さて、今年一発目の投稿も西側諸国召喚でやらせていただきます。まぁ、毎度のごとく、新年一発目の投稿でやるようなものじゃない気がしますが・・・・。
では、本編どうぞ
本国との連絡を終えた荒木は、すぐさまフェン王国との会談に臨んだ。事情を知っているであろうフェンから、少しでも情報を得るためである。
フェン王国との会談は、フェン王国宰相の日本側への感謝の言葉で始まった。
「この度は、加勢していただきありがとうございます。あなた方がいなければ、どうなっていたことか」
「勘違いをしないでいただきたい。我々は正当防衛を行っただけです。そこに貴国を救おうという意図は存在しませんでした」
この会話は議事録にまとめられ、フェン、日本両国で保管される。
フェンを助けるために攻撃したと勘違いされないように、荒木は人当たりのよさそうな笑顔を浮かべつつ、わざと強い口調で、きっぱりと宰相の言葉を否定する。
幾人かのフェン王国外交関係者は、荒木の強い言葉に顔をしかめるものの、宰相はそんなことお構いなしに話を続ける。
「それで、今後の両国のことですが・・・・」
どうやらあの戦闘を見て、フェンは日本を味方に引き込みたくて仕方がないようだ。しかし、紛争に巻き込まれるという面倒ごとは、日本にとってごめん被る事態だ。特にフェン王国には、ろくな資源はなく、ロデニウス大陸の諸国のように日本やNATOの生命線というわけではない。むろん、緩衝国家としての利用は考えられているものの、最悪ガハラのみでもその役割は可能であったからだ。
「それについてですが、本国より国交締結の交渉は無期限の延期という命令がきました。紛争状態にある可能性がある貴国との国交締結には、我が国としても慎重にならざる得ないということです」
「そうですか。それは残念」
「ところで、あのワイバーン部隊はいったい何なのでしょう。貴国は何かご存じですか?」
フェン王国宰相は、荒木の質問に少しばかり考えるそぶりを見せたあと、答えた。
「第3文明圏列強のパーパルディア皇国国家監察軍の所属でしょう」
―やっぱり、やつらはパーパルディアの所属か
すでに本国から映像の解析結果を送られていた荒木は、確定された望まぬ展開に、顔にこそ先ほどと同じような人当たりのよさそうな笑顔を浮かべつつ、内心では悪態をついていた。
「我々の偵察機がここより西方で所属不明の艦隊22隻を確認しましたが、これもそうでしょうか?」
「おそらくは・・・・」
「失礼ですが、貴国はこの襲撃をご存じでしたか?」
その言葉の意味が分からないほど、フェン王国外交関係者は馬鹿ではない。つまりこれは、暗にこう言っているのだ。「お前らは、俺らを巻き込むために艦隊を送らせたのか?」と。
まるで自分たちが詐欺師かのようにいう、荒木の言葉に、若いフェン外交官は声を荒げた。
「我が国が謀りごとをしたというのか!我が国はそんな汚いことはしない!」
「では、ご存じなかったということですね?」
しかし、外交官として愛国心があるというのは美点だが、声を荒げるというのはナンセンスだ。今はまだ若いから経験が少ないのだろうと思いつつ、荒木は外交官らしい笑顔のまま冷静に対応した。
いきり立つ若い外交官を抑えつつ、フェン王国宰相はコクリとうなづいた。
「ええ、もちろんですとも。もし、知っていたら貴国を呼ぶこともありませんでした。その点については、お詫び申し上げます」
「なるほど、わかりました。それならよかった。しかし、こうなってしまった以上、我が国としても対応しなければなりません。そのための貴国の協力を要請したい」
「具体的な内容によりますな」
荒木の言葉に宰相がそう返すと、荒木は部下に言って、一つの書類をとらせる。
「では要請についてはいくつかありますが、まず1つ目。今回、攻撃を受け損傷した国防軍籍の艦艇の回収のための部隊及び随伴する補給艦隊、その護衛艦隊がフェン王国領海を自由に航行することを許可すること。2つ目が国防軍籍艦隊から半径1㎞圏内に、国防軍が許可した者以外が立ち入ることを禁止すること。3つ目に、2つ目の要求を達するために国防軍の警備の舟艇を運用することを許可すること。最後に、国防軍が自己防衛のために、貴国領海内で戦闘行為を行うことを許可すること。以上4つです」
「なるほど・・・・わかりました。よろしいでしょう。4つの要求、すべて飲みましょう」
少しばかり考えたものの、宰相はほぼ即答で答えた。荒木は驚いた。普通、自国の領海内で友好国でもない国の艦隊が行動するというのは、どの国も嫌がることだからだ。
それなのに、少しの交渉もせずに日本側の要求をのんだフェンの対応に驚いたのだ。さすがの荒木も、聞き返さずにはいられない。
