員は、万が一に備えて艦内に退避せよ!」

「りょ、了解!」

 

艦長の指示はすぐさま艦内すべてに伝わる。機関室はエンジンの出力を上げる。艦橋の両脇の見張り場にいた乗組員たちは、艦長の指示に従って艦橋の中に逃げ込むと扉を閉めた。

それらが終わったとき、ワイバーンがついに"あしがら"へ攻撃を行った。

 

「目標8!火炎弾の発射体制に入りました!」

 

双眼鏡でワイバーンを監視していた士官が悲鳴のような報告を上げた。それをCICで聞いた艦長は、ここで反射的に指示を出す。

 

「回避行動!面舵一杯!両舷最大戦速!!」

「と、面舵一杯!」

 

操舵員が舵を切った瞬間であった。8騎のワイバーンは、その口にため込んだ火炎弾を次々と発射する。

 

「目標!火炎弾を発射!」

「衝撃に備え!!」

 

その瞬間、"あしがら"に8発の火炎弾が襲い掛かった。6発は前方の海上や至近距離に着弾したものの、残る2発は艦橋と主砲の砲身に当たってしまった。

とくに艦橋に当たった火炎弾は、艦橋の窓ガラスを割り、窓ガラス付近にいた乗組員が火傷やガラスの破片によって怪我を負った。

 

「被害報告!」

「こちらダメージコントロール!敵弾、主砲並びに艦橋に着弾!砲身が破損している可能性があり、点検なしでの射撃は不可能です!また航海用レーダーが断線した模様!」

「こちら艦橋!窓ガラス数枚が割れ、負傷者多数!」

「了解!修理は後回しだ!負傷者は至急、医務室に搬送!軽症者からだ!」

 

被害報告を受けて、艦長はすぐさま指示を出す。

しかし、悪いことは続く。"あしがら"は、回避行動をとっていた。しかし、その進路上に岩があったのだ。これは"みょうけん"による調査で見つけており、艦長もその存在を認識していたものの、上空からの攻撃とそれによる被害に気を取られて、回避を命令するのが一歩遅れてしまった。

 

「艦長!右5度、距離11に岩礁あり!」

「まずい!後進一杯!取舵一杯!至急回避せよ!」

 

艦長はすぐさま回避行動を命令する。しかし、満載排水量は10,000トンもある大型艦である"あしがら"はすぐには曲がれないし止まれない。艦長はすぐさま回避が間に合わないことを悟る。

 

「総員!衝撃に備え!」

 

その数秒後、"あしがら"をものすごい衝撃が襲う。前方と中央部分は何とか回避に成功するものの、右舷後方と右スクリューと舵が岩にこすってしまったのだ。これにより、右舷後方には亀裂が走り、右スクリューと舵は完全に破損してしまったのである。

 

「機関室よりCIC!右スクリューおよび舵が破損!また右舷機関室に浸水あり!」

「防水作業用意!右舷機関室!応急操舵配置につけ!」

 

艦長はすぐさまダメージコントロールの指示を出す。

 

「左舷微速!取舵、10度!」

 

"あしがら"は片足を失ったことで機動力がグンと下がってしまった。これでは効果的な回避行動は難しい。艦長は、自艦がおかれた危機的状況に冷や汗を垂らした。

 

―――――――――――――――

 

必中の間合いで攻撃したにもかかわらず、ほとんどの攻撃を避けた船に、ワイバーン部隊の隊長は驚愕していた。

 

「なんだと!?あの距離でほとんどよけるとは・・・・」

『どうしますか?』

 

第4小隊の小隊長が、ワイバーン部隊の隊長に魔導通信で指示を乞うと、隊長は少しばかり考えたあとに返答する。

 

「第4、第5小隊は第1小隊と合流しろ!あの船を再度攻撃するぞ!」

『『了解』』

 

隊長は配下の4騎を率いて、第4、第5小隊の8騎と合流し、合計12騎で"あしがら"に再び攻撃を開始しようとしていた。

 

―――――――――――――――

 

「"あしがら"が攻撃を受けました!」

 

