いやぁ、コロナの後遺症つらいですね・・・・。いまだに咳がゴホゴホでてる。皆様も健康にはくれぐれも気をつけてください。
では、本編どうぞ。
一方、パーパルディア艦隊もフェン王国艦隊を認識していた。
「提督!フェン王国艦隊を確認しました!前方2時の方向、約15㎞地点を航行しています」
伝令兵からの報告に、ポクトアールは重々しく頷いた。
「わかった。全艦、戦闘配置につけ。それと風神の涙を使え。全速力で航行するんだ。奴ら、何かあるやもしれんからな」
「わかりました」
ポクトアールの指令を通達するために、伝令兵は通信室に向かう。
そのポクトアールの慎重ともとれる指示に、近くにいた参謀は違和感を抱いた。
「提督、いやに慎重ですね?」
「うむ。ワイバーンの件がな?」
「なるほど、通信途絶の一件ですか。確かに不気味ですね・・・・」
飛行中のワイバーンは地上部隊からの攻撃で撃墜することは難しい。ワイバーンの鱗は非常に硬く、通常の弓矢では鱗を貫くことはできない。またバリスタの直撃は、ワイバーンの鱗を貫くことは可能なものの、そもそも直撃させることが難しいのだ。
であればワイバーンによる攻撃しか撃墜は不可能なのだが、そもそもフェン王国にワイバーンはいない。となれば、新たな新兵器か、新戦術があると考えるのが妥当だ。
「慎重に行動して損はあるまい」
「そうですな。全力でフェンにあたりましょう」
参謀らは、ポクトアールの英断を称え、従うことにした。
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「ちっ。想像以上に早いな・・・・」
クシラは自身の想定を上回る速度で接近してくるパーパルディア艦隊を見て、舌打ちをする。
しかしながら、彼は冷静さを失ってはいない。
「小早船と関船は奴らに接近してかく乱しろ!奴らが魔導砲を持っていても乱戦に持ち込めば、簡単に使うことはできん!」
この指示は、魔導砲の研究をしている中で発見した欠点をつくためであった。彼らがもつ魔導砲は、ライフリングのついていない滑腔砲であり、砲弾も安定翼などつきようがない球形砲弾である。つまり、命中率が絶望的に低いのだ。
となれば、乱戦になれば誤射する可能性が高くて、魔導砲は使えないのである。クシラの指揮は、それを見越したものであった。
クシラの指示はすぐさま伝えられ、艦隊から6隻の小型船と4隻の中型船が分離する。彼らは、剣神などの安宅船に比べて、速度と機動性で優れる中型小型船舶であった。
「あ!敵艦隊が回頭!!横っ腹を向けています」
「なんだと!?」
攪乱部隊を見送った後、見張り員からの報告を聞いて、クシラはパーパルディア艦隊に目を凝らす。
なるほど、確かに敵艦隊は回頭して、その舷側をこちらに向けている。本来であれば、船の先端についている衝角を舷側にぶつけて浸水を促しつつ、敵船に切り込むというのが海戦の基本戦術だ。
つまり、舷側というのは船にとって弱点であり、それを敵に見せるなど愚の骨頂なのである。
しかし、よく目を凝らしてみてみるとパーパルディア艦隊の舷側には、無数の穴が開いており、そこから不気味な鉄の筒が顔をのぞかせているのが見えた。
「まさか・・・・、あれは全部魔導砲なのか?」
クシラがそうつぶやいた瞬間、突然パーパルディア艦隊が爆音とともに煙に包まれ、パーパルディア艦隊に最も近づいていた小早船の周りで水柱が上がる。
その様子を見て、クシラは再び舌打ちをする。
「ちっ。やはり魔導砲か・・・・!射程もこちらの倍以上だな・・・・。攪乱部隊は回避行動をとれ!我々も全速力で向かうぞ!」
しかし、その指示を出して数秒後、再びパーパルディア艦隊が煙に包まれ、今度は小早船が爆発する。どうやら砲弾が直撃したらしい。
だが、クシラは指示を変えなかった。戦いに勝つためには、時に味方を犠牲にする冷徹さが必要だからだ。
「われらも急ぐぞ!彼らの死を無駄にするな!早船で乱戦に持ち込んで混乱している間に、魔導砲を叩き込むのだ!」
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「敵先頭艦に命中!撃沈!」
見張り員からの報告に、ポクトアールはうむと頷いた。
「2射目から命中か・・・・。なかなか好調な滑り出しだ。この調子ですべて叩くぞ!」
「しかし、今のところ何ら変わったところはありませんな・・・・」
といったのはポクトアールの横にいた艦長であった。彼が言っているのはポクトアールの警戒していた新兵器や新戦術の出現が見られないことであった。
「うむ。ここまでくると不気味だ・・・・。すぐに出してくると思ったが・・・・」
「新兵器など杞憂でしたかな・・・・」
彼らの間に楽観的な空気が漂い始める。しかし、歴戦の提督で、もともとは皇国正規軍の軍人であったポクトアールは、厳しい表情のまま彼らをたしなめる。
「まだまだ油断できん!相手を列強だと思って相手するのだ」
魔導戦列艦からの第3射目が放たれたのはちょうどそのときであった。
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再び小早船が水柱に包まれる。
「くっ!まだ射程に入らんのか!?」
「現在、全速航行中です!」
すでに4隻の船が沈められている。しかも、敵は距離をとりながら魔導砲を撃ってくるせいで、剣神の魔導砲の射程に収められていなかった。
ここまでくると、さすがのクシラにも焦りが見える。
「またやられました!今度は2隻いっぺんです!」
これで6隻だ。残るフェン艦隊は小早船2隻、関船2隻、安宅船3隻である。
小早船や関船も、なかなか敵との距離を詰められていない。魔導砲を回避するために行っている回避行動も原因だが、もっと大きなのはパーパルディア艦隊が装備している風を操る魔法具、「風神の涙」であった。これにより、敵は風を操作してこちらとの距離を保っているのである。
「くっ!敵にも回避行動をとらせる!最大仰角で魔導砲を撃て!」
「しかし!魔導砲はまだ射程圏外ですよ!」
「構わん!敵が回避行動をとってくれれば、攪乱部隊が接近できる!つべこべ言わずにやるんだ!」
クシラの指示はすぐに伝わり、魔導砲に砲弾と魔石が装填される。そして、取れる限りの仰角をとると艦長は叫んだ。
「放てぇ!!!!」
剣神の艦首に1門だけ搭載された魔導砲が火を噴いた。
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「ッ!敵艦発砲!」
見張り員は、剣神から上がる見慣れた煙を見て叫んだ。
この報告には、ポクトアールも若干驚く。なぜならフェンはワイバーンすら持たない、魔法を持たない国だからだ。作動方式に魔法が使われている砲を持っているなど考えていなかったのだ。
すぐさま艦長は回避行動を命じようとするが、それは杞憂に終わった。なぜなら、パーパルディア艦隊から遠く離れた手前に水柱が上がったからである。
「どうやら、射程圏外のようだな・・・・。見張り員!敵艦にほかに魔導砲は見えるか?」
「いえ。どうやら1隻のみ。1門だけ搭載しているようです・・・・」
1門だけならば、さしたる脅威にはならない。見たところ、使われているのもただの球形砲弾であり、パーパルディア艦隊が持つそれと比べたらおもちゃみたいなものだ。
とはいえ、被弾しないことがベストである。ポクトアールは新たな指示を出した。
「敵快速船を片付けたら、艦隊を二つに分ける。左右から敵主力艦を挟撃するぞ」
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手前に落ちる砲弾を見て、クシラはダンッと船べりを叩く。
「くそっ!やはり届かんか・・・・!」
そうしている間に再び攪乱艦隊の関船が沈められる。残っている小早船2隻も戦意を喪失しているようで、パーパルディア艦隊から逃げるように、戦場を離脱している。
ここまでくれば、主力である安宅船3隻は丸裸だ。パーパルディア艦隊は2手に分かれて、左右から挟み込むようにやってきた。
「離脱する!全速反転だ!」
そう言って何とか彼らも逃げようとするが、魔法具によって風を操れる彼らの足の方が速かった。あっという間に追いつかれると、砲撃を浴びせられる。
すぐさま剣神の右隣にいた安宅船が砲撃の餌食となる。あっという間に大穴を穿たれ、バラバラになって沈んでいく。
その様子を見て、クシラは膝から崩れ落ちた。
「これが、列強か・・・・」
そう彼がつぶやいた瞬間、クシラが乗る剣神とその左隣の船は、左右からの砲撃を浴びて、乗組員とともに沈んでいった。
いかがでしたでしょうか。
これから8話くらいフェン王国関連の話が続くかもしれません。書いていて思ったのですが、今作は解像度高めで書いているつもりなので、パ皇戦とか、そのあとのグ帝戦は本気で結構先になりそうな予感・・・・・。
気長に待っていただけると幸いです。
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ではまた次回、さようなら。
次回 EP49 フェン王国領海内衝突事件Ⅲ
お楽しみに