「こう言っては何ですが、本当によろしいのですね?」
「ええ、構いません。私は陛下より、全権を賜っております。私の言葉はフェンの総意とおもってくだされ」
「・・・・わかりました。ご協力、感謝いたします。早速本国に伝えましょう。では、我々はこれで」
「次の交渉を楽しみにしております」
こうしてフェン王国と日本との交渉は終了した。交渉結果はすぐに派遣艦隊司令部と日本本国に送られ、派遣艦隊はすでに来ていた命令を果たすため、「なつかぜ」と無人偵察機2機を所属不明艦隊に差し向けた。
―――――――――――――――
「提督!」
大海原を進む、所属不明艦隊-もといパーパルディア皇国国家監察軍所属の22隻の艦隊。その旗艦「シェルミー」の船尾デッキで、大海原を見つめていたジルアン・ポクトアール男爵のもとに、伝令兵がやってきた。
「どうした?そんなに慌てて・・・・」
「せ、先行していた竜騎士隊との通信が途絶しました」
その報告にポクトアールら、艦隊幹部らは戦慄した。本国で運用されているものと違い、今回の出撃に同行していたのは普通のワイバーンであるが、それでも強力な飛行性能と防御力を併せ持っており、ワイバーンを1騎たりとも持っていないフェン王国相手に全滅するなど考えられることではなかった。
「な、何かの間違いではないのか?」
「いえ、すでに何度も呼びかけていますが、返答はありません。何らかの理由で全滅したとしか・・・・」
「魔法通信機の不調とかでは・・・・」
「隊長騎ほか、編隊長騎全部の魔法通信機にも連絡しましたが、返答がありません。5機の魔法通信機全部が一気に不調になるとは・・・・」
「考えづらいというわけか」
ポクトアールの言葉に、伝令兵はコクリと頷く。
―どういうことだ?フェン王国にはワイバーンはいなかったはず・・・・。ガハラの風竜にやられたのか?
ポクトアールは得体のしれぬ何かの気配を感じていた。
――――――――――
フェン王国水軍はパーパルディア皇国の軍事侵攻の可能性を考え、フェン王国西岸沖合150㎞地点を警戒航行していた。
フェン王国水軍21隻、なかでも最精鋭の13隻が展開しており、残る8隻は軍祭に参加しており、王都周辺海域の警戒に当たっていた。
戦国時代の安宅船にマストを付けたような見た目の船の上には、バリスタや火矢を防ぐための盾などが並べられていた。
その中でも一回り大きな船―旗艦「剣神」の甲板上で、フェン王国水軍武将、クシラ・ワングリは西の水平線をじっと睨めつけていた。
「クシラ様、奴ら来ると思いますか?」
「さっきワイバーンが飛んでいくのが見えた。当然、本隊もいるだろう」
船長の言葉に、クシラはそう答えた。列強との戦闘に船長は顔が引きつっていた。
「列強相手に勝てるのでしょうか・・・・」
船長は不安げな声を出す。
「わからん。しかし、ただではやられんよ。我々は精鋭ぞろいだ。装備も人員も二線級の監察軍相手ならば、ある程度は戦えるはずだ。それに、あの兵器もある」
「魔導砲・・・・ですか?」
「そうだ。文明圏国家でしか使用されておらず、1㎞も先に鉄の砲丸を発射する兵器だ。お前もあの兵器の威力は見ただろう?」
そう言ってクシラが見る先には、黒光りする鉄の筒があった。それは、フェンが大枚をはたいて、文明圏内国家より1門だけ手に入れた魔導砲であった。
クシラの言葉に、船長はコクリとうなづく。
「ええ、試射を1度だけ見ましたが、あの兵器の威力には驚かされました」
「奴らは、我々が魔導砲を持っていることは知らんだろう。その油断をつく!」
しかし、列強と文明圏外国家との技術格差はすさまじいことは、クシラはわかっていた。たとえ、彼らに油断があったとしても、それだけで技術格差は埋められない。特に、大量の魔導砲を積んだ戦列艦なる船の存在は、クシラの耳にも入っていた。
列強相手に、どうするべきなのか作戦を必死で考える。
ちょうどそのときであった。彼らの頭上から大声が聞こえてくる。地球の安宅船にはない、マスト上の見張り台にいた見張り員からの報告であった。
「報告!前方2時の方向に船影を確認!船数1、2・・・・22隻!!」
「きたか!・・・・全船に伝達!戦闘準備!急げ!」
フェン王国艦隊は、にわかにあわただしくなる。クシラは、じっと近づいてくるパーパルディア艦隊をにらみつけていた。
いかがでしたでしょうか?
今年も、応援のほどなにとぞよろしくお願いいたします。今年が皆様にとって良い年になりますように。
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ではまた次回、さようならぁ
次回 EP48 フェン王国領海内衝突事件Ⅱ
おたのしみに