"きたかみ"の艦橋の見張り台にいた航海科の隊員の報告を聞いて、"きたかみ"艦長はすぐさま決断を下した。

 

「交戦規定はクリアした。対空戦闘用意!目標、CIC指示の目標!"あしがら"にも伝達せよ!"なつかぜ"は"みょうけん"の掩護に入れ」

 

国防軍の交戦規定では、一度でも攻撃を受ければその攻撃を行った目標への無制限の武器使用と、その目標が属する勢力への適切な武器使用が許可されているのだ。

"きたかみ"艦長はこの交戦規定に基づいて行動していたのだ。

 

「トラックナンバーA001からA012!主砲、撃ち方始め!」

「てぇ!」

 

砲雷長の指示を聞くと、2人の砲術士がそれぞれ担当の主砲の狙いを定め号令とともにトリガーを引いた。

 

ドォンドォンドォン

 

静かな海上に"きたかみ"に前後に搭載された2門の127㎜砲の連続した発砲音が響き渡る。優秀なFCSによって、目標の未来予想位置にVT信管付きの127mm対空砲弾が放たれる。

発砲音と同じ数だけワイバーンのそばで爆発が起こる。

 

「トラックナンバーA001からA008撃墜!」

 

"あしがら"に向かおうとしていた8騎のワイバーンが一瞬で黒焦げとなり、落ちていく。しかし、あまりにも"あしがら"との距離が近すぎた、4騎のワイバーンは"あしがら"に向かって突入していく。

"あしがら"は主砲が破損してしまっている恐れがあるため、主砲による対空射撃が行えない。しかし、国防軍の艦艇には近接防御用の火器が搭載されている。

"あしがら"は、ワイバーンにも射撃ができるように改良されたCIWSを起動させる。CIWSは、基本的に火器システムから独立しており、一度起動させてしまえば、IFFに応答のない接近する目標を自動で探知し、脅威度を計算し、自動で照準を合わせて射撃してくれる。

もともと亜音速や超音速で突入してくる対艦ミサイルを迎撃するために開発されたCIWSは、毎分4,500発の20㎜砲弾を正確にワイバーンに叩きつける。ハチの巣という表現など生ぬるい、何十という20㎜砲弾を食らったワイバーンはまさしく細切れとなり、肉片と血が海に落ちていく。

 

「トラックナンバーA009からA012撃墜!」

 

"きたかみ"のCIC内で対空レーダーを確認していた電測員が報告する。

 

「敵はあと8騎いたよな?そいつらはどうなっている?」

「2手に分かれ、4騎は"あしがら"に4騎は本艦右舷よりまっすぐ向かってきています」

 

艦長はすこし思考すると、指示を出す。

 

「前部主砲は"あしがら"に向かう敵を先に処理しろ!後部主砲は本艦に向かってくるのを叩き落せ!」

「了解。1番トラックナンバーA017からA020、2番トラックナンバーA013からA016、主砲撃ち方始め!」

 

艦長からの命令を聞いて、砲雷長が攻撃目標を設定して指示を出す。砲術士らも、すぐに照準を合わせて主砲のトリガーに指をかける。

 

「てぇ!」

 

再び"きたかみ"の主砲が火を噴く。毎分45発、2門合わせて毎分90発の速度で連射された127㎜対空砲弾は、"あしがら"と"きたかみ"に向かっていたワイバーン8騎を魚の餌へと早変わりさせた。

 

「トラックナンバーA013からA020撃墜!周辺空域に対空対水上目標なし!」

 

その砲雷長の報告は、突如始まった戦闘の終結を告げた。




いかがでしたでしょうか?
そういえば、pixivの投稿も追いついたので、最新話投稿の際はpixivが若干早めに投稿されます。ただし、pixivの場合、注釈などがないため話がハーメルンに比べてわかりづらいという欠点がございますので、皆様、お好きな方をご覧ください。
ご意見ご感想お気に入り登録お待ちしております。
ではまた次回、さようならぁ

次回 EP46 招かれざる客Ⅱ

お楽しみに